08:00
結果は同じなので責め過ぎないでください!

いやー、やってくれますね、ボブスレーは。大会ごとに「何とかしてボブスレーここにアリの爪痕を残そう」とするその精神には感服するばかり。ソチ五輪・平昌五輪・北京五輪では日本勢の活躍はさておき(!)、下町から五輪を目指し、2014年にはドラマ化もされた下町ボブスレープロジェクトが大いに世間の注目を浴びました。特に平昌五輪では、直前まで採用してくれていたジャマイカ代表が本番では世界標準のソリに乗り換えたことから(※理由は下町ボブスレーが遅いから)、損害賠償を求めるの求めないのという競技そっちのけの騒動となったのも記憶に新しいところ。

そんななか肝心の日本代表は来るミラノ・コルティナ五輪での再起を期したい…と枠取りに挑んでいたわけですが、その矢先のビッグニュース。何と、国内でボブスレー競技を統括する日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟が出場枠獲得のための条件の解釈を誤るという痛恨の不手際を犯し、五輪切符を争うことすらないままに男子の出場枠を失う(※そもそも取れるかどうかの俎上に乗っていなかったと判明)ということになってしまったのです。

↓連盟は「解釈ミス」などと主張しており!


↓下町ボブスレーの近況が気になる方はコチラのニュースをご覧ください!






冷たい言い方になるかもしれませんが、この件に関してはボブスレー界隈全体のクオリティの低さが出たかなと思います。もちろん連盟は悪い、それはもうヒドイものだと思いますが、選手のほうも「涙止まらなかった」などと落胆できる立場なのかな?と、僕などは大いに疑問に思います。

手元でチェックもしておらず、途中で教えてあげることもできず、すべてが終わってから後出しで言う形で恐縮ですが、これは解釈ミスなんて話ではなく、出場枠に関する規定を「まったく読んでいなかった」レベルの失態だと思います。それは連盟はもちろん悪いですが、選手も何をやっていたんだろうというレベルの大失態だと思います。

ボブスレーの五輪出場枠に関する規定は2024年10月21日付けで公表されており、国際ボブスレー・スケルトン連盟(IBSF)の公式サイトに今この瞬間も掲示されており、誰でも読むことができます。英語で書かれていますので多少つっかかるかもしれませんが、大して難しいことが書いてあるわけではありません。

↓くわしくは、こちらのPDFをご覧ください!

男子で言うと、国・地域に対して出場できるソリの数を割り当て、ひとつの国・地域から最大で3台のソリが2人乗り&4人乗りの種目に出場できます。その割り当ては、2026年1月18日時点での2025-2026シーズンIBSF複合ランキング(IBSF Combined Ranking)の順位によって決まります。この複合ランキングというのは、2人乗り種目での獲得ポイントと4人乗り種目の獲得ポイントを合計したものであり、国際ルールにて「複合ランキングには2人乗り種目と4人乗り種目の両方でランキング入りしたパイロットだけが入る(The IBSF Combined Ranking List includes only those pilots who are ranked in both 2-man and 4-man bobsleigh races.)」と規定されています。つまり、2人乗りor4人乗りのいずれかに苦手種目があっても、どこかでポイントの対象になる大会に出場して、最低でもランキング入りしておかなければならなかった。(※ちなみに、ランキングに記録される対象はソリのパイロット)

これは2024年10月21日付けの五輪出場枠に関する規定を読めば一目瞭然というか、「どうやったら五輪に出られるのかなー?」を調べたら必ずわかる内容だと思います。どの項目を見ても「IBSF複合ランキングで決めるよ」と書いてあるのですから、「複合ランキングで上位入りすればいいんだな」「複合ランキングに入るには2人乗りと4人乗りの両方でランキング入りしないといけないな」「どこかで両方の種目の大会に出ておかないといけないな」まで10分程度でたどりつく話のはず。

で、今回の日本連盟の解釈ミスというのが、「複合ランキング入りするには2人乗りと4人乗りの両方でランキング入りしていないといけないんだというのをよくわかってなくて、2人乗りのほうの大会ばっかり出てました!4人乗りのほうにまったく出てませんでした!全然ポイント取ってません!さーせん!」というものなわけですが、これもまたヒドイ話です。出場枠の割り当ては大会ごとにいろいろ仕組みが変わるわけで、「今回は4人乗りやらなくてもいいんですね?」「2人乗り種目だけやってても出られるんですよね?」と思った時点で一度立ち止まって、「そんなことあるかな?」と自分たちの解釈を疑問に思わないといけないでしょう(※解釈ミスというよりは「ちゃんと読んでないだけ」ですが)。

国際連盟のサイトでランキングなどを見ると、男子の日本勢は2人乗りのランキングには36位に松岡晃輝さん、39位に篠原凌さんが名を連ねていますが、4人乗りにはひとりも掲出されていません。だって、大会に出てないから。篠原さんの戦績を見ると、4人乗りのリザルトが残っているのは2022年が最後ですし、松岡さんは4人乗りのリザルト自体が記録されていません。北京五輪後、終始一貫したカンチガイを貫き、2024年から公表されている出場枠の規定を読まず気づかず、この最終局面になってヨソの国から指摘されて「アチャー、4人乗りも出ないとアカンかった!」となったと、これはもう連盟を責めて終わりのレベルではないでしょう。「界隈全員やっちまった」という連帯責任です。

↓連盟は「出場枠の条件がおととし変更されたことを見落とし」などと申しており!

そこから一度も複合ランキングに載ってない時点で「おやー?」とならないものですかね!

ほかの大会では種目別ランキングで出場枠を決めてた、という事情はあるにせよ、発表は正直ベースでいきましょう!



まぁ、やっちまったものは仕方ありません。連盟は悪いですが、選手も「自分が狙う五輪の出場条件をまったく読んでなかった」のであれば誰かを責められるような立場にはありませんし、関係者やメディアの誰ひとりとして指摘しなかったのですから、みんな同じレベルです。「日本人はボブスレーに興味も関心もないのだ」という点を率直に認めて、4年後に向けての再スタートを切りましょう。次はちゃんと規定を読む、そのことを胸に刻んで。

慰めになるか、あるいはさらなる追い打ちになるかはわかりませんが、まぁ、たとえ規定をちゃんと読んでいたとしても結果は一緒だったかなと思います。男子2人乗りで日本勢最上位の松岡さんの獲得ポイントが432点、つづく篠原さんの獲得ポイントが412点なのですが、出場枠を取るためには現時点で複合ランキング27位につけるアクセル・ブラウンさん(トリニダード・トバゴ)の1062点を上回らないといけないので、4人乗りで600点以上を獲得する必要がありました。これは4人乗りのランキングで世界15位とかに相当しますので、たとえ規定を理解していたとしても「どのみち出場枠は取れてない」と思います。多少、欠場者が出て繰り上がりがあるかもしれませんが、今持っているポイントを倍にしても繰り上がり待ちの3番手とかなので、まぁナイかなと。

幸いなことに女子のほうは、こちらも基本的には「2人乗り種目と1人乗り種目のポイントを合算した複合ランキングで出場枠を決める」ではあるのですが、女子は一番最後のほうに種目別ランキングで決める枠がありまして、日本勢では石川優さんが1人乗り種目枠の繰り上がり待ち5番手に現時点で位置しています。男子と違って、こちらは可能性の俎上には乗っています。石川さんは陸上とボブスレーの二刀流で、東京五輪のリレーメンバーにも選ばれた選手(※出場はせず)ですので、もし出場ということになれば大いに注目していきたいところです。

いずれにせよ、挽回できないことでクヨクヨしていても仕方ありません。そんなことより、日本の連盟は「日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟」という3競技ひとまとめの体制なのですから、このポンコツぶりはリュージュとスケルトンでも発揮されているはず。そちらの規定やらを調べて何かあったら指摘するみたいな余力はなかったので注意喚起のみですが、スケルトン・リュージュ界隈の皆さまに置かれましては「ウチは大丈夫だろうな?」をできるだけ早くご確認いただければと思います。パッと見たところでは、「検討の俎上から漏れていた」ということはなさそうですが、用具規定とかその他のところでポンコツるかもしれませんので(※絶対貼っておかないといけないステッカーを勝手に剥がして失格になるとか)、くれぐれも選手の皆さんも含めて「しっかり自分でも確認する」を徹底いただければと思います。以上、東京五輪で似たようなことをやらかしたスポーツクライミング界隈の記憶を引きずる者からのご案内でした!

↓あのときも「規定を読めば最初からそう書いてあった」「でも日本側も国際連盟もカンチガイしてた」って話でしたからね!

五輪を目指すなら自分でも一度くらい「●●●● at the 2026 Winter Olympics – Qualification」とかで検索するといいですよ!

海外の五輪ニキが出場枠の条件とか、今誰が圏内にいるかとかマメに記録してくれているので!

各競技の出場枠規定へのリンクもついてますし!



「どのみちダメだった」と気持ちを切り替えて未来に向かいましょう!