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インバウンドとインフレによる変革の波!

言葉の頭にフジがつくと悪そうな感じを受けるけれど、言葉のお尻に富士がつくと強そうな感じを受ける好角家の皆さん、こんにちは。本日はお出掛けの記録です。だいぶ久しぶりな気がしますが、大相撲観戦に行ってまいりました。別に行きたくなかったわけではないのですが、昨今はインバウンド需要のさらなる高まりもあって大相撲のチケットが大変取りづらくなり、「千秋楽がいいです!」みたいな舐めた希望を入れてもまったく通らなくなったことから、チケットを確保できないことがつづいていたのです。

ひと昔前は向こうからファックスを送ってきてチケットを買ってほしいと泣きつかれたものですが、苦しい時代を支えた糠床の妻というのは得てしてこういう扱いをされるものなのでしょう。もはや相撲仲間の会社のオジサンを早く何とかダマして…じゃなくて説得して、大相撲ファンクラブ横綱コース(年会費33万円)に加入させるように動くしか事態を打開する方法はないかもしれません(※現在は募集定員に達しており受付停止中)。粘り強く説得をつづけ、枠が空いた暁には速やかに33万円を払ってもらえるよう頑張りたいと思います。タカリ…じゃなくて提案&説得を頑張ります!

↓そんなことで普通に14日目に来ましたよね!
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しばらく観戦の間隔が空いたことで最新情報にすっかり疎くなっており、「あれ?」という変化に遭遇することがつづきます。ある意味で新鮮、まるで初めての訪問のように楽しめるではありませんか。その変化が全体的に「牧歌的の反対側」の概念方向であることは若干気にはなりましたが、まぁ大相撲も時代に連れて変わっていくものなのでしょう。変化も含めて楽しみたいと思います。

↓何か入口についたらQRコードを出せと言われました!
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大相撲と言えば入場口で紙のチケットを出して、親方衆にもぎってもらうことが楽しみのひとつでした。それはディズニーランドの入口でピノキオのコオロギとかが軽めのグリーティングで出迎えてくれる「お通し」みたいなサービスとして、とてもテンションが上がる場面でした。今回僕はQRチケットの分配を受けており、残念ながら紙のチケットはありません。世間全般もそうなのか、多くの人は紙チケット入場口ではなくQRコード入場口へと吸い込まれていきます。「ついに大相撲もピッの時代か…」「大相撲は極力文明を使わないで欲しかった…」「これじゃ協会に歯向かった親方の再修業としてやらせる仕事がなくなってしまうではないか…」などと思いながらQRコード入場口に向かうと、何とそこには「ピッの親方」がいるではありませんか!

もぎりの親方にお世話になることはできなくても、ピッの親方が待っていてくれるなんて。紙とかQRとか仕組みの部分はどれだけ変わっても、魂の部分が変わらなければそれは大相撲である…そんな心意気のようなものを感じる変革でした。転売対策など追求していけばいずれは大相撲も電子チケットが主流となるのでしょうが、親方衆は時代の変化に合わせてピッしたり電子ハンコ押したりスワイプしたりしてくれるのだろう、そんな安心感を覚えつつ奮って入場します。

↓立田山親方にピッしていただきました!ありがとうございます!
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この日は比較的早い時間の到着でしたので、混み合う前にササッと散策を済ませられるだろうと思ったのですが、いつも賑わっているロビーは閑散としています。大相撲ファンクラブの抽選イベントや、大相撲博物館の展示公開は12時過ぎから始めるという話で、そのせいか人の行き来もまばらだったのです。これも変革のひとつなのでしょうか。以前は朝っぱらから何でもかんでもやって、朝っぱらで終わっていた気がするのですが、「よく考えたらそんなに朝っぱらからイベントやる必要はない」と気づいてしまったのでしょうか。

まぁ言われてみれば朝っぱらから相撲はやっていますが、見に来ている人が多いわけではないので、人が来ないならイベントやっても仕方ないっちゃ仕方ないのはその通り。「相撲=早朝」みたいなイメージは少し改める必要があるのかもしれませんね。大相撲は長年おじいちゃんタイム(※可能なら朝6時くらいからスタートしたい)で運営しちゃっていましたが、インバウンド勢にしてみれば「ホテルのチェックアウトより早い時間にイベント始めるな」というのもごもっともな話ですので、今後は少しゆっくり訪問してもいいのかなと思いました。朝弱い勢としてもニッコリの変革です。

↓昼を待って大相撲ファンクラブの抽選に参加しました!
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↓ポストカードとカレンダーをいただきました!
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↓同じく昼を待って相撲博物館の展示を見ました!
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↓昔の表彰トロフィーなどを拝見しました!
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その後も散策はつづくわけですが、何となくドライな感じを受ける館内。以前なら相撲錦絵の絵師さんが懸命に営業をしていたり、スイーツ親方として知られる芝田山親方がビスケットのつかみ取り販売をしていたり、冷やかすだけでも楽しい取り組みがいろいろあったものですが、そうしたスペースの大半がガチャとクレーンゲームと無人の立て看板で埋め尽くされています。特に存在感際立っていたのはガチャです。館内1階にも2階にもガチャコーナーが設けてあり、とにかくガチャを引けと詰め寄ってくる。1回500円のガチャを猛烈に引けと。

空き地利用の最適解は駐車場で、空きスペース利用の最適解はガチャである、そんなコンサルでも入ったかのような効率的スペース利用に感心しつつ寂しさも覚える僕。「これで儲かるのかな?」というガバガバ感が楽しさのひとつでもあったところが、すっかりしっかりされてしまったのだな…などと思いながら、記念にガチャでも引くかと眺めたところ、しっかりどころかなかなかハードなガチャをご用意いただいておりまして…

↓呼出しのアクスタ「全27種」がひとつのガチャに投入されています!
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↓全部集めたら壮観だろうけれど、全部集められる気がしない!
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この全27種をガチャでコンプリートしようとしている呼出し推しの相撲女子はいたりするのでしょうか。計算上、150個くらい買えば90%以上の確率で全種揃うはずではありますが、ガチャ1台に150個も玉が入るはずもなく、全部引いても狙いのアクスタは「純カラ」という可能性もあります。せめて「第1弾」とか少し区切ってあげればいいのにと思いつつ、「あーーー!どうしても邦夫が出ない!」「あと邦夫だけなのに邦夫が出ない!」「全部玉出したけど邦夫が入ってねぇじゃねぇか!」とか悶えている人を眺めるのもそれはそれで面白そうなので、ちょっと気分が盛り上がりました。いないとは思いますが、もし全種コンプを目指している人がいましたら、頑張ってほしいなと思いますよね。これはさすがにメルカリの使用を許可してあげたいですね!

↓記念に1回引きまして、幸吉さんをゲットです!
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↓ちなみにこの方が幸吉さんです!だから何だって話ですが!
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幸&吉で縁起のよさそうな引きに喜びつつ、国技館1階を見回っていきます。売店では新商品なども並んでおりますので、お土産の物色なども。関取衆の顔がプリントされていて力士になりきれるフェイスパック、カップのなかで力士が湯船につかっているみたいに見えるティーバッグ、「ベイマックス」とコラボしたタオル等のグッズ、QRコードの利用が拡大しているのに堂々登場のチケットホルダーなどなど魅力的な品の数々に買い物も捗ります。自分用のお土産にはティーバッグをチョイスし、翌日のお茶の時間にいただくことに。いいお買い物ができました。

↓同じシステムで出汁が出るヤツもあるといいと思いました!
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「力士の出汁で作る鍋」とか盛り上がりそう!

力士によって塩味だったりニンニクだったりコンソメだったりしてもいいかもですね!

まだまだ散策はつづきます。ようやく1階を一周しますと、周回の終わり際のあたりでは引退した親方衆が自身の断髪式のチケットを手売りしているではありませんか。ときにはサインに応じたりなんかもしていたりして、たゆまぬ営業努力をつづけている様子。よく見れば抽選での購入特典などもついており、運よく当たれば同じ部屋の関取衆とのチェキ撮影会に参加できるのだとか。この背に腹かえぬ特典には「引退する親方本人とのチェキ撮影ではなく…?」「琴櫻とかとのチェキ撮影が当たる…?」「部屋パワーえぐいですな…」と感心するばかり。本人の手形はこの際購入者全員につけちゃえばいいのにと思いましたが、まぁ手形ついてたら買うくらいの人ならついてなくても買うんでしょうし、「今なら琴櫻当たる!」のほうが正解なのかもしれませんね。

↓引退するのは琴恵光だけど抽選で当たるのは琴櫻とかのチェキ!
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さて、1階の見回りを終え、2階へ。2階もまたガチャが大きく展開されているほか、クレーンゲームやネームシールの販売機、記念撮影用の立て看板など無人で楽しめる系の出し物が多数。冷やかしながら進んでいくと、外周通路のガラス扉に貼られている力士たちの写真がいつの間にか更新されておりました。多くの方が横に立って記念撮影などされており、とてもいい感じ。「記念撮影したはいいが、この力士誰だっけ?」という率直な需要に応えるように、その写真がどの力士なのかわかるQRコードも貼ってあるというサービスぶりはなかなかいいなと思いました。実際問題、三役以上しか顔見てもわからないですからね!

↓こちらは半裸の玉鷲に肩を抱かれている感じで記念撮影ができるスポット!
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↓こちらは半裸の錦木が名探偵みたいになっている実に面白いスポット!
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↓そしてこちらが半裸の一山本と大きなハートを作れる記念撮影スポットです!
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何でどれもこれも稽古のときの写真なんですかね!

妙に生活感があって生々しいです!

グルグルまわっているうちにお腹もすきましたので食事へ向かいます。恒例の国技館地下大広間ちゃんこをいただきにうかがい、春日野部屋の塩ちゃんこに舌鼓。さらに、ちゃんこのあとは腹固めの米が欲しくなりますので、本場所観戦の際に毎度楽しみにしている立ち食いの寿司屋さんに向かいます。

しかし、ここで衝撃的な報せが。ときどき食べていた「オススメ5貫+卵焼き」というお得なセットメニューが、品数変わらずに1900円という本格的寿司みたいな値段にアップグレードしていたのです。寿司なんだからそのぐらいするんですと言われたらそれまでですが、一番最初の頃は1000円しないくらいの頼みやすさだったことを思うと、インバウンド価格&インフレの大きな波を感じずにはいられません。

そして細かくメニューを見て行くと生うにの握りのキャビア添えなる品は1貫1200円なのだとか。キャビアが添えてあるんだからお高いのでしょうが、これはドルから円に換えてきた人でもないとなかなか手が出ないところでしょう。僕もビビッてしまって「赤身ください…」みたいに萎縮しながらの寿司となりました。まぁ、目の前で職人さんが握ってくれるのをカウンターで食べようというんですから、これぐらいが自然なのかもしれませんね。「時価」ってなってないだけ気軽、そのぐらいの認識でインバウンド感覚を身につけていきたいと思いました。

↓普段グルグルまわる寿司で食べている勢は身震いする生うにのキャビア添え1貫1200円!
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↓赤身を取り入れて1100円で倹約寿司を楽しみました!
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その後はデザートのソフトクリームを食べてインフレを感じたり、関取衆の入り待ちをしてインバウンドの盛り上がりを感じたりして、ようやくではありますが本編の相撲のほうへと戻ります。今場所はなかなか充実の土俵となっており、横綱・照ノ富士の引退という報せこそあったものの、横綱の不在を感じさせないような熱い優勝争いが展開されています。内容も、弱い者同士がもつれているということではなく、これからの土俵を担っていくであろう気鋭の力士たちが競り合っているという魅力的なもの。この日の時点で優勝が決着することはほぼナイという状況でもあり、「いっそ最後までもつれろ」という気持ちで熱戦に期待して見守ります。

優勝を争う力士たちのなかで最初に登場した3敗の王鵬は、いよいよ大器が覚醒したかと思わせるような力強い相撲で、苦しい態勢になりつつも隆の勝を土俵際でひっくり返しました。相手の寄りを上体を柔らかく逸らして受け止めつつ、すくい投げでも小手投げでもないのに左手一本で相手をぶん投げる柔と剛の共存。これは千秋楽に大いに期待が持てそうです。

つづいて登場した金峰山は、ここまでの勢いそのままに難敵・霧島を破って2敗をキープ。右四つの体勢で左上手も取った霧島が断然有利かと思われましたが、金峰山も左の力強い小手投げで凌ぎ、最後は右のすくい投げで霧島を投げて見せました。突き押しだけではなく組んでも勝てる、この白星は優勝へ近づく大きな一歩となったのではないでしょうか。いやー、あの状態から金峰山が勝つとは思いませんでした。お見それしました!

↓取組前の金峰山が見せた気合の表情!
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↓見事な白星で2敗をキープし、土俵で仁王立ち!
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結びの一番では優勝&綱取りの可能性を残したい豊昇龍と、編成側が金峰山を止めようとしている間にスルスルっと白星を重ねて優勝争いに名を連ねた尊富士との3敗同士の対戦に。負けたほうは優勝の可能性がなくなり、勝ったほうは千秋楽に希望をつなぐという大きな分かれ目の一番。今場所話題となったMLB日本開幕戦の懸賞旗もこの大一番に3本並び、勝負の行く末を見守ります。

そして、この勝負を制したのは豊昇龍。鋭い立ち合いで尊富士の出鼻をくじくと、苦し紛れに首を抱える尊富士を吊って浮かせ、何もさせないまま一気に寄り切りました。うーむ、強い。照ノ富士引退という状況もあり、協会からは「優勝なら(綱取りの)ムードが出てくる」という言葉も出てきたなかでの大きな白星。だいぶ甘目ではありますが、もしも千秋楽で逆転優勝なら横綱もあるのかなと思いました。

今年は日本相撲協会100周年の記念イヤーということで、来年6月にはパリ公演も控えているところ。「甘目昇進ではあっても、横綱不在は絶対に避けたい」という協会側の気持ちは理解できます。はたしてそういう都合のいい展開を相撲の神様はお認めくださるのか、まずは優勝を争う同士の対戦となる、千秋楽の金峰山と王鵬との取組を見守りたいと思います。ここで王鵬が勝つようなら、優勝決定巴戦が濃厚となりますので、そうなれば地力に勝る豊昇龍が優位に立つのではないでしょうか。誰が勝ってもドラマが約束された千秋楽、これは見逃せない一日となりそうです。

↓MLB開幕戦の懸賞旗はこんな感じでした!
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↓気迫十分の豊昇龍が勝って、千秋楽に綱取りをつなぐ!
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とまぁ大変盛り上がった大相撲観戦。チケットが取れなかったことが改めて口惜しくなるような熱戦を、最後まで楽しんでいけたらいいなと思います。この調子では、ますますインバウンド含めた相撲人気が高まり、さらなるインフレが加速しそうなのが心配ではありますが、そのぶんさらに面白くなっていけば問題はありません。キャビアを添えたら値段が上がるのロジックで、相撲仲間のオジサンが「こんなに面白いものの千秋楽を見るためには、ファンクラブ会費33万円を払うしかないなぁ」と納得してくれることを祈りつつ、さらなる盛り上がりに期待です!



給料がインフレと同じペースで上がれば、気にならないんですけどね!