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2009年11月02日01:48
清原さんと新庄さんがいれば、もう一人でも寂しくありません!
スポーツ中継において、実況・解説というのは一体何のためにあるのでしょうか。一般には、実況には競技進行の音声による説明が、解説には実体験に基づく選手心理・技術の分析が期待されるのでしょう。まぁ9割方そうなのでしょう。ただ、それだけでは説明がつかないことがあります。試合進行など別に実況がいなくても見ていればわかります。生観戦では当然実況などいないのですから、なくても困るもんじゃありません。また技術などの分析も、生観戦では当然ありません。逆に競技によっては、「テレビじゃわからないよ」「やっぱり現場で見なきゃ」「現場で見たほうがよくわかる」などと言う輩までいます。よくよく考えれば実況や解説などいらないのでは、そんな疑問がわいてくるのです。
しかし、僕はやはり実況や解説が欲しい。
選手のプロフィールやらは同時にネットで見ているので必要ありません。技術面の深淵なる解説も、正直こっちは晩酌で一杯ひっかけているので理解しちゃおりません。それでも実況や解説がないと落ち着かないのは何故か。それは、都会の孤独だと思うのです。一人で試合を見て、一人で歓喜し、一人で泣く。この行為の虚しさが、僕らに実況や解説を求めさせるのでは。真夜中に一人で観戦しているときも、ヘッドフォンから聞こえる「今のは惜しかった」「どうもピリッとしません」「ココが勝負どころです」などの声が、僕らの寂しさを和らげてくれる。そして、ちょっと詳しい兄ちゃんが色々な豆知識を披露してくれる。ネット中継で海外の試合を見ているときも、アラビア語とか意味不明な言語でも何か喋ってくれる方が落ち着くもの。「一人じゃない」というこの感覚こそが、実況・解説の最大の仕事だと思うのです。
だから、極端な話、何を喋ってもいいのです。選手の名前を間違えても、紹介した過去の記録が違っても、あまつさえ分析がインチキでもいいのです。解説なんかじゃなく、雑談や与太話でもいいのです。いや、むしろその方が実際に友人と会場に足を運んだような感覚で、ライブ感を味わえるかも。よくテレビの実況・解説の低レベル化を嘆く人がいますが、僕は低レベルでも一向気になりません。ただ、試合の盛り上がりに合わせて興奮し紅潮する、「仲間」を感じられればそれでいいのです。逆に、どれだけ立派な豆知識を披露しようが、試合の流れに身を委ね、ともに盛り上がろうという気持ちがない音声ならお断りです。そういう意味で、日本シリーズ第2戦で清原和博さんと新庄剛志さんのコンビが披露した3時間を超える雑談などは、立派に解説の役目を果たしていた…僕はそう思うのです。
ということで、生真面目な視聴者から抗議が殺到していそうな清原・新庄コンビのフリーダム解説について、1日にフジテレビが中継した「2009プロ野球日本シリーズ第2戦 北海道日本ハムVS巨人戦」からチェックしていきましょう。
◆第1戦の野村スコープとは真逆を向いた、居酒屋の無駄話だなwww
清原さんは怪物の名に恥じぬスケールで、昭和の大スターのような武勇伝を数々残してきたお方。一方、新庄さんも現役当時から宇宙人と評され、最近では香水を売り出したり絵画を描き始めたりと、相当なアレさを見せつける傑物。そんな2人が解説席に居並ぶとどうなるのか。当然マトモな会話になるはずもありません。よく言えば規格外、悪く言えば常識が通じない。公共の電波を使用しながら、「野球を見ているオッサン2人の自由な無駄話」が3時間半に渡って垂れ流されるという、トンデモない事態となってしまったのです。
その破天荒はまさに歴史的であり、僕も晩酌の缶チューハイを盛大にこぼしてしまったほど。これは是非ほかの解説者にも参考にしてもらいたい…そんな思いから、2人の自由な無駄話について、一部を記録しておきたいと思うのです。難しく構えすぎている解説者諸氏に、「これでいいのだ」「これでいいのだ」「ボンボンバカボンバカボンボン」と感じてもらえれば幸いです。
●仁義なき戦い
いきなり中継初っ端から画面に踊る「仁義なき戦い」の文字。広島が出ているわけでもないのに何故。原監督などめちゃくちゃ紳士的なのに何故。そんな疑問はスペシャル解説とスペシャルゲストの顔ぶれを見て、すぐさま合点がいきました。何とそこには、野球をやっていたという過去がなければ、ほとんどその筋のヤバイ人みたいなのが堂々居並んでいたのです…。
←中継冒頭からいきなり「仁義なき戦い」の煽り!
いや、どっちもスマートで紳士的な球団だろ…。広島VSロッテならまだ納得できなくもないが…。
←しかし、VTRを最後まで見てガッテンガッテン!
インテリヤクザとリアルヤクザ…もとい、北海道日本ハムの英雄・新庄剛志さんと、巨人で日本一も経験した清原和博さんが、ダブル解説で登場とのこと!
←じゃ、試合より解説席がメインの煽りじゃねぇかw
そんな心配はド真ん中に的中し、本当に試合そっちのけで無駄話を聞き入ってしまう、トンデモ解説が始まるのでした…。
●自由無駄話ダイジェスト
新庄さんが始球式に登場する関係で、当初は清原さん1人の体制。その時点ではダルビッシュの緊急登板などについてごくごく普通の解説をしていた清原さん。しかし、もともとが破天荒な男だけに、キッカケさえ与えれば薄っぺらい常識の仮面など剥がれ落ちます。新庄さんが解説席に登場するや、そのトークはフジテレビのプロデューサーを戦慄させるレベルで自由落下を開始。適当に聞き流しているだけでも、与太話が矢継ぎ早に飛び出す始末。
清原:「何やコレ!」
(新庄さん登場に対する第一声。新庄さんの独特な髪型についての感想か)
新庄:「歯、白!」
(モニターに映る自分を見て)
清原:「もう泣きそうなんじゃないですか?気弱いですから。半泣きでしょ!」
(初回からピンチを迎えた巨人・内海の精神面に必要以上に踏み込む)
新庄:「へぇー」
(高橋信二が日ハムの4番であることを今日初めて知った場面など、最近の野球情報を聞くたびに随所で)
清原:「昨日、野村さんのボヤキを2時間聞いて寝てしまって、一番面白いところ見れなかったんですよ」
(今日は面白い解説をするぞという意気込みを示して)
新庄:「あ!取る取る取る、取りたい!」
(解説席の目の前にファウルボールが飛んできて一言)
新庄:「ワォ!速いじゃないですか!これでいいじゃないですか!普段はどれくらい投げるんですか?」
(ダルビッシュがスピードガンで149キロを記録したのを見て一言)
新庄:「高木さんコンニチハ!」
(4回まで試合が進んだところで、グラウンドレポートの高木豊氏に今更のご挨拶)
清原:「スコアブックつけれる?」
新庄:「全然わかんない(笑)」
二人:「ヘッヘッヘッヘッ(笑)」
(CM明け、マイクが入っているのを忘れて日常会話)
新庄:「ひちょりには誰も期待してないでしょ!」
(チャンスで登場した日ハム・森本に親愛なる個人攻撃)
清原:「市立尼崎高校出身ですか〜。どうりでヤンチャっぽい顔してる」
(日ハムの2番手・宮西について岸和田のヤンチャがシンパシーを感じる)
清原:「グフッ」「ゴホンゴホン」「カッ」「ぶっ」
(風邪引きなのか基本的にむせっぱなし)
←どうでもいいけど、オシャレさんは最近の野球全然見てないだろwwww
いや、別に見なくてもいいけどさwwwww
●あふれる巨人愛とあふれない巨人愛
巨人に行きたくて号泣した男と、そんな素振りは全然見せなかった男。巨人愛と言えば清原さん…と誰もが思う中、意外にも新庄さんから巨人愛が盛大にあふれ出し、逆に清原さんからはひどいコメントが。
新庄:「僕ねー、巨人ファンなんですよ。福岡は巨人しか映らないんで」
(劣勢の巨人に、追いついて欲しいという願いを込めて一言)
新庄:「(小笠原が)FA宣言したとき、中日行きって言われてたけど“やっぱ野球をやるなら巨人だろ”と僕が後押しした」
(小笠原の巨人移籍の裏話を告白)
新庄:「清原さん、彼はローボールヒッターなんですか?」
清原:「で…しょうかね?」
清原:「あんまり僕、ジャイアンツ戦見ないんで」
(巨人・亀井のバッティングについて解説を求められて一言)
●ガッツって何でガッツ?
今更こんなこと聞くのか、ということはよくあるもの。近い人間ほど本人には聞きづらいこともあるのでしょう。新庄さんは巨人・小笠原のガッツというあだ名について、何故か今日、試合中なのに、気になってしまったのです。
新庄:「ガッツって何でガッツって言うんですかね?」
三宅:「ガッツがある、というのが定説です。それ以外の説もありますが」
清原:「ガツガツしてるからガッツ(笑)」
(合コンで食事や女性に対してがっついていたことから「ガッツ君」というあだ名がついたという裏話を、清原にさりげなく暴露されて小笠原涙目)
●リスペクト合戦
お互いにその力量と存在感を認め合う2人。それだけに、試合中でも「清原さんの方がスゴイ」「新庄クンの方がスゴイ」と自分たちの全盛期を重ね合わせ、自慢せずにはいられなくなるご様子。
清原:「新庄さんは坂本選手知ってますか?」
新庄:「僕知らないっす」
清原:「ハッハッハッハッ」
新庄:「噂では後姿が僕に似てると」
清原:「新庄さんには及ばないですよ」
二人:「ヘッヘッヘッヘッ(笑)」
新庄:「彼は高校出てすぐ全試合出場したんですよね?」
新庄:「でも、清原さんは高校出てすぐ30本」
清原:「いやいや僕はあれがピークでした」
二人:「ヘッヘッヘッヘッ(笑)」
(巨人・坂本についての話がいつの間にか褒め殺し合戦に)
新庄:「清原さんはファーストの守備めちゃくちゃ上手かったですよ」
清原:「一応、ゴールデンボラブ…グラブも5回取ってますから」
新庄:「噛んだ噛んだ噛んだw」
新庄:「清原さん何回ですか?5回?僕は10回です!」
新庄:「だから(笑)?」
(日ハムの上手い内野守備を見て、何故か解説席が自慢大会)
●主審の森さん
この日の主審をつとめた森さん。清原さんは森さんに相当な思い入れがあるらしく、試合の途中から森さんトークを開始。最後の方は、実況の三宅アナが言葉をさえぎるほどの個人攻撃に発展する始末。
清原:「今日の主審の森さんってのはストライクゾーンちょっと広いんですよ。何回か僕も文句言ったんですよ」
(4回裏の日ハムの攻撃を見ながら、現役時代の恨み言)
清原:「こういうところが森審判なんですよ。僕もああいうことよくやられた」
(7回裏の日ハムの攻撃、外角ボール気味の球を主審にストライクとコールされた場面を見て、“今のはボールやろ〜”という気持ちを込めて一言)
清原:「ちょっと、ボール気味じゃないですか?」
清原:「森さんのストライクゾーンじゃないですか?」
三宅:「さっきもちゃんと(ストライクゾーンに)入ってましたから」
新庄:「こわいですよもう!」
清原:「(2球目がボールになって)同じとこじゃないですか今?」
三宅:「いや、わずかに外れてます。ちょっと外です」
清原:「(スローを見て)ほら!初球と同じじゃないですか?」
三宅:「ちょっと外です」
清原:「森主審の顔見てくださいよ〜」
清原:「(3球目を見て)これもボールでしょ!」
三宅:「高めギリギリいっぱいです」
清原:「いやこれボールですよw」
清原:「これ僕バッターだったら、絶対三振しますよ」
新庄:「もうキレてるでしょwww」
清原:「初球にボール気味のをストライク言われて、カーブもボール気味のをストライク言われて。もうフォアボールですよ」
清原:「僕だったらもう完全にキレてますね」
(8回裏、日ハム・金子の打席の判定に関して盛大にモンク)
←初球は清原さん的にはボールです!
森主審への個人的な恨みつらみが、よりにもよって日本シリーズの中継で爆発!
←2球目は清原さん的には「これがボールならさっきのもボールやろ」というコースへ!
「初球の判定を反省してる顔を見ろ」なんて解説初めて聞いたぞwww
←3球目のカーブも清原さん的にはボールで、自分が打者ならもうキレてる状況とのこと!
いちいちキレられたら、森さんも次回の判定で報復するんじゃねぇのwwww終わらない恨みの連鎖でwwww
←ちなみに清原さんは、こんな判定をされた打席では「打っても走らない」とのこと!
※晩年は、変化球を投げただけで「男らしくない」とキレた御仁です。
●最近の選手
しばらく野球界を離れていた2人。新庄さんなどは野球自体まるっきり見ていない様子でしたが、最近の若いモンには思うところがあるご様子。オチャラケた中にも真剣な提言などが垣間見えたのです。
新庄:「何で痛み止め打ったとか言いたがるんでしょうね?」
清原:「僕はトイレでコソッと座薬2つ入れてましたよ」
(痛いとか辛いとか言い訳が多い最近の選手に一言)
清原:「コメントに闘志を出して欲しいですね。短期決戦で相手を褒めてる場合じゃない」
(日ハム打線はスゴイ、とコメントして引っ込んだ巨人・内海に対して)
清原:「最近、規格外の選手が少ない。全員同じように見える」
(新庄さんが現役時代、投手として140キロ超の球速を計測したという規格外の思い出を振り返って一言)
●八百長ギリギリ
自由奔放な雑談は、普段絶対言わない野球の真髄に無駄に接近。レストランでのパセリ使い回しなどのように、「やってるんだろうけど言っちゃダメだろ」という領域まで口が豪快に滑り出します。
新庄:「清原さんゲッツーめっちゃ多かったでしょ?」
清原:「僕は、基本的にチームのためを思って、ゲッツーになるくらいなら三振してました。だから三振王なんですよ」
(走者一塁の状況で、ゲッツー回避のギリギリな方法をお披露目)
清原:「飛んでるなー」
清原:「またボール飛ぶようになってきてるよね?」
新庄:「そうっすねー」
清原:「こういうのありえないやろ」
新庄:「何すかねコレ」
清原:「ボールがまた飛ぶようになってきてる」
(亀井のシリーズ1号を見て、飛ぶボール使用疑惑を公開指摘)
新庄:「あ、清原さんの嫌いなピッチャーだ」
清原:「いや、あのね、札幌でお寿司屋さんで会ったんですよ」
清原:「僕、全部おごったんですね」
清原:「僕は彼のシュートがどうしても打てなくて」
清原:「シュートもう投げないでくれと。お寿司おごるから」
新庄:「ハッハッハッハッハッハッwwwww」
清原:「それでね、投げなくなったんですよ」
清原:「すごくイイやつなんです!」
清原:「彼は本当にナイスガイですよー!」
(日ハムの抑え武田久について思い出話を披露)
←こちらが寿司で買収され、清原さんにシュートを投げなくなった武田久さん!
コレはテレビで言っちゃダメだろwwwww
ギリギリっていうか、余裕でアウトじゃねぇかwww
●最後までこの調子
ついに試合は最終回。途中、実況の三宅アナが「何とかこの2人をコントロールしてくれと言われたがムリ」と愚痴るほど、フリーダムだった今回の解説席。ようやく試合も終わりを迎えますが、結局最後まで2人はこの調子だったのです。清原さんは現役当時ステロイドでもやっているかのような鋼の肉体を誇りましたが、今日の新庄さんは別種のクスリでもやっているかのような不思議なハイテンション。最終回には、とうとう清原さんにさえ呆れられる始末。
新庄:「彼はスポーツカー大好きなんですよ!」
清原:「あ、そう」
新庄:「スポーツカーがホント大好きで」
新庄:「空港についた途端にブォォォォウォン!」
清原:「新庄さん、最終回ですから。野球に集中しましょう」
(日ハムの抑え・武田久について余計な情報がブォォォォウォン)
ちなみに、試合後の2人の総括はというと…
新庄:「僕が日本一になったとき、初戦負けたあと全部勝ったじゃないですか。全然面白くなかったんですよ。交互に勝って第7戦までいって、最後延長戦になって欲しいです!」
清原:「ダルビッシュが勝ってくれたんで俄然盛り上がると思います。今日は1.3勝ぶんくらいの価値がありました」
新庄:「最初で最後の解説面白かったですwww」
清原:「なかなか噛み合ってた感じがするんですけど。歯の白さがw」
←最後に2人はハイタッチで中継を締めくくる!
何で解説の2人がハイタッチしてんだよwww
何も「やって」ないし、むしろ「やらかした」感じですよ!
あまりに面白い中継だったので、今日は僕も2本飲んじゃいました!
スポーツ中継において、実況・解説というのは一体何のためにあるのでしょうか。一般には、実況には競技進行の音声による説明が、解説には実体験に基づく選手心理・技術の分析が期待されるのでしょう。まぁ9割方そうなのでしょう。ただ、それだけでは説明がつかないことがあります。試合進行など別に実況がいなくても見ていればわかります。生観戦では当然実況などいないのですから、なくても困るもんじゃありません。また技術などの分析も、生観戦では当然ありません。逆に競技によっては、「テレビじゃわからないよ」「やっぱり現場で見なきゃ」「現場で見たほうがよくわかる」などと言う輩までいます。よくよく考えれば実況や解説などいらないのでは、そんな疑問がわいてくるのです。
しかし、僕はやはり実況や解説が欲しい。
選手のプロフィールやらは同時にネットで見ているので必要ありません。技術面の深淵なる解説も、正直こっちは晩酌で一杯ひっかけているので理解しちゃおりません。それでも実況や解説がないと落ち着かないのは何故か。それは、都会の孤独だと思うのです。一人で試合を見て、一人で歓喜し、一人で泣く。この行為の虚しさが、僕らに実況や解説を求めさせるのでは。真夜中に一人で観戦しているときも、ヘッドフォンから聞こえる「今のは惜しかった」「どうもピリッとしません」「ココが勝負どころです」などの声が、僕らの寂しさを和らげてくれる。そして、ちょっと詳しい兄ちゃんが色々な豆知識を披露してくれる。ネット中継で海外の試合を見ているときも、アラビア語とか意味不明な言語でも何か喋ってくれる方が落ち着くもの。「一人じゃない」というこの感覚こそが、実況・解説の最大の仕事だと思うのです。
だから、極端な話、何を喋ってもいいのです。選手の名前を間違えても、紹介した過去の記録が違っても、あまつさえ分析がインチキでもいいのです。解説なんかじゃなく、雑談や与太話でもいいのです。いや、むしろその方が実際に友人と会場に足を運んだような感覚で、ライブ感を味わえるかも。よくテレビの実況・解説の低レベル化を嘆く人がいますが、僕は低レベルでも一向気になりません。ただ、試合の盛り上がりに合わせて興奮し紅潮する、「仲間」を感じられればそれでいいのです。逆に、どれだけ立派な豆知識を披露しようが、試合の流れに身を委ね、ともに盛り上がろうという気持ちがない音声ならお断りです。そういう意味で、日本シリーズ第2戦で清原和博さんと新庄剛志さんのコンビが披露した3時間を超える雑談などは、立派に解説の役目を果たしていた…僕はそう思うのです。
ということで、生真面目な視聴者から抗議が殺到していそうな清原・新庄コンビのフリーダム解説について、1日にフジテレビが中継した「2009プロ野球日本シリーズ第2戦 北海道日本ハムVS巨人戦」からチェックしていきましょう。
◆第1戦の野村スコープとは真逆を向いた、居酒屋の無駄話だなwww
清原さんは怪物の名に恥じぬスケールで、昭和の大スターのような武勇伝を数々残してきたお方。一方、新庄さんも現役当時から宇宙人と評され、最近では香水を売り出したり絵画を描き始めたりと、相当なアレさを見せつける傑物。そんな2人が解説席に居並ぶとどうなるのか。当然マトモな会話になるはずもありません。よく言えば規格外、悪く言えば常識が通じない。公共の電波を使用しながら、「野球を見ているオッサン2人の自由な無駄話」が3時間半に渡って垂れ流されるという、トンデモない事態となってしまったのです。
その破天荒はまさに歴史的であり、僕も晩酌の缶チューハイを盛大にこぼしてしまったほど。これは是非ほかの解説者にも参考にしてもらいたい…そんな思いから、2人の自由な無駄話について、一部を記録しておきたいと思うのです。難しく構えすぎている解説者諸氏に、「これでいいのだ」「これでいいのだ」「ボンボンバカボンバカボンボン」と感じてもらえれば幸いです。
●仁義なき戦い
いきなり中継初っ端から画面に踊る「仁義なき戦い」の文字。広島が出ているわけでもないのに何故。原監督などめちゃくちゃ紳士的なのに何故。そんな疑問はスペシャル解説とスペシャルゲストの顔ぶれを見て、すぐさま合点がいきました。何とそこには、野球をやっていたという過去がなければ、ほとんどその筋のヤバイ人みたいなのが堂々居並んでいたのです…。
←中継冒頭からいきなり「仁義なき戦い」の煽り!
いや、どっちもスマートで紳士的な球団だろ…。広島VSロッテならまだ納得できなくもないが…。
←しかし、VTRを最後まで見てガッテンガッテン!
インテリヤクザとリアルヤクザ…もとい、北海道日本ハムの英雄・新庄剛志さんと、巨人で日本一も経験した清原和博さんが、ダブル解説で登場とのこと!
←じゃ、試合より解説席がメインの煽りじゃねぇかw
そんな心配はド真ん中に的中し、本当に試合そっちのけで無駄話を聞き入ってしまう、トンデモ解説が始まるのでした…。
●自由無駄話ダイジェスト
新庄さんが始球式に登場する関係で、当初は清原さん1人の体制。その時点ではダルビッシュの緊急登板などについてごくごく普通の解説をしていた清原さん。しかし、もともとが破天荒な男だけに、キッカケさえ与えれば薄っぺらい常識の仮面など剥がれ落ちます。新庄さんが解説席に登場するや、そのトークはフジテレビのプロデューサーを戦慄させるレベルで自由落下を開始。適当に聞き流しているだけでも、与太話が矢継ぎ早に飛び出す始末。
清原:「何やコレ!」
(新庄さん登場に対する第一声。新庄さんの独特な髪型についての感想か)
新庄:「歯、白!」
(モニターに映る自分を見て)
清原:「もう泣きそうなんじゃないですか?気弱いですから。半泣きでしょ!」
(初回からピンチを迎えた巨人・内海の精神面に必要以上に踏み込む)
新庄:「へぇー」
(高橋信二が日ハムの4番であることを今日初めて知った場面など、最近の野球情報を聞くたびに随所で)
清原:「昨日、野村さんのボヤキを2時間聞いて寝てしまって、一番面白いところ見れなかったんですよ」
(今日は面白い解説をするぞという意気込みを示して)
新庄:「あ!取る取る取る、取りたい!」
(解説席の目の前にファウルボールが飛んできて一言)
新庄:「ワォ!速いじゃないですか!これでいいじゃないですか!普段はどれくらい投げるんですか?」
(ダルビッシュがスピードガンで149キロを記録したのを見て一言)
新庄:「高木さんコンニチハ!」
(4回まで試合が進んだところで、グラウンドレポートの高木豊氏に今更のご挨拶)
清原:「スコアブックつけれる?」
新庄:「全然わかんない(笑)」
二人:「ヘッヘッヘッヘッ(笑)」
(CM明け、マイクが入っているのを忘れて日常会話)
新庄:「ひちょりには誰も期待してないでしょ!」
(チャンスで登場した日ハム・森本に親愛なる個人攻撃)
清原:「市立尼崎高校出身ですか〜。どうりでヤンチャっぽい顔してる」
(日ハムの2番手・宮西について岸和田のヤンチャがシンパシーを感じる)
清原:「グフッ」「ゴホンゴホン」「カッ」「ぶっ」
(風邪引きなのか基本的にむせっぱなし)
←どうでもいいけど、オシャレさんは最近の野球全然見てないだろwwww
いや、別に見なくてもいいけどさwwwww
●あふれる巨人愛とあふれない巨人愛
巨人に行きたくて号泣した男と、そんな素振りは全然見せなかった男。巨人愛と言えば清原さん…と誰もが思う中、意外にも新庄さんから巨人愛が盛大にあふれ出し、逆に清原さんからはひどいコメントが。
新庄:「僕ねー、巨人ファンなんですよ。福岡は巨人しか映らないんで」
(劣勢の巨人に、追いついて欲しいという願いを込めて一言)
新庄:「(小笠原が)FA宣言したとき、中日行きって言われてたけど“やっぱ野球をやるなら巨人だろ”と僕が後押しした」
(小笠原の巨人移籍の裏話を告白)
新庄:「清原さん、彼はローボールヒッターなんですか?」
清原:「で…しょうかね?」
清原:「あんまり僕、ジャイアンツ戦見ないんで」
(巨人・亀井のバッティングについて解説を求められて一言)
●ガッツって何でガッツ?
今更こんなこと聞くのか、ということはよくあるもの。近い人間ほど本人には聞きづらいこともあるのでしょう。新庄さんは巨人・小笠原のガッツというあだ名について、何故か今日、試合中なのに、気になってしまったのです。
新庄:「ガッツって何でガッツって言うんですかね?」
三宅:「ガッツがある、というのが定説です。それ以外の説もありますが」
清原:「ガツガツしてるからガッツ(笑)」
(合コンで食事や女性に対してがっついていたことから「ガッツ君」というあだ名がついたという裏話を、清原にさりげなく暴露されて小笠原涙目)
●リスペクト合戦
お互いにその力量と存在感を認め合う2人。それだけに、試合中でも「清原さんの方がスゴイ」「新庄クンの方がスゴイ」と自分たちの全盛期を重ね合わせ、自慢せずにはいられなくなるご様子。
清原:「新庄さんは坂本選手知ってますか?」
新庄:「僕知らないっす」
清原:「ハッハッハッハッ」
新庄:「噂では後姿が僕に似てると」
清原:「新庄さんには及ばないですよ」
二人:「ヘッヘッヘッヘッ(笑)」
新庄:「彼は高校出てすぐ全試合出場したんですよね?」
新庄:「でも、清原さんは高校出てすぐ30本」
清原:「いやいや僕はあれがピークでした」
二人:「ヘッヘッヘッヘッ(笑)」
(巨人・坂本についての話がいつの間にか褒め殺し合戦に)
新庄:「清原さんはファーストの守備めちゃくちゃ上手かったですよ」
清原:「一応、ゴールデンボラブ…グラブも5回取ってますから」
新庄:「噛んだ噛んだ噛んだw」
新庄:「清原さん何回ですか?5回?僕は10回です!」
新庄:「だから(笑)?」
(日ハムの上手い内野守備を見て、何故か解説席が自慢大会)
●主審の森さん
この日の主審をつとめた森さん。清原さんは森さんに相当な思い入れがあるらしく、試合の途中から森さんトークを開始。最後の方は、実況の三宅アナが言葉をさえぎるほどの個人攻撃に発展する始末。
清原:「今日の主審の森さんってのはストライクゾーンちょっと広いんですよ。何回か僕も文句言ったんですよ」
(4回裏の日ハムの攻撃を見ながら、現役時代の恨み言)
清原:「こういうところが森審判なんですよ。僕もああいうことよくやられた」
(7回裏の日ハムの攻撃、外角ボール気味の球を主審にストライクとコールされた場面を見て、“今のはボールやろ〜”という気持ちを込めて一言)
清原:「ちょっと、ボール気味じゃないですか?」
清原:「森さんのストライクゾーンじゃないですか?」
三宅:「さっきもちゃんと(ストライクゾーンに)入ってましたから」
新庄:「こわいですよもう!」
清原:「(2球目がボールになって)同じとこじゃないですか今?」
三宅:「いや、わずかに外れてます。ちょっと外です」
清原:「(スローを見て)ほら!初球と同じじゃないですか?」
三宅:「ちょっと外です」
清原:「森主審の顔見てくださいよ〜」
清原:「(3球目を見て)これもボールでしょ!」
三宅:「高めギリギリいっぱいです」
清原:「いやこれボールですよw」
清原:「これ僕バッターだったら、絶対三振しますよ」
新庄:「もうキレてるでしょwww」
清原:「初球にボール気味のをストライク言われて、カーブもボール気味のをストライク言われて。もうフォアボールですよ」
清原:「僕だったらもう完全にキレてますね」
(8回裏、日ハム・金子の打席の判定に関して盛大にモンク)
←初球は清原さん的にはボールです!
森主審への個人的な恨みつらみが、よりにもよって日本シリーズの中継で爆発!
←2球目は清原さん的には「これがボールならさっきのもボールやろ」というコースへ!
「初球の判定を反省してる顔を見ろ」なんて解説初めて聞いたぞwww
←3球目のカーブも清原さん的にはボールで、自分が打者ならもうキレてる状況とのこと!
いちいちキレられたら、森さんも次回の判定で報復するんじゃねぇのwwww終わらない恨みの連鎖でwwww
←ちなみに清原さんは、こんな判定をされた打席では「打っても走らない」とのこと!
※晩年は、変化球を投げただけで「男らしくない」とキレた御仁です。
●最近の選手
しばらく野球界を離れていた2人。新庄さんなどは野球自体まるっきり見ていない様子でしたが、最近の若いモンには思うところがあるご様子。オチャラケた中にも真剣な提言などが垣間見えたのです。
新庄:「何で痛み止め打ったとか言いたがるんでしょうね?」
清原:「僕はトイレでコソッと座薬2つ入れてましたよ」
(痛いとか辛いとか言い訳が多い最近の選手に一言)
清原:「コメントに闘志を出して欲しいですね。短期決戦で相手を褒めてる場合じゃない」
(日ハム打線はスゴイ、とコメントして引っ込んだ巨人・内海に対して)
清原:「最近、規格外の選手が少ない。全員同じように見える」
(新庄さんが現役時代、投手として140キロ超の球速を計測したという規格外の思い出を振り返って一言)
●八百長ギリギリ
自由奔放な雑談は、普段絶対言わない野球の真髄に無駄に接近。レストランでのパセリ使い回しなどのように、「やってるんだろうけど言っちゃダメだろ」という領域まで口が豪快に滑り出します。
新庄:「清原さんゲッツーめっちゃ多かったでしょ?」
清原:「僕は、基本的にチームのためを思って、ゲッツーになるくらいなら三振してました。だから三振王なんですよ」
(走者一塁の状況で、ゲッツー回避のギリギリな方法をお披露目)
清原:「飛んでるなー」
清原:「またボール飛ぶようになってきてるよね?」
新庄:「そうっすねー」
清原:「こういうのありえないやろ」
新庄:「何すかねコレ」
清原:「ボールがまた飛ぶようになってきてる」
(亀井のシリーズ1号を見て、飛ぶボール使用疑惑を公開指摘)
新庄:「あ、清原さんの嫌いなピッチャーだ」
清原:「いや、あのね、札幌でお寿司屋さんで会ったんですよ」
清原:「僕、全部おごったんですね」
清原:「僕は彼のシュートがどうしても打てなくて」
清原:「シュートもう投げないでくれと。お寿司おごるから」
新庄:「ハッハッハッハッハッハッwwwww」
清原:「それでね、投げなくなったんですよ」
清原:「すごくイイやつなんです!」
清原:「彼は本当にナイスガイですよー!」
(日ハムの抑え武田久について思い出話を披露)
←こちらが寿司で買収され、清原さんにシュートを投げなくなった武田久さん!
コレはテレビで言っちゃダメだろwwwww
ギリギリっていうか、余裕でアウトじゃねぇかwww
●最後までこの調子
ついに試合は最終回。途中、実況の三宅アナが「何とかこの2人をコントロールしてくれと言われたがムリ」と愚痴るほど、フリーダムだった今回の解説席。ようやく試合も終わりを迎えますが、結局最後まで2人はこの調子だったのです。清原さんは現役当時ステロイドでもやっているかのような鋼の肉体を誇りましたが、今日の新庄さんは別種のクスリでもやっているかのような不思議なハイテンション。最終回には、とうとう清原さんにさえ呆れられる始末。
新庄:「彼はスポーツカー大好きなんですよ!」
清原:「あ、そう」
新庄:「スポーツカーがホント大好きで」
新庄:「空港についた途端にブォォォォウォン!」
清原:「新庄さん、最終回ですから。野球に集中しましょう」
(日ハムの抑え・武田久について余計な情報がブォォォォウォン)
ちなみに、試合後の2人の総括はというと…
新庄:「僕が日本一になったとき、初戦負けたあと全部勝ったじゃないですか。全然面白くなかったんですよ。交互に勝って第7戦までいって、最後延長戦になって欲しいです!」
清原:「ダルビッシュが勝ってくれたんで俄然盛り上がると思います。今日は1.3勝ぶんくらいの価値がありました」
新庄:「最初で最後の解説面白かったですwww」
清原:「なかなか噛み合ってた感じがするんですけど。歯の白さがw」
←最後に2人はハイタッチで中継を締めくくる!
何で解説の2人がハイタッチしてんだよwww
何も「やって」ないし、むしろ「やらかした」感じですよ!
あまりに面白い中継だったので、今日は僕も2本飲んじゃいました!