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どのへんまでOKなのか、もうわかりません!

サッカーの大原則にあるのは手を使わないという決まり。日本人などは本当に律儀にその決まりを守り、少し前までは競り合いや相手を止めるときにすら手を使わなかったほど。「上手に手を使うのが名選手だ!」なんてアドバイスをよく目にしたものです。

大原則は大原則として、ここぞという場面で手を使うのは、勝利への重要なテクニック。今大会監督としてアルゼンチン代表を率いるマラドーナ氏の「神の手」のように、自らの手で勝負を決められてこそ一流。もちろん建前上は手を使うと一発レッドカードまでありうる反則なわけですが、バレないように、気づかぬようにやってしまえばいいのです。手品師だって、何もしていないフリで手を使って色々やっているのです。バレなければ問題はありません。

日本代表にもそのあたりをしっかりと練習に取り入れてもらいたいもの。直前の強化試合では、FKの壁に入った本田△が壁の上を越えていくボールをバレーボールばりのブロックで叩き落した事例がありました。あれでは反則になるのが当たり前。1995年にウェンブリーで行われたイングランド戦で、柱谷哲二さんが相手のシュートを両手ブロックで堂々と止めにいったときから、まるで進歩がないではありませんか。日本のハンド技術はこの15年停滞したままだ、世界との距離はますます開いている、という厳しい現実を直視せざるをえません。

今からでも遅くはありません。上手に手を使い、決勝点を奪うべき。先日のオランダ戦のロスタイム、岡崎が左足ではなく左手でのシュートを選択していれば…少なくとも枠を外すことはなかったでしょう。幸いにもサッカーはビデオ判定などという無粋なものを導入していません。カメラにどれだけハッキリ映ろうが、審判から見えなければOK。手品師だって後ろから見たらタネ見えまくりなんですから、カメラに映るのは気にせず、審判だけをしっかりと欺いていきましょう。

ということで、ワールドカップでの事例から、どこまでのハンドがOKなのかを確認していきたいと思います。



◆選手の格、チームの人気によって、どこまでOKかは若干変わります!

やはり、手を使ったゴールとしてもっとも評価されるべきは、1986年メキシコ大会の「神の手」ゴール。審判からは極めて判別しにくい手の使い方。その直後に5人抜きをやってのけ、「どうせ負けだよね」とイングランド側を納得させた実力。試合後に「神の手」と言い放ったセンス。ここまでやれば、たとえハンドに気づいてもスルーしてもらえるであろう…そんな完璧なハンド技術です。マラドーナ先生を手本に、世界の選手たちはどのようにハンド技術にみがきをかけたのでしょうか。

まず悪い事例から。今大会ハンド技術のなさを露呈しているのはセルビア代表。セルビアは審判から自分がどう見えているかをまるで意識せず、手を使いまくり。ガーナ戦では相手選手の腕を抱え込んで引きずり倒し退場するわ、バンザイアタックを敢行して決勝点となるPKを与えるわ、ハンド技術の乏しさを露呈。ドイツ戦でも失点にこそなりませんでしたが、バンザイアタックでPKを献上する場面がありました。

↓ガーナ戦で見せたセルビアの未熟なハンド技術!



↓ドイツ戦でも、またも未熟なハンド技術を露呈!


セルビア:「ガーナ戦であらたな課題が見つかった」
セルビア:「次の試合までには修正したい」
セルビア:「ドイツ戦であらたな課題が見つかった」
セルビア:「次の試合までには修正したい」

世界共通で「課題見つける→修正すると誓う→修正しない」なんだなw


そして、悪い事例をもうひとつ。こちらはガーナVSオーストラリア戦でのこと。オーストラリアのキューウェルは、ペナルティエリア内で相手のシュートをブロックする際、「ついうっかり」のフリで手を使うというオトボケ系ハンド技術を披露します。しかし、そのあまりにもミエミエのトボケ顔と、「何となくオーストラリアむかつく!」的な世間の空気により、PK献上&一発レッドという最悪の結果になるのです。今イケるのか、イケないのか、そのあたりの空気を読む技術もハンド師には必要なのです。

↓キューウェルのオトボケ顔は主審には通じず!


本人的には無意識に手に当たったという主張なのでしょうが、一瞬顔に「やってやった」という表情が浮かんでいます。これでは、厳しく判定してくれと言っているも同然。ただでさえ調子の悪いアフリカ各国のことを考えれば、ガーナにはチョコレート並みに甘い判定が出ることは予測可能なはず。この空気の中で披露するには、あまりに軽率なボケでした。



もちろん、いい事例も今大会では披露されています。ひとつはアメリカVSスロベニア戦でのこと。0-2とリードされた状況からアメリカが同点に追いつき、さらに勝ち越しを狙った場面。「もういいじゃいないですか」「カンベンしてください」「こっちにも立場があるんです」とばかりに、スロベニアDF陣はハンド技術を披露。エリア内でアメリカ選手をマンツーマンで熱く抱きしめたところ、審判もその熱意にほだされることに。どこがどうなったかわかりませんが、アメリカ側のファウルを宣言し、逆転をカンベンしてくれることになったのです。

↓熱く迫れば、迫られた側がファウルになる場合もあります!


少女から「抱いて!」と迫られたのに、実際抱いてやると逮捕されるのはオッサンだったりするのと同じような構造です!


そして、華麗なハンド技術をゴールに結びつけることができれば超一流。世界のサッカー王国・ブラジルは、もちろんハンド技術に関しても王者でした。21日に行われたブラジルVSコートジボワール戦では、ブラジルのルイス・ファビアーノが美しいハンド技術を披露。途中にお手玉を挟みつつ、浮き玉で相手DFを抜き去るというスーパーゴール。これにはコートジボワールも「この手があったか」「手の打ちようがない」「お手上げだ」と素直にシャッポを脱ぐしかありませんでした。

↓ルイス・ファビアーノの華麗なるダブルハンドゴール!


マラドーナ:「やるじゃないか」
アンリ:「私も負けていられないな」
相手DF:「ズルイス・ファビアーノ…」
世界のファン:「両手、両足使ったファインゴールだね…うん…」

こんなのアリなら、何でもアリだなwwwwwwwwwww



このように、美しいハンド技術は審判の判定も含め、素直に讃える対象となるのです。日本代表にもこのあたりを大いに取り入れてもらいたいもの。ちなみに、スーパーゴールを決めた当人は、まったく悪びれたようすもなくコメントを発しており…

↓ズルイス・ファビアーノ:「私の聖なる手が助けたゴールだ」
ブラジルのルイスファビアーノが先制ゴールを含む2得点。しかし後半5分に決めた2点目は、トラップの中で2度ほど手を使ったように見えた。「あれはわたしの聖なる手が助けてくれたゴール」。試合後のインタビューで苦笑いを浮かべながら本人も「ハンド」を認めていた。

「私の聖なる手が助けたゴール」/G組 - 2010年南アフリカW杯ニュース : nikkansports.com

※清らかな手であれば、ボールに触ってもOKです。



日本代表も神社でお清めでもして、両手を「聖なる」状態にしておくように!