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戦犯ではない、駒野だ!

モノは言いようなんて言いますが、同じ表現でも人々の想いによって微妙に受け止め方は変わるもの。たとえば「決定力不足」という言葉。これはワールドカップくらいしか見ない一般のおじさん・おばさんにはすんなり受け入れられるのでしょうが、サッカーを好きなコア層ほど否定する傾向がある言葉のように思います。

サッカーファン曰く「決定的場面で外すのはサッカーの常である」と。1試合に一度や二度は得点できそうな場面でシュートを外すのは当たり前であり、そもそもサッカーのシュートはそんなに決まるものではない。C.ロナウドやメッシでさえ驚くようなシュートミスはある。しかるに、決定力不足ではなく、シュートの本数が足りないのである。攻撃の回数が足りないのである。…とまぁそんな主張になるわけです。

しかし、僕はあえて「決定力不足」という言葉を支持したい。

ヒーローというのは確率を無視した存在。人生の中の1回しかないチャンスに、最高の輝きを放つのがヒーローです。もちろんそこに至る過程はあるわけです。五輪という舞台で金メダルを獲り世界記録を出す男は、その日その時を見据えて何年もの過酷な修行を積み、精神を研ぎ澄まし、その一瞬に自分の持てるすべてを最高に高めてくるのです。「1回」に備えた生き方というものがあるのです。「俺が金メダルを獲れないのは、五輪に出る回数が足りないからだ!」なんてチャンチャラおかしな言い訳ですよね。

そんな「ヒーローになり損ねた」瞬間に立ち会ったガッカリ感こそ、「決定力不足」という言葉が示す感情の本質。スーパーゴールを決めろなんて誰も期待しちゃいません。ただ、目の前に転がってきた千載一遇のチャンスを、いつもどおりやればつかめるチャンスを逃がしたことを、「確率の問題だよドンマイ!」とはスルーできないもの。「何か足りないんだよなコイツ…」と人々が思うからこそ、「決定力不足」という言葉が広く使われることになったと思うのです。

昨年の新語・流行語特別賞を受賞した「持ってる」。これはまさに「決定力不足」の対になる言葉。正体はわかりませんが、斎藤佑樹クンは何かを持っていて、千載一遇のチャンスでシュートを外す選手は何かを持っていないのです。斉藤佑樹クンはたくさんのチャンスをもらったからではなく、1回のチャンスに輝きを放ったからこそあの人気と知名度があるのです。ここ一番で外す選手のみなさんも、「決定力」を持たない自分から目を逸らさず、早く「持ってる男」になれるよう頑張ってもらいたいものですね。

ということで、「決定力不足」という言葉について語ったこの勢いで、「戦犯」に変わる新たな言葉「駒野」について考えるべく、高校サッカー準決勝「立正大淞南VS滝川第二」の一戦をチェックしていきましょう。



◆「戦犯」じゃないんだよ!だって、責める気はサラサラないんだもん!

互いに惜しいチャンスを逃す譲り合いとなったこの一戦。滝川第二がポスト直撃のシュートを放ったかと思えば、立正大淞南は自慢のトリックプレーなどをゴールに結びつけられず。「まぁ高校生だしね」というほのぼのした空気で、スタンドもお茶の間も温かく彼らの青春を見守っていたのです。

そんな中で、立正大淞南が試合終了直前につかんだビッグチャンス。今大会7ゴールで得点ランクのトップに立つ立正大淞南・加藤クンが裏へ抜け出し、GKと1対1の場面。加藤クンはスピードに乗ったドリブルでGKもかわし、無人のゴールへ決勝点を流し込むだけとなったのです。なったのですが…

↓加藤クン青春の痛恨!無人のゴールに流し込めず!


駒野:「枠に入れるだけだろコレ…」
友一:「GKもいないし…PKより簡単じゃないか…」
パラメヒコマン:「LOVE=フットボール!」


決めていれば確実に勝ったであろうこの場面。しかし、誰が加藤クンを責めることができましょう。彼の得点がなければここまで勝ち上がることは不可能だったはず。断じて「戦犯」などではないのです。

「責める気はサラサラないし、トータルではお前のチカラのおかげで今があることもわかっている。ただ、この場面は100%お前の責任だよな。そこだけはハッキリさせておきたい。どうしてこうなっちゃったの?いや、責めてるわけじゃないんだけどさ」という複雑な感情を表現するには、「戦犯」という言葉の響きはあまりに不適切。犯人扱いしたいわけじゃないんですから。そこで僕は、この感情に「駒野」という名前をつけることにしたのです。「今日の戦犯」では殺伐とするところも、「今日の駒野」ならほっこりするはずですから…。

そんな駒野の登場で試合は決着つかずPK戦へ。すると今度は両チームが駒野獲得を狙って奮闘。互いに駒野を奪い合う大激戦となったのです。淞南1人目はいきなりポスト直撃で駒野に迫ると(ここはGKが先に動いたためやり直しとなり駒野を逃す)、駒野にもっとも近い淞南・加藤クンはPKを決め駒野を逃す展開。淞南4人目が枠外へシュートをふかし駒野を手中におさめますが、負けじと滝川第二5人目が止められ駒野の行方は混沌。さらに7人目は互いに外し合うというがっぷり四つの駒野争い。両者駒野を一歩も譲りません。

↓で、壮絶なPK戦の末、淞南の9人目が外して試合終了!


※ただし、放送時間の関係で日テレは最終的駒野を映さなかったため、雰囲気だけお楽しみください。


まさかの展開、まさかの駒野映らず。外したあとの涙、肩を抱くチームメートの友情、場内からの温かい拍手。そんな駒野的名場面が一切中継されることなく、「外した」という結果だけが残った。このような中継をした日テレには本当にガッカリ。2007年のラグビーワールドカップでも試合終了間際の「日本の起死回生のトライ」を、中継の都合でカットするという異次元中継をした実績のある日テレ。あのときと同じ鈴木健アナの美声は、決着がよくわからない視聴者を置き去りに「敗れた立正大淞南もグッドルーザーです!」というお褒めの言葉を高らかに響かせたのでした…。

↓2007年ラグビーワールドカップで「日本ラストプレーでのトライ」をカットした日テレ中継動画



改めてあのときの「ポカーン」が甦るわwwww

民放だからとかNHKだからとかの問題じゃないだろコレはwww



誰かわかりませんが「今日の駒野」の人、この思い出は青春の宝物ですよ!