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2025年03月15日08:00
大谷さんを正しく撮影して正しく配信しましょう!
いよいよ始まりました大谷翔平さん擁するロサンゼルス・ドジャースがやって来るMLB東京シリーズが。15日のドジャースVS巨人を皮切りに(※カブスVS阪神はまぁさておき)、ドジャースVS阪神、そしてMLB開幕戦カブスVSドジャース戦とつづき、東京がドジャーブルーに染まろうとしています。僕も自力で獲得したドジャチケを握り締めて、早速本日のドジャースVS巨人戦より観覧にうかがおうと思っております。
その際、ひとつ気をつけることがあります。この試合は日本野球機構も主催の一角に入っており、日本のプロ野球の試合と同様に「試合観戦契約約款」が適用されます(※転売ウェルカムのMLBの試合でも不正転売禁止となるのは日本側の建付けによる)。となると、この試合には昨今話題となっている、今季から一気にグッと厳しくなった「写真・動画等の撮影及び配信・送信規程」が適用されるということです。
つまり、大谷さんの自由配信は禁止なのです。
一般の行楽客はそんな話知らないし「は?」って感じだとは思いますが。
僕も球場で大谷さんの写真を撮影したり、SNSにアップしたりできたらいいなと思っておりますので、そろそろこの規程を読まねばならぬ、そんなことを思い、勉強も兼ねて自分なりの理解をまとめておこうと思います。はたして何ができて、何ができないのか、大谷さんの豪快なフルスイングをYouTubeにアップしたりしてもいいものなのか、早速規程を学んでいきましょう。
↓規程の条文とNPBによる解説はコチラです!
↓日本野球機構のサイトから便利な早見表を引用させていただきます!
まず大前提として、写真や動画の撮影そのものが禁止されているわけではありません。もちろん「立ち入り禁止の区域で何かするな」ですとか「三脚のような大型機材を使うな」ですとか「フラッシュを使用するな」ですとか「監督・コーチ・選手等に迷惑を掛けるな」ですとか撮影手法としてNGなものはありますし、「身体の一部を拡大または強調して撮影するな」といった撮影内容としてNGのものもありますが、一般的な撮影行為自体についてNGとした規程ではありません。なので、カメラを構えているというだけで正義の鉄槌をくだすのは間違いです。ご自身で撮影される際も「私は悪なのかしら…」と怯える必要はありません。普通に撮るのは変わらずOKです。
今回特に厳しくなったのは、それを不特定多数に向けて配信・送信する部分です。要するにXに投稿するとかYouTubeにアップするとかそういう行為のことです。こちらについて、まず前段として「主催者が承認した場合」や「家族、友人、取引先その他これらに類する特定の者に向けた配信・送信であって、かつ、業として行なわれず、主催者が有する権利及び法益を侵害しないと認められる場合」はこの限りではないと禁止行為から除外されていますので、家族や友だちにメールやLINEで送るのも問題ありません。「メンバー5000人のLINEグループです、全員友だちです」が通るかどうかはグレーですが、数名の家族や友人相手に送ることについて「私は悪なのかしら…」と怯える必要はありません。
要は、僕のようにSNSやブログで「見たよ!」なんてやっている輩が気をつけなければいけない規程ということです。そうしたXとかYouTubeとかインスタグラムとかで配信・送信しようとする人は、第3条の3項、下記の禁止行為に該当しないよう気をつけなければいけないようです。
何人も、以下の写真・動画等を配信・送信してはならない。(1)前二項で禁ずる行為によって取得された動画・音声・画像・試合データ(2)ボールインプレイ中のプレーヤーを撮影した写真・動画等(3)ボールインプレイ中のプレーヤー以外を撮影した動画のうち、140秒を超えるもの(4)試合中に配信・送信するもの(ライブ動画及びライブ音声並びにリアルタイムでの試合データの配信・送信を含む)(5)明らかに営利を目的とするもの(以下、ほかの条項から抜粋した補足)※「写真・動画等」とは、写真、動画、画像、音声及び本条第6号に定める試合データをいう。※「試合中」とは、試合前の公式練習開始から試合後のヒーローインタビュー終了後までをいう。また、「ボールインプレイ」とは、公認野球規則で定める定義に従い、球審による“プレイ”宣告後から、規定によってボールデッドとなるか、または審判員が“タイム”を宣告して試合を停止するまでをいう。※「プレーヤー」とは、投手、捕手を含む野手と打者及び走者のすべてをいう。※「試合データ」とは、投手の1球ごとの投球のコース・球種・球速に関する情報及び打者の1球ごとの結果に関する情報、打席ごとの打撃結果に関する情報、得点に関する情報等をいう。
https://npb.jp/npb/satsuei_haisin_kitei.pdf
第3条3項(4)によって、試合中に配信・送信するものはNGとされていますので、まず「練習開始〜ヒロイン終了」までの間は写真・動画・試合データ等は送信できないということです。「球場に来たよ!」と東京ドームの一般通行可能な敷地内でドームを背景に撮影した記念写真を試合中に投稿することとか、「この牛串が美味い!」と売店でのフード画像を投稿することまでもダメとは思いたくないのですが、この条文を杓子定規に読む限りは、主催者の管理が及ぶ球場敷地内で撮影した写真・動画を試合中にアップするのが問題ないと確実に読み取るのは難しいので、「来たよ!」「食べたよ!」は画像・動画ナシでやっておくほうがよさそうです。(※公式練習は試合の3〜4時間前に始まるので、通常の感覚での球場入り時間はすでに試合中扱いです)
そして、配信・送信が禁じられているものには「試合データ」も含まれますので、試合中に「大谷ホームラン!」とか「ドジャース40点追加!」とか「投手大谷初球ストライク!169キロ!」とかXで短文を投稿するのもNGと読み取らざるを得ません。家でテレビ見ながら言うぶんには「試合観戦契約約款」の枠外なので関係ありませんが、現地で見ている人は黙ってなさいとそういうことです。まぁ2分くらい遅れてやってくるDAZNの映像とか見ている人にとっては、現地客の投稿がネタバレになるって言われたらそうなのかなと思います。これはいかにもやりがちなので気をつけないといけないですね。試合中に熱い気持ちを投稿するなら試合データに含まれない「大谷さんデカい!」とか「歩いて動いている!」とか「すごい盛り上がりです!」みたいな試合展開以外の話にしておくのがよいでしょう。まぁ、「オオタニサーーーーーン!」とか「おおたにさぁん……」とか投稿すれば打ったんだか打たなかったんだかはわかりそうな気もしますが。
そして第3条3項(5)の意味するところは、「明らかに」があるところからして写真・動画そのものの販売など直接的な商売としてやる行為を指すものだろうと思います。「野球YouTuberは全員営利目的だろ!」「収益が上がらない試合は一切見ないヤツとかいるもんな!」「ゲーム実況者なのに『どのゲームも俺は仕事です』って言っちゃう的な感じのヤツ!」と指摘する声もあるかもしれませんが、今はどのSNSも収益化ありきといった環境でもあり、別にそれらの映像を見ることで視聴者に支払いが発生するわけではないですので、そうした配信文化自体を禁じようという意図ではないものと受け止めました。販売などしない限りにおいては、気にせずでいこうと思います。
そして第3条3項(2)がなかなか厳しいですが、「ボールインプレイ」の間のプレーヤーの写真・動画はとにかくダメです。試合を終えたあとの配信・送信であってもダメです。この時点で、大谷翔平さんが試合中に見せる豪快なフルスイングとか痛烈な打球とか豪快な投球をXで投稿するみたいなことは不可能となります。撮影することはできますし、家族・友人に見せびらかすことはできますが、ネットに投稿するのはNGです。
ただしこの規程は、ボールインプレイ中のものはNGという内容ですので、逆に言えば「ボールデッド、タイムの間のプレーヤーを撮影した写真・動画」を試合後に投稿することは禁止行為に含まれないことになります。ボールデッドの時間の代表的なものには、スタンドにボールが飛び込んだあと…つまりホームランのあとが該当しますので、「打ったー!」「入ったー!」のあとの「大谷ガッツポーズ!」の写真・動画は試合後に投稿することができるということです。ここは「ボールデッドとは?」を深く理解することが必要になりそうです。
そして、第3条3項(2)とセットとなる第3条3項(3)では、「ボールインプレイ中のプレーヤー以外を撮影した動画のうち、140秒を超えるもの」はNGとしていますので、これも逆に言えば「『ボールインプレイ中のプレーヤー』ではないものを撮影した写真や140秒以内の動画」は試合後に投稿してOKということです。「ボールデッド中の選手の様子」や「プレー中にベンチでイライラする監督&コーチ(※ベンチプレーヤーは入れてOK)」とか「大谷さんの応援歌を大合唱するスタンドの応援団」とか「おかしなストライクのコールをする球審(※打者や捕手は入らないように注意する)」とか「スコアボードの球速表示とどよめき」とか「有名タレントの始球式(※肖像権によるNGは別口であるかもしれないが)」などを試合後に投稿することはできるということです。ただし、いずれも140秒以内という制限はつきますので、柳沢慎吾さんの始球式とかを投稿するのは難しそうですね。
↓柳沢慎吾さんの始球式は公式がフル尺でどこかにアップするでしょう!
7分とかあると撮るのも大変なので、「ウー」のとこだけにしますかね!
柳沢慎吾さん以外なら140秒あればおさまると思います!
で、勉強が必要な「ボールデッド」について。これは公認野球規則をしっかり読み込まないとすべてを把握するのは困難ですが、大まかに言えば「試合が止まっているとき」です。隙があれば走者が進塁できそうなタイミングはボールデッドではないということですので、ボールが止まってみんながプレーを止めているとき、これがひとつの理解となります。ごく一部の例ではありますが、代表的でよくありそうなボールデッドの時間としては下記のようなものがあります。
●審判が「タイム」をかけたとき
●投球が打者に触れたとき(※死球になるかならないかは関係なく触れたらボールデッド)
●申告敬遠のとき(※通常の四球はボールインプレイ)
●ボールがプレイングフィールドの外に出た場合(※スタンドやベンチにボールが入るなど/ボールを追った選手がベンチに飛び込んで捕ったとかもボールデッド)
●投手がボークをしたとき
●ファウルゾーンにボールが落ちたとき(※自打球もこれに該当するのでボールデッド/ファウルゾーンで捕球した場合はボールインプレイ)
●何らかの妨害があったとき(※ケースバイケースなので要確認)
そして、このあと再びボールインプレイに戻るのは「投手がボールを持って投手板に位置して球審がプレイを宣告した」タイミングです。そこまでの間だけでも十分に大谷さんの写真や動画を投稿できそうな気はしますよね。申告敬遠でゆったりと一塁に向かう大谷さんとか、痛烈なファウルで球場をどよめかせる大谷さんとか、ホームランを放ってダイヤモンドを周回する大谷さんとか、決定的なプレー場面ではありませんが「見たよ」と言うには十分でしょう。
これまでが「野球場と国技館はフリーフォトスポット」「さすが戦争やってる頃からプロでやってるだけのことはある」「何なら試合中にスマホで全編試合映像を垂れ流しても止められないぞ」みたいな空気感だったので、残念に思う気持ちは理解できますが、ある程度の制限は致し方ないだろうと思います。これまでが自由だったぶん揺り戻しで厳しめになっている点も、シーズンを重ねるなかで皆が納得できるラインに落ち着くのではないかという期待を持って対応していけたらいいなと思います。まぁ、それでも、「プレイ中は撮影自体できない」というスポーツも応援している身としては、撮れるだけありがたいなと思います。「撮れる」だけでもありがたいことですよ、ライブとか演劇なんて一切撮れないのが当たり前なんですから。ありがたみを感じながら記念写真とか記念動画とか撮りまくりたいと思いました!
↓配信するために行くんじゃなく、楽しいから行き、配信するとなお楽しい、そんな話のはずです!
プロ野球、SNSへの投稿制限 ファン離れなどの影響懸念もNPB「ルール内で楽しんで」https://t.co/Bzsj2mUOKs
— 産経ニュース (@Sankei_news) March 9, 2025
担当者は「放映権や個人の権利の侵害にあたる行為。権利保護の在り方も考えながら、野球観戦の価値向上のために今回の規定を作った」と説明する。
試合中の名場面爆速で投稿してもパテレのほうが早かったりしますしね!
できないって決まってるならかえって気楽です!
投稿する方は公認野球規則必携なので最新版を買いましょう!