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東北高校、よく頑張った!

野球には負けても震災には負けない、そんな凛々しい姿を見た想い。春のセンバツ高校野球は大会6日目を迎え、甚大な被害を受けた宮城県の東北高校が登場。震災の影響で大会への参加はもちろん、彼ら自身の生活も脅かされた中で、多くの人が球児を支え甲子園へと送り出しました。

野球の神様はシビアでした。試合は被安打17失点7で0-7の大敗。先頭打者に本塁打を打たれ、初回から5失点。3回に東北高校3番・小川クンが放った打球はライトスタンドのフェンスを直撃。一旦は本塁打と判定されるも、協議の結果二塁打へと訂正。9回表の大垣日大の攻撃では7点差二死一塁からでも盗塁を仕掛けてくる鬼采配。手心も同情も一切ない、勝負の厳しさがそこにはありました。

練習もままならず、生きることに集中しなければいけない状況では致し方ない結果。しかし、東北高校は9回をしっかりと戦い、正々堂々負けました。大会に参加し、歴史に名を残しました。試合をする以上負けることは当然ありますが、震災の中心地で「戦い」を全うしたことは勝利と言っていいもの。震災で失った多くのものを補いながら、復興という名の「日常を取り戻す戦い」で1勝をあげました。

9回裏最後の攻撃。ベンチの中では敗北の苦さを噛み締める顔ではなく、笑顔が輝いていました。スタンドの応援団は「まだまだこれから」という大きな声を上げていました。野球は9回で打ち切られますが、人生には無限のイニングがある。「まだまだこれから」だよと笑顔で次のイニングに向かう彼らの姿に、そのことを教えられた気がします。頑張って参加して、頑張って送り出して、よかったですね。

ということで、被災地以外の人間を「負けてられないな」と奮い立たせた東北高校野球部の戦いについて、28日にNHKで中継された「春のセンバツ高校野球大会」からチェックしていきましょう。



◆それにしても容赦ない大垣日大の攻撃にワロタwww


勝って勇気を、得点で勇気を、そんな願いを打ち砕く猛攻。1回表・大垣日大の攻撃は、先頭打者の本塁打に始まり、二塁打→犠打→安打→四球→左飛→三塁打→安打とつながって一挙5得点。早くも勝負を決定づけ、被災地で見守る多くの観衆に現実を直視させることに。

そして、さらに現実を直視させることになったのが3回裏の東北高校の攻撃。この回は打者ふたりが簡単に倒れたあと、2番の宝田クンが死球で出塁。3番の小川クンがライトポール際に大飛球を放ったのですが…

↓打球はライトポール際への大きな当たり!

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審判はこれをホームランと判定!


スローで見るとフェンス手前のラバーに当たり、跳ね返ってグラウンドに戻ってきたこの打球を、一塁塁審は本塁打と判定。二死一塁からの長打ということなら、一塁走者の足次第では本塁突入がありえた場面。しかし、本塁打と判定されてプレーを止めたのちに二塁打に訂正されたせいで、試合は二死二・三塁から再開されることに。

結局、次打者は倒れてこの回東北高校は無得点。手心を加えないどころか、逆に意地悪する結果となってしまい、世間にも「これが世の中だよね」「弱り目に祟り目」「東京ドームでの開催なら入ってた」と落胆の声が広がります。

その後も苦しい展開がつづく東北高校。大垣日大の投手・葛西クンは内外いっぱいを使って厳しいコースにビシビシ投げ込んでくる好投手。4回から8回までは1本の安打も出ず、試合はあっという間に9回に突入。初回以降の失点もあり、東北高校は0-7の大差で最終回を迎えたのです。

先頭打者は幻の本塁打を放った3番・小川クン。厳しいコースを見極め粘って、ライト前ヒットで出塁。つづく4番・上村クンはタイミングを合わせた大きなスイングで、被災地に勇気を与える三振。つづく5番・茶谷クンはライト前に落ちるヒットで一死一・二塁。6番・斉藤クンが諦めないスイングで三振に倒れ二死一・二塁。

最後の打者となったのは3年生・山田クン。鋭い素振りで打席に入ると、スタンドからは一際大きい声援が上がり、「がんばろう東北」の横断幕が揺れる。それはまさに被災地から立ち上がろうとする人々の想い。

↓山田クンは最後まで諦めないヘッドスライディングで倒れる!
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最後まで戦ったな!

戦っている姿を地元に見せたな!


試合後、大垣日大監督は「東北さんもすごい戦いで向かってきた。怖かった」と語りました。敵将に怖さを覚えさせ、倒すべきライバルと認めさせた東北高校の戦いぶり。震災と同じく、人生にも困難が待ち受けています。それに立ち向かうのは自分自身。東北高校の選手たちは、自分の足で戦いの場に立った立派な男たちですね…。



よし、この戦いに勇気をもらったので、行きたくないけど出社します!