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この人、そんなにポジティブじゃなかった!

ワールドカップアジア最終予選・ヨルダン戦を迎える26日。勝てばワールドカップ進出が決定する大一番にもかかわらず、心は落ち着いたもの。よしんば今日勝たなかったとしても、次の試合には決まるだろうという安心感。むしろ、日本で行なわれる次の試合で決めてほしいという期待感。4年に一度の日とは思えない平静さには、「ここはあくまで通過点なのだ」という想いが募ります。

そしてもうひとつ、やはり盛り上がりを欠くのはあの男が不在だからではないでしょうか。日本の主役・本田△圭佑。マンチェスター・ユナイテッドやインテルもいる日本代表にあって、実績・活躍する舞台が必ずしもエース格とは言えなくなってきた本田△さん。年齢も20代後半にさしかかり、若干のキャリア打ち止め感も漂ってきました。

しかし、それでも本田△さんの存在感は別格。

どれだけほかの選手がメガクラブに所属しようが、本田△さんの代わりにはなれません。各新聞が書き連ねる「本田の穴」というキーワードも、ヨルダン戦の勝敗云々、トップ下の人材云々ではない物足りなさを感じるがゆえでしょう。ピッチの真ん中にドンと立ち、どんな強大な敵も自信満々でねじ伏せにいく。本田△さんは圧倒的主人公属性を備えています。俺が主役だ、俺が中心だ、俺を軸に世界が周るという根拠のない強さが。

ところが、そんな本田△さんの主人公属性は、実は危ういバランスの上に成り立っていたのです。25日にNHKが放映した「プロフェッショナル仕事の流儀」の本田△特集。ここでは困難に立ち向かい、疲弊し、自信がわずかに揺らぐ本田△さんの姿が映し出されていました。それはまるで「俺、海賊王にはなれないかもしれない…」と言い出したワンピースのルフィのよう。「日本代表に開いた本田の穴」を心配する前に、「本田△さん自身の心に開いた穴」が心配になってしまったのです。

ということで、本田△さんの心の穴を心配しつつ、25日のNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」をチェックしていきましょう。


◆そろそろ当たりが来ないと、本田△さんが潰れてしまうのでは…。

本田△さんは一般的なイメージとして「超ポジティブな男」と思われているのではないでしょうか。ケガとの戦い、なかなか叶わないビッグクラブへの移籍、そうした逆境にも前向きに立ち向かい、壁を乗り越えていく…それが本田△さんのキャラクター。番組も「世界一あきらめの悪い男」というフレーズから始まったように、本田△=諦めない・前向きというイメージがあるように思います。

↓本田△さんはビッグクラブでプレーする準備はできている!

本田△:「もう準備し始めてます」
本田△:「ビッグクラブでプレーする」
本田△:「即レギュラーでがんがんアシストや点取るイメージはできています」

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しかし、僕は番組を見て行く中で疑問を持ち始めます。本田△さんのベースにあるのは、少年漫画の主人公にありがちな「俺は世界一になれるはず」という思い込みではない。実際は「苦労したぶんだけ報われるはずだ」という考え方なのではないかと。そして、その結果「逆境の中でも前向きに見える」だけなのではないかと。

本田△さんは決してポジティブではありません。本当にポジティブな人なら、ケガをした場合は「これで休めるな」とか「この機会に読書でもしよう」とか「深刻な大ケガになる前に発症してよかった」とか、本来の不幸をまったく違う意味付けで幸福へと変換してしまうもの。雨で外出が出来ない日には、「庭の水やりをしないで済んだ」とまったく違う幸福を感じるように。

本田△さんは、逆境はあくまでも逆境としてとらえます。「ケガしてラッキー」と思うのではなく、「ケガしたのは“逆に”チャンスやな」ととらえる点に、真性ポジティブとの違いがあるように思うのです。それは例えるならパチンコのようなものかもしれません。「パチンコ玉をジャラジャラ打ち込み、小遣いが減った」という不幸。これを「いい暇つぶしだった。楽しかった」と思うのが真性ポジティブだとすれば、本田△さんは「これだけリーチかけたんや。逆にそろそろ出るやろ」「玉を入れなければ玉は出ない」「俺は景品を持ち帰る準備は出来ている」と考えるタイプなのでは。

これは危険な考え方かもしれません。自分の小遣いが限界に到達する前に当たりが出れば問題ありません。「やはり俺は持ってたな」となります。本田△さんは実際これまでそうやって当たりを引いてきました。しかし、パチンコは必ず当たりが出るとは限りません。もし当たりが出る前に小遣いが限界に達したらどうなってしまうのか。そんな危うさを本田△さんは抱えている…僕は大きな不安を覚えたのです。

↓本田△さんは自分を信じている!
<速筋を鍛え、さらなる成長への意欲を語る本田△>

本田△:「俺は信じているんですよ」

本田△:「もっとスピード上げればもっと成長できれば、(世界一に)たどり着くと思っているわけですよ」

本田△:「ギヤを上げていかなダメっていうのも実感しているわけですよ」

本田△:「ギヤを上げる試行錯誤ですよね」

本田△:「どうやったらギヤ上げれんねん?みたいな」

(練習中のBGMはH jungle with Tの『WOW WAR TONIGHT』、槇原敬之『どんなときも』など)

パチプロ:「俺は信じているんですよ」
パチプロ:「もっとリール回せばもっとリーチかければ、(大当たりに)たどり着くと思っているわけですよ」
パチプロ:「確率を上げていかなダメっていうのも実感しているわけですよ」
パチプロ:「確率を上げる試行錯誤ですよね」
パチプロ:「どうやったら確率上げれんねん?みたいな」
(遊戯中のBGMはH jungle with Tの『WOW WAR TONIGHT』、槇原敬之『どんなときも』など)

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↓本田△さんはとにかく自分を信じつづける!
<未来を強く信じつづける本田△さん>

本田△:「信じることっていうのは僕にとって希望なんですね」

本田△:「信じれなくなったときに、希望の光は見えなくなる」

本田△:「人って誰しもが、上手くいかなかったときとかに、ちょっと(自分を)疑うと思うんですね」

本田△:「そのときにいかに自分を信じることができるか」

本田△:「信じるっていうのは本当に、希望そのものですよね」

本田△:「未来が誰にもわからない中で、どれだけ自分を信じてやれるか。未来を信じてやれるか」

本田△:「自分が絶対に成功するんだっていうことをね自分に言い聞かせながら、自分のチカラを信じるってことですかね」

本田△:「そしたら必ず神様はね、それを見ているし」

本田△:「神様からのビッグサプライズを期待して頑張るだけですよ」

パチプロ:「台を信じることは希望」
パチプロ:「出ないとき、ちょっと(台を)疑う」
パチプロ:「そのときにいかに台を信じることができるか」
パチプロ:「そしたら必ず神様はね、それを見ているし」
パチプロ:「神様からの確変大連チャンを期待して頑張るだけですよ」

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しかし、本田△さんに与えられた環境はむしろ逆境揃いでした。リハビリ中のトレーニングで痛みが再発するヒザ。そんな状況で復帰を急かす監督。「お疲れ様です」と取材陣を振り切ったあと鍵が閉まっていて入れないクラブハウス。痛み止めを打ってでも試合に出場させようとするトレーナー。精密検査の結果、再び始まったリハビリ生活。

回復後、新シーズンへ意欲を燃やすも、なかなかやる気が見えないチーム。監督を問い詰めれば「お前に全権を託す」という驚きの丸投げ返答。練習中もチームメイトとの意識の差は埋められず、ダラダラと練習をしたり、負ければ懲罰的なハードワークを課されたり、練習のキツさに不満が噴出したり、本田△さんの指示に対してツバを吐き出すようなことまで。そうした苦境を本田△さんは「神様がくれた苦境」としてとらえます。その苦労が成功のためには必要であるかのように…。

↓本田△さんは苦境と成功はつながっていると信じている!
<学生への講演で逆境との付き合い方を語る本田△さん>

本田△:「ケガしているとき、トレーニングしているときというのは、全然マイナス面を感じずに希望に満ち溢れながら、ずっとトレーニングに励んでいました」

本田△:「ケガして辛いことがある、悩みがある、その悩み・問題をどこの角度から見るか。すごい辛い問題に見えるかもしれない。みなさんは辛いほうから見てくれているんでしょう。僕に対して同情の目を持って」

本田△:「でも僕は反対から見ているから。チャンスになるんです。その考える技術っていうか、習慣を身につけて高めていってほしいんです。そうすればどんな困難にもポジティブに対応でき、負のオーラというかマイナスな要素は持たないようになってくるかなと」

本田△:「自分の人生なんです。1回しかない人生。無駄にはしてほしくないんです。大袈裟かもしれないですけど、本当にいつ死ぬかわからない人生の中で、後悔のないように生きてほしいんです」


<ロシアリーグの現状を憂う本田△さん>

本田△:「2年半ここにいるっていうことにはそれなりの理由があると思うんで」

本田△:「言い訳したいことはたくさんあるんですけど、ロシアリーグ見られてなさすぎとか」

本田△:「でも、ホンマにすごい選手やったら、そういう情報って流れて見てもらえるようになると思うんですね。その噂が行くぐらいの選手になれてないっていうことは、やっぱり受け止めないといけない」

本田△:「そのぐらいの選手がビッグクラブに移籍して、何も成し遂げられへんのちゃうかなと思うわけですよ」

ケガをしたぶん、ケガをしていないより、強いはずだ!

注目されないロシアリーグでも、注目されるくらいでなければ、成功できないはずだ!

玉を失わなければ、絶対当たりが出ないパチンコのように!

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そんな自罰的とも言える厳しさを象徴するのが、チームメイトのやる気を引き出そうとした際の本人の言葉。成功するためには、まず自分が苦労を背負うことが必要なのだと言わんばかりに、本田△さんは「ギブアントテイク」という言葉で、苦境と成功がつながっていることのイメージを口にします。

↓テイクののちギブではなく、ギブののちにテイクする!

<チームメイトとのギブアンドテイクに取り組む本田△さん>

本田△:「意識しているのは、とりあえずは今は、できるだけ(味方の)相手を喜ばすみたいな」

本田△:「どっかでテイクしますよ」

本田△:「今はギブに努めて」


<神様とのギブアンドテイクを受け入れる本田△さん>

本田△:「神様がいらん障壁ばっか立てますけど」

本田△:「望むところですよね、この壁だって」

本田△:「神様に感謝しないと。この状況を与えてくれてありがとうって」

本田△:「思ったようにことが運ばない。それもまた人生」

本田△:「いかなるときも前向きにね」

本田△:「上手くいかないときほど前向きにですよね」

本田△:「大事なのは自分が成長することやから」

苦労というギブ、成功というテイク!

ギブしなければテイクできないかのような厳しい考え方で、本田△さんは生きている!

これは全然ポジティブじゃない!

むしろ、自分を徹底的にネガティブにとらえている!

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本田△さんは自分が成功できないとき、「自分の情熱が足りなかった」と考えるそうです。誰を責めるでもなく、自分を責める。自分を否定して、自分がダメだと断じ、自分を追い込んでいく姿勢。いつか当たりは出るかもしれません。粘っていれば当たりは出るでしょう。ただ、この考え方は粘っている間に、限界が来てしまう恐れもあるもの。

その限界は迫ってきているのではないか。番組最後に見せた一抹の弱気に、僕はそんな不安を覚えました。自分を責めて、責めて、責めて。責めたぶんだけ大きな成功が来ると信じているから頑張れたこれまでの道のり。しかし、このあとどれだけ責めに耐えられるのか。

ハタから見れば、怪我したのはツイてなかっただけ。移籍が上手くいかないのは、ロシアリーグなんてヘンピな所にうっかり来てしまったせい。自分を責める必要はなさそうなもの。むしろ、チームをガンガン責めてもいいくらいです。しかし、本田△さんは今日も自分を責めています。壊れるのが先か、当たりが出るのが先か。そういったギリギリの感じをほのかに漂わせながら。何か、見ていてちょっと心配なので、もっとラクな心持ちに導く自己啓発書などを、日本代表の仲間たちが差し入れてあげてほしいものですね…。

↓本田△さんがちょっとヤバイ感じになってきている!
本田△:「自分自身をサッカー選手としては凡人だと思ってるわけですよ」

本田△:「当然ながら、壁にぶち当たることが多かったんで、そりゃやめるタイミングはいつでもありますよね」

本田△:「今だってあるし」

本田△:「でもそんな簡単にね、自分の夢はね、諦められないでしょ?」

本田△:「自分はもっと理想はこうで、カッコよくありたいと思ってても、自分の実力から不細工な感じになってしまってるのも、わかるときもあるわけですよ」

本田△:「でも、それでも、やっぱり、上手くいってないのはわかるけど、理想とは程遠いのもわかってるけど」

本田△:「まだ信じてる自分がいますね。うん…まだ真剣に…うん…実現できるんじゃないかって自分はいます」

こ…これは最後の種銭で台に向かうときのパチンカーみたいじゃないか…!

ヤバイ、気分を変えてあげないとヤバイ!本田さんが壊れてしまう!

信じてる自分の勢い、めっちゃ弱まってるwww

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子どもたち!本田△さんに憧れるのはいいけど、真似すると辛い人生だぞ!