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志は高く!大きな大きな小物たれ!!

すべての球児、いやアスリートに希望を与える存在と出会いました。熱戦つづく夏の高校野球。花巻東高校の2番打者として活躍する千葉翔太クン。身長156センチ。画面でも見ても小柄さがわかる彼は、強豪校と呼べるチームでレギュラーをつかみ、甲子園の舞台に立ち、なおかつ相手から畏怖を持って迎えられています。ちょっとやそっとの恐れ方ではなく、まるで清原和博さんや松井秀喜さんに対するような超イレギュラー畏怖をもって。

花巻東高校はこれまでも菊池雄星さんや大谷翔平さんといった、プロでも活躍する超高校級の選手を輩出してきました。それは恵まれた体躯であり、類まれなセンスであり、遥かメジャーを見据える志であり、一般人とは相当に隔たりのある存在でした。こうした存在には憧れこそすれ、映画の中のヒーローか何かのように、どこか別世界の偉人のように感じるものがあります。

しかし、千葉クンは誰でもが目指せる…「目指せそうな気がする」ところで戦っています。小柄な身体、相応のパワー、誰もが届く範囲の肉体的素養。しかし、人一倍の智恵と勇気、そして技術でDNAの壁を超えてきたのです。黒人スプリンターに恐れをなす日本人、欧州の屈強なフットボーラーに跳ね返される日本人、身長・体格・筋量といった生まれついての部分の差で泣いてきたアスリートに別の道を示すかのように。

徹底する、強い意志。

何かを捨てる、決断。

つまり、選択と集中。

野球にも「スモールベースボール」などという考え方があります。弱者の戦い方とまでは言いませんが、圧倒的なパワーで敵を粉砕する以外の戦い方は確かに提示されています。しかし、それはどこまで徹底されていたでしょう。口ではスモールを標榜しつつも、「打てるならホームラン打ちたい」といった邪念は消しきれないでしょう。もともとは近所の子どもたちを圧倒してきた連中が、骨の髄から「スモール」などできるはずがないのです。

千葉クンはその点、徹底されています。そのために余計なものをそぎ落としています。通常とは真逆の方向へと研ぎ澄まされた結果、まったくもってスモール極まりないスタイルが、強烈な個性と存在感を持つに至りました。超大型小物。彼はそういう存在ではないでしょうか。小物の頂点に立ち、小物の目標となるような。

彼が今のスタイルで世界の頂点と伍する戦いをできるかはわかりません。しかし、5年後、10年後、彼のスタイルに刺激を受けた選手が出てきてほしい。彼が同じ花巻東高校の先輩に憧れ、今のスタイルに至ったように。それは野球でもサッカーでもバスケットでも何でも構いません。本来なら、「そこそこの体格」で「真っ当な勝負」を挑み「DNAの壁」に跳ね返されたはずの選手が、壁に開いた小さな穴を潜り抜けるような方向へ先鋭化していく。そんな未来に期待したいと、僕は思うのです。

ということで、超大型小物が甲子園に与えた衝撃について、花巻東高校のこれまでの戦いからチェックしていきましょう。


◆15打席、96球、31ファール、打率.700、出塁率.800、空振り1!

今年のWBCでは鳥谷・井端の1・2番が注目を集めました。無安打でも四球で出塁を重ねた鳥谷、ファウル打ちの技術で粘りに粘り軽打で日本を救った井端。そのスモールな野球は注目を集めましたが、それぞれは出塁率は高いけど三振はそれなりにあるとか、粘るは粘るけど打つための粘りだったりとか、普通の野球の延長線上にあるものでした。

もし、両者をガッチャンコしてひとりぶんのサイズに圧縮したような選手がいたら、これこそ超大型小物と言えるのではないか。そして、そんな選手は甲子園にいたのです…!

↓甲子園での花巻東・千葉翔太クンの成績が別方向目指しすぎてる!
<2回戦 彦根東戦>
トータル34球、うちファウル13球。バントの構えをたびたび見せては、追い込まれてからのファウル打ちで球数を使わせること使わせること。狙ってファウルを打っているとしか思えないレフト線への打球は、相手投手の肉体的・精神的なスタミナを奪う鬼ノッカーのよう。四球で出たときの「よっしゃー」の顔は地味にイラッとする。

●第1打席:遊安 2ファウル/8球
1球目 カーブ 111km 見逃し 内角高目  
2球目 チェンジアップ 125km ボール 真中低目  
3球目 カーブ 111km ボール 内角高目  
4球目 ストレート 134km 見逃し 外角高目  
5球目 ストレート 131km ボール 真中高目  
6球目 ストレート 135km ファウル 外角高目  
7球目 ストレート 131km ファウル 真中低目  
8球目 チェンジアップ 122km ヒットゴロ 外角真中

●第2打席:四球 7ファウル/13球
1球目 チェンジアップ 124km ボール 外角低目 セーフティバント
2球目 ストレート 132km 見逃し 外角高目  
3球目 スライダー 113km 見逃し 外角低目  
4球目 チェンジアップ 123km ボール 外角低目  
5球目 ストレート 134km ファウル 外角高目  
6球目 ストレート 133km ファウル 内角高目  
7球目 チェンジアップ 124km ファウル 内角高目  
8球目 スライダー 114km ボール 外角高目  
9球目 ストレート 133km ファウル 真中高目  
10球目 チェンジアップ 116km ファウル 真中  
11球目 ストレート 133km ファウル 外角真中  
12球目 ストレート 131km ファウル 内角低目  
13球目 カーブ 93km 四球 内角低目

<動画:相手投手もついつい笑っちゃう驚異のファウル打ち>



●第3打席:遊ゴロ 4ファウル/7球
1球目 ストレート ---km ボール 外角高目 ウエスト
2球目 スライダー 114km ファウル 真中高目 セーフティスクイズ
3球目 チェンジアップ 122km ボール 外角高目 セーフティスクイズ
4球目 スライダー 112km ファウル 外角低目 セーフティスクイズ
5球目 ストレート 131km ファウル 内角高目  
6球目 チェンジアップ 113km ファウル 外角低目 ランエンドヒット
7球目 チェンジアップ 121km ゴロ 外角低目  

●第4打席:左安 0ファウル/1球
1球目 ストレート 125km ヒットゴロ 外角高目 バスターエンドラン

●第5打席:左安 0ファウル/5球
1球目 カーブ 0km ボール 真中低目 セーフティバント
2球目 ストレート 128km ボール 外角低目  
3球目 ストレート 126km ボール 外角高目  
4球目 ストレート 127km 見逃し 内角真中  
5球目 ストレート 128km ヒットゴロ 外角真中


<3回戦 済美戦>
1回戦のファウル&球数製造機ぶりを見せられた済美・上甲監督は、千葉クンを徹底マーク。安楽クンという大会屈指の好投手を擁しながら、何と内野5人シフトを敷いてくる。ストライクゾーンのチカラある球で早めの勝負を挑む安楽クン。無駄に球数を重ね、世間からの風当たりが強まるのを避けようとするも、シフトをかいくぐって打ちまくる千葉クン。「どんなに速くても真っ直ぐは真っ直ぐ」「速い真っ直ぐなら当てるだけでも飛ぶ」「148キロ!すごいボールだ!ファウルにしよう!」という戦いぶりに、安楽クンは連投することもなく甲子園を去る。

●第1打席:二安 0ファウル/4球
1球目 ストレート 142km 見逃し 内角低目  
2球目 ストレート 144km ボール 真中高目 セーフティバント
3球目 ストレート 141km ボール 外角真中  
4球目 ストレート 143km ヒットゴロ 外角高目

<動画:内野5人シフトを破るセンカンドゴロ安打>



●第2打席:三振 1ファウル/6球
1球目 ストレート 133km ボール 外角高目 セーフティバント
2球目 ストレート 135km 見逃し 外角真中  
3球目 ストレート 135km 見逃し 真中低目  
4球目 フォーク 133km ボール 外角低目  
5球目 ストレート 148km ファウル 内角高目  
6球目 カーブ 104km 空振り 内角低目

●第3打席:三ゴロ 0ファウル/4球
1球目 ストレート 133km ボール 外角高目  
2球目 ストレート 134km ファウル 内角真中  
3球目 ストレート 132km ファウル 真中低目  
4球目 ストレート 144km ゴロ 真中高目

●第4打席:右三塁打 0ファウル/2球
1球目 スライダー 122km 見逃し 外角真中  
2球目 ストレート 142km 3塁打 外角高目

<動画:超前進守備をあざ笑うライトオーバー三塁打>



●第5打席:中安 2ファウル/5球
1球目 スライダー 126km ボール 内角低目 セーフティバント
2球目 ストレート 135km ファウル 外角真中  
3球目 カーブ 113km ボール 外角高目  
4球目 ストレート 141km ファウル 外角低目  
5球目 スライダー 135km ヒットライナー 真中


<準々決勝 鳴門戦>
四球、四球、四球、四球。松井秀喜が連続敬遠で日本に議論を巻き起こしたこの舞台に、新たな四球神が降臨した。もはや「選んだ」というレベルの話ではなく、明らかなボール球を4球投げてくるまでファウルを打ちつづけるという嫌がらせの世界。結果的にこんなに球数を使うなら、1球目をケツにぶつけるほうがマシなのではないかとの声も。

●第1打席:四球 7ファウル/13球

1球目 ストレート 134km ボール 外角真中  
2球目 カットボール 118km 見逃し 内角高目  
3球目 チェンジアップ 107km ボール 外角低目  
4球目 ストレート 132km 見逃し 外角真中  
5球目 ストレート 131km ボール 真中低目  
6球目 ストレート 132km ファウル 外角高目  
7球目 ストレート 132km ファウル 外角高目  
8球目 カットボール 121km ファウル 真中高目  
9球目 ストレート 130km ファウル 真中低目  
10球目 カットボール 122km ファウル 内角低目  
11球目 ストレート 131km ファウル 真中高目  
12球目 ストレート 133km ファウル 真中高目  
13球目 ストレート 130km 四球 外角高目

<動画:安打のときよりも力強いガッツポーズで四球出塁>



●第2打席:中安 0ファウル/2球
1球目 カーブ ---km ボール 外角高目  
2球目 ストレート 127km ヒットライナー 外角低目

●第3打席:四球 2ファウル/8球
1球目 チェンジアップ 108km ボール 真中低目  
2球目 シュート 126km 見逃し 真中低目  
3球目 カーブ ---km ボール 外角高目  
4球目 カットボール 121km 見逃し 真中  
5球目 フォーク 118km ボール 内角低目  
6球目 ストレート 131km ファウル 外角高目  
7球目 カットボール 122km ファウル 外角高目  
8球目 スライダー 103km 四球 外角高目

●第4打席:四球 2ファウル/8球
1球目 カットボール 118km ボール 真中高目  
2球目 シュート 124km ボール 外角低目  
3球目 ストレート 131km 見逃し 内角高目  
4球目 ストレート 131km 見逃し 外角真中  
5球目 ストレート 132km ボール 外角高目  
6球目 ストレート 130km ファウル 外角高目  
7球目 カットボール 120km ファウル 真中  
8球目 ストレート 132km 四球 外角高目

<動画:相手をイライラさせる顔・声・ガッツポーズ>



●第5打席:四球 4ファウル/10球
1球目 カーブ ---km 見逃し 内角高目  
2球目 カーブ ---km 見逃し 外角真中  
3球目 チェンジアップ 110km ファウル 外角高目  
4球目 チェンジアップ 118km ボール 外角高目  
5球目 チェンジアップ ---km ボール 内角高目  
6球目 カットボール 120km ファウル 内角真中  
7球目 スライダー 106km ファウル 内角高目  
8球目 ストレート 130km ファウル 内角真中  
9球目 チェンジアップ 114km ボール 内角低目  
10球目 カットボール 124km 四球 内角低目

千葉クンをアメリカ人記者に見られたら「日本の高校野球はクレイジー」ってまた言われそうだなwww

日本の投手が球数投げすぎっていうか、バッターがしつこすぎwwww

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千葉クンのバッティングで特徴的なのはストライクゾーンが極端に狭いこと。「好球必打」と言いますが、その好球と認めるゾーンが通常のイメージよりもはるかに小さく、強く叩きにいくのは高めのホームランコースぐらい。基本的にはサード線ファウルゾーンを狙うバッティングで、振り遅れ気味にバットを当てていきます。

通常のバッターはストレートにタイミングをあわせて変化球に対応する…という構えをとるものですが、千葉クンはストレートに振り遅れで合わせることで、変化球が来てもストレートが来てもタイミングを大きく狂わされることがありません。これを崩したのは、済美安楽クンが「148キロストレート⇒104キロカーブ」という40キロ差もの緩急をつけた場面だけ。そこまでやってようやく空振りが取れるレベルの待ち方をしているのです。

そこから繰り出す、サード線ファウルゾーンに顔を向けてのファウル打ち。ヒットを打とうとしてファウルになったパターンではなく、最初からファウルを狙っている割りきり。このあたりは打った瞬間に脱力してファウルゾーンに飛ばす井端のファウル打ちとは毛色が違います。「あっちに飛ばす」という意識が、自然と顔の向きに表れています。

「打つ」ことを捨て、「出る」ことに集中する。

千葉クンにとってのヒッティングは、四球で出られなかったときの非常手段にすぎません。


対戦チームに必要なのは、この特異なスタイルに惑わされないこと。千葉クンにとってショート前の内野安打は「ファウルの打ち損じ」で、ライト線へのヒットは「仕方なく打った」もの。「打つ」という行為、「打つ」という気持ちよさを華麗に捨てた選手がいるという前提で立ち向かわなければ、いつまでも千葉クンの作った幻影は消えません。

打つ気のあるバッターが、トンデモないコースのボール球が来たときだけバットを止めて見送るのと逆。トンデモないコースのストライク球が来たときだけ、打ちにくる。それ以外は多少ボールっぽい球でもファウルにする。バントに近い構えから、バットをラケットのように使って、サード線ファウルゾーンに「反射させる」打撃。四球を取ることを最上位の目標にし、それが叶わないときだけ仕方なくヒットを狙うリスクを冒してくるという逆転の発想。警戒してクサイコースを突こうとすればするほど、千葉クンの思うツボです。

済美の5人シフトなどは幻影に惑わされた末の裏目行為でした。5人シフトで二遊間が前進していなければ、初回の安打はただのセカンドゴロですし、ライトへのスリーベースも外野2人+前進守備という極端な守備体形が生んだもの。「遠くに飛ばせばどこでも長打」という状態で高めにいってしまったバッテリー側の自滅です。やはりここは、インハイのストレート、外角低め基本のゴロゾーンに逃げる変化球など、異端には王道で応じていきたいもの。カウント悪くしてファウル打ちされるのではなく、攻めて倒しにいく投球。そのとき千葉クンがどういう対応を見せるのかも含め、今後の高校球児VS千葉クンの戦いに注目したいものです。

↓千葉クンはいろいろと意識させようとしてくるが惑わされるな!



構えと逆に投げるようサイン出したらいいじゃない!

意識すればするほど、バッターへの集中力が落ちるぞ!


↓あまりに千葉クンを意識しすぎてアウトカウントを間違えるチームも!


集中!集中!集中!

相手の気を散らして、イライラさせて、チカラを削ぐのが狙いだぞ!

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小物には小物の生き抜く努力がある!敬意を持って立ち向かおう!