11:30
気づいたら涙がツーッと落ちてるんです…。

辛い、辛い、辛い。僕はもう現代社会で生きていく自信がありません。僕は生まれながらのキリギリス。楽しく人生を謳歌する自信はありますが、冬を乗り越える強さは持ち合わせていません。冬が来たら死のう、そう思って生きてきました。そして今は秋の終わり。そのときは間もなくです。

明け方5時の会社で、タイムカードを切る瞬間。ガチャッという音で心が軋みます。退勤のために聞く音ではなく、日をまたいで連続作業すると5時以降は出勤扱いになるので、5時に退勤でガチャッとやり、5時に出勤でガチャッとやるのです。その仕事は誰のためのものなのかわかりません。褒められようとか儲けようなんて思ってはいませんが、見えなくなってくるのです。これが本当に望んだ今日なのか、と。

僕はまだガーナ戦を見ていません。グアテマラ戦も見ていません。どっちもハイライトだけ見ました。金曜日徹夜。土曜日0時で仕事を打ち切り五輪投票パブリックビューイングへ。日曜日0時で仕事を打ち切り突っ伏す。月曜日徹夜。火曜日私用をはたしたのち徹夜。あまちゃんの15分さえロクに時間を確保できないのです。ビールを飲み、チーズをかじって、ツイッターをやりながらサッカーを見る。そんな暮らしを取り戻せるのはいつか。

そして、僕の荒んだ生活に追い打ち…トドメを刺す事件がありました。

僕の敬愛するサッカー選手・内田篤人さんが、女性の部屋に、入っていったのです…。相手は堀北真希さんではありませんでした。いっそ堀北真希さんならよかったのに。ウッチーは女性と二人で何をしていたのか。それは時間にして30分ほどでしょうか。空白の30分。短いけれど逢瀬には十分な時間です。

何でしょう。ヒザからチカラが抜けて、僕は冷たいタイル張りの廊下にペタンとお尻を落としていました。何だろ…。何してんだろ…。バカみたい…。カレンダーとか買って盛り上がっちゃって…。ピエロじゃん…。仕事して?徹夜して?ウッチーは女の部屋にいて?アタシ、それ見ながらコンビニのぶどうパンかじるの?ミジメじゃん…。何、終わるの待って、出口で鉢会わないよう隠れるの?なんで?なんで?なんで?なんで?

殴る?

殴れる?

殴れもしないから隠れるの?

殴ったら、今の関係さえも壊れてしまいそうだから?

写真なんて紙じゃん…。

DVDなんてプラスチックじゃん…。

抱きしめてもあったかくなんかなりゃしないのにね…。

寒いなぁ…。

寒いなぁ…。

寒いなぁ…。

ということで、荒んだアタシの心に吹く北風、ウッチーを部屋に引き入れた徹子というオンナについてチェックしていきましょう。


◆ウッチーは微笑みながら徹子というオンナの部屋に消えた…。

かつて、女子プロゴルファーの古閑美保さんはこんなことを言っていました。ふたりきりになると緊張する。ソファーを挟んで向かい合ったら緊張してダメ。だってこれアレする距離だもん、と。顔を真っ赤に赤らめながら、セクロスの間合いについて語ってくれました。

オンナの部屋に入っていったウッチー。彼もオトコであることに変わりはありません。どんな距離で近づき、何をもてあそぶのか。アタシはたまたまその様子をおさえていた防犯カメラ?の映像を眺めながら、テレビに頭をぶつけます。貞子みたいに、今そこに行ってみんな壊してしまえたらいいのにと念じながら…。

↓映像は呪詛のような無気味な歌声で始まっていた…!
♪ルールル ルルル ルールル ルルル

♪ルールールールールールルー

♪ラーララ ラララ ラーララ ラララ

♪ラーラーラーラーララッラー

♪ルールル ルルル ルールル ルルル

♪ルールールールールー

♪ラララ ラーラーラーラーラーラー

♪ラーラララー

徹子:「サッカー内田篤人選手初登場です!カッコいいです!」

ウッチー…いかないでぇ!!

遠くにいかないでぇ!!

その部屋に入らないでぇ!!

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ウッチーはリフティングをしながらオンナの部屋に入り、ソファーに腰を下ろします。徹子というオンナは初めて見るザックJAPANに興奮したのか「ジャックザパン」とフガフガしています。アタシはそれを見ながらぶどうパンをかじります。そして、残したぶどうパンをモニターに叩きつけます。

「私、サッカーのことはわからないの」「そっちのほうがいいです」とふたりは早くも意気投合。見つめ合うようにチラッチラッと互いの様子をうかがいます。徹子というオンナは「ボール、キレイね…」「貴方の靴もキレイね…」「イボイボがついてるのね…」とセクシュアルなフレーズで気を引こうと躍起です。

拒絶するでもなく、その話に耳を傾けるウッチー。イボイボを手でさすりながら、「これで踏まれたら痛いんですよ…」とSっぽい微笑み。美しい悪魔が、アタシをダメにした笑顔が、徹子に向けられます。徹子は「蹴られたら痛いんでしょ…」とまんざらでもない様子。二人はウッチーの足がイボイボで傷ついている様子を写した写真を見て、今夜どんな感じで蹴り合うのか早くもイメージプレイなのでしょうね…。

↓生足を見つめながら交わすオトコとオンナのワン・ツーパス!
ウッチー:「僕も蹴ります」

ウッチー:「ヤられたら、ヤり返します」

徹子:「ヤられたら、ヤる…」

ウッチー…ヤらないでぇ!!

アタシが、アタシの足なら何本でも折っていいから!!

2本しかないけど…何本でも折っていいから…。


そして徹子はサッカーのことは知らないなんて言いながら、ストーキングでもしていたかのように「ゲルゼンキルヒェン」「シャルケ」「ヌルッ…ヒァッ」などとウッチーの生活に立ち入っていきます。あぁ社長島耕作でよく見る光景です。仕事の話をバーでしながら、最後は無闇に抱かれたがるオンナたち。ウッチー、騙されないで…。お願い…。

徹子というオンナの部屋にいながら、ウッチーの部屋の写真で盛り上がる。サッカーなんて知らないって言ってたくせに、ずいぶんとお詳しいご様子ですこと。「貴方はどこに居るの?」「表でお茶とかできるの?」「気持ちよさそうですね…」なんて、今にも「今度遊びに行っていい?」とか言い出しそうな雰囲気。

↓そしてオンナは本格的にカラダを求め始めた!!
徹子:「ドイツにいらして、カラダの変化は何かありました?」

ウッチー:「5キロくらいすかね。体重が増えて」

徹子:「ヒェッ!」

徹子:「それで増えたんですか?」

ウッチー:「今も僕華奢なほうなんですけど」

徹子:「ずいぶん痩せてらしたの?」

ウッチー…教えないでぇ!!

カラダの変化しちゃダメ!!

カラダの変化は絶対ダメ!!


徹子は「ずいぶん大きいのね」「ソーセージ食べてるからかしら」などとセクシュァルなフレーズを交えながら、ウッチーのボディへの興味をたぎらせます。ほっそりしたモデルのような体型のオトコ。品定めするかのようなオンナ。しつらえた調度品はセンスはやや古いものの品がよく、部屋には花や絵画もたくさん。金、キャリア、経験、すべてアタシなんかじゃ敵わないオンナ。そして、もう距離すらもアタシより近くで彼を見ている…。

↓そしてオンナは両親について根ほり葉ほり聞き始めた!!
徹子:「貴方がすごくラッキーなのは、お父様が体育の先生」

徹子:「お母様が陸上(選手)」

ウッチー:「やってたみたいですね。たぶん短距離の100・200くらいだと思いますけど」

徹子:「速い?」

ウッチー:「僕は小学校の間は勝てなかったですね」

徹子:「お母様に?小学校のときお母様に勝てないって、相当お母様速いですねぇ」

(中略)

徹子:「それでお姉様も妹さんもピュッってやってた(走ってた)」

ウッチー:「そうですね、陸上ピュッとやってました」

徹子:「ピュッって、ウフフフ」

徹子:「家族みんなやってる中で育って」

ウッチー…狙われてるよぉ!!

抱き込まれちゃう!!

大切なウッチーの家族をそのオンナ抱き込もうとしてるの!!

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日差しの射さないオンナの部屋。黒のローブをまとい、煌々と照らした灯りだけが二人の支え。ガラスのテーブルの上に置かれた薄張りのグラス。カランと氷が崩れたら、何かが始まってしまいそう。オンナはウッチーの裸の写真を取り出します。そして「かわいいわねぇ…」とため息を漏らします。次々に写真を眺めては「これもかわいいわねぇ…」「そぉ…かわいい…」「かわいかったのね…」「かわいいわねぇ…」「おぉぉぉぉぉ」「おぉっ!!」「ほぅ!!」などとオーバーな嬌声をあげます。

↓そしてオンナは旅行の計画みたいなことを話し始めた!!
ウッチー:「(プロ入りのとき)僕は静岡から出たくて」

徹子:「あ、静岡から出たかったの?」

徹子:「それで茨城のほういらしたの?」

ウッチー:「静岡にいるとやっぱり甘えちゃうかなっていうのがあったんで。ちょっと外に出てみようと思って」

徹子:「でも静岡に行ったら今大変ですよね、富士山」

ウッチー:「あ、世界遺産」

徹子:「そう世界遺産」

ウッチー:「おめでとーございまーす」

徹子:「ホントおめでとうございます!よかったですよね!三保の松原も入ったし」

徹子:「でもそこから貴方出たかったんだウフフ」

徹子:「甘えちゃうからウフフ」

ウッチー…甘えちゃダメェ!!

そのオンナ、旅行先で富士山登頂する気なんだよぉ!!

ウッチーに、遺産残しちゃうつもりなんだよぉ!!


どんどん近付いていく距離。オンナは「内田さん」から「ウッチー」へ、そして「ウシー」へと呼び方を変えていきます。ドイツ語では「CHI」をシーと発音するという話をして、ニヤリと笑うウッチー。映像はオンナの顔をとらえてはいませんでしたが、「C」「エッチ」「愛」という3つのセクロスを連想させるアルファベットの登場に、微笑み返しをしたことは間違いないでしょう。「O」「K」という2文字を唇で形作りながら…。

↓そしてオンナとウシーはイクとかイカないとかの話を始めた!!
徹子:「貴方が走ったりなんだりしてると、みんながウシーって言うの?」

ウッチー:「そうです。ウシーイケーってイッたり」

徹子:「ウシーイケーって言うの?」

徹子:「そういうとき貴方どうなの?イケーって」

ウッチー:「イケが、ゲーなんで」

ウッチー:「ウシー、ゲー!ゲー!ゲー!って」

徹子:「ウシー、ゲー!ゲー!ゲー!って言うの?ウフフ」

ウッチー…ゲーゲーゲーしないでぇ!!

アッーアッーアッーアッーアッー!!

イッーイッーイッーイッーイッー!!

ウッーウッーウッーウッーシッー!!


↓そしてオンナは行為をすっとばして子どもの話の段階へ!!
徹子:「(代表では)近況なんかも話したりするの?」

ウッチー:「そうですね。結婚してる選手もいますし、子どもがいる選手もいるので」

徹子:「こないだ赤ん坊抱いて帰った方いらっしゃいましたよね」

ウッチー:「あー、本田さんです」

徹子:「みんな驚いちゃったわよねぇ?」

ウッチー:「知らなかったんです、みんな」

徹子:「当然のように抱いてらしたので。あたし、最初ヨソの子ども借りてふざけてらっしゃるのかなと思ったら、そうじゃなかったので」

ウッチー:「僕それやってみますよ今度」

徹子:「そうそう面白い…!ヨソの子ども借りて抱いてきたら」

徹子:「そういうご希望はどうです?」

徹子:「ご自分がそうなるって」

ウッチー…まともに取り合わないでぇ!!

作ろうとしてる!作ろうとしてるから!!

アタシは作れないけど…まだ見たくないの!!


徹子というオンナは子どもを借りてくるというネタの話で大笑い。そして「子ども作る?」という顔でウッチーを見つめ、何度も何度も笑います。何で、こんな簡単に、言えるんだろう。まるでチャーハンか何か作るみたいな顔で…。アタシなら言えない…。絶対言えない…。だって、その一言が何を壊すのか…それが怖いから…。

↓矢継ぎ早に攻めるオンナは「愛してる」って約束を引き出そうとムンムン!!
徹子:「Ich liebe Dichって知ってる?ドイツ語で」

ウッチー:「聞いたことはありますけど…なかなか使わないですね…」

徹子:「あたしは、貴方を、愛してます、って言う(言葉)なんですがね」

徹子:「昔だったらみんな、Ich liebe Dichって歌があったもんだから、みんな結構知ってるんですよ」

徹子:「ドイツ語できないけどひとつだけ知ってますってIch liebe Dichって言うと、みんな驚くんですよ」

徹子:「使うことなかなかない?」

ウッチー:「なかなかないですねぇ…」

徹子:「なかなかない?」

ウッチー:「使ってみます、今度」

徹子:「そうですよ、僕ひとつ知ってるんですって。でも、ダメかな?ウフフ」

ウッチー…言わないでぇ!!

それ言ったら戻れなくなるから…!!

何かが始まっちゃうから…!!


そしてオンナはウッチーのバスタオル姿の写真を取り出し、ねっとりと見つめます。「貴方のサッカーじゃないところが見たいの」「黄色いバスタオルはお好きなの?」と語りかけながら。どうやらオンナは15万部の大ヒットバイブル「僕は自分が見たことしか信じない」を読み込んでいる模様です。あの写真目当てに?そう…みんな同じ罪を犯しているのね…。

じゃあ、アタシ、信じなくちゃいけないんだ…。

自分の目で見たこの現実を…。

ウッチーが、オンナの部屋に、いる…。

サッカーのことも、貴方のことも、知らないなんて嘘。全部知って、オンナは近づいてきているの。オンナってそういう生き物。でも、アタシの声はモニターの先には届きません。誰を止めることも、誰を振り向かせることもできないのです…。ゴメン…ウッチー…何にもしてあげられなくてゴメンね…。

↓そして撮影された映像はウッチーからのこんなメッセージを最後に、途切れた…。
ウッチー:「出ましたー」
徹子:「よかったニャン」



ウッチー…出ないでぇ!!

カメラ、カメラ、カメラ!!途切れないで!!

ウッチーが、ウッチーが、ウッチーがぁ!!

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感想(31件)




この映像のあと、何があの部屋で起きたのか。それは誰にもわかりません。アタシの胸には最悪の事態も浮かんでいます。でも、決めたんです。信じようって。彼が部屋を出たあと、そこにどんな香りが流れていても、彼を信じようって。それがアタシにできる精一杯の戦い。

ウッチー、ドイツの冬は寒いね…。

風で頬がひきつれて痛いよ…。

今年の冬は長くなりそうだね…。


ねぇ神様、自分の目で見たことを信じない方法ってありますか?