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日本代表、準備完了!

4年前の同じ頃、僕は低迷する日本代表をして「煙幕」と称しました。弱い弱いと対戦相手を油断させ、本番でそのイメージを覆す。負けてもいい日には無様に負け、勝つべき日に勝てばいい。そんな壮大な三味線。はたして煙幕の向こうから姿を現した日本代表は見事にワールドカップベスト16という結果を残したのです。

今回も同じ煙幕を張るのだろうか。ここ数ヶ月の戦いぶりには、そんな予感も漂っていました。僕も煙幕に備えジワジワと覚悟を始めていたところ。あの煙幕は効果的ですが地味に辛い。気持ちいい2週間のために気分の悪い1年間を耐える作業。心根を据えてかからないと、アレは耐えきれないものですから。しかし、日本代表は4年を経て進化していました。そんな壮大な煙幕を張らなくても、ちょっと目先を変えるだけで十分な段階にまで。

16日の国際強化試合オランダ戦。スタメンは驚きの顔ぶれでした。香川がいない。遠藤がいない。ザックJAPANの攻撃の核と呼べる2人が怪我でもないのにベンチに残る編成。大事な大事なオランダ戦でまさかの出し惜しみか。そんな驚きの中、ザック采配が冴え渡ります。何と、少しずつ手を加えながら、「いつもの形」にチームを戻していったのです。その結果がビハインドからの同点劇。特に後半は一方的と言ってもいい、日本代表ペースの試合になりました。

以前からこのチームに対して、「スタメンが一番強くて、替えるほどにチカラが落ちる」とは感じていましたが、それを逆手に取った攻撃的オプション。一番強いとわかっている形にじょじょに戻していくことで、対戦相手を驚かせ、相手が肉体的にも精神的にも疲労を感じる頃に最強の日本をぶつける…という逆転の発想をみせたのです。

野球でもそうですが、150キロのストレートでも投げ続ければ相手の目も慣れ、当てられてしまうもの。物事には緩急というものが大事です。今までの日本は「急」で始まり、どこまで頑張れるかという戦いでした。しかし、このオランダ戦では「緩」で始めて、「急」に変えるという幅の広がりを見せました。

この気持ちで向かえば本番もきっと大丈夫。「急」のタイミングが来るときまで、しっかりと耐えること。いざ自分たちの時間になったなら、この3年余りで幾多の勝利を積み上げてきたおなじみのサッカーを展開すること。迷いなく、いい体調で本番を迎えれば大丈夫。日本代表は強い、そのことを実感できるナイスゲームだったのではないでしょうか。この手応えを見失わないよう、次のベルギー戦もいい戦いを見せてほしいものですね。

ということで、90キロのあとに130キロを見せられると150キロに見えるみたいな気持ちで、16日のテレビ朝日中継による「日本VSオランダ戦」をチェックしていきましょう。


◆求め続けた「攻撃的オプション」はもうすでに完成していた!

霧のような白んだ空気がスタジアムを覆い、吐く息も白く煙るベルギーはゲンクのスタジアム。寒さ、冷たさ、先行きの見えない曇り空。まるで最近の日本代表を表すような天気です。しかし、この地には何か不思議な縁を感じる。何となく「しっかり守って、ここぞというときには決めるんじゃないか」という予感が、ふつふつとたぎってくる。

この地に集った観衆13616人、うち9000人ほどを日本人が占める状況。そういう意味では、オランダ側のファンペルシが欠場という情報以上に、スタメン発表には驚きがあったかもしれません。香川真司がいない。遠藤保仁がいない。逆に吉田麻也はいる。それに加えて、大迫・山口・西川といった、これまで多くの出場機会を得ていないメンバーが積極的に起用される、まさかの新布陣。

僕がオランダの監督なら「ゴメンね!ファンペルシいなくて!」「ゴメンね!一部で人気のフンテラールもいなくて!」「でも、だからってこれはないでしょ!」と抗議してしまいそうな編成です。しかし、日本はむしろ燃えていました。ここで結果を出せば俺がワールドカップに行けるという野心。俺を出せ、俺が世界を獲って見せるという自負。ピッチでも、ベンチでも、日本男児は燃えていたのです…!

そして始まった試合。この日から着用された日本代表の新ユニフォーム。円陣を組むと背中のラインがひとつの輪になるという触れ込みのデザインですが、まずそのカラーに目を見張ります。何か今までよりも強い気がする。何か世界一になれそうな気がする。不思議な感覚。

↓ワールドカップの決勝でアメリカをPK戦で下して優勝するイメージがわいてくる新ユニフォーム!



って、なでしこやん!

世界一のなでしこカラーやん!

あっちのほうが強そうだし、ピンクもカワイイし、いいんじゃないですかね!

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立ち上がりから積極的な日本。出足も鋭く、オランダのボールを何度もインターセプトしては立て続けにチャンスを作ります。前半4分には長友のクロスを大迫が合わせる惜しい場面。直後の前半5分には山口がこぼれ球に合わせた惜しいシュート。さらに前半6分にはファーサイドへのクロスにフリーで合わせた岡崎が、当たり損ねでチャンスを逃がす。つづけざまに決定機が訪れ、つづけざまに逃します。

3つのチャンスを3つとも外した日本に逆風が吹くのはサッカーの法則なのか。ここで何でもない放り込みから、内田が対応を誤り、ファンデルファールトにヘッドで見事なラストパス。「ミスから失点」という、ここ最近ずっと憑りつかれている現象がまたも出てしまったのです。

↓そこでヘッドでGKにつなぐか!ちょっと欲張りすぎた感が強い失点!


弁護人:「吉田が目に入ったせいで判断を誤った…ってのはダメですかね?」
弁護人:「直前の長谷部の寄せが甘い…は無理ですよね…ですよね…」
弁護人:「じゃ、そもそもさっき岡崎が決めていればまだ同点だった…という主張は…あぁ…ダメですか…」


↓さらに前半39分にはロッベンに「ロッベンと言ったらコレ」というプレーで追加点を決められる!


左に寄せてから右のロッベンに展開!ロッベンが左足で狙う!

…という、何度も何度もいろんなところで見せられたプレーが、日本代表相手に決まった!

5分前には似たような形で外したロッベンも二度つづけては外さない!


これで終わればせっかくの強化試合も、せっかくのスタメン変更も、「ダメだった」という結果で無為になってしまう。どれだけ決定機があっても、結果が伴わなければ確信に至らない。不安が募り、迷いを生じ、ブレてしまう。内容だけではなく、結果があってこそ人間は正しい道を力強く進めるもの。今は何より結果がほしい。

そんな「結果」を求める切実さを誰より持っていた男が最前線にいました。代表デビューで結果を出したはずが、以降は特に呼ばれるでもなく、スルーされる日々。そこにめぐってきたおそらく最後のチャンス、そして逆に最大のチャンス。

最近、弱っている日本代表が、優勝候補の呼び声高いオランダと戦う。もしここでいい結果を出せば「あ、この形イイね」「よし、もう時間もないし本番もこれでいこう」「準備終了!」となるのは必定。広く空いたオランダのセンターバックの間を、斜めにスライドしながら、男は結果を出すチャンスを狙っていました!

↓後ろからのボールをめっちゃダイレクトで流し込んだ大迫の半端ない追撃弾!


大迫がずっと狙ってたところにいいパスがきた!

ワールドカップに生き残ったな!

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さぁ、とにもかくにも1点差という現実的な範囲で前半を終えました。苦しいことは苦しいけれど、十分に希望はあります。日本は欧州組をわざわざ日本に呼び戻して行なう試合よりも明らかに動きにキレがあります。出足が鋭く、球際で一歩の粘りがあります。前半終了間際の追撃も、そういう一歩が生んだもの。

そして、日本にはまだ強くなるオプションが残っています。「いつものメンバー」に戻すという最強のオプションが。後半頭から香川・遠藤を投入すれば、フレッシュな状態でアジア最強の攻撃力が発揮される。それも相手はちょっと疲れ始める状態で。何か、いけそうな気がしてきました。

迎えた後半。フレッシュな香川が躍動するピッチ。後半頭のピンチには猛ダッシュで相手のパスをかっさらうわ、ボールをもらえば2人・3人をひきつけながらボールを渡さないわ、前半にはなかった中央での細かなつなぎからの崩しが生まれます。

後半6分には、香川が中央で相手をひきつけてからサイドに送り、自らそれをもらって美しい胸トラ反転シュート。後半8分には、遠藤⇒香川⇒遠藤⇒本田△のシュートという、これぞザックJAPANという組み立てでクロスバーを叩く場面も。シュート、シュート、シュートの連続。前半と違うチームでも見ているかのように、オランダが日本の「急」への変化に対応できません。

そして迎えた後半15分、日本の攻勢が日本代表史上最高クラスのゴールとして実を結びます。

スローインから中央で余裕をもって受けた遠藤。遠藤にボールが渡ると察知するや、右サイドでは内田と岡崎が猛ダッシュ。棒立ちのオランダ守備網をすり抜けると、遠藤からは狙いすましたサイドチェンジのロングパス。ここで深い位置から内田⇒岡崎⇒本田△⇒内田⇒大迫⇒本田△とダイレクト・ダイレクト・ダイレクトの崩し。これが世界と戦うために作り上げた日本代表の攻撃です!

↓これが「ワールドカップのオランダ戦」だったら、日本代表史上最高のゴールになっていた!ファンタスティックゴール!


内田喜びすぎwwwww

そして、ザックは何で苦虫かみつぶしたような顔で何か蹴ってるんだろうwwwww

「キメルノオセーヨ!」とかそういう話かなwwww


解説の松木氏も「うん、こりゃもう勝つね」と断言する試合展開。その解説がノリだけのものではないことは明らかです。ほとんど一方的に、日本がオランダを蹂躙する後半の戦い。身体を入れて五分のボールを奪う。素早い展開と、一気に動き出す選手たち。ダイレクトのつなぎで大男をかわしていく鮮やかな攻撃は本当に魅力的。

↓後半22分、香川マンチェスター真司ユナイテッドとしては決めるべきだった惜しいシュート!


ユナイテッドはこれぐらいやって当たり前!

と、ファンペルシさんも言っていると思います!


そうした攻撃を支える守備の安定。時間が経つごとに中盤の山口の動きがドンドン目立ち始めます。なかなか落ちない運動量。相手との比較ではグングン上がっているようにさえ見えます。ときたま訪れるピンチでは、かなり遠くにいるロッベンを猛然と捕まえに行ったり、相手にパスを出させてから鋭い動きでインターセプトを狙ったり。動いて、奪って、日本の危険なゾーンを封印。

その後ろ盾があれば、遠藤も安心して上がっていけます。オランダのセンターバックが左右に広がり、中盤から下がってきたボランチが組み立てを担おうとするプレーも、遠藤が上がって邪魔することでシャットアウト。相手の嫌がることだけをする…遠藤らしさも存分に発揮されます。

さぁ、あとは勝つだけ。もう十分に手応えはある。ただ、勝ちきれなければ、しぶとい生命力で「オランダはファンペルシがいなかったし…」「向こうは本気じゃないし…」「忘れちゃいけないのは日本は勝ってないってこと…」という声は残るでしょう。この試合の勝利で、そういう雑音を封じよう。封じられるはず。封じたかったのですが…

↓柿谷の逆転ゴールは惜しくも決まらず!


歴史の扉が開いていたのに、くぐらなかったかwww

くぐろうよwwww遠慮せずにwwww

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結局試合はこのまま2-2で終了。日本としては勝ち損ねた試合。まぁ、先制点をミスで与えておいて、そこから逆転勝ちというのは難しいシナリオですので、仕方ありません。ただ、改めて実感したのは、強豪相手でもどこかで自分たちの時間を作り、点が取れるということ。

点は取れるのです。かつての日本代表の悩みであった「どれだけ頑張って守っても点が取れないから勝てないよ」は解決済なのです。あとは取れる以上に与えなければいいだけ。取られるのは諦めるとして、与えるのだけはなくしていきたいもの。「たられば」ではなく、そろそろ「オランダに勝った」とか「イタリアに勝った」と揺るぎない結果を言いたい頃合いですからね…!


次のベルギー戦でいい流れをさらに加速させ、波に乗りましょう!