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2年間、おつとめご苦労さまでした!

冤罪を晴らし、出所したときのようなこの気持ち。何かがオカシイ、俺が悪いのか、俺が問題なのかという自問自答を重ね、自分自身を責めながら「あ、違うわ、マンチェスター・ユナイテッドが悪かったんや」と答えが出た瞬間。香川真司のハチマキを締めたドイツの兄ちゃんが、日の丸を持ったドイツのオッサンが、シャバの入り口で壮大なお出迎えをしてくれていました。

ドルトム香川さん、古巣ドルトムント復帰戦でのゴール。

これまでの2年間は悪い夢だったのだと証明する1点。2013年から2014年にかけて1点も取れなかった選手が、復帰初戦で点を取るのですから、向こうの職場が間違っていたと結論づけて問題ないでしょう。たまたま偶然で取れたり取れなかったりする程度の話なら、1年間キレイにゼロが並ぶわけがありません。

2年間で育てた筋肉が重荷になることもなく、「だよな」「できるよな」「こうだったもんな」と思うプレーの連発。信じてくれる上司がおり、信頼してくれるかつての同僚がおり、愛してくれるお客がいる職場。あるべき環境にいれば、あるべき結果が出るのです。たとえこれがチーム全体の総力を挙げた協力によるものだとしても、「シンジの冤罪を絶対に晴らすぞ」と思ってくれる職場のほうがイイに決まっています。

振り返れば瞼に浮かぶ光景。パスを出すと「さぁ、ひとりで何とかしろ!」という顔で立ち止まる同僚たち。そしてモイーズ氏の顔。ひとりで突破してくることを前提に自分の持ち場で待ち構える同僚たち。そしてモイーズ氏の顔。バックパスから反転して突破のイメージでボールを一旦戻すと、「おや、戻ってきた?」と怪訝な顔で受け取る同僚たち。そしてモイーズ氏の顔。相手DFの間に入ってボールを受けようとすると、「アイツは2枚マークがついているな」と別の選手を探す同僚たち。そしてモイーズ氏の顔。少し遠くにいると手を振っても呼んでも見つけてくれない同僚たち。そしてモイーズ氏の顔。すべて向こうの間違いだったことが証明され、本当にめでたいかぎり。「無罪」と書いた紙があったら、持って走りたい感じですね。

ということで、「よーし、チャンピオンズリーグで直接叩いて向こうの間違いを徹底的に証明するぞ」と思ったら向こうはチャンピオンズリーグに出られないことを思い出したときの温かい気持ちを胸に残しつつ、13日のフジテレビNEXT中継による「ドルトムントVSフライブルグ戦」をチェックしていきましょう。


◆2年間でよかったのは「香川ユナイテッド」というあだ名のハマりだけ!

香川マンチェスター真司ユナイテッドからドルトム香川へ。まだあだ名の更新がしっくり来ない復帰戦。「ドルトムントカ川」という国境に横たわる川みたいなものをイメージしたり、「ドルとムンと香川」とひとりなのに3人みたいな紛らわしさを醸し出したり。いろいろ考えてはみたものの、まだギコちない感じが残ります。改めてユナイテッドの響きの無駄なフィット感、感じます。

スタメンの発表。ドルトムントはロイスを負傷で欠いていることもあり、香川はいきなりのスタメン・トップ下。慣れ親しんだポジションに、全幅の信頼を持って送り出されました。KAGAWAの横断幕を掲げるサポーター。スタンドに揺れる日の丸。スタメン発表のVTRで見せる腕組みポーズも、心なしか自信にあふれて見えます。

↓サポーターからは大カーガーワシンジーコール!


よし、もう一度優勝しよう!

取り逃がしたチャンピオンズリーグも獲ろう!

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そして始まった試合。香川は勢いよく駆け出すと、軽く相手GKにプレッシャーをかけるなど、積極性を抑えられない様子。前半4分には相手4人に取り囲まれた香川にパスが渡るなど、「そういう仕事ができるぞ」という認識は新しい仲間にも伝わっている模様。前半5分には復帰の名刺代わりに、鋭いミドルシュートも放ちます。ユナイテッドではコレを入れるしかなかったシュートですが、ここでは名刺代わりに撃っておくだけでOK。勝負所はもっと奥、ペナルティエリアの中です。

前半9分には、ムヒタリャンがはたいたボールをダイレクトのワンツーで戻し、ムヒタリャンがエリア内へ突破していく場面も。これを感じて、これをともにイメージできる同僚、実にイイ!直後の前半10分、香川が相手に取り囲まれながらリフティングで浮かして突破すると、サポーターからも大きな拍手が。疑いではなく信頼の目で見てくれるサポーター、実にイイ!

前半21分には相手のボールを高い位置で奪ったところから、右サイドへ抜けたグロスクロイツ⇒折り返して香川という惜しい場面も。ここは相手DFが飛び込んで辛くもクリアしますが、グロスクロイツとは早くもホットラインと言っていい関係性を感じます。さすが最高の2年間をともにすごした同僚。心遣い、感じます。

相手のブロックに阻まれて思うように突破が出来ず、前線1トップでのタメも作れないドルトムント。香川も下がってきてボールを受ける場面が目立ち始めます。空きスペースや、動き出した選手を見つけては盛んに指差し、仲間に指示を送る香川。しかし、指示だけでは上手くいかないのが世間というもの。そういうときどうするか。それは自分で動いてやって見せること。前半34分、香川は左サイドでボールを受けると相手守備を引き付けると、左サイドを駆け上がるグロスクロイツへの絶妙なスルーパス!

↓グロスクロイツのクロスにラモスが合わせてドルトムント先制!


上がる味方がいる!

決める味方がいる!

ありがたい!


しかし、引きつづきしっくりは来ていない香川周辺。グロスクロイツと上手く行くのは確認できたものの、中盤いい位置でフリーになってもDFラインからボールが出てくることはありません。手を大きく振り下ろして、ストレスフルなリアクションを見せる場面も。仕方ないので下がってボールを受けに行く香川ですが、それでは本当にいいところは出しづらい。もう少し高い位置で受けてこそ、スペシャルなプレーも生まれるというもの。

それにはもう少しの信頼…新たなに同僚になった選手に対して、自分が何を出来るのか見せていくことが重要。「彼はこういうことが出来るんだよ」と送り出した指揮官の期待に応え、「私は出来ます」と見せつけなくては。必要なのは勝利。それにつながる活躍。つまりはゴール。その瞬間は、前半41分に訪れます。相手の攻撃をカットしてからのカウンターの場面。大きく空いた右サイドをラモスが抜けると、中央へ折り返し。これをムヒタリャンがスルーすると、その先に居たのは香川!

↓決めた香川!復帰戦ゴール!何だ、点って、簡単に取れるじゃないか!


こないだまでは同じ位置にいても、「ファンペルシが決める」か「ファンペルシが外す」の二択だったからな!

普通にムヒタリャンが撃ったほうがチャンスに見えるけど、気にしない!

今日決めさせればKAGAWAは頼もしい新戦力として復帰できるからな!

チーム全体を考えた素晴らしいスルーだ!

※「ムヒタリャン全力の空振り」が正解だった場合、特にイイ話でも何でもないので、それは考えないことにします。


↓ドルトムント公式ツイッターの頭がオカシイ感じに!

何か日本人よりストレス溜まってて、それが爆発してる感じwww

逆にちょっと引くわwww


飛び跳ねて喜びを表す香川。スタンドから起きる大歓声。「日本」のハチマキを締めた兄ちゃんは周囲の仲間をハイタッチし、香川のフラッグを持った兄ちゃんは満面の笑みで旗を振りつづける。人の壁のように競り上がるスタンドから、ピッチに浴びせられる「カーガーワシンジー」の歌声。これ、これ、これだ!これが「香川ってスゴイ!」と思ったときの情景だ!

↓カガワ!シンジ!カガワ!シンジ!カガワ!シンジ!


選手としての価値が全然違うな!

1点取ってもアッチじゃ、「おっ、決めよったな」と思うだけだろ!

「素晴らしい記憶を甦らせ、再び頂点を目指すための英雄の帰還」みたいには絶対にならないからな!

職場選び、かくあるべし!


↓手書きの香川真司のハチマキ、現地で大流行中です!

香川真……吉?言?

右端の縦棒は“」”とかじゃないぞwww

4年間ずっと間違って覚えてたのかよwww

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その後も、香川は前半終了間際にハーフライン付近から、DFラインの裏に抜け出したラモスに絶妙なパスを送り、あわやという場面を作ります。ラモスのトラップさえ上手くいけば、GKと1対1になるところでした。これがGK⇒香川⇒ラモスというたった2本のパスで生まれたチャンスというのも、今後に向けて「攻撃の創造性を生み出す香川」としての存在感を高めるイイ攻撃。「とりあえず香川に渡せ」的に、新たな同僚からの信頼感もグッと高まりそうです。

結局、この日は後半64分に足をつって退いた香川。とは言え、本来なら「初戦は短い時間で慣らしながら」となるものですし、まずはこんなところでしょう。「初戦から足がつるほど走り、チームを勝利に導いた」と考えれば、悪くない話です。ドルトムントさんは「シティじゃないほうのマンチェスター・ウェストハムでもニューカッスルでもないほうのユナイテッド」とは違って、まだカップ戦も欧州CLも残っていますからね。ここで無理する必要はないですからね。

短い時間ながらもしっかりと存在感を示したことで、チームへのフィットも早そうです。すでにグロスクロイツとはホットラインが出来ていること。後半開始から立てつづけにムヒタリャン⇒香川という連携が見られ、この関係性は非常に攻撃を活性化させそうなこと。さらに、1トップに入ったラモスとも互いにチャンスを作り合う形になったことで、いい関係が始まりそうなこと。単純な数字以上に収穫のある復帰戦だったのではないでしょうか。

個人のプレーとしても、以前在籍した際はエリア内まで攻め上がったところで最後にチョンと触るところに多くの素晴らしい場面があったわけですが、「ひとりで何とかしろ」世界で揉まれた結果、プレーする地域も広がり、実際にひとりで何とかする場面も増えたように感じます。「怪我したことを今ではよかったと思っています」くらいの感じで、苦しい2年間があったからこその成長と受け止められたら、いくぶん気も紛れるかもしれません。この成長を直接見せつけるためにも、一年でも早く「シティじゃないほうのマンチェスター・ウェストハムでもニューカッスルでもないほうのユナイテッド」にも欧州CLに復帰してきてほしいものですね。

↓2年間の幽閉を終え、自由になった王の帰還だ!

おめでとう!お帰りなさい!

次はチャンピオンズリーグで、アレより上位のチームであるアーセナルを撃破だ!

アレより上位のチームを叩けば、アレを叩いたも同然だろう!

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なお香川さん出所後の牢屋にはディマリアさんが幽閉された模様です!