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さぁ、ルールのお勉強の時間です!

連休で頭がボーッとする4日、プロ野球でも頭がボーッとするプレーが生まれました。「なるほど!7回裏に2点追加して6-3のリードを築いたくせに、直後の8回表に3点取り返され、何やかんやで最後10-6で勝った西武のバカ試合のことですね!」という声も上がりそうですが、違います。4日の広島VS巨人戦での、「インフィールドフライでサヨナラ勝ち」という一件のことです。

このプレーが生まれたのは9回裏・広島の攻撃、1死満塁の場面でのこと。代打・小窪が高く打ち上げた打球は、キャッチャーの目の前ぐらいに上がります。三塁塁審がこれをインフィールドフライと宣告したのですが、巨人の守備はお見合いの末に落球。すると、ハーフウェーにいた広島の三塁走者・野間は本塁に突っ込んできます。ボールを拾った巨人のフランシスコは、捕球すると本塁を踏んで一塁に転送する素振り。しかし、これはインフィールドフライだったことで、本塁に突っ込んだ三塁走者をアウトにするにはタッチが必要でした。タッチがなかったことで走者は生還。そのまま広島がサヨナラ勝ちとなったのです。

この決着をめぐって場内は騒然とします。ルール上は何ら問題のないプレーですが、混乱を生んだのは球審が落球後に「フェア」のジェスチャーをし、さらにフランシスコが本塁を踏んだことに対して「アウト」のジェスチャーをしたこと。広島は「オカシイじゃないか!インフィールドフライだろ!」と抗議をし、審判団も確かにオカシイと認めて判定を覆しますが、今度は巨人側が「何だそれ!(※何が起きたかよくわかってないの意)」の猛反発。もちろん判定が再度覆ることはなく、巨人側は頭に「?」を浮かべ、広島側はとっとと帰宅するという、不思議幕切れとなったのです。

確かに、紛らわしい動きをした球審は悪い。走者にタッチしなかったフランシスコも悪い。そうした目立つやらかしは突き上げられるのは仕方ないでしょう。しかし、目立たないところでも反省すべき点はあるのではないか。球審やフランシスコさんの痛みをみんなで分かち合うべきではないのか。そうした義憤によって、僕は立ち上がりました。アヤしい動きをした関係者を丁寧に、ねちっこく洗い出していくことを胸に誓って…。

ということで、間違いパイヤ&カンチガイシスコを生んだ背景には落球・男や傍観松、そして黒幕ソンがいたことを、4日のBSフジ中継による「広島VS巨人戦」からチェックしていきましょう。


◆マイナス×マイナス×マイナス×マイナス=プラスになった感覚!

まずは問題のプレーを確認するところから。飛球が上がり、村田とフランシスコが落下点に向かっていく場面。まだ画面内にボールが入ってこないくらいの段階で、三塁塁審はインフィールドフライのジェスチャー(上空を指したあと、打者アウトを宣告)をしているあたり、問題の出発点としてご確認ください。

↓「インフィールドフライのときどうするんだっけ?」をめぐる大混乱!


三塁塁審:「(インフィールドフライ!)」
フランシスコ:「オーライ」
村田:「あっ、俺のほうにきた」
村田:「やべっ、落とした!」
球審:「フェア!」
野間:「フェアか、進塁するしかない!」
フランシスコ:「慌てるな、俺が拾う」
フランシスコ:「本塁を踏んで貴様はアウトだ」
球審:「本塁を踏んでフォースアウト!」
フランシスコ:「オーケー、一塁に投げるぞ!」
石井琢朗:「ちょっと待てちょっと待てお兄さん」
石井琢朗:「今のはインフィールドフライだろ!」
野間:「?」
實松:「?」
球審:「?」
三塁塁審:「インフィールドフライ宣告しました」
球審:「ハッ!」
球審:「セーフ!セーフ!セーフ!」

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確認のため、インフィールドフライについての野球規則を見ていきます。まず発生する状況は「無死または1死で、走者が1・2塁もしくは満塁」で「飛球を内野手が普通の守備をすれば捕球できる」場面です。インフィールドフライは守備側が意図して落球することにより、多くのアウトを奪うプレーを防ぐためのルールということなのでしょう。これ以外の状況では、守備側が落球してもアウトを増やすことは難しいためか、インフィールドフライとはなりません。(例:1・3塁では落球しても進塁義務のある1塁走者が死んで、打者走者と入れ替わるだけなので守備側に得がない)

<インフィールドフライについての確認>
●無死または1死で、走者が1・2塁もしくは満塁の場面である

●内野手が普通の守備をすれば捕球できる飛球である
※ただし、ライナーやバントによる飛球はのぞく
※実際に捕球を試みるのは内野手でなくてもよい

●上記の場合、審判員の判断によりインフィールドフライを宣告する
※誰が宣告してもよい

●宣告によって打者走者はアウトとなる

●もし故意に落球しても打者走者のアウトは変わらない
※ただし、ファウルになればインフィールドフライにはならない(打者走者もアウトにならない)

●宣告後もボールデッドとはならず、プレーは続行される

●打者走者がアウトになるので、走者は進塁してもしなくてもよい
※ただし、進塁する場合は、守備側が捕球したときはリタッチしてからでなければならない(通常のタッチアップと同様)

この場合、三塁塁審は確かにインフィールドフライを宣告していますので、その時点で打者走者の小窪はアウト。満塁のランナーは進塁義務はなくなり、落球したとしてももとの塁に留まってOKです。本来なら、落球したあとも何事もないかのように、二死満塁となっていればよかったところ。

ところが、ここで複数のカンチガイが同時多発的に発生します。まず、球審はこの打球をインフィールドフライと宣告せず、三塁塁審・二塁塁審のコールにも気づかなかったこと。そして、捕球したフランシスコがインフィールドフライかも?ということには思い至らず、ただのゴロと同様にホームをフォースアウトと思ってしまったこと。さらに、三塁走者・野間もインフィールドフライかも?ということには思い至らず、満塁だから走ってしまったこと。マイナスとマイナスを掛けるとプラスになるように、カンチガイの連鎖がサヨナラにまでつながったのです。

しかし、目立つところだけを叩いて終わりでいいものか。みんなそれぞれに問題点はあるんじゃないのか。ていうか、映っている範囲でちゃんとしている人間は誰もいないんじゃないのか。VTRを繰り返し見るにつれ、「全員が犯人」という疑念が強く立ち上ってきたのです…!

↓よくよく考えたら全員何かがオカしいんんじゃないか!?
●球審【インフィールドフライ宣告せず】
そもそもどう見てもインフィールドフライの飛球に対してインフィールドフライを宣告せず、塁審のジェスチャーにも気づかなかった、すべての元凶。これだけ気持ちよく「アウトー!」と言われたら、誰だってカンチガイする。抗議を受けても「アウトー!」を連呼し、三塁塁審が「私インフィールド言いました」とやってくるまで華麗に「アウトー!」しつづけた。本人は「あのアウトはバッターアウトの意図でした。てへぺろ」と言うかもしれないが、それならそれで三塁走者にセーフのジェスチャーをすべきで、何かを完全に忘れていたことは明白。一応、言い訳として「満塁だというのを忘れてました。てへぺろ」「アウトカウントをツーアウトと思っていました。てへぺろ」という手もあるので、「インフィールドフライの存在を忘れていました」という本音に比べて、どれが一番みっともなくないか好きなのを選んでほしい。

●フランシスコ【タッチせず】
球審がフェアとジャッジしたという前提に立てば、本塁を踏むだけで終わったことは仕方ないとも言える。が、インフィールドフライと宣告しているかどうかを上を向いたまま確認するのはそもそも難しいので、あの飛球を落球した場合は、何もなくてもインフィールドフライ前提でタッチプレーだと思うものではないだろうか。にもかかわらず、三塁走者が突っ込んでくるのを見て「ホーム踏もう」と改めて決断した動きは、球審に救われただけの隠れた凡プレーとして味わい深い。「俺が捕るぞぉぉぉぉぉ!」の派手なアクションからの「やっぱやめました」直前スルー落球や、「仮にフォースアウトが成立していたとしても、あれだけ高く上がった飛球で一塁に投げてもどうせ間に合わないんだから、二塁走者を殺すために三塁を見るべきでは?」という素朴な疑問など、全体的にわかってなかった感強し。言葉が通じない異国で悶々とする夜に違いない。

●野間【ゆったらいくでしょ】
ツイッターで「主審フェアーってゆったらいくでしょ」「インフィールドってゆってたらいかないし、まあよかったよ!勝って!」と走塁の意図をゆった。その意味では何ら問題のない走塁だったとゆうべきところ。「ゆったらいく」「ゆわなかったらいかない」というのは実に明快な判断基準だとゆえる。とはゆえ、これは信号機に従って走ったというだけの話で、アウトのジェスチャーを見たあとも「この打球はインフィールドフライじゃないんですか?オカシイでしょ!」的な文句をゆう様子は見受けられない。よくわからないまま暴走したら勝手に上手いこといっただけの結果オーライと見た。





●三塁塁審【大声出ず】
ジェスチャーはしたものの、三塁走者にもそれが伝わっていないのはいかがなものか。本件の抗議に真っ先に向かった石井コーチも、「実はこの時、三塁塁審が手を挙げていたことを誰も気づいてない。声もなければ、フライが上がっているのはキャッチャーの前ですから」とブログに綴っている。「やべっ、あの球審すっかり忘れてる」と気づいた時点で、もっとデカイ声で何度も宣言すべきだった。

http://takuro.aspota.jp/2015/05/post_2377.html

●實松【傍観しかせず】
落球前の段階で三塁方向を見ており、塁審のジェスチャーを確認するチャンスがあったが、見落としたかルールをカンチガイしたか、落球後のフランシスコの処理に対してノーリアクション。もし三塁塁審を見ていれば、石井サードコーチも三塁走者・野間も塁審のインフィールドフライ宣告に気付いていないのだから(気付けば三塁に戻っている)、容易にアウトをとれた。落球したボールを、どう見ても守備がアヤしそうな新外国人に委ねてしまう引っ込み思案な感じもいかがなものか。

●村田【我、関せず】
そもそも論として、村田が捕れば「球審の誤審があったとしても」何の問題もなかったプレーであることは忘れて はいけない。故意かミスか、それを落球したこともさることながら、その後「ファウルになったらインフィールドフライでなくなる」という意図でのボールへの 突っ込みは人任せにし、フェアならフェアで「タッチしなければ三塁走者をアウトにできない」という正しいアドバイスを言うでもなく、無関係風にしばし傍観 したうえで現場を真っ先に立ち去った。まさに「見殺し」の姿勢。ベンチでフランシスコをチラッと見る視線には「お前やっちまったなぁ」感が強く滲むなど、「自分が打ちよらんから球団が新しい外人をとってきた」という意味での自身の責任についても完全にガン無視を決め込む。


みんながみんな責任がある!

ていうか、次打者も走者も何が起きたかわかってないだろ!

わかってたら三塁走者がかえってきた時点で喜ぶか、アウトについて怒るかどっちかになるはず!

みんなで痛みを分け合おう!

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しかし、もっとよくよくVTRを見直していくと、首尾よく逃げおおせた隠れ犯人の姿が浮かんできます。何やかんやあったおかげで、責任の所在を問われることなく逃げ切った男。そもそも、何故インフィールドフライが発生するような状況になったか、その部分での責任を負う男。その男はひとりすべてを把握しながら、味方を救うでもなく、取り立てて責任を問われるでもなく逃げおおせました。村田らほかの選手では言葉が通じなかったかもしれないフランシスコさんに、英語で「違いますよ」と教えられたかもしれない、唯一の可能性を持つ男が…!

↓すべてを知りながら、後ろで「アチャー」と思っていただけの男がいた!
●マシソン【フランシスコ助けず】
別に自分が捕ったら悪いということはない中で、實松同様すべてを把握できる完璧なポジションから、「あっ…ランナー飛び出してますよ」(※微弱)、「二塁塁審がほらジェスチャーしてますよ…」(※微弱)、「あ…戻ってきちゃった…」(※微弱)と弱々しいアドバイスを送りつづけた。さまざまな凡プレーによって、 「ていうか、こんなにピンチ広げたのが悪いんちゃう?」という指摘にまで世間の手が回らなくなって逃げおおせた、隠れ黒幕。


そもそも走者が出なければインフィールドフライもない!

三塁まで埋まっていなければカンチガイ生還もない!

みんなが少しずつ悪かった!みんなで責任を感じよう!

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なお、インターネット界隈では何故か「新井が悪い」の声も多数ある模様!