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それでも最後に勝つのは鹿島アントラーズだ!

長きに渡って目の前を覆ってきた暗闇が晴れていくかのような爽やかな気持ちです。FIFAクラブワールドカップ決勝、鹿島アントラーズは欧州王者レアル・マドリードに敗れました。延長まで戦い抜いて最終スコアは2-4。やはりレアルは強かったし、チカラの差は歴然だった。

ただ、ここまで鹿島が細く長い道をたどってきたように、「レアルを倒す」という未来は、今いる道の遠く遠く遠くにあるのだということをハッキリと認識できました。クラブワールドカップ決勝という掛け値なしの真剣勝負の場において、鹿島にはレアルを倒すチャンスがあった。ゼロではなく、相当に大きな割合であった。

絶対に届かない道ではない。

日本サッカーの未来を考えるときに「日本化」「日本人らしいサッカー」「独自のスタイル」というものを模索することがたびたびあります。その試みは幾度も持ち上がり、そのときどきにおいて形を変え、やり方すら変えてきました。しかし、焦点が当たるのはいつもサッカーのやり方、大ざっぱに言えばシステムの話でした。

確かにシステムは重要です。DFラインに人が何人いて、とか。FWの人数は何人で、とか。そこに伝統を作り上げるチームや国は確かに多い。しかし、それはまだ上っ面だったのではないか。根底にあるスピリットの部分、自分たちは何を目指すのかという部分に太い芯がなかったことが、何度も何度も「日本化」などということを言い出す弱さだったのだと、鹿島の戦いを見て腹落ちさせられました。

鹿島はレアルを相手にしても何も変わらなかった。いつもと同じ鹿島で奇策は何もなかった。思えば、鹿島はいつもこうです。選手が変わり、時代が流れても、いつもこんな感じ。美しさよりも勝利にこだわり、どれだけ高い技術を持つ選手も泥臭く労を惜しまず、どんな局面・状況にあっても瞬間瞬間の最善を尽くす。鹿島らしさがある。

ジーコスピリットというものが何なのか、いまだに僕にはよくわかりません。しかし、ジーコスピリットという言葉がいまだに息づいている状況は「異様」と言ってもいい。いつの時代の選手だよ、と。辞めて何年経つんだよ、と。忘れられてもオカシクない、今の高校生なんかはサッカーしているところを見たこともないような選手の残したものを、鹿島はいまだに心に留めているのです。

その継続性こそが鹿島の強さである、そう実感しました。

サッカーにおいては成功も失敗も日々あるでしょう。そこから得る喜びや教訓も日々あるでしょう。弱いチームは、それをイチイチ忘れては、また学び直している。しかし、鹿島はそのひとつひとつを受け継ぎ、血肉に変えて、少しずつチームに上乗せしていっている。ジーコスピリットを忘れないように、勝った記憶や、負けた記憶を伝統として受け継ぎ、心に留めている。

鹿島が何らかの策を持って「鹿島化」したのではなく、成功体験や教訓・反省を積み重ねるなかで、自然とそうなった姿が鹿島なのだと。ならば、日本も「日本化」するのではなく、やがて「日本」になるのです。そこにたどりつくには多くの時間と経験が必要なので、イチイチ忘れてしまうようでは、そのたびにまたスタートライン付近からやることになって、なかなかたどりつかないだけで。

鹿島はジーコスピリットを1991年から足掛け25年、実に四半世紀やっています。四半世紀もやってみたら、レアル・マドリードと「たられば」の位置にまで来れてしまったのです。25年、やってみよう。50年、やってみよう。過去を否定し、クビを挿げ替えて「生まれ変わり」ばかりを求めるのではなく、よくない時期も含めてすべてをチームの血肉としていく継続性こそが、細く長い道の果てへと自分たちを連れていく。

自分たちにとって、大切なもの。

それこそが「●●化」の最初の一歩。

鹿島にとってのそれが「勝利」であるように、「美しさ」でもいいし、「楽しさ」でもいいし、「地域とのつながり」でもいいし、極端な話「金儲け」でも構わないけれど、どんなに辛い日でもそれだけは譲れないという芯を自覚して、太く伸ばしていくこと。途中に通る道が砂漠であろうが、火山帯であろうが、大都会であろうが、歩きつづければいつかは海に出る。そういう気持ちで歴史を作っていくことが、大切なのだろうと思いました。

鹿島アントラーズはきっとこの日の敗戦もチームの血肉と変えていくことでしょう。「俺たちがレアルと戦ったときはなぁ…」といつまでもクチを酸っぱくして言う面倒臭い先輩と、地域のジジババを従えて。「いつの日か、レアルを倒して世界一になる」という目標を持った鹿島アントラーズは、この試合で未来を変えたはずです。この悔しさを受け継いでいく鹿島アントラーズなら、きっと未来は変わっている。タイムマシンで確認したなら、何百年か後に、鹿島アントラーズが勝って世界一になる日を見られるはず。

サッカーとは最後に鹿島が勝つスポーツである。

「最後」が来る前に僕やあなたは死んでいるかもしれませんが、受け継がれるスピリットは永遠なのです。

ということで、仕留めるチャンスを逃した悔しさを大事に噛み締めながら、18日の日テレ中継による「FIFAクラブワールドカップ決勝」をチェックしていきましょう。


◆ロナウドいれば勝てたけど、ロナウド獲るには金がいる!金くれ!

クリスティアーノ・ロナウドがいる世界一のチーム。指揮するのはかつて世界一の選手であったジダン。有名人の名前を挙げ始めたら結局全員になってしまうという眩しすぎる銀河系軍団。こんなのと対峙したら、勝つとか負けるとかに以前に、サインが欲しくなる。「戦う前に頼みがある。今日のユニフォームにサインをくれ」くらい言ってしまいそうな気がする。「何で、俺、今、レアルと一緒に入場口にいるんだろう」と夢心地になってしまいそう。

しかし、茨城の原野で煩悩を断ち切り、すべての情報を遮断してきた修行僧たちには、レアルの眩しさもまったく影響を及ぼしていませんでした。下手したら「あんた誰?」と言い出しかねないくらい、レアルにまったく興味のない男たち。鹿島アントラーズ、日本で一番「この1試合」に強いチーム。その戦いは、何から何までいつもとまったく同じでした。

前半立ち上がり、まずキャプテン小笠原がカゼミーロにガツンと当たって悶絶させます。ワールドクラスに対しても、やることは何も変わりません。小笠原ならもしかしてリアルにカゼミーロを知らないという可能性まで想起される、普段着のプレー。解説席の岡田武史氏も「いい入りかた」と評する、真っ向勝負でひるまない気持ちの強さを感じます。

とにかく鹿島というチーム、球際が強い。もちろんレアルより強いというほどではないのですが、アッサリと外されるようなことはなく、まとわりつくように粘っこくしつこくついてくる。何をするときにも簡単にやることはありません。とかく「強く当たれ」というと、体当たりだけに気がいってそこでプレーが終わってしまうタイプが多いですが、鹿島は次・次・次と何事も一回で終わらないしつこさがあります。

↓そんな鹿島の頑張りとは関係なく、レアル・マドリードは前半9分にアッサリ先制!


うわー、簡単に入った!

やっぱレアルだな!

日本の田舎のチームが何夢見てんだよ!

ありがとう、お疲れ様、鹿島アントラーズ!

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僕は早くも諦めました。「負けた負けた」と。相手も相手ですし、アッサリでしたし、パッと夢から覚めました。ところが、鹿島はまったく変わらない。喜んでこそいませんが、気落ちすることもなく、また普通に攻めていく。何でしょうこの、Jリーグでもやっているかのようなノーショックの立ち直りは。レアルに1点取られたらちょっとくらい絶望感が生まれそうなものなのに、「0-1か」「1点ビハインドになりましたな」「1点取らねば」という態度は、一体何なんだと。

しかし、絶望しないでいると、また違った景色も見えてきます。レアルはちょっとラクをし始めました。寒いし、相手も弱いし、怪我でもさせられたらかなわんし、大した金にもならない試合で「それなり」の戦いを始めたのです。ワンツーを仕掛けられても一生懸命追いかけない。誰かがドリブルで持ち上がっても、それを追い越していく味方がいない。「流してやっても勝てるべ」という態度で、スター気取りの戦いが始まった。

これによって鹿島は「90分ガツガツやられたら、さすがに身体がもたない」という現実的な問題を、実に45分にも渡ってごまかすことができました。実際問題、ガツガツやられたらダメだろうなというのはパッと見にも明白です。まず何もかもが相手のほうが速い。特に感じたのは単純に走る速さが全然違う。相手がドリブルでスピードに乗ったら、コッチのダッシュで追いつかないのですから。そこに技術や戦術の差が乗ったら、これはとてもまともに受け止められません。

「とにかくスピードに乗せるな」という徹底した戦い方。そのキーとなるのは、相手がボールを持ったときに絡みつくことです。単純に走らせないし、次の選手がスピードに乗れるような正確なパスを出させない。鹿島はその点では本当に上手い。「止める」のではなく「絡む」のが上手い。「止める」ではないので、手で強引にひきずり倒すような純情なファウルや飛び込んでかわされるようなプレーは少なく、身体を寄せて最後までまとわりつきます。自分が1秒稼げば、味方が戻れるかもしれないという「鹿島流の時間稼ぎ」の意識は、すべてのプレーで息づいているのです。

そんな我慢の試合の中、勝負所での一発にかけるのが鹿島流。いつでもいいわけではなく、ここぞというときにかける試合運びの上手さもまた、鹿島らしいところです。レアルをローペースに押し込めたままで迎えた前半44分、「何かが起きても、もう時間がない」という状況で柴崎が魅せます。左サイドでの土居の仕掛けから中央に送り込まれたボールを、柴崎が大きくトラップすると、それがレアル守備陣の後ろへポロリとこぼれます。味方がさりげなく壁を作って寄せを妨げると、柴崎が自分でこぼれに走り込んでズドン!

↓鹿島アントラーズ、レアル・マドリード相手に柴崎のゴールで同点に!


柴崎のゴールもスゴイけど、その直後に石井監督が時計指差して「もう終わりだぞ」って指示してたのに痺れたわ!

コッチはまだガッツポーズで「ウォーーー」言ってたのに!

時計ばっかり見てるなこのチーム!

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迎えた後半。鹿島の面々は先に入場口で待ち構える格好に。レアルは何をしているのか。予想大本命の「説教頭突き」でもされていたのか。まさか、こんなこっ恥ずかしい感じで前半を終えることになるとは思いもよらなかったでしょう。「俺たちゃ遊びで来てんだぞ!」とでも言わんばかりの怒りが、その目には充満しています。

その怒りに、ある意味で余計な火を点けてしまったかもしれません。後半7分、相手の浅いクリアをかっさらった柴崎が、都合3人を相手にしながら、倒れない強さと鋭い振り抜きを見せて、まさかのミドル弾で勝ち越してしまったのです。柴崎岳、バルサ入り決定的となる衝撃のミドル。レアルから2点を取って、世界一まで残り40分。うわ、ヤバい、勝ってしまう!鹿って島う!

↓柴崎さん、おめでとうございます!海外移籍決定的ですよ!


これは世界にシバサキが気づかれてしまったな!

日本代表監督が認めるより先に世界に気づかれてしまったな!


これが後半45分とかでの勝ち越しなら、きっと鹿島が世界一でした。しかし、相手にはまだ十分な時間があり、エンジンをかけるだけの余裕があった。時間を追うごとに上がってくるレアルと、時間を追うごとに疲れていく鹿島。40分あまりも残した状態で、相手をカーッとさせてしまったのは、この試合唯一の「拙い」試合運びだったかもしれません。入っちゃったんで、しょうがないですが。

↓カーッとなったレアルは直後にPK奪取で同点に追いつくと、ボコボコに攻め始める!


クリスティアーノ・ロナウド早っ!

PKで蹴ったボールも早っ!


まぁそこからのボール取れないこと取れないこと。クロースのところはまったく取れず、モドリッチからはスカスカのところにスコンスコン通されるし、ベンゼマにはふたりで絡んでもぶっちぎられるし、イスコがボールを離すまでイスコからボールが取れない。隠しているチカラにはだいぶ差がありそうな実感も。ドーンと蹴り出したのがたまたまファブリシオの前にこぼれて、相手GKが飛び出した場面があったくらいで、ボッコボコに攻められます。

↓基本に忠実にボールが前に行ったぶんラインを上げたので、たまたまオフサイドにできたけれど、もう鹿島ゴールは破られそう!


ミスで外してくれるのはマルセロさんだけや!

マルセロさんのマークを外してマルセロさんに撃たせるしかない!


必死に耐える鹿島。身体を寄せる粘りで、何とか最後の一歩を妨げ、辛くも逆転を許さないだけの防戦。それでも、これもまた鹿島らしい戦い。この粘りで幾多の逆転勝利をもぎとってきました。押されているからと言って必要以上に焦ることはなく、高い集中力で、できることを懸命にやります。

特にCBでDFを指揮する昌子源は素晴らしかった。何故この選手が日本代表の中心にいないのか不思議になるほどに。もし、別の選手だったら、とっくにオウンゴールかPK献上で、決定的な3失点目をしていただろうに。もう大体このチームでいい。ここに大迫と復調予定の内田を入れれば、大体完成する。どのポジションを見ても日本代表クラスか、それ以上の強さを見せる鹿島アントラーズというチーム。さすがJリーグチャンピオン、非常に誇らしいです!

そんな鹿島の粘りが、後半最終盤に勝機を引き寄せます。後半43分、ファブリシオの強烈なシュートが相手ゴールを襲う。後半44分には、裏に抜け出した金崎がGKと1対1でシュートを放つ。さらに、後半45分には、鹿島のカウンターを止めようとしたセルヒオ・ラモスが背後から手で突き倒すタックルで金崎を倒し、主審がポケットに手を入れる場面まで。すでに1枚カードをもらっているセルヒオ・ラモスは退場となるはずの場面でしたが、主審は何かを思い直すように手をポケットから抜き、レッドカードを出すのは思いとどまります。

↓こういうときこそビデオアシスタントレフェリーから一言あるべきだろ!


杓子定規に裁く日本の家本主審なら迷わず2枚目のイエロー&レッドだぞ!

人を見てからカードを出すな、カードを出してから人を見ろ!

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後半最後の最後には、クロスが裏に抜けて遠藤がシュートを放つ場面もありました。このどれかを決めていれば、鹿島の勝ちはあり得た。「たられば」ですが、堂々と言います。「1本入っていたら」「1本決めていれば」」鹿島の勝ちはあり得た。「たられば」の段階まで鹿島はいっていた。「どうやっても負けてますやん」ではない、判定やミスにクドクド言いたくなる段階まで。

これは大いなる勝利と言っていいでしょう、現時点では。延長戦に入れば追加でメンバー交代が可能になる変則ルールや、そもそも論として「クリスティアーノ・ロナウドがいるかいないか」という点で、レアルが地力に勝るのは明らかです。時間をかけるほど、番狂わせを起こすチャンスは減っていきます。主審がカードを出すのをためらったことを含め、「鹿島が勝つなんて誰も思っていない」程度の段階では、よほど上手くやらないと勝ち切れるものではありません。

延長前半5分にはカウンターでファブリシオと金崎が攻め上がる場面があり、もし中央でフリーの金崎にパスが出ていれば…という最後の「たられば」もありましたが、延長30分をやることが決まった時点で、どっちみち負けだったのかなとも思います。鹿島の動きは明らかに鈍り、まとわりつくことすら難しくなっていました。一方で、この時間帯になってむしろレアルは元気であり、クリスティアーノ・ロナウドはようやくクリスティアーノ・ロナウドになってきました。まるでシュートのような縦パスをワントラップでビシィッとコントロールし、鋭いシュートをゴールに突き刺してしまう。勝ち越しゴール、さらに追加点。何やかんやでハットトリックしてしまう姿には、これが世界トップのスーパースターなんだと、素直に感心するばかりです。

↓終了ーーーーー!!クラブワールドカップ終了ーーーーー!!


やっぱロナウドさんは違うな…!

ロナウドさんが目覚める前に勝つしかチャンスはなかったな…!


いやースゴイ。さすが誰でも知ってるスーパースター。こういうことができるから、スーパースターなんですね。こういう選手を自軍に置くためには、幾多の勝利が必要で、幾多の歴史が必要で、それに基づく膨大なファンと膨大な金が必要です。鹿島アントラーズも日本では最高峰の伝統あるクラスですが、レアル・マドリードと比べれば青二才もいいところ。残念ながら、ロナウドさんを手元に置くチカラはありません。その差が試合を決定づけました。

それでも鹿島は最後まで立派に戦いました。負けても満足とか、ユニフォームくださいとか弛緩することもなく、残されたチャンスを最後まで追いました。こういう戦いをしたチームには、「次は勝つ」と言う資格がある。遠い道のりですが、ACLを獲って、再びこの舞台を目指すに足る資格がある。今度は「レアルに勝つ」と言っても、鼻で笑う者はいないでしょう。「たられば」で勝ちそうだったチームなんですから。

すごく難しいとは思いますが、鹿島アントラーズの目標として「打倒レアル」「クラブ世界一」を胸に留め置いてほしいと思います。世界に名だたる経済大国で、一生懸命サッカーやってるんだったら、チャンピオンくらいは世界のトップを目指す気持ちでいてほしい。国内18冠も獲っているなら、世界のタイトルも欲しくなってもらわないと困る。そこは王者の「責務」として、目指していって欲しいと思います。逆転されたあと、急にレアルが強くなったのは、王者の責任感みたいなものから出てきた底力なんだろうと思いますので。「負けるわけにはいかない」という。何せ、向こうは100冠超えだそうですから!

↓表彰式では、殊勲の柴崎がロナウドさんと並び立った!柴崎をこのまま鹿島だけの柴崎にしておくのは日本のためにならない!

振る舞いは静かだけれど、身体を張って戦い、しかも決めるところで決める!

声と態度がデカイやつが闊歩する現代社会で、見逃されがちな光は茨城県の原野で静かに灯っている!

わりといつも!


ありがとう、お疲れ様、Jリーグチャンピオン・鹿島アントラーズ!