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やっぱりマリオカートが一番面白い!

「とにかくホンダがクソのように弱い」という噂だけが伝わっている昨今のF1界隈。フジテレビの中継に対する意欲は日々減退をつづけ、DAZNでは別に囲い込もうとまでしていないのに、来年あたりは「結果的に」DAZNに囲い込まれてしまうんだろうなぁという未来がクッキリと見えてきています。ふってわいたように「日本人ならインディやろ!」というお誘いもあり、乗り換え民も多発していることでしょう。

しかし、そんな暗いF1界隈に差し込んできた一筋の光。25日に行なわれた2017年のF1・第8戦アゼルバイジャンGPでは、何とマクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソさんが9位に入り、今季初のポイントを獲得したのです。おめでとう!アロンソさんおめでとう!2ポイントおめでとう!

去年もおととしもポイントはチョボチョボ獲ってはいたものの、それは「マクラーレンなのに何たる有様」というバッドニュースでした。しかし、もはや空気もガラリと変わりました。現在のマクラーレン・ホンダは押しも押されぬぶっちぎりの最下位チーム。アゼルバイジャンGPが始まる時点での獲得ポイントはゼロ。ちなみにトップのほうは200点くらい獲っています。もうそこを見てはいけない。エベレストのふもとからエベレストのてっぺんを見るような気持ちで、「高いなぁ」とだけ思っていればいい世界。そこに2点がやってきた。これはもう拍手喝采のガッツポーズです。

わずか2点、たった2点ではあるけれども少しずつ、少しずつ状況は元気だった頃に近づいてきています。前戦カナダGPではレース終盤までアロンソさんがポイント圏内を走りました。惜しくも残り3周でパワーユニット(※いわゆるエンジン)がぶっ壊れましたが、ある程度やれるなというところを見せていました。さらにひとつ前の第6戦インディ500では、アロンソさんは一時トップを快走するなど、気を吐きました。ホンダはともかくとして、アロンソさんには上昇気流が漂ってきていた。

そこにようやくホンダも足並みをそろえてきた。今のF1はとかく信頼性・信頼性なのですが、ホンダのパワーユニットはバブル期のアプローチで「壊れてもいいじゃない!速ければ」という清々しさを備えています。問題は遅くて壊れるということだけです。ホンダ魂を持つスタッフたちは「なんでかなー?」「計算上のデータと実測値があわない…」「うーむ」という数々の技術的問題をクリアし、日進月歩でバージョンアップ中。往年のファンを「風洞の設計が狂ってた年の既視感…」とホッコリさせています。

ちなみに、昨今のF1ではエンジン等を交換したりすると信頼性至上主義に反するということで決勝のスタートグリッド(順番)が降格させられたりするのですが、アロンソさんのマシンは容赦なく新型エンジンを積んだり外したりまた積んだりするので、このアゼルバイジャンGPでは「予選順位から40グリッド降格」というペナルティを課せられました。全部で20台しか走らないなかでの40グリッド降格。ゾンビが「俺はもう死んでるから何をされてもノーダメージ!」と言っているような無敵感さえあります。

↓なお、マクラーレンチームは前戦カナダGPで行なわれた「チーム対抗!伝統のイカダレース」に勝利!今季初の勝利をあげています!


アロンソ:「9月までに優勝できたら残留するで」
スタッフ:「イカダレースで勝ったで」
メディア:「アロンソの残留決定!」

おぉぅふ…朗報やの…!

哀しみを笑いに変えて生きろ、強く!

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そして迎えたアゼルバイジャンGP。コチラはアゼルバイジャンの首都バクーの市街地を走るレース。昨年のGPでは時速378キロというF1最高速を記録したパワーサーキットで、海岸沿いを走る2キロ超の区間はほぼ真っ直ぐというレイアウトになっており、パワーユニットのチカラが大きく結果に影響を与えると見込まれます。要するに「ホンダエンジンじゃ、ダメそう」ということです。

40グリッド降格だし、予選結果もいつもと変わらないし、バクー市街地コースだし、まぁ捨てレースと言ってもいいテンション。ということで、現行のものより0.3秒ほど速いと自称するVer3のエンジンも投入を見送られました。まぁ「ココは捨てて、次で頑張ろう」くらいの意気込みです。

しかし、フタをあければ話は違っていました。最後列からのスタートとなるアロンソさんですが、この日はそれすらもラッキーに変えてしまうような風が吹いてくるのです。レース開始の1コーナー、狭い市街地コースということもあって先頭のほうでマシンが接触し、壁にたたきつけられるという派手なクラッシュが発生。さらに後方でもコース上でスピンするマシンが出るなど、混乱をきたしています。アロンソさんは最後方にいたことで華麗に難を逃れ、いきなりのジャンプアアップをはたします(19位⇒16位)。

↓先頭のほうでは緑銀のクルマが右に寄って赤いクルマに当たり、赤いクルマが壁でグシャッとなっている!


速いクルマは当たると派手ですなぁ!

アロンソさんはこのトラブルを華麗に回避!


その後も誰かのマシンの何かのパーツが空中をビューンと飛んでいったり、ブレーキダクトにモノが詰まってレース開始早々にピットに戻ってくるマシンがあったり、壊れるマシンがポツポツ出始めたりと、レースは波乱ぶくみ。コース脇に停止したマシンが出たことで、撤去作業のために12ラップ目にはセーフティカーが出る展開になります。上位陣は一斉にタイヤ交換を行ない、あるいはこのまま最後まで走り切ろうかという構えです。

ところが、ようやく撤去作業が終わってレースが再開された17ラップ目、その周回内にフェラーリのライコネンのマシンから何らかのパーツが飛び散ってしまい、再びセーフティカーが出るという始末。落ちたパーツを係員が全速力で走って取りにいき、クルマに轢かれる前にダッシュでフェンスを乗り越えるという軽作業の連続。「やっぱ単純に狭いわな…」とさらなる波乱の予感が高まります。

↓狭いし、誰かが踏んじゃうと危ないんで、飛んだパーツは拾いに行きます!

後方の赤いクルマから何かが飛んでるな!

いいよいいよ!マシンはこれぐらいペラッペラでいいんだ!

1戦で壊れるけどアホみたいに速いマシンこそ、バブルの発想だ!


さらにこの波乱を盛り上げてくれたのが、先頭争いをするメルセデスのハミルトンと、フェラーリのベッテル。セーフティカーに連なって走る両名は、クルマとクルマでリアルなバトルを始めます。ハミルトンが「のろのろ走って後ろのヤツを困らせてやろう」という底意地の悪さを見せたかと思えば、ベッテルはそこに追突したあと「オイコラ!お前のろのろしたろ!」とアピールをし、文句をリアルに表現するために横から並びかけて幅寄せしてマシンを当てるという実力行使!タチの悪いケンカが始まりました!

↓命懸けでマリオカートをやっている先頭争い!

「カートの後ろにバナナつけてブロックやで」
「甲羅発車体勢で追突してバナナ消すで」
「でもそれだけじゃムカつくから横から当てるで」

人間性wwwwwww

どっちもどっちの底辺バトルwwwww

※なお、前を行くハミルトンは次のセーフティカーでもまた同じことをやる鉄の心の持ち主です。
※さらに5位走行中の終盤には、3位を走るチームメイトに「お前、下がってきて4位のマシンの邪魔をしろ」と指示する鉄の心の持ち主です。
※ちなみに、その提案は「コッチも2位を目指しているからヤダ」と却下されました。


↓別のバトルでは後方に火花を吐きつづける攻撃を繰り出すマシンも!

もっと火花出るようにすれば面白いのに!

後ろのクルマが可変ウィングで追いかけ、前のクルマは火花で撃墜!

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レースは一気に大混乱に。フォース・インディアはチームメイト同士でぶつかってマシンを壊すわ、フェラーリのライコネンは誰かが巻いたゴミを踏んでタイヤがパンクするわ、それらがまき散らしたゴミによってコースが全面的にパーツだらけとなるわで収集がつかず。一旦レースは赤旗中断とし、ゴミ拾いに注力することになりました。いやー、これは近年の何も起きないレースにあっては、久々に燃える展開です!

レース再開後も荒れ模様はおさまらず。普通のクラッシュも含めて次々にマシンが消えていきます。この展開に乗じて、スルスルと上がってきたアロンソさんはいつの間にか6位に。さらに、先頭を行くハミルトンとベッテルは先ほどの人間性マリオカート問題で審議対象となっています。これはうまくすれば表彰台まであるか!?そんなワクワクもすこーし生まれてきます。

↓さらに先頭のハミルトンにはヘッドレスト(ドライバーの頭を覆うように保護するパーツ)がしっかりハマっておらず、風でパカパカ浮き上がるという問題が!


ドライバー:「浮き上がってきたで」
ドライバー:「頑張って手でおさえるで」
スタッフ:「しっかりハマってないな」
スタッフ:「頭で叩いて押し込め!」
ドライバー:「無茶やで」
スタッフ:「無茶でもやれや!」
ドライバー:「完全に浮いてるで」
ドライバー:「手でおさえるで」
スタッフ:「仕方ない、ピットに入れ!」
スタッフ:「ガムテープ用意しとくわ!」

ハイテクマシンに残された最後の手段はローテクwww

最後の手段は「手」「頭」「ガムテ」wwww


↓「手でおさえる」という荒業は、何か舐めた運転をしている人みたいな雰囲気!

ちょっとオシャレやんwwww

オープンカーで片手ハンドルwwww


先頭のハミルトンはヘッドレストパカパカ問題でピットインし、2番手のベッテルは人間性マリオカート問題でペナルティのピットイン。これによって上位は予想外の顔ぶれとなり、アロンソさんも5位まで上がってきました。一旦は後方に沈んだハミルトンやベッテルに結局は抜き返されますが、それでも落ち着いたところでの順位は8番手。今季初ポイントが現実味を帯びてきました。

↓アロンソさんはチームとの無線で「残念、勝てたかもしれない!」と悔しがった!

アロンソ:「残念だ!」
アロンソ:「今日は俺たち勝てたかもしれない!」
スタッフ:「…………?」

んなこたーないわな!

でも、一瞬、夢は見られました!


大波乱のレースは最後の最後までいろいろなことが起きました。優勝したのはレース開始早々にブレーキダクトにモノが詰まって、後方に沈んでいったリカルド。2位にはスタート直後のコーナーで幅寄せ体当たりをして、やはり後方に沈んでいたボッタスが「最終ラップの最後の直線で前のマシンをかわす」というドラマティックな形で飛び込みました。そして、3位に入ったのはトラブルに巻き込まれずに走り切った、18歳のストロール。賭け事なら誰も予想できないような顔ぶれでの決着となりました。

そして、アロンソさんはホンダエンジンというハンデを抱えながら9位フィニッシュ。もし、もしも、自称「1周あたり0.3秒速い」という新型エンジンを使っていれば、それが自称通りの性能であれば、あるいは優勝さえあったかもしれないという好位置のフィニッシュとなりました。

稀に見る大荒れのレースとは言え、普通に遅くて普通に抜かれてきたのが今季のマクラーレン・ホンダ。しかし、この日はトップチーム以外には簡単に抜かれるほどの遅さではなく、区間によってはトップクラスのタイムを出すほどに。また、かねてより問題だった信頼性についても、マシン2台が壊れないままレースを走り切ることができました。一説にはマクラーレンが違約金を払ってでもホンダと縁を切ろうとしているとも言われていますが、この2ポイントによって空気も変わってくるはず。チームとしての順位もノーポイントのビリから、一気に2ポイントの10位にジャンプアップしましたしね!

2ポイントを獲って、新エンジンを次戦に投入するという期待感。これはマクラーレンも「あと1試合ようすを見よう」となるのは必定でしょう。そこで大きな結果を残せば、また違った未来も始まるというもの。時間は少ないですが、懸命にアップデートにつとめ「後方にものすごい量の煙を吐き出すエンジン」とか「電撃で周囲のマシンを狂わせるエンジン」とかさらなる改良を加えていってほしいもの。マクラーレンとの縁はたたっ切られるかもしれませんが、「タダならそのエンジン欲しい」というチームは来季もあると思いますからね!

↓マクラーレンの話してるとは思えない、小さな一歩を刻む殊勝なホンダサイド!


去年のマクラーレンと去年のホンダなら、この結果でも怒ってただろうけど、もうそんな余裕はない!

2ポイントでも率直に嬉しい!

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「2台とも壊れなかった」「そんなに遅くなかった」だけでも大満足!