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2018年03月03日07:00
ボクシングのベルトは金メダルより遥かに軽い!
怒りというよりは、「でしょうなぁ」の諦めのような気持ちです。1日に行なわれたボクシングWBC世界バンタム級タイトルマッチ、前王者ルイス・ネリと元王者山中慎介さんの試合は、昨今のボクシング界が抱える問題がまとめてドバーッと出るような試合となりました。
そもそもこの試合はケチとミソがつきまくった試合です。
昨年8月の両者の初対戦、山中さんは王者として、ネリは挑戦者として迎えていました。山中さんはそこで防衛すれば13連続防衛という日本記録タイに並ぶかという一戦でした。記録保持者である具志堅用高さんに敬意を表し、「具志堅さんに失礼がないように」と23戦全勝のちょっちゅ手応えのある強豪を、節目の試合の対戦相手に選びました。
結果は山中さんの4ラウンドTKO負け。挑戦者の猛攻を受けてロープに詰まる山中さんを見て、セコンドがタオルを投入したのです。「遅すぎるストップはあっても、早すぎるストップはない」という言葉どおりに、まだ戦えそうな、まだ負けきってはいない段階でのタオルでした。
ただ、負けは負け、そう言える程度には殴られた「負け」でした。まだやれたとは思いましたし、「GOD'S LEFT」と評された左を当てれば、一発逆転もあり得えたと思いますが「負けは負け」でした。今にして思えば、そのままスッキリと負けていたなら、山中さんにとっては一番ハッピーな幕引きだったのかもしれません。
そんなタオルケチの片付けも済まないうちに事態はアヤしい方向へと動き出します。何と、山中さんとの試合の直前に実施されていたドーピング検査で、ネリが陽性反応を示したことが明らかになったのです。検出された薬物は筋肉増強剤の一種ジルパテロール。蛋白同化薬での陽性反応であれば世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の基準で言えば、資格停止の期間は4年です。
ドーピングにおいて、過失や過誤は問題ではありません。「陽性反応が検出された」ことそのものが違反なのです。ネリの検体から陽性反応が出た以上、これがオリンピックスポーツであれば「4年」の資格停止となり、全盛期を棒に振ることになる、それだけ重い違反をネリは犯していたのです。
ところが、何故かこれが「メキシコで食べた肉のせいだ。家畜のエサにジルパテロールが入っていたんだろう」という無理目の言い訳が通ってしまい、ベルトの剥奪もなければ、資格停止もないという甘々処分でネリは放免となります。僕が聞いた言い訳のなかでも「コンタクトの保存液が誤って体内に入ってしまったため陽性反応が出たようです」並のヒドイ言い訳でした。
それでも、そんなドーピングミソを山中さんは前向きにとらえていました。このミソにより、ダイレクトリマッチでの再戦の機会が巡ってきたからです。もう35歳、十分に戦った選手です。ただ雪辱のために、ネリとの再戦だけを現役続行のモチベーションとして、山中さんは最後の試合に身体を作ってきました。
↓しかし、ネリは前日計量で53.5キロのリミットを大幅に超過する55.8キロで登場!二度目の計量でも54.8キロと超過し、王座剥奪!
山中:「ふざけんな、お前!」
山中:「本当に悔しかった」
山中:「気持ちを整えて頑張りたい」
バンタム級のリミットが53.5キロ。一度目の計量での55.8キロは2階級上のフェザー級相当です。そもそも減量する気などなかったとすれば、スーパーフェザーかライト級くらいの身体を作ったうえで「気持ちメシ抜き」で臨んだという見方もできます。結局、「ネリは当日計量で58.0キロをクリアすること」という条件つきで試合は実施されることになります。ネリが勝っても王座は空位、山中さんが勝てば王座につくという扱いで。
前日計量ケチ、当日計量ミソという二重の憤り。前日計量で55.8キロだった選手が、当日58.0キロなら何故OKとなるのか僕にはまったく理解ができません。前日だろうが当日だろうが、リミットである「53.5キロ」を一度でも下回ったことを示さなければ、バンタム級の選手と誰がどうして言えるものか。まったく減量苦などなかった状態から、普通に2キロくらいステーキ食ってきただけじゃないですか。元気いっぱいテッカテカじゃないですか。僕の基準で言えば「試合直前の当日計量でクリアかつ試合後の計量でもクリア」でようやく体重OKなのですが、守る気も、守らせる気もないんでしょうね。
↓チーズケーキとスタバを持ってリミットを下回る余裕の当日計量!
おいネリ!亀田ボクシングコントを見習え!
亀1号は調印式の挑発コントで焼きそば食べたりコーラ飲むために、そのぶん余計に減量してたんだぞ!
エラくも何ともないけど、ちゃんとしてるだろ!
アヤしい女性は連れてくるわ、あのグローブはイヤだとゴネるわ、ネリは最悪だ!
全盛期の亀田さんでもネリ戦では応援されるわ!
始まった日テレでの中継。入場もリングアナのコールも大胆にカットされ、ネリには「前チャンピオン」という字幕が小さくかぶせられています。直前の煽りVTRでは子どもたちからもらった「WBC」と書かれた金色の手作りメダルをかけて立ち上がる山中さんの姿が。「前王者VS手作りメダル」と冷静に考えると、何を争う何の試合だかわからなくなるような舞台です。
そして始まった試合。向かい合う両者の腕の太さがまるで違います。立ち上がりこそ山中さんのパンチを見ていたネリですが、元気いっぱいのテッカテカですので早々にイケると判断。1ラウンドの1分30秒過ぎからは猛然と前に出てきます。右のジャブが山中さんの無防備な顔面に刺さります。まだ試合開始から2分しか経っていないのに、山中さん得意の「ヤバいパンチを顔面に喰らったとき、顔を振ってパンチの衝撃を逸らす」という奥義も飛び出します。アカン、それやられてるときの最後の秘策やん…。
1R、残り36秒。前に出る山中さんにネリのカウンターの右が入ると、山中さんはチカラなくヒザをつきます。当たりは浅いけれど、効いています。確かなダウン。その直後にも強烈なボディを喰らい、つづけざまのダウン。残り8秒を崩れそうになりながら、相手の足にしがみつくクリンチで山中さんは凌ぎます。凌ぎますが…
↓2ラウンドは開始早々から連続でダウンを奪われ、スリーノックダウン!
最後に山中さんが喰らった右は、握りしめた「神の左」を空過して顔面に入った!
ガードのためではなく攻撃のために最後に握った神の左、撃てず!
ドーパーがウェイトオーバーですから、これはもうまともな戦いではありません。あえて「よかった探し」をするなら、早く終わってよかったなと、それしかありません。これが山中さんの最後の試合かと思うと、これまでの美しい神の左の数々まで汚されるようで、到底納得できない試合でした。ただただ「お疲れ様」という想いだけです。本当にお疲れ様でした。
↓なお、あまりに早すぎる決着のため「時はきた。山中慎介よ立ち上がれ!」のCM、山中さんが立っている間に間に合わず!
時がもう過ぎてる…!
そしてもう立ち上がらなくていい…!
僕は、この後味の悪い決着はボクシング界が招いた自業自得だと思います。ボクシングというのは「強さ」を競うものですが、強ければ何でもいいというのなら、機関銃を持ってくるか、戦車に乗ってくるか、何をやってもいいことになってしまいます。どこかに線を引いて、「何でもアリではない」なかでフェアに強さを競うことに意味があり、だからこそボクシングは世間にも受け入れられ、莫大な富を生むエンターテインメントとなったはずです。
にもかかわらず、ドーピング陽性反応も不問とし、体重超過に関しても実質的なお咎めはありません。ベルトを剥奪され、半年程度の試合禁止が言い渡されたとしても、「タイトルを返上して階級を上げる」ための準備期間だと思えば、ちょうどいい時間です。ネリは今後の階級上げを踏まえて「あえて」体重を超過し、余力十分で山中さんをぶん殴ったのでしょう。繰り返しになりますが、ネリのドーピングは「4年の資格停止」となるのがWADAでの基準です。陽性野郎が筋肉モリモリで他人をぶん殴る、これはスポーツではないヤツです。
そうした現状を招いているのは、ベルトの粗製乱造です。世界には主だった団体が4つもあり、そこに17もの階級があり、さらにひとつの階級に「暫定王者」「正規王者」「スーパー王者」など複数の王者が並びます。全世界で70本ほどもあろうかというベルトに、返上してもまたすぐに挑戦できるベルトに、どうして価値が生まれるでしょう。「4年に一度のチャンス」に、もしもワンミスあればすべてが水泡に帰す重たいメダルに比べて、ボクシングのベルトはあまりにも軽く、あまりにもお手盛りです。
だから、ベルトを1本獲った程度では大したスターにもなれず、お金も得られない。そこで選手たちは互いに「物語」を競うようになり、無敗を維持し、何階級をも制覇し、何団体をも統一して、ようやく真っ当なスターとなる。「物語」を競う戦いになれば、ベルトを1本守ることの優先順位は当然下がります。「無敗で、何本も持って」ようやくスタートラインなのですから、たかが「ベルト1本」のために「物語を失う」リスクは負えないのです。逆に言えば、ベルトなど無関係に「いかに強そうに見えるか」ということが大事になっている。それが今のボクシングです。
ネリの行動というのは極めて合理的です。
大して追及されないならドーピングをしたほうが得であり、どうせ最終的には何階級も制覇するつもりなら無理してリミットを守る必要などなく、最終的には何本もベルトを獲る気なら1本や2本失っても痛手ではないのです。ベルトはもはや強さの象徴ではなく、「集めればちょっといいことがあるポイントカード」程度の存在になっているのですから。
そして、ドーピングや体重超過という問題はあるにせよ「ネリのほうがヤマナカより強い」という「物語」は獲得しました。12回防衛、リングマガジン誌が公表するパウンドフォーパウンドランキングに名を連ねた山中さんを「栄養」として、ネリはさらに「強そう」に見えるようになりました。陽性体重超過野郎が陽性体重超過パンチでぶん殴ったら、「すごく強そう」に見えたものですから、トータルでは陽性体重超過野郎のほうが得をしているのです。
これを改める気がなければ、やがてボクシングというのは整理統廃合の道をたどるでしょう。すでに今だって、1本のベルトでは大したスターにもなれず、タイトルマッチ3つくらいを同時開催しないと大箱も埋まらないのですから、整理統廃合が妥当です。「統一された1団体で、ライト・ミドル・ヘビーの3階級」とかの枠組みであれば、体重超過でタイトルマッチをフイにするようなふざけた選手も生まれないのです。一度逃せば、次の機会はいつになるかわからないのですから。
軽いベルトだから、舐めた態度で巻く。
軽くしてしまったのは、ボクシング界自身です。
↓完全にヒールとなったネリを倒しにいく、アノ男の登場はないのか!!
「あんなん大したことないで」
「ネリワサビだかネリカラシだか知らんけど」
「ワイにかかればなんじゃもんじゃーい」
「ホンマのチャンピョンのチカラ見せたるわ」
「かかってこんかーい」
「逃げよるんか?お?お?」
「ワカッタ、ヤッテヤルヨ」
「うわ、大変や!」
「練習中にまぶたが切れてもうた」
「これは試合はでけへんで」
「残念やけど、仕方ない」
「ただ、もし試合をやっとったら」
「ワイが間違いなく勝っとった」
「ワカッタ、ナオルマデマツヨ」
「突然やけどワイは階級を上げることにした」
「とりあえず次は世界前哨戦やな」
「新しい階級で自分のボクシングを磨くで」
「ワカッタ、ボクモカイキュウヲアゲタヨ」
「突然やけどワイは階級を下げることにした」
「しかも、一気に2階級や」
「ライトフライの忘れ物を取りに行く」
「なんじゃもんじゃーい!」
「なんじゃもんじゃーい!」
「なんじゃもんじゃーい!」
たのむ亀1号!かたきをとってくれ!
どっちがボコられても後味のいい試合で!
ボクシングコントはルールの穴を突くけれど、案外ルールは破らない!
怒りというよりは、「でしょうなぁ」の諦めのような気持ちです。1日に行なわれたボクシングWBC世界バンタム級タイトルマッチ、前王者ルイス・ネリと元王者山中慎介さんの試合は、昨今のボクシング界が抱える問題がまとめてドバーッと出るような試合となりました。
そもそもこの試合はケチとミソがつきまくった試合です。
昨年8月の両者の初対戦、山中さんは王者として、ネリは挑戦者として迎えていました。山中さんはそこで防衛すれば13連続防衛という日本記録タイに並ぶかという一戦でした。記録保持者である具志堅用高さんに敬意を表し、「具志堅さんに失礼がないように」と23戦全勝のちょっちゅ手応えのある強豪を、節目の試合の対戦相手に選びました。
結果は山中さんの4ラウンドTKO負け。挑戦者の猛攻を受けてロープに詰まる山中さんを見て、セコンドがタオルを投入したのです。「遅すぎるストップはあっても、早すぎるストップはない」という言葉どおりに、まだ戦えそうな、まだ負けきってはいない段階でのタオルでした。
山中「効いてなかった」タオル投入に会長「最悪」 https://t.co/QC0XmR5Y6H #山中慎介 #ボクシング
— 日刊スポーツ (@nikkansports) 2017年8月15日
ただ、負けは負け、そう言える程度には殴られた「負け」でした。まだやれたとは思いましたし、「GOD'S LEFT」と評された左を当てれば、一発逆転もあり得えたと思いますが「負けは負け」でした。今にして思えば、そのままスッキリと負けていたなら、山中さんにとっては一番ハッピーな幕引きだったのかもしれません。
そんなタオルケチの片付けも済まないうちに事態はアヤしい方向へと動き出します。何と、山中さんとの試合の直前に実施されていたドーピング検査で、ネリが陽性反応を示したことが明らかになったのです。検出された薬物は筋肉増強剤の一種ジルパテロール。蛋白同化薬での陽性反応であれば世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の基準で言えば、資格停止の期間は4年です。
ドーピングにおいて、過失や過誤は問題ではありません。「陽性反応が検出された」ことそのものが違反なのです。ネリの検体から陽性反応が出た以上、これがオリンピックスポーツであれば「4年」の資格停止となり、全盛期を棒に振ることになる、それだけ重い違反をネリは犯していたのです。
ところが、何故かこれが「メキシコで食べた肉のせいだ。家畜のエサにジルパテロールが入っていたんだろう」という無理目の言い訳が通ってしまい、ベルトの剥奪もなければ、資格停止もないという甘々処分でネリは放免となります。僕が聞いた言い訳のなかでも「コンタクトの保存液が誤って体内に入ってしまったため陽性反応が出たようです」並のヒドイ言い訳でした。
それでも、そんなドーピングミソを山中さんは前向きにとらえていました。このミソにより、ダイレクトリマッチでの再戦の機会が巡ってきたからです。もう35歳、十分に戦った選手です。ただ雪辱のために、ネリとの再戦だけを現役続行のモチベーションとして、山中さんは最後の試合に身体を作ってきました。
↓しかし、ネリは前日計量で53.5キロのリミットを大幅に超過する55.8キロで登場!二度目の計量でも54.8キロと超過し、王座剥奪!
山中、涙で「ふざけんな、お前!」ネリ体重オーバーで王座剥奪 https://t.co/RH1tDJLVOG #スポーツ新聞 pic.twitter.com/dFX5SQSXmX
— スポーツ報知 (@SportsHochi) 2018年2月28日
山中:「ふざけんな、お前!」
山中:「本当に悔しかった」
山中:「気持ちを整えて頑張りたい」
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バンタム級のリミットが53.5キロ。一度目の計量での55.8キロは2階級上のフェザー級相当です。そもそも減量する気などなかったとすれば、スーパーフェザーかライト級くらいの身体を作ったうえで「気持ちメシ抜き」で臨んだという見方もできます。結局、「ネリは当日計量で58.0キロをクリアすること」という条件つきで試合は実施されることになります。ネリが勝っても王座は空位、山中さんが勝てば王座につくという扱いで。
前日計量ケチ、当日計量ミソという二重の憤り。前日計量で55.8キロだった選手が、当日58.0キロなら何故OKとなるのか僕にはまったく理解ができません。前日だろうが当日だろうが、リミットである「53.5キロ」を一度でも下回ったことを示さなければ、バンタム級の選手と誰がどうして言えるものか。まったく減量苦などなかった状態から、普通に2キロくらいステーキ食ってきただけじゃないですか。元気いっぱいテッカテカじゃないですか。僕の基準で言えば「試合直前の当日計量でクリアかつ試合後の計量でもクリア」でようやく体重OKなのですが、守る気も、守らせる気もないんでしょうね。
↓チーズケーキとスタバを持ってリミットを下回る余裕の当日計量!
ネリ、当日計量はリミットを0・5キロ下回る「試合を待つだけだ」 https://t.co/bpf76F8hSB #スポーツ新聞 pic.twitter.com/o4u0Z5qYus
— スポーツ報知 (@SportsHochi) 2018年3月1日
おいネリ!亀田ボクシングコントを見習え!
亀1号は調印式の挑発コントで焼きそば食べたりコーラ飲むために、そのぶん余計に減量してたんだぞ!
エラくも何ともないけど、ちゃんとしてるだろ!
アヤしい女性は連れてくるわ、あのグローブはイヤだとゴネるわ、ネリは最悪だ!
全盛期の亀田さんでもネリ戦では応援されるわ!
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始まった日テレでの中継。入場もリングアナのコールも大胆にカットされ、ネリには「前チャンピオン」という字幕が小さくかぶせられています。直前の煽りVTRでは子どもたちからもらった「WBC」と書かれた金色の手作りメダルをかけて立ち上がる山中さんの姿が。「前王者VS手作りメダル」と冷静に考えると、何を争う何の試合だかわからなくなるような舞台です。
そして始まった試合。向かい合う両者の腕の太さがまるで違います。立ち上がりこそ山中さんのパンチを見ていたネリですが、元気いっぱいのテッカテカですので早々にイケると判断。1ラウンドの1分30秒過ぎからは猛然と前に出てきます。右のジャブが山中さんの無防備な顔面に刺さります。まだ試合開始から2分しか経っていないのに、山中さん得意の「ヤバいパンチを顔面に喰らったとき、顔を振ってパンチの衝撃を逸らす」という奥義も飛び出します。アカン、それやられてるときの最後の秘策やん…。
1R、残り36秒。前に出る山中さんにネリのカウンターの右が入ると、山中さんはチカラなくヒザをつきます。当たりは浅いけれど、効いています。確かなダウン。その直後にも強烈なボディを喰らい、つづけざまのダウン。残り8秒を崩れそうになりながら、相手の足にしがみつくクリンチで山中さんは凌ぎます。凌ぎますが…
↓2ラウンドは開始早々から連続でダウンを奪われ、スリーノックダウン!
最後に山中さんが喰らった右は、握りしめた「神の左」を空過して顔面に入った!
ガードのためではなく攻撃のために最後に握った神の左、撃てず!
ドーパーがウェイトオーバーですから、これはもうまともな戦いではありません。あえて「よかった探し」をするなら、早く終わってよかったなと、それしかありません。これが山中さんの最後の試合かと思うと、これまでの美しい神の左の数々まで汚されるようで、到底納得できない試合でした。ただただ「お疲れ様」という想いだけです。本当にお疲れ様でした。
↓なお、あまりに早すぎる決着のため「時はきた。山中慎介よ立ち上がれ!」のCM、山中さんが立っている間に間に合わず!
時がもう過ぎてる…!
そしてもう立ち上がらなくていい…!
僕は、この後味の悪い決着はボクシング界が招いた自業自得だと思います。ボクシングというのは「強さ」を競うものですが、強ければ何でもいいというのなら、機関銃を持ってくるか、戦車に乗ってくるか、何をやってもいいことになってしまいます。どこかに線を引いて、「何でもアリではない」なかでフェアに強さを競うことに意味があり、だからこそボクシングは世間にも受け入れられ、莫大な富を生むエンターテインメントとなったはずです。
にもかかわらず、ドーピング陽性反応も不問とし、体重超過に関しても実質的なお咎めはありません。ベルトを剥奪され、半年程度の試合禁止が言い渡されたとしても、「タイトルを返上して階級を上げる」ための準備期間だと思えば、ちょうどいい時間です。ネリは今後の階級上げを踏まえて「あえて」体重を超過し、余力十分で山中さんをぶん殴ったのでしょう。繰り返しになりますが、ネリのドーピングは「4年の資格停止」となるのがWADAでの基準です。陽性野郎が筋肉モリモリで他人をぶん殴る、これはスポーツではないヤツです。
そうした現状を招いているのは、ベルトの粗製乱造です。世界には主だった団体が4つもあり、そこに17もの階級があり、さらにひとつの階級に「暫定王者」「正規王者」「スーパー王者」など複数の王者が並びます。全世界で70本ほどもあろうかというベルトに、返上してもまたすぐに挑戦できるベルトに、どうして価値が生まれるでしょう。「4年に一度のチャンス」に、もしもワンミスあればすべてが水泡に帰す重たいメダルに比べて、ボクシングのベルトはあまりにも軽く、あまりにもお手盛りです。
だから、ベルトを1本獲った程度では大したスターにもなれず、お金も得られない。そこで選手たちは互いに「物語」を競うようになり、無敗を維持し、何階級をも制覇し、何団体をも統一して、ようやく真っ当なスターとなる。「物語」を競う戦いになれば、ベルトを1本守ることの優先順位は当然下がります。「無敗で、何本も持って」ようやくスタートラインなのですから、たかが「ベルト1本」のために「物語を失う」リスクは負えないのです。逆に言えば、ベルトなど無関係に「いかに強そうに見えるか」ということが大事になっている。それが今のボクシングです。
ネリの行動というのは極めて合理的です。
大して追及されないならドーピングをしたほうが得であり、どうせ最終的には何階級も制覇するつもりなら無理してリミットを守る必要などなく、最終的には何本もベルトを獲る気なら1本や2本失っても痛手ではないのです。ベルトはもはや強さの象徴ではなく、「集めればちょっといいことがあるポイントカード」程度の存在になっているのですから。
そして、ドーピングや体重超過という問題はあるにせよ「ネリのほうがヤマナカより強い」という「物語」は獲得しました。12回防衛、リングマガジン誌が公表するパウンドフォーパウンドランキングに名を連ねた山中さんを「栄養」として、ネリはさらに「強そう」に見えるようになりました。陽性体重超過野郎が陽性体重超過パンチでぶん殴ったら、「すごく強そう」に見えたものですから、トータルでは陽性体重超過野郎のほうが得をしているのです。
これを改める気がなければ、やがてボクシングというのは整理統廃合の道をたどるでしょう。すでに今だって、1本のベルトでは大したスターにもなれず、タイトルマッチ3つくらいを同時開催しないと大箱も埋まらないのですから、整理統廃合が妥当です。「統一された1団体で、ライト・ミドル・ヘビーの3階級」とかの枠組みであれば、体重超過でタイトルマッチをフイにするようなふざけた選手も生まれないのです。一度逃せば、次の機会はいつになるかわからないのですから。
軽いベルトだから、舐めた態度で巻く。
軽くしてしまったのは、ボクシング界自身です。
↓完全にヒールとなったネリを倒しにいく、アノ男の登場はないのか!!
今さら期待されても何も出来ません…
— 亀田興毅 -Koki Kameda- (@koki_kameda1117) 2018年2月13日
ただ、「ボクサー亀田興毅」の死に場所は故郷 大阪かなと。そして自分自身が納得出来る相手と拳を交えてリングに別れを告げる。
ファイナルマッチが正式に決まったら亀田興毅の死に様を目に焼き付けて下さい。@hmbkiwami#HMB極ボディ #亀田興毅 pic.twitter.com/YfH9tuqO5n
「あんなん大したことないで」
「ネリワサビだかネリカラシだか知らんけど」
「ワイにかかればなんじゃもんじゃーい」
「ホンマのチャンピョンのチカラ見せたるわ」
「かかってこんかーい」
「逃げよるんか?お?お?」
「ワカッタ、ヤッテヤルヨ」
「うわ、大変や!」
「練習中にまぶたが切れてもうた」
「これは試合はでけへんで」
「残念やけど、仕方ない」
「ただ、もし試合をやっとったら」
「ワイが間違いなく勝っとった」
「ワカッタ、ナオルマデマツヨ」
「突然やけどワイは階級を上げることにした」
「とりあえず次は世界前哨戦やな」
「新しい階級で自分のボクシングを磨くで」
「ワカッタ、ボクモカイキュウヲアゲタヨ」
「突然やけどワイは階級を下げることにした」
「しかも、一気に2階級や」
「ライトフライの忘れ物を取りに行く」
「なんじゃもんじゃーい!」
「なんじゃもんじゃーい!」
「なんじゃもんじゃーい!」
たのむ亀1号!かたきをとってくれ!
どっちがボコられても後味のいい試合で!
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ボクシングコントはルールの穴を突くけれど、案外ルールは破らない!
また旬なネタをw
まあ、そっちは本当にそれっぽい気もしますけどね。
本題の方は、フモさんのご見識通りかと。
ただ、個人的にはWBCはWBAよりはマシな方じゃないかと勝手に思ってました。
が、目くそ鼻くその類でしたかね。