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吉田沙保里さん、33年間お疲れ様でした!

いつかこの日は来ることはわかっていた…というよりは、発表される覚悟を決めた上でせかさず、焦らず、待っていたという気持ち。地上最強の乙女・吉田沙保里さんが33年間のレスリング人生に区切りをつけ、現役を引退しました。リオ五輪以降、試合には出場せず後輩たちの指導にあたっていた姿からは、こうなることは知っていたという未来ではありますが、日本のスポーツ界にとっても大きな節目となりました。本当にお疲れ様でした。ありがとうございます。

↓みんなに愛された偉大な選手、最高に面白いアスリートでした!


「幸せな女性をつかみたい」って圧殺でもするのかよ、と思ったら「女性の幸せもつかみたい」でした!

つかみましょう、男の首ねっこを!

イヤとは言わせないし、たぶん言えない!(※ノドを圧迫されているから)



さて、これでようやく動きやすくなりました。ハッキリ言って吉田さんに休息などというものはありません。本人の気持ちとしてもそうでしょうし、日本としてもそう。今までは「あるいは東京五輪を目指すかもしれない」と思っていたから皆が静かに動向を見守っていましたが、辞めたのであれば早速次の仕事に取りかかってもらわねば。

偉大なレスリング選手である以上に、吉田さんは日本における「五輪の象徴」です。金と言えば吉田さん、五輪と言えば吉田さん、2020年を迎えるにあたって吉田さんのチカラはあらゆる場面で求められるでしょう。そして、吉田さんの性質から考えて、それを断るということは到底考えられません。

2013年、レスリングが五輪の競技から除外されそうになったときに、競技を背負って奮闘したあの姿。100万人もの嘆願署名を集めた人望。「請われれば、立ち上がる」そんな吉田さんの度量もまた、吉田さんが特別であった理由です。2020年があなたを待っている。ようやくあなたのチカラをあてにすることができる。

↓「止められても五輪に出る」という約束、忘れてないですからね!

ただし「試合に出る」とは言ってない!

公約違反するつもりなど毛頭ありません!


まず思いつくのが聖火の最終点火者。吉田さんは旧・国立競技場が解体される前の最後のイベントで、最後の聖火点灯をした人です。僕もそのイベントに立ち会い、吉田さんの聖火点灯を見ましたが、あの日の最終点火者が再び国立の聖火台に火を灯すというのはストーリーとしても美しい。解体前に「この人だろう」と思われた人物なわけですから、その意味では過去のオリンピアンや関係者との比較においてはすでに「吉田さんだろう」という結論は出ているも同然。止められても出てもらおうじゃないですか。

↓最後の聖火をつけた人が、最初の聖火をつける!
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吉田さんが手に火を持っているんだぞ!

誰がコレを止められると言うんだ!

クマがたいまつとか持ってたらマタギも「絶対ムリ…」「向こうが武器持ってるのは想定外…」「山が燃えている…」と思うだろう、そんな気持ち!




さて、吉田さんだろうということを念頭に置きつつ、過去数大会を振り返っていきます。過去の傾向を踏まえつつ、被りを避けつつ、さらに東京らしいインパクトのある点火を編み出さねばなりません。吉田さんであれば少々の無茶も通るでしょうし、ひろーーーーく考えていきたいもの。

↓近年の夏季五輪最終点火はこんな感じでした!
●1992年バルセロナ五輪
アーチェリーのパラリンピアンであるアントニオ・レボージョさんが炎の矢を放って点火。

●1996年アトランタ五輪

ボクシング金メダリストでもあるモハメド・アリさんが最終点火者。五輪のメダルを捨てたという逸話を持つ人物、パーキンソン病を患いながらの点火ということで、大きな話題となる。

●2000年シドニー五輪
先住民族アボリジニ出身の陸上選手キャシー・フリーマンさん(この大会で金、登場時は前回大会の銀メダリスト)が最終点火者。滝を背景に水に覆われた聖火台に点火するという幻想的な演出。

●2004年アテネ五輪

セーリングの金メダリストであるニコラオス・カクラマナキスさんが最終点火者。階段をのぼったら、聖火台がお辞儀をするように降りてきて、それに火をつけた。

●2008年北京五輪
体操で3個の金を持つ金メダリスト李寧さんが最終点火者。ワイヤーで空を飛び、競技場を一周してからの点火。

●2012年ロンドン五輪
ボート競技で5個の金を持つ金メダリストであるスティーヴ・レッドグレーヴさんからトーチを受け継いだ、7人の若手選手が最終点火者。7ヶ所から火を放ち、その炎がひとつになって点火された。

●2016年リオ五輪
アテネ五輪マラソンの銅メダリストであり、レース中に暴漢に襲撃されたという逸話を持つバンデルレイ・デ・リマさんが最終点火者。演出は階段をのぼって聖火に火をつけるというオーソドックスなもの。

こうして見るとメダリストでなければいけないととか、オリンピアンでなければいけない、いうことでもない!

「苦境を跳ね除け、未来へ進む人間の強さ」とか「五輪を象徴する国民的英雄」とか、ストーリーのほうが重視される!


うむ、やはり吉田さんでしょう。

金の数だけであれば北島康介さんや、野村忠宏さんなども挙がるでしょうし、「イチロー!」とか「長嶋!」とか言い出す戦闘的野球ファンもいるかもしれません。一周まわってすごいヤベーことになりそうな感じもありますが、貴乃花にたいまつ持たせて国立競技場を徘徊させるなんてことも絶対ダメという話ではありません。オリンピアンでなくてもいいのですから。

しかし、「五輪を象徴する国民的英雄」というまっとうな視点で考えれば吉田さんでしょう。ほかに思い浮かぶ「英雄」はまだ現役選手であったり、冬季の選手であったり、組織委員会の人間であったりします。内村航平さんが引退するようなことでもあれば、これは相当な議論となるでしょうが、まぁ、今のところ吉田さん一択。

となれば、あとは吉田さんらしく、東京らしく火をつける演出方法のみ。これについても、もはや議論の余地はないでしょう。誰しもが思うイメージを、いかに本番の競技場で再現するか、「技術」のほうにこそ課題があります。これからの残り時間、そのイメージに向かってまい進するのみ。何なら、そのイメージを実現する前提で絶賛建築中の国立競技場を魔改造してもいいくらいです!

↓ディティールは詰めるとして、大体こういう話ですよね?
最終点火者としてトーチを受け継いだ吉田さん。

しかし、にわかに暗雲がたちこめ、不穏な地響きが起こる。あろうことか新・国立競技場にゴジラが襲来したのだ。ゴジラの攻撃によって競技場各地で起こる爆発(※花火です)。世界のVIPとオリンピアンがこのままでは危ない!こんなことになるなら北朝鮮の国家元首も呼んでおけばよかった!あぁ全員死んじゃう!

「そうはいかないぞ!」

力強く、勇敢に響く声。吉田さんがトーチを持ったまま聖火台に向かう階段を駆け上がる。トーチを天に掲げれば稲妻のような閃光がトーチの先端からほとばしり、光の巨人が現れたのだ。

「あ、あれは…」
「安心戦隊ALSOK!」
「安心戦隊ALSOKの正体は吉田さんだったのか!」

身長40メートル体重2万5千トンくらいの吉田さんはゴジラの放つ熱線を背中で受け止めると、「私を焼こうと言うなら、太陽でもぶつけてみるんだな」と涼しい顔。ゴジラと正面から組み合うと、いきなりの高速タックルでテイクダウン!!ゴジラのバックを取って頸動脈を締め上げます。

しかし、ゴジラもさすがの大怪獣。背中から放つ熱線と尻尾による殴打で吉田さんをはね除けると、あたりかまわず熱線を吐き出します。吉田さんはALSOK走りで高速移動し、身を呈して熱線から人々を守りますがパワードスーツは炎に包まれていく…。

「このままでは吉田さんが!」
「吉田さん死なないで!」
「不死身だと思うけど死なないで!!」

人々の悲鳴のような祈り。その声に吉田さんは「大丈夫、服が燃えてるだけだから」「服、関係ないから」「強いのは私で、ただの服だから」とニッコリ微笑み、炎をまとって浮遊します。エターナルフレイムモード(※火だるまの意)へと移行した吉田さんは、中国の故事で鳳凰と呼ばれた飛翔形態となってゴジラへと渾身の高速タックルを決め、見事に斬首!!

勝鬨の声を響かせながらゴジラの首を拾った吉田さん。パワードスーツが燃え落ち、全裸となった肉体は神々しく、このシーンは世界から「ターミネーター」と呼ばれました。吉田さんは、ゴジラの首を握りつぶし、残ったわずかな熱線を吐かせるとその炎で聖火台に点火。「いや、それじゃリレーにならないんだけど…」という世界の声を笑顔で受け流し、天空へと帰って行くのでした。開会式に出演していたジャニーズを何人かわしづかみにして……。


技術、技術だけです!

やりたいことは決まってるんだから、専用のスタジアムに魔改造すればいい!

プロジェクションマッピング用の壁とか!




とにかく、吉田さんにはこれからもご活躍いただきたいもの。現役を退けば終わりなんて考えは古く、偉大な人物は次のステージでさらなる活躍をしていくのが、日本社会の未来モデルです。50歳、60歳、100歳…吉田さんならばあるいは150歳くらいまで、戦いつづけても不思議はありません。昨今のスポーツ界のパワハラ問題とは別次元で、「会長と握手したら指が全部折れた」などの無意識のパワーアクシデントみたいなものを巻き起こすトップとして、今後のご活躍をお祈りしています!


2020年、開会式のスタジアムで吉田さんの炎に焼かれたいです!