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2020年08月19日08:00
もともとガチャのものにさらにガチャをつけるという発想!
本来なら3日くらい前に書きたかった話なのですが、多忙によりズレ込んでしまいました。先日、楽天とミクシィからもらった金(のようなもの)を円に換えるために競輪をやったのですが、その際に使ったミクシィのサイトが非常に新しい気づきを与えてくれるものでしたのでご紹介したく思います。
「モンスターストライク」の後継サービスを探し続けるミクシィは、保有した大量の現金と、創業オーナーが株保有の大半を占めるという強固な運営体制によって、いろんなサービスを手掛けては「これはモンスターストライクではない…」をやっている最中です。その過程でトライしているもののひとつが、今回ご紹介する競輪の投票サイト「TIPSTAR」です。
こちらのサイト、やたらと閉鎖的でググッても「PCからきても一切情報は出さんのだ…」「スマホからきたか、しかし、既存会員の紹介がないと情報は出さんのだ…」と、ちょっと見てみることさえも簡単にはさせないハードルの高さがあります。そのくせ、登録するだけで3000円分のTIPマネー(金のようなもの)をくれるという閉鎖的なんだか人寄せをしたいんだかよくわからない態度。僕は「競輪をする」という明確な目的があったので登録しましたが、なかなか普通にはトライしないサイトだろうなと思います。
↓パッと見、まったく競輪っぽくないサイトですが本当に競輪っぽくないサイトです!
競輪を突破口に競馬、いずれはオンラインカジノへの進出を狙う、的な!
壮大な野望を感じます!
競馬や競艇、競輪などの公営ギャンブルに関する通常の投票サイトは、ひたすらレース情報と金のやり取りをする「現地にある投票機のオンライン版」といった体裁です。求められるのは券を買う機能だけであり、デザインやユーザビリティなどはあってなきがごとし。ユーザーの行動も「出走表を見て、オッズを見て、賭ける」ただそれだけです。
しかし、このミクシィ競輪は根本的に向いている方向が違います。ミクシィがここでやろうとしているのは「スマホゲー」です。スマホゲーのノウハウがあれば課金を促すことは比較的容易に計算できるが、ゲーム開発の部分で当たり外れが大きくその開発費がバカにならないので、そこをショートカットしたいというのが内心だと推察します。
通常の投票サイトが「競輪に賭けるためのシステム」であるならば、ミクシィ競輪は「競輪をゲーム部分とみたてて、そこに群がる人々に課金を促すスマホゲー」と考えればよいでしょうか。「ケイリンストライク」という新たなスマホゲーのゲーム部分が実際に人間がやっているリアルスポーツであった…そういうイメージで捉えてください。
競輪という、ある程度の人間が群がっていることがわかっており、そこに群がる人間はある程度野放図に金を使うことがわかっており、ゲーム部分の運営を頑張らなくても客が離脱しないことがわかっているテーマでスマホゲーを作れば、開発・運営の手間を丸ごとなくして課金施策に集中できる……非常に洗練された発想だなと感心します。
スマホゲーの基本はガチャです。
いや、あらゆるゲームの基本はガチャです。
人間はクジ引きが好きなのです。当たったり、外れたりすることが好きなのです。ただ、あまりに仕組みが単純だと当たったり外れたりする未来が簡単に見えてしまいますし、自分自身のチカラで当たりを引き寄せてやったという手応えも生まれません。マージャン程度の「実力で引き寄せてやった」と思える運否天賦のクジ引きが好き、それが人間です。
ただ、クジ引きには報酬が必要です。スマホゲーでガチャを引くときの報酬は通常なら「キャラクター」や「アイテム」です。スマホゲーではこのキャラクターやアイテムを魅力的にするために懸命な開発・運営を要します。お客が欲しくなるものを探してコラボに奔走したり、それがあると有利になるイベントを用意したり、人気キャラクターの水着バージョンを出してきたりします。どんな報酬を用意するかは永遠の悩みどころです。
しかし、ミクシィ競輪はその難点を「ガチャの報酬は金」というダイレクトアタックで解決しました。金が出るガチャをやれば、それは万能無敵です。ただ、日本ではそれは賭博や富くじと呼ばれる違法行為です。それが許されるのはお国が運営する公営ギャンブルと宝くじだけ。その公営ギャンブルの一角に食い込むことで、ミクシィ競輪は「報酬として金を出せるスマホゲー」というひとつの究極形に到達したのです。
↓ミクシィ競輪の基本プレイ画面はこんな感じです!
「名古屋3R」とかの表記がなかったら競輪とは微塵も思わないデザイン!
しかし、スマホゲーとして見ればなじみやすいUI!
左上に表示されるのが自分のアカウント。右上にある「グループ」というのはギルドとかチームとかに相当するものです。中央上部にあるLVと数字は、自分自身のプレイヤーレベルで、投票行為などで上昇していき、それにより各種の払い戻しの数値がアップするという恩恵があります。そしてレベルの左右に出ているもの、銀色の星印アイコンがTIPメダル、金色の¥アイコンがTIPマネーと呼ばれる「金のようなもの」です。
TIPメダルとTIPマネーはともに競輪に賭けることができますが、性質はだいぶ違います。TIPマネーは「金のようなもの」であり価値が高く、これを賭けて競輪の予想を当てれば払い戻しを「円」として銀行に振り込むことができます。一方でTIPメダルはこれを賭けて競輪の予想を当てると、ガチャコインという別のゲーム内通貨に変換されます。2000ガチャコインを使ってガチャを引くと、TIPマネーを当てることができ、改めてそれで競輪の予想を当てると「円」が獲得できます。
TIPマネーの主な入手手段は課金、TIPメダルの主な入手方法はゲーム内配布です。TIPメダルは無課金でも大量に入手できますが、そのぶん「円」までの道のりは遠く、ちょっとやってみた範囲では「容易じゃねぇな」という印象。TIPメダル自体はすぐに万単位で手に入るものの、それをガチャコインにするのに競輪を当てないといけませんし、さらにガチャで上位当選をしないとTIPマネーになりませんし、さらにもう1回競輪を当てないと円にはならないのですから。
↓タダでもらったメダルを「円」に換えるのは結構大変です!
【ミクシィ競輪の報酬獲得の流れ】●TIPマネー(有償ゲーム内通貨)の場合TIPマネー賭ける↓競輪予想を当てる↓払い戻しは「円」でもらえる●TIPメダル(無償ゲーム内通貨)の場合TIPメダル賭ける↓競輪予想を当てる↓払い戻し額は「1TIPメダル=1ガチャポイント」に変換される↓2000ガチャポイントでガチャを引く↓ガチャ第一段階(10等より上の賞が当たるかどうかの抽選/80%くらいは突破できる)↓ガチャ第二段階(何等が当たりの候補に出るかの抽選/大半の枠はTIPマネーにならない8等以下の枠)↓ガチャ第三段階(何等が当たるかの抽選/大抵は9等以下に終わる)↓ガチャで1等〜7等を当てると10000TIPマネー〜100TIPマネーが手に入る↓TIPマネー賭ける↓競輪予想を当てる↓払い戻しは「円」でもらえる
↓15回ガチャを引いたら、1回だけ500TIPマネーが当たりました!
30000TIPメダル⇒500TIPマネーか…!
さらにもう1回競輪の壁があるとなると、「容易じゃねぇな」ですね!
では、ガチャが当たらないとこのスマホゲーのプレイがつまらなくなるかというとそうでもありません。確かに「円」を獲得するハードルはある程度高いものの、これまで無課金で楽しむことは不可能だった「競輪」というゲームを、ミクシィ競輪は「無課金プレイ」で楽しめるのです。無課金でもゲーム部分(競輪)を楽しむことができ、頑張れば「円」を獲得することも可能である。これは画期的とさえ言える構造です。
その無課金プレイを大いに盛り上げてくれるのが、メイン画面の大半を占める美女や芸人による3人組の画像です。サイト名と同じく「TIPSTAR」と称される彼らは、このスマホゲーの「ゲーム実況者」のような存在です。彼らはスマホゲーのゲーム部分(競輪)を楽しみ、その模様を一日中配信しています。彼らはワイワイガヤガヤとした会話で楽しませてくれる実況者であると同時に、プレイヤーの代わりにゲーム部分(競輪)を攻略してくれる予想屋でもあります。具体的にはその日の担当レースをひたすら予想し、一日中買い目を発表してくれるのです。
プレイヤーは従来の競輪投票サイトのように自分で予想をして車券を購入してもよいのですが、実況者の予想に丸ごと乗っかることもできます。それが画面下部左に出ている「のっかりベット」です。これがあることでゲーム部分(競輪)のハードルが一気に下がります。「ライン」だの「番手」だの「かまし」だのという面倒なことを覚えなくても、実況者に乗っかるだけでゲームプレイができるのです。
↓実況者の買い目を見て、そのまま買うことができます!
ここでは無料のメダルを使って、15000枚賭けました!
メダルは初期プレイヤーにはアホみたいに配布されるので、惜しみなく使っても減りません!
「『予想が外れた』というミッションを達成した」とかいう理由で1000枚とかくれるので!
↓レース中は実際の競輪が映し出されて、それを実況者とともに楽しむことができます!
グレーゾーンではないレース部分の合法配信を実現するとは!
さすが公認正式サービス!
↓レースとレースの間はひたすらワイガヤを楽しむ時間!
自分で予想するのもいいけれど、レースを待ちながら実況見ているのも気楽で楽しい!
何だこのサービス!?
実況者とゲームプレイが同じ画面内でリンクしているというこの構造が非常に強力です。彼らは従来の競馬競輪競艇番組のように、真剣にゲーム部分(競輪)に向き合ったりはしません。もちろんある程度の前提は踏まえているので、ハチャメチャに見当違いの予想はしませんし結構当たったりもするのですが、基本はただただ会話しているだけです。最近の出来事とか、プレイヤーからの質問コメに反応したりとか、ご飯を食べたりとか。「マッサージ行きたーい」とかボヤいたり。
競馬競輪競艇の予想番組なんて、ひたっすら予想の話しかしませんが、あれは予想に関心がなければ1ミリも面白くありません。特に競輪の予想なんて誰と誰がライン作ってレースがどういう展開になってという話で、興味があっても「役には立つが面白くはない」もの。そこをガン無視して、オスカーのモデルさんとかが弁当食べてる場面を垂れ流すのです。その様子を見ているだけでいいヒマつぶしになりますし、ゲーム部分(競輪)で一緒に盛り上がることもできます。実況者がいくばくか儲かるだけでなく、閲覧者も儲かる可能性があるなんて、画期的ゲーム実況じゃないですか。
「リアルスポーツをゲーム部分としたスマホゲー」
「スポーツ中継と実況者配信を一体化」
「無課金プレイヤーでもお金が儲けられる」
これは日本ではいまだ非合法、しかし世界では国の稼ぎとして拡大している「オンラインカジノ」と、スマホゲーを支える「基本プレイ無料」「ガチャ」「ゲーム実況」の手法とを融合させた、次世代型のオンラインカジノであると言えるもの。その意味ではミクシィが微妙に閉鎖的であるのも何となく納得できます。「TIPSTAR」は本番ではなく、まだ「ベータテスト」のような段階、これから大きく育てていく途中のサービスなのでしょう。
ここでUIや演出の改善を行ないつつ実績を残し、じょじょにほかのものに進出していく……当面は競馬という金山へ(すでにミクシィは競馬関連の大手サイト「netkeiba.com」を買収済)、そして将来的にはスポーツベッティング全般へという壮大な計画が見えてくるかのよう。そして、その狙いは比較的早期に達成されそうな気もします。ゲーム部分が同じなら楽しいほうがいいわけで、もう一度楽天の従来型競輪投票サービスである「Kドリームス」に戻る気にはなれません。楽天の投票サイトには実況もないし、ガチャもないし、無課金プレイできる要素は何もないのですから。
スポーツベッティングの日本における可能性は法整備含めて一旦置くとして、ミクシィ競輪が与えてくれた「もしかしたらどんなものにでもガチャはつくのではないか?」「ゲーム実況みたいなスポーツ実況はあり得る」という気づきは検討に値するものです。有料配信ライブと投げ銭で生き延びようとしているイベント業に、もしも「ガチャ」という新たな課金導線があったなら。競輪という「最初からガチャ」のものにさえもう1回ガチャがつくのですから、「ガチャをつけられないかな?」と考える価値はあるでしょう。投げ銭で稼ぐのは投げてくれる人への対応が大変ですが、ガチャなら放っておくだけで回るかもしれませんしね!
最終的にはギャンブルなんでオススメはしませんが、わりと楽しいです!
後でmixi競輪覗いてみる気になった。それにしても色々と見つけてくるね。これからも頼むわ。