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愛馬シンハリング号が勝ちました!

「これがポッキリの魅力よの…」と夢のクラブDMMバヌーシーを思う週末。昨年7月12日以来、通算6戦目の競争に愛馬シンハリング号が臨みました。4歳以上1勝クラスという、スポーツニュース的価値観から言えば取り立てて注目するような競争ではありませんが、愛馬となれば想いも格別。7か月ぶりのレースに馬主様としても緊張と興奮が高まってきます。

休養前はなかなか得意な条件で走れるレースに恵まれず、本来のチカラを出せないレースと、それによる疲労でグッタリしていた愛馬。その影響か鼻出血であるとか皮膚病であるとか骨瘤であるとかが出て、3歳クラシックへの挑戦は見送らざるを得ませんでした。2歳で3戦、3歳で2戦、勝ち負けはさておき出走自体ができないという苦しい時間がつづきます。

「月額会費がある一般的クラブなら」
「これは相当やきもきするわな…」
「いつ出てくるかもわからない馬の」
「元気いっぱいな飼葉食い」
「飼葉よりも馬券を買ったほうが」
「全敗ではないぶんマシという気持ちと」
「どうやって向き合うべきか」
「それをニッコリ笑顔で許せるほど」
「自分は人間ができているのか」
「正直なところ自信がない…」
「馬に怒りはしないだろうが」
「会費払うぶんの楽しみは欲しいと」
「無闇に馬を増やし始めて」
「ツキイチくらいでは愛馬が走るような」
「環境を求め始めていた気がする…」
「身の丈に合わない出資によって」
「馬のために働いているような」
「逆転現象が起きていたかもしれない…」

しかし、この馬はかつてのDMMバヌーシーが提示した夢のプラン「払い切りポッキリ」時代の愛馬。どれだけ休養しようが、どれだけ元気に飼葉を食おうが、追加のお支払いがあるわけではありません。であれば、考えることは「馬のベストな状態」のみ。ゆっくりと休んでくれよと放牧に送り出し、そして愛馬は帰ってきました。馬体重プラス14キロ、ついに大台の500キロを超えて…!

↓「しばらく見ない間に大きくなったなぁ」と親戚の叔父さんの気持ち!

新馬戦から30キロ増えてるけど、本当にそんなに成長するのか!?

腰から尻のあたりがふっくらとして見えるなぁ!



公平に言って、1勝クラスでの実績を比較すれば上位人気になるのは当然という戦績を残してきている愛馬です。オッズでも一時は1番人気に押されるほどでした。しかし、パドック解説は見たとおり「太い」というご指摘で注目馬からも外しています。その見立てに「親」目線としては若干のイラッもあるのですが、「馬券師」という目線で言えば確かにそうかもしれないと思います。長期休養明けで、プラス14キロで、気合乗りももうひとつ。これはどう見ても「次走が本番」というヤツで、今回は穏便に復帰できればいいという話だろうと思いました。

そのあたりを馬券師たちが冷静に加味したか、オッズはグングン下がり最終的には3番人気に。僕も単勝(1着を当てる)+複勝(3着までに入る馬を当てる)の応援馬券のほかは、愛馬以外も買い目に入れたワイド(1〜3着に入る2頭を当てる)の4頭ボックス買いにとどめ、勝負というよりは応援というモードで見守ります。愛馬1着を心から信じていれば、複勝やワイドを買う理由はないのですが、買っているということは懸念があるということ。そういう意味では「親」らしからぬ馬券ではありました。

↓クラブは「4歳1勝クラス」のレースとは思えないスペシャル動画を制作する特別待遇で、このレースを盛り上げる!


↓そんなにしていただいているのに、馬券は100円単位というケチくさい馬主様!

せめて1000円買いなさいよ…!


鞍上にルメール騎手を迎え、天気は快晴、良馬場で迎えたレース。ここまでの5戦で3走が重・不良という雨女の愛馬ですが、一昨年11月の赤松賞以来の好条件でのレースです。思えばあの赤松賞でのほんの少しの差が、愛馬にとって大きなキャリアの分かれ目でした。あそこで勝っていればクラシック路線へと駒を進め、華々しいレースへの出走もあったかもしれません。しかし、直線一瞬抜け出すも最後はかわされて2着となった愛馬は、その後のレースで条件面に恵まれず1勝クラスのまま4歳を迎えました。

あのレースでもっと後ろの着順にいた馬がするするっとクラシックに駒を進めているのを見ると歯がゆい思いもありました。いつしかコロナ禍によって、愛馬の活躍を見守るどころか競馬場に行くことすら難しい状態となった世界。ほんの少し、勝った馬の前が壁になるとかであと半馬身違っていたら、まったく違うキャリアがあった。1勝の重みと、つかめそうなチャンスを逃したときに挽回することの難しさを改めて感じるようなレースでした。「最初の1勝」も難しくて遠いものでしたが、「次の1勝」もまた難しくて遠いものなのだと思いながらの1年半。この日の運命はどちらに転がるのか。

久々のレースに臨む愛馬は内枠5番の好枠からいいスタートを決めます。内枠の利を活かしてスルスルッと前に進出し、無理に前に出るわけではないが外枠発走の馬が被せるのは難しいという絶妙な塩梅で2番手の好位置におさまります。先頭に立つのは1番人気に支持されたアオイクレアトール号。ゆったり逃げて「よーいドン」の末脚勝負だと分が悪い相手ですが、それを後ろからチョコチョコと競りかけるようにして前傾ペースを生み出すと、かなり縦長の集団となって3コーナーから4コーナーへ。

2頭並走のまま直線に入ると、残り400メートルを切ってもまだ愛馬は手綱を持ったままで仕掛けを控えています。後続集団はハイペースでのレースに追走間に合わずかなり後ろからの追い出し。先頭の2頭が大きく他を引き離しています。残り200メートルにかかるところで鞍上のルメール騎手がムチを入れると、手前を替えて愛馬はグンと加速します。ここまでもすでにかなりスピードに乗っていますが、さらに直線の最後にきてひと伸びするあたりは、いかにもダイワメジャー産駒といった走りぶり。一瞬のキレ味はないものの、ジリジリと長くいい脚を使いますし、並んだときの根性もある。

まるで未勝利戦での1勝目を再現するようなレース運びで愛馬はアオイクレアトールを振り切り、最後は1馬身弱突き放しての1着入線!ルメール騎手のレース運びも「この馬が勝つならこの形」という見事なものでしたが、それ以上に馬が強かった。太め残りの休養明けでこの完勝なら、さらに状態が上向いてくる次走はさらに期待ができるというもの。1分33秒0の時計も優秀ですし、ようやく風が吹いてきたなという感じです!

↓この勢いで2勝クラスもポンポーンと突破してほしい!



↓いい身体、いい目つきしてますねぇ!

誰だ、太め残りだなんて言ってたのは!

こんなん単勝1万円買えないようでは節穴ですわ!



1勝に泣き、1勝に笑う。限られた時間のなかでキャリアを重ねる競走馬にとって、出走できたレースで勝てるかどうかは本当に天地ほど差があるものだとこの1年半感じてきました。「あそこで勝っていれば」と何度も思い返すようなレースと、一度遠回りが始まると大きく時計は遅れるのだという難しさ。今回は「次が本番だろう」という見立てのなかで思いがけない勝利となり、遅れた時計を少し進めることができたような気がします。

SNSのタイムラインにあふれる喜びの声の量は、まるでGIレースのあとのようでした。思えばこの馬は1万口という超小分け販売された馬のなかでもっとも出資者を集めた馬です。おそらく「日本競馬史上で馬主の数が歴代最多の馬」です。いつかこの馬がもっと大きくて華々しい舞台に駒を進めたら、注目度という意味では歴代の名馬には及ばないかもしれませんが、熱気という意味ではそれに勝るとも劣らない日となるはずです。単に賭けの対象とするのではない、「親」として見守る人が史上最多となるレースになるわけですから。

この勝ちっぷりと脚質・血統からすれば、将来的な大目標は同じ東京コースで行なわれるGIヴィクトリアマイルとなるでしょうか。来年の5月頃にはコロナ禍というものからの脱却も見えて、東京競馬場で愛馬の活躍を何の気兼ねもなく見られるようになっていればいいなぁと思います。気の長い話で、そこまでにあといくつ勝てばいいんだと考えると気が遠くなる話ですが、何せこの馬はポッキリですから、焦らず待ちたいと思います。繁殖に上がる期限となる6歳3月まであと2年、レーススケジュール的に言えば実質あと1年半くらい。それまでに夢の大舞台にたどりつけるよう、次走以降もルメールさんの日程に合わせて適鞍を探っていってほしいですね!


馬券と配当で1000円プラスくらいになりました!ごちそうさまです!