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2022年08月29日08:00
世界バドミントン東京開催、大成功でした!
本日はお出掛けの記録です。行ってまいりました、史上初の日本開催となった世界バドミントン東京大会へ。連日の熱戦をチェックしつつ、確信を持った決意で購入した決勝のチケット。「日本勢の誰かは必ずここまで来てくれるはずだ…」という思いで、決勝は現地で迎えることとしました。地上波での録画中継を決めていたテレビ朝日も確信しながら震えていたことでしょう。本当に誰も進出しなかったらどないしよか…と。
そんな不安は杞憂に終わり、日本勢からは女子シングルスの山口茜さんと、混合ダブルスの渡辺勇大・東野有紗組(ワタガシペア)が見事決勝に進出。日本バドミントン界が、大きな期待を背負いながら東京五輪では取り逃がした「自国開催での金」という夢、今度こそ叶えてくれることでしょう。
会場となる東京体育館の周辺は大にぎわいでごった返しています。しかも、若干のアブない気配も感じさせるように、いかつい兄さんたちが大挙して押し寄せています。「闇カジノでもできたかな?」「すんげぇサングラスですね」「バドミントンファンはこんなに荒んでしまったのか…」と訝しんでいると、どうやらお隣の国立競技場でYAZAWAがコンサートをしているためである模様。ふぅー、あぶないあぶない、単なるYAZAWAコスプレの皆さんだったようですね。
↓東京で世界一を目撃する気持ち、選手も観衆も一緒です!
早速入場しますと、YAZAWA勢を除いても大変なにぎわいです。世界選手権にふさわしく、日本のファンだけでなく中国の方や東南アジア方面の方もかなりの数がいらしている模様。各国の選手に熱い声援が飛んでいます。一応、運営サイドからは日本側の方針として声援はお控えくださいとの呼び掛けも出ておりますが、世界にはそのあたりは通じない感じのようで、「加油!加油!」などの声援は止むことはありません。このあたりはハリセンの使い方レクチャーも含めて、運営サイドにも改善の余地がありそうです。まぁ、次回の東京開催の際には、その反省は活かす必要もないかもしれませんが。
↓場内は色鮮やかにライトアップされてとてもキレイ。
↓待ち時間も含めていちいちオシャレ。
↓各国の熱い応援団が駆けつける世界大会らしい光景。
↓一応、ハリセンで応援してほしいというスタンス。
↓一応、大声での応援は止めてほしいというスタンス。
この日は5試合が予定されており、各種目の決勝戦が行われます。日本勢が登場する試合があとの方にまわっておりますので、まずは男子ダブルス、女子ダブルス、男子シングルスの観戦などをしていきますと、試合とともに見事な演出面が印象に残ります。富士山型の大型モニターに選手の写真を映し、モニターの一部が扉のように開いて選手が登場してくる入場の場面。音楽がドーンと鳴り、光がビガビガッと輝き、煙がプシューっと出る。歩いてくるだけで高揚するような演出で、試合を盛り上げてくれています。ライトアップされたセンターコートは試合も見やすくて結構ですし、決着後にはこれまた煌びやかなセレモニーと、アリーナを一周するビクトリーランが用意されています。そして、その全体を大きな拍手が支えています。
1年前、同じ東京で勝った人に対しては十分な「讃え」をしてあげられませんでしたが、今大会でそれが少し取り戻せたのかなと思いました。もちろん同じ人がメダルを獲るわけではないので完全に報いることはできないわけですが、「おめでとうございます!」という気持ちが伝わっていたらいいなと思います。あのときも、できればこれぐらいドーンといきたかったんですわ、という気持ちが。
1年前、同じ東京で勝った人に対しては十分な「讃え」をしてあげられませんでしたが、今大会でそれが少し取り戻せたのかなと思いました。もちろん同じ人がメダルを獲るわけではないので完全に報いることはできないわけですが、「おめでとうございます!」という気持ちが伝わっていたらいいなと思います。あのときも、できればこれぐらいドーンといきたかったんですわ、という気持ちが。
↓ド派手演出での景気いい入場。
↓勝って喜びを全身で示す者。
↓表彰式は富士山のふもとで。
↓勝者には場内を一周してビクトリーランをする栄誉が。
先の試合を見守っていると、日本勢にもひとつくらい金を獲ってほしいという気持ちがメラメラと高まってきます。最初からそのつもりではありますが、なお一層そう思います。東京五輪、日本勢全体のなかで「期待と現実」のギャップがもっとも大きかったのはバドミントンだったと思います。最大で「金複数個を含む全種目メダル獲得」まで可能性はあったと思いますが、実際には混合ダブルス・ワタガシペアの銅1個に留まりました。
多い少ないでどうこうとは思いませんが、選手たち自身も十二分に満足できる形ではなかったと思いますし、関係者にもそういう思いはあるでしょう。そしてファンにとっても。日本のバドミントンは強い、中国にも負けない、世界一になれる、そう思って挑んだ大会としては、やはり心残りがあるものだったと思います。特に、東京五輪は自国開催というまたとない機会だったのですから。あのときの無念を乗り越えるのは今日しかない。そんな気持ちが俄然高まってきます。
そうした期待を背負って登場したのが、女子シングルス山口茜さん。昨年の世界バドミントンを制した現女王は今大会も強豪を撃破しながら順調に決勝まで勝ち上がってきました。東京五輪では惜しくもメダルに一歩及びませんでしたが、この日の対戦相手はその東京で金のチャン・ユーフェイということも含めて「あの日のぶんまで」の期待がかかります。
↓頼むぞ山口さん、東京で金を!
第1ゲームは、山口さんの一方的な展開。立ち上がりこそ揉み合いがあったものの、中盤以降は連続得点で山口さんが突き放し、21-12の大差で先取します。コートを幅広く動き、前進しながらの連続スマッシュなど、山口さんの光るプレーが随所に見られました。
しかし、第2ゲームに入るとガラリと流れが変わります。微妙な風上・風下の違いでもあるのか、あるいは第1ゲーム先取で勝利を意識したのか、際どいシャトルが何度もネットに引っ掛かり、失点を重ねていきます。ゲーム途中には少し苛立つような表情を見せる場面も。
↓第2ゲーム、どうにも上手くいかない山口さん。
ただ、ここは東京で、今回は有観客の試合です。中国応援団もそこそこいますが、会場の大半は日本のファンです。掛け声こそ控えますが、何とかして山口さんを支えようという思いはひとつ。そんなとき拍手だけでもできることはあるんだなと思ったのが、山口さんのピンチに自然発生的に「ニッポンチャチャチャ」のリズムで拍手が起こったこと。一部で生まれたそのリズムで、みんなピンと来たのでしょう。このリズムなら日本選手への応援が伝わるはずだと。
さらにパンパンパンという3連打がこれまた自然発生的に起こります。これもまたピンとくるもので、「あ・か・ね」だなと何となくわかるのです。厳しい場面、痛い失点のあと、踏ん張りどころで「ニッポンチャチャチャ」と「あ・か・ね」が起こる会場は、これぞ自国開催だなと思う素晴らしい空間でした。
第2ゲームは落としたものの、再びコート入れ替わって始まった第3ゲームは、序盤から山口さんが走ります。前後左右に相手を動かしながら、虚を突く変化で手も出せないような攻撃の連続。7連続ポイントで8-1のリードを築きます。中盤以降は再度コートチェンジで入れ替わりますが、これだけの差があればそうそう追いつけるものではありません。着実に得点を重ね、20-12でマッチポイントを迎えます。少々の足踏みを経て、最後は21-14で第3ゲームを取り、世界バドミントン2連覇を東京で達成しました!
↓ダイビングした際に手をすりむく場面も。
↓客席からはオグシオも熱視線を送る。
↓勝利が見えてきても表情は変わらない。
↓あとは決まるのを待つだけ、盤石のマッチポイント。
↓写真だとあんまり伝わってこないですが、勝ちました!
↓ほんのり笑顔も見せてくれました。
山口さんはアスリートに限らず、一般の人のなかに入っても小柄な身長156センチの選手。コートの広さをカバーするには、ほかの選手より多く動き、長く走らなければなりません。それは一般論では不利な条件です。ただ山口さんは、必ずしもサイズがすべてではないな、と思わせてくれる選手でもあります。サイズはない代わりに、山口さんにはスピードと運動量があります。ダイビングしてからすぐさま立ち上がって再度逆方向にダイビングする気力があります。同じフォームから最後にクィッと打つ方向を変える技術があります。
そして、抜群の当て勘があります。通常なら落下点に入って理想的なフォームでシャトルをとらえたいものですが、山口さんは必ずしも理想を求めません。横っ飛びしながらのスマッシュ、ダイビングしての返球、大きく反り返って右手を左半身を超えて伸ばしてさえいきます。野球なら「悪球打ち」と呼ばれるような、どんなシャトルにでも手を出して返してしまう選手です。この日、山口さんがダイビングした回数は、ほかの全選手を足したよりも多いのではないかと思います。こんなに地面に這いつくばるトップ選手はそういるものではありません。
ゆえに山口さんのプレースタイルはとても個性的で、世界のトップ選手のなかにあっても際立つ魅力があります。「サイズがない」からこそ、遠くのシャトルを何とかして返す必要に迫られて生まれたスタイルかもしれませんが、「バドミントンが好きだ」という気持ちがこんなに伝わってくるスタイルはないなと思います。どんなシャトルでも返したい、シャトルを打ち合うのが楽しい、その情熱でこちらまで燃え上がるようでした。自分のなかの「歴代」に加わるような熱い試合でした。東京五輪のぶんまで応援できたような気分になりました。熱戦でした!
↓金メダルは自分で首にかけます。
↓メダリストが集合しての記念撮影。
↓表彰台に座っての記念撮影。
その後、日本勢からは東京五輪銅のワタガシペアが混合ダブルスの決勝に登場。こちらは中国ペアにチカラ及ばず試合を落としますが、それでも見事な銀メダル。苦しい展開でもタッチとコミュニケーションを欠かさず、互いにカバーし合うチーム力はさすがでした。押されながらも一旦は同点まで盛り返した第2ゲームの粘り、お見事でした。東京五輪で日本バドミントン界を救ったペアが、この大会でも大トリの試合に登場してくれている、「ありがとう」しかない有終の銀でした!
↓試合はかなり苦しいものでしたが、ペアとしてしっかり戦ってくれました!
↓メダルを互いに掛け合うワタガシペア。
日本での初開催ということで、始まるまではいろいろと不安もありましたが、そうした不安はすべて杞憂に終わり、素晴らしい大会として幕を下ろすことができたのではないかと思います。結果も、内容も、盛り上がりも、素晴らしかった。個人的にも「ニッポンチャチャチャ」と「あ・か・ね」のリズムは、忘れがたい記憶として胸に刻まれました。少し先の未来ではそんな工夫をする必要もなくなっているとよいのですが、「昔、観戦中に声を出せない時代があってな…」という思い出話をするときには、この日の話をしようと思います。
できることなら山口茜さんとワタガシペアの決勝戦を、ライブでテレビ中継してくれていたら、もっと熱い波が広がったのではないかと思いますが、まぁそれはまた次回への課題なのでしょう。この素晴らしい試合を録画中継用に編集しながら、「あー、ライブで流しておけばよかったなー」「せめてCSかBSで生中継だよなー」「何のためにチャンネルいくつも持ってるかわからんもんなー」と率直に思ったスタッフが猛反省してくれるよう期待したいものですね!
↓少しでも現地の興奮が伝わればと祈って動画でレポートします!
2013年のヨネックスオープンも現地でしたので、茜さんとは縁がありますね!
金メダルおめでとう!!
世界ランク1位でプレッシャーもあっただろうけど優勝できて
よかった!
パリ頑張って!!