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dTV独占というドコモの自己主張!

この世の大体は経済が第一である…そんな真理と向き合うような時間でした。13日、日本の有明アリーナで行なわれた歴史的一戦を、僕はdTVとかいう「消滅済だと思っていた動画配信サービス」で見ていました。DAZNと提携したのはdTVを捨てるためではなかったのか。あるいはDAZNを切ることを内心で決めたからdTVなのか、真実はわかりません。わかりませんが、こんなところで、この試合を、よくやったものだなと思いました!

↓dTVの「d」はたぶんドコモのdです!「ダメ」とか「鈍」とか「DEAD」とかではありません!


永久に使うことがないと思っていたサービスだからこそ永久に残っていた初回無料体験特典。「これを使うのは今日だ」と決断するのに時間は無用でした。今日を最後にもう見ることはないだろうと思いながら、僕が見守ったのはボクシング世界バンタム級4団体統一戦である井上尚弥さんVSポール・バトラーさんの試合でした。井上さんが持つ3本のベルトと、バトラーさんが持つ1本のベルトが勝者によって統一され、バンタム級では史上初となる主要4団体統一王者が誕生することになっていたのです。

井上さんが達成すれば日本人初・アジア人初のオマケつき。しかも、井上さんはこのベルトを1本ずつ獲得してきていますので、そのグローリーロードは非の打ちどころのない輝きで満ちています。この階級に敵はいない。「無敵」であることを完全に証明する。そんな歴史的な試合が!まさかdTVで!行なわれようとは!今さらドコモはどこにチカラを入れているんだと!真剣に思いましたよね!

↓なおdTVは大量のアクセスをさばき切れず、急遽無料配信に切り替えていました!

それはどうもありがとうございます!

それならもっと告知してほしかった!

無料なら広く国民が見られたのに!

単純な運営力で言えばABEMAのほうが遥かに上だと証明された中継でしたね!

○ABEMA(1R KO)dTV●

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星空のように輝く有明アリーナ。リングを囲うスポットライトはまるで檻のように、光の道のように、リングを光の筋で彩ります。「キルビル」のテーマで入場してきた井上さんは自らの拳と、自身が持つ4本のベルト(WBA・WBC・IBF・リングマガジン)を高く掲げ、威風堂々です。前日計量では電子式体重計と微妙な差が出て計量やり直しになる場面もありましたが、それもサッと所用を片付けてクリアするなど仕上がりは万全。相手も世界王者ではありますが、完全にホーム、圧倒的に格上のモンスターとして「挑戦者」を迎えます。陣営の着るTシャツには「GET THE FOURTH」の文字、見据えるターゲットは挑戦者ではなく「4団体統一」です。



そして始まった試合、それは思いがけない苦戦となりました。勝ち負けという観点で言えば1ラウンド半ばでは「確勝」を確信しました。対戦相手バトラーさんのパンチは井上さんによって完全に見切られており、手を出しても当たる気配がありません。相手のパンチを「届かない」と見切ったときはほとんど反応せずに攻撃につなげ、「届く」と思ったときもバックステップではなくスウェーでかわして即座に攻撃に転じる井上さん。その見切りの正確無比さは少し呆けるほどでした。スウェーで相手のパンチを鼻先で感じたあと、拳が戻るのに合わせて井上さんの身体と拳が突っ込んでいくのです。これでは攻撃すればするほどピンチになってしまいます。「よくできた格ゲー」みたいな動きです。

そのように勝ち負けという意味ではまったく問題のない試合なのですが、ひとつ問題がありました。相手の作戦か、あるいはリングに乗ったあとの本能か、バトラーさんがほとんど手を出してこないのです。すべてのチカラを防御と移動に振っているかのように、ほとんど手を出さずに防御に徹しているバトラーさん。それでも井上さんはガードの隙間からジャブを突き刺したり、ボディを打ったり、ガードの上からでも構わずパンチを見舞ったりと一方的に攻勢をつづけます。ただ、相手もWBO王者です。「勝たなくてもいい、立ってさえいられれば」という姿勢でこられると倒すのは簡単ではありません。

勝つだけならポイントはいくらでも取れそうですが、史上最強のモンスターを目指す井上さんにとって「倒す」ことが勝つこと。勝負を捨てて守りに徹した相手をそれでも倒そうというのは相当に難しいミッションでした。毎ラウンドのように相手をコーナーやロープに詰めて1・2・3・4・5・6のパンチを見舞うも、バトラーさんはなかなか倒れない。バトラーさんのボディや顔面、そしてロープを背負う背中までも真っ赤になっていきますが、それでも倒れない。これではそのうちガードを叩いても爆音あげる井上さんの拳のほうが壊れてしまいそう。

すると「あ、来ないな」と察したのか、ここから井上さんは驚きの戦いを実践します。3ラウンド頃からじょじょに井上さんはガードを緩め、ときに顔面を突き出し、ときに亀になってワザと相手に連打のチャンスを与えて打ち終わりを狙い、ときにゆーっくり身体を揺らし、ときに完全に静止して「的」となり、なんとかバトラーさんの攻撃を誘おうとし始めたのです。攻撃を誘いたい井上さんと攻撃をしないバトラーさんのコラボレーションによって、ノーガードの井上さんがパンチを出さないバトラーさんのわずかな身体の動きに反応して5回下がる(※本人てへぺろ笑い)なんて場面もありました。パンチを打ってもいないのによけているという、一周まわって子どもの遊びのようでさえあります。

ついにはリング上で「腕を背中で組む」という動きまで見せた井上さん。戦いのさなかに、対戦相手を目の前にして手を後ろに組むなんて、漫画のなかに出てくる中国拳法の老師しかやらないムーブですが、それを現実にやってのけたのです。しかも、その中国拳法の老師のムーブそのままに、その状態で放たれる相手のパンチを「ほほい」とかわすと、ようやく開いた扉の向こうに鋭いパンチをねじ込んでみせます。「このノーガードは罠なんだろうなぁ…」と思った相手が「やっぱり罠じゃん!」とすぐ気づくコントみたいな試合。この舞台でここまで差を見せつけるとは!ホント、パンチが、当たらない!

↓手を後ろに組んでもなお「世界王者がパンチを出せずに固まる」という井上さんの怖さ!

バトラーさんが井上さんの強さをわかり、

全部を防御に振って倒されないようにし、

その状態のバトラーさんを倒すのは容易ではないと井上さんが認めたからこそのこのムーブ!

強者VS大強者だからこそ生まれた珍場面でした!

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思いがけない苦戦(※なかなか倒せないの意)となったわけですが、井上さんと陣営に慌てた様子はありません。陣営からは「逃げ回ることはできても、リングの上で隠れることはできない」という名言アドバイスも飛び出しました。そうです、この戦いに防御はあっても逃走はありません。井上さんは「かかってこい」の挑発と、「かかってこないならコッチから行くぞ」の攻撃を繰り返し、じょじょにバトラーさんの体力を削っていきます。

迎えた終盤戦、井上さんはもう一段ギアを上げました。もはや誘っても乗ってこないと諦めたか、井上さんはボクシングの動きを解除し、小走りでバトラーさんを追いかけるようになります。ボクシングのステップで逃げるバトラーさんを小走りで追いかけてぶん殴る井上さんの振る舞いは、見方によっては恋人同士の追いかけっこのようでもあります。YouTuberが雑魚を相手にしたときみたいな試合が、4団体統一戦で行なわれてしまうことにただただ驚きしかありません。

そして場内がわずかに「大丈夫か?(※KOできるか?の意)」と不安を覚え、井上さんを大声援で後押しするなかでの第11ラウンド。両の拳を突き上げるようにしてコーナーを飛び出したそのラウンドで、ようやくその瞬間は訪れます。11ラウンド残り2分、強烈な右のボディ&左フックのコンビネーションを発端に、強パンチの連打を繰り出した井上さんは、じょじょに腰が沈んでいくバトラーさんを、打ち下ろしのパンチでついにリングに這わせました。まるで杭でも地面に打ち込むかのように、文字通り相手をリングに沈めました。

リングに両手足をついたバトラーさんは小さく首をひねり、レフェリーはテクニカルノックアウトを宣言しました。その動きを見て、安堵したかのようにリングに横たわったバトラーさんの姿と、ジャンピングガッツポーズでお父さんと抱き合う井上さん。楽勝ではあるけれど大苦戦の一戦は、勝って目標を達成した井上さんと、チカラをしっかりと示したバトラーさんと、井上さんの試合を11ラウンドも見られた観衆と、サービスがつづいていることを知ってもらえたdTVとで、勝者しかいない神試合でした!

↓強い、強い、強すぎるモンスター!


↓歴史が生まれた!バンタム級史上初の4団体統一!


↓尚弥さんのもとにWBOベルトがようやく到着!


↓見るまでもない紙ですが、ジャッジの採点は「全ラウンド井上」です!

もう寝ていても勝てるのに、それでも倒しにいった井上さん!

それが最強を求めるボクサーのプライド!

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ここまで長い道のりでした。本来であれば2018年から2019年にかけて行なわれたワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)で井上さんは4団体を統一しているはずでした。しかし、WBC王者の不参加、WBO王者の途中離脱でベルトはふたつ止まりに。そこからの時間は「戦ってもらう」ために費やされていきました。WBO王者であったジョンリル・カシメロとの対戦はコロナ禍によって流れ、その後カシメロがなんじゃーかんじゃーと難癖と悪態をつきながらなかなか試合をしないことによって、井上さんの「待ち時間」は伸びていきました。

ようやく2022年になってWBC王座を手土産に井上さんとの再戦に臨んだノニト・ドネアさんを撃破して3団体統一を果たすと、5月にはなんじゃーかんじゃーと試合をしないカシメロの王座が剝奪され、4団体統一への道が開けます。そして昨日、この階級の1本目のベルトを獲得してから約5年をかけて、なんとか20代のうちにバンタム級の統一を達成しました。待つ時間と耐える時間、じょじょに適正階級が上がっていく身体の変化、そのすべてを乗り越えた我慢の統一劇でした。

ポール・バトラー戦で見せた「後ろに手を組むポーズ」がこの5年間を象徴するムーブだったなと思います。戦えさえすれば勝てるのに、相手が戦ってくれない。そんなジレンマのなかで、世間を盛り上げ、対戦をアピールしながらじっと待ってきた。「どうかかかってきてくれ」と願ってきた。リングの上以外での長い戦いと、それをも勝ち抜いた我慢強さを示すあのムーブは、珍場面にして名場面でした。

井上さんは試合後のインタビューでスーパーバンタム級への転向を表明しました。しかし、そこでも我慢の時間はつづくでしょう。現在のスーパーバンタム級は2冠王者がふたりいるという状態。「めちゃくちゃ強そうな挑戦者」を相手に2本のベルトを賭けてくれるお人好しはなかなかいないだろうと思います。各団体から挑戦者に指名されて、その試合がつつがなく実施されるまで、どれくらいの時間がかかるものか気を揉むばかり。

とは言え、全階級4団体統一をしていく義理もないわけですし、ここから先はより強そうな相手を倒しながら、より大きな舞台へ進んでいくだけ。勝つとか負けるとかではなく、どれだけ強そうな相手と戦うことができ、どれだけ井上尚弥というボクサーの強さを世界に示せるのか、それが真のミッションです。そのためには「かかってきてくれる」相手が何よりも必要です。戦うまでも戦いです。陣営も総力を挙げて「かかってこさせる」戦いに勝ち抜いてもらいたいもの。勇敢な王者たちが、このモンスターにかかってきてくれることを切に願います!



あと、井上さんの次の試合までにdTVが消滅していることも切に願います!