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2023年05月21日08:00
ヤクルト高津監督と意見が一致しました!
僕はかねがね「死球」というものに関して持論がありましたが、なかなか世のなかの賛同を得られそうもない少数意見なので、クチに出しても詮無しと胸に留めてまいりました。しかし、突如として強力な賛同者が現れました。それは昨年・一昨年と連続で東京ヤクルトスワローズンをリーグ優勝へと導いた名将・高津臣吾監督。高津監督が言い放ってくれたド正論に「我が意を得たり」と僕もヒジをポーンと打ちました。この考え方、ぜひ広まってもらいたいものだと思います。
↓「(死球は)わざとぶつけているわけではない。攻めている結果」その通り!
【 #ヤクルト 】乱闘騒ぎに高津臣吾監督「わざとぶつけている訳ではない。攻めている結果」 #東京ヤクルトスワローズ #swallows #baseball https://t.co/20QRrBcjxl pic.twitter.com/K5DYvhtKIl
— スポーツ報知 プロ野球取材班 (@hochi_baseball) May 20, 2023
しかし、このド正論に対して、一部からは猛烈な反発も巻き起こっている模様。そもそも高津監督がこのド正論をブチあげたのが、自軍の投手が入れ替わり立ち代わりに3死球をブチ当て、2つめと3つめは同じイニングでの死球だったことから両軍が一触即発の雰囲気となった試合のあとだったというのはタイミングとしては不幸でした。今しがた揉めたあとで、ブツけたほうが「わざとではない」「攻めた結果」などと自己愛による自己正当化のように誤解されかねない発言をするのは、それがどれだけド正論であったとしても反発を招くことは想像できます。どんな悪人の葬式であっても「地獄に堕ちろ!」と言えば顰蹙を買うものです。
さらに周辺状況にも不幸が重なっていました。ブツけられた側の横浜はここ3試合で6死球と死球がつづいており、「他球団はワザと当てているのか?」と誤解を抱きかねないフラストレーションが溜まっていた状況でした。ヤクルト戦で死球を受けたのは主力打者ばかりだったことも試合に水を差すような格好になりました。そして、この状況を見守る他球団からは過去にヤクルト選手がブツけられたときに大乱闘に発展した事例や、一部ヤクルトコーチが報復死球を示唆するかのような野次を発した事例、一部ヤクルト打者の自ら死球に当たりに行ったのではないかと誤解されかねない打撃フォームなどを挙げて、都合のいい「被害者ムーブ」であると誤解に基づいた指摘をするような声も。
↓当該の場面でもヤクルト側のコーチのひとりの動きが、不幸な誤解を招いた側面も!
横浜打者・宮崎さんに死球
↓
宮崎さんは痛みをこらえて一塁へ
↓
(このときの歩行コースが投手に詰め寄ったかのような誤解をされたか?)
↓
球審と横浜コーチが誤解を招かないよう肩を抱いてなだめる
↓
宮崎さんは痛みをこらえて一塁へ
↓
一部ヤクルト選手が「あぁん?」とでも言いたげなように誤解されかねない表情で近づいてくる
↓
(この表情が、宮崎さんがキレているという誤解に基づいて逆ギレしている…かのような二重の誤解を招いたか?)
↓
誤解を招かないよう横浜選手が歩み寄って対話を試みる
↓
一部ヤクルト選手は相手が詰め寄ってきたのでチカラで押し返そうとしたかのように誤解されかねない動きで対話に応じる
↓
(ここで誤解に基づいて両者一触即発という雰囲気を一部ヤクルトコーチが感じ取ってしまう不幸な誤解の連鎖が起こったか?)
↓
一部ヤクルトコーチが対話には不必要な速度で駆け寄ってくる
↓
(誤解の連鎖の末に、両者一触即発の場面に武闘派と誤解されやすいコーチが口尖らせてやおら駆け寄ってきたというさらなる誤解が広がったか?)
↓
双方選手・コーチ陣が集合し一触即発の雰囲気が生まれる
↓
審判から両チームに警告が発せられる
うーん、不幸な誤解の連鎖があったかもしれないですね!
全部誤解だと僕は信じます!
そうした誤解はSNSへと広がり、ついには死球とは無関係の、ヤクルトが他球団に「サイン盗み疑惑(※誤解)」をふっかけた際の蒸し返しまで行なわれるに至ります。いずれも誤解としか言いようがない不幸なすれ違いばかりではありますが、議論の空気はかなり悪くなってしまいました。しかし、せっかく高津監督がド正論をブチ上げてくれたのに、誤解によってそれを流してしまうのはとてももったいないと僕は思います。あかんすよ。
記事にあった高津監督の「わざとぶつけている訳ではないので、申し訳ないと言うと勝負の世界であれですけど、攻めている結果だと思います」というのは、まったくその通りです。大前提としてわざとぶつけるというのは論外ですし、それは野球に限らず傷害・暴行にあたる行為ですので絶対にやってはならないし、日本プロ野球の選手たちがそのような行為をすることはナイと僕は信じています。監督・コーチの指示による報復死球などもナイと信じていますし、選手もそれに従うことはナイと信じています。メジャーリーグで横行するという報復死球の文化は滅びるべきです。
ただ、わざとではなくても、人間ですのでミスはあります。投球が不幸にも打者のほうに向かっていくことはあるでしょう。勝負のなかでは打者の内角を狙って投じることもありますし、逆に打者が外角の球を予想して踏み込んでくることもあります。そうなれば当たることはあり得ます。死球は野球において起こり得る想定内の事態です。想定内であるからこそ、死球を受けた打者は一塁に進むことができるという形で補っていますし、あまりに危険なコースへ投球した投手は故意であろうがなかろうが安全のために審判によって退場を宣告されることもあります。ヘルメットやひじ当て、すね当てなど死球を受けても怪我を防ぐよう、安全性を高める工夫もなされています。そして「それでヨシ」となっています。全員の合意のもと「それでヨシ」となっているのです。
つまり死球は、全員が受け入れた野球の一部なのです。
そもそも怒るような筋合いのことではないのです。
ときに1試合で何個も死球を投じる荒れ球の投手もいますが、それも「全員が受け入れた野球の一部」です。制球力が低い、プロレベルではない、投げるべきではない、という指摘はファン目線の評論としては理解しますが、「制球力の有無」や「プロレベルであるか否か」や「投げるべきかどうか」を判断するのはプロフェッショナルである各球団です。「何個当てたらプロレベルではない」的な基準や免許制度が設けられていない以上、その判断は各球団に委ねられていますし、各球団はそういう仕組みに合意してリーグ戦をやっているのです。誰がいくつ当てようが、当てられて怒るのは筋が違うし、当てて詫びる必要もないのです。「当たったな」と思うだけ、であるべきなのです(※心情的に痛みでムッとなったり、怪我につながってスマンと思う気持ちは理解できますが)。
痛い死球を全員が受け入れているのは何故か。それは「野球を面白くする」ためにほかなりません。安全性だけをひたすら高めるのであれば方策はいくらでもあります。まずボールを軽くて柔らかい素材に変えること。バッターの前にアクリル板などの防御壁を立てること。フルフェイスのヘルメットや全身を固める防具などを身に着けること。いくらでもやれることはあります。にもかかわらず取れる方策を取らないのは、それがプレーを阻害し、野球の面白さを減らしてしまうからです。ゴムマリをホームランにするのは無理ですし、フル防具の選手が鋭いスイングをするのは困難ですし、アクリル板はプレーの邪魔です。
プロフェッショナル同士が、互いの技量をリスペクトしつつ、「プロとしてどこまでリスクを取れるか」を検討した結果が、現状の「死球」なのです。そのリスクを取ることによって、豪快なホームランや軽快な走塁や華麗なフィールディングを生み出し、野球のエンターテインメント性を高めているのです。技量を高める努力や安全性を高める工夫はつづけていくべきですが、リスクはゼロになりませんし、ゼロではないリスクを全員が受け入れているのが今なのです。
としたとき、僕は「打者も巧みに避けるべき」と考えます。死球は投手が100%の責任を負う出来事ではないはずです。リスクがあるなかで、こういうゲームをやろうとしている両者が互いに「避けるように努力するべき出来事」です。投手が制球を磨くのは大前提ですが、野手も「避ける技術」を磨くべきなのです。投手に全責任を負わせてボーッと立っているのではなく、投手にミスが生じたときは、打者がそれをカバーするように「高い技術で避けるべき」なのです。死球とは、投げた投手と避けた打者が両方ミスしたときに起きる出来事です。野球の面白さを守るための「共同作業」です。打者が「避けられません!」「当てるなよ!」と一方的にギブアップするのであれば、このスポーツにはリスクを取る資格はありません。今すぐボールをゴムマリにすべきです。
であるならば、いくつ当てようが当てられようが、「当たったな」と澄ましているのがプロフェッショナルの矜持でしょう。許容できないリスクなのであれば、ルールを変えるなり免許制度を導入すればいいわけです。自分たちで決めているルールなのですから。そうしないのは、プロとしてそのリスクを取ったからです。自分たちで取ったリスクに怒るのはみっともないし、技量が足りない。もしそのリスクを許容できないという素振りを見せるのであれば、世間はそれをすかさず是正に向かいますが(※ボールをゴムマリに変更)、それでよろしかったでしょうか。そういう状況を望まないのであれば澄ましているしかないはずです。
「当たるコースにいってしまって俺は下手だった」
「避けることができなくて俺も下手だった」
「気を取り直していい試合をしよう」
「そして一層技術を磨くように努力しよう」
「これからも安全で激しい野球を見せるために!」
と、互いに笑顔で見つめ合う、それがプロ野球のあるべき姿であろうと僕は思います。ぜひ各球団にはいま一度ヤクルト高津監督のド正論を噛み締めていただき、ヤクルト自身もまた「いくつブツけられようが」平然と澄ましていてほしいものだなと思います。歴史的大打者には、相応の厳しい攻めもされるでしょうが、そこを華麗に避けてこそ大打者でもあります。たとえば大谷翔平さんは今季44試合を戦った時点で、いまだ死球ゼロです。厳しい攻めをされる場面もありましたが、素晴らしい身のこなしで避けていました。それが歴史的大打者というものです。
高津監督のド正論はプロ野球をさらに進化させる至言です。
日本プロ野球にこの意識が広がりますように!
↓誤解を招きかねない動きをしていたコーチにも、高津監督の思いはきっと伝わっているはず!
絶対誤解を招いてはいけない場面では、土下座しながら近づくといいですよ!
「同じ土俵に立ってないようで見下されそう…」と心配になるかもしれませんが、誤解を招かないのが最優先なら土下座一択!
今後の飛び出しでは土下座前進をオススメします!
くれぐれも「わざと」当てることなどないよう、プロとして誇りあるプレーを!






ぶつけられた球団の監督が発したコメントなら美談になるが、
ぶつけた球団の監督が言うと事実だとしても肯定する気になれない。