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ここからのV字上昇へつながる初戦快勝!

いよいよ始まりました、ラグビーワールドカップ!日本スポーツ界が次々に好結果・快進撃を見せるなか、大きな自信と大きな不安と両方を持って迎えたのがラグビーワールドカップの日本代表です。日本は強い、すべてをやってきた、今度こそベスト8の先へ、目指すはもちろん優勝、そういう強い気持ちはありつつも、ここへ至る周辺状況は決して芳しいものではありませんでした。本大会へ向かうテストマッチは1勝4敗と苦しい星取り。そのなかには本大会で対戦のあるサモア戦での負けも含まれていました。サモアに負けるようであれば、優勝はもとより、ベスト8も覚束ないでしょう。

メンバー選考後も期限ギリギリまでコンディションを理由として入れ替えを行ない、さらにこの大事な初戦を前にしてキャプテンでもある姫野和樹さんの負傷欠場が発表されるなど、コンディション面での不安もありました。「我々には自信があります」と力強い宣言をした姫野さん本人がこの日の試合にいないとはどうしたことか。緩やかな下り坂を進んでいくような不穏な雰囲気のなかでの初戦・チリ戦となりました。力関係からいっても絶対に勝ちたい、勝つだけでなく4トライをあげて勝点5を取りたい、完勝を目指したい試合が果たしてどうなるものか、緊張感が高まります。

↓現地では日本代表への熱い声援が!


↓試合前のスタジアムでは何故か長渕剛さんの「とんぼ」が流れていた模様!

どっちかって言うと、野球のイメージの歌なんですがね!

現地に長渕情報を伝えたのが誰なのか、非常に気になります!

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この日が代表50キャップ目だという稲垣啓太さんが先導する形でフィールドへと入ってくる日本代表。「Our Team」を掲げてひとつの船となったチームの面々は、引き締まったいい表情です。しかし、チリ代表はそれ以上に熱く燃えています。劇的な逆転勝利で予選を勝ち抜いてきたこと、これが記念すべき初出場であること、初出場であるがゆえに初戦から全身全霊であること、かつて2015年の日本代表が見せたような「今日にすべてを懸ける」顔つきの男たちです。少年少女合唱団の歌声に乗せて国歌を高らかに歌い、スタンドからはサッカーでもおなじみの「チ!チ!チ!レ!レ!レ!」の声が響きます。汗なのか、涙なのか、早くも選手たちの頬を水の雫が伝っています。この挑戦者をしっかりと跳ね返すことができるのか、日本代表の「強豪」としての強さが問われるところです。

迎えたキックオフ。日本は太陽の光を背中から受ける陣地をコイントスで取りました。まずは手堅く、ミスなくしっかりと立ち上がりたい、そんな構えです。一方チリはガッツンガッツンきます。バックスに展開して複雑なサインプレーを繰り出すような動きはありませんが、ボールを持ったらガンガン走ってきます。ラックからボールを出したらすぐさまその裏に走っていくような連続攻撃は、単純ですがワンミスで一気に持っていかれそうな怖さもあります。そしてひとりひとりの馬力がすごい。接点でのぶつかり合いではチリが日本を上回っています。

先に試合を動かしたのはそのチリでした。相手陣内深くからの展開で、うっかり相手のフルバックのランで「3人抜き」を喰らった日本。駆け上がるチリはサポートも早く、日本が絡みついてもなかなか止められません。相手がボールを落としてノックオンというコールがあり、ようやく食い止めたと思った日本ですが、チリは審判のコールでプレーを中断することなく最後までプレーを完遂していました。そして、TMO(ビデオ判定)をしてみたところ、先ほどのノックオンは後ろに落とすノックバックであり、プレーはつながっていました。動きを止めた日本と、インゴールまで駆け抜けたチリ。喰らいつく姿勢の差が生んだチリの先制トライでした。

↓審判のコールがあったとは言え、日本が先に止まってしまったのは課題です!


ただ、日本も慌てるところはありません。太陽を味方につけた高いキックから相手の落球を誘うと、相手陣内深くで攻撃を開始します。素早い展開と鋭い出足でジワジワと前進していくと、中央にわずかに空いた隙間へと突破力自慢のファカタヴァさんを走らせました。本大会直前の入れ替えでギリギリ復帰してきたファカタヴァさんの見事なトライが決まり、さらに夏のテストマッチではキックに不安を見せていた松田力也さんも緊張のコンバージョンキック1本目を決めて日本すぐさま同点!スタンドまで届くド真ん中のキックで、気分よく1本目を蹴れました!

↓よーし、取られた直後の攻撃で取り返した!


それでもチリの勢いはおさまりません。日本が相手陣内深くでラインアウトを選択し、モールからインゴールまで押し込もうとした場面、日本のモールはチリによって分断され、逆に反則によって日本はボールを失ってしまいます。直後には何やら小競り合いのようなものも発生しており、密集地帯では相当バチバチやり合っているようです。チリは初出場であっても、まったく怯えてもいませんし、むしろ食ってかかろうとしている、精神面ではチリのほうがナイスゲームと言いたくなるほどの熱さです。

ただ、その熱さが少し出過ぎてしまったのが前半24分。チリは日本の具さんがすでにボールを手放したあとに、身体の側面からヒザ関節への強烈なタックルを繰り出してしまいます。苦悶の表情で治療にあたる具さん。2019年大会での涙の負傷交代の場面がチラッと脳裏によぎります。このタックルは危険なプレーであると判定され、チリは1人が10分間退場となります。レッドカードでもいいのではとも思うくらいのプレーでしたが、具さんも立ち上がってプレーを続行できていますので、ひとまず最悪の事態に至らなかったのは幸いでした。

日本は相手がひとり少ないこの時間にグッと圧力を掛けていきます。迎えた前半30分、相手のスターティングメンバーが一時退場で外れているなかでのチリ陣内でのスクラムの場面。日本は強いヒットで押し込むと、ジワジワとチリを押し込んで相手フォワードをその場に釘付けにします。余裕を持ってボールを拾い上げた流さんは、人数が少ない相手バックスに対して「自分がランするぞ」というフェイクで穴を開け、その穴にナイカブラさんを走らせました。ナイカブラさんは相手を引きずりながらインゴールに飛び込んでトライ!日本逆転!

↓相手がシンビンの間にトライを挙げた!いい展開!


さらに前半37分、今度はチリにとっては不幸な形でしたが、走り込む松島さんの頭と相手選手の頭がぶつかってしまい、この日2度目のシンビンとなってしまいました。松島さんは反転しながらすり抜けていく動きで前が見えておらず、相手もここに来るとは思っていなかったような動きで棒立ちのまま当たってしまった格好でした。こちらはちょっと厳しい判定となりましたが、選手の安全を守るためには致し方ないことです。

ひとつ前のシンビンが解けたばかりでまたシンビンとなり、「前半24分からずっと1人少ない」という状況になってしまったチリ。この苦境を、日本が見逃すはずもありません。ハーフタイムで休憩などさせぬとばかりにトライを狙って攻撃をつづけると、先ほどは一度押し負けたドライビングモールを再び仕掛け、今度は「モールを回転させ、モールの側面からボールを持ち出したファカタヴァさんがトライする」という頭脳プレーでトライを奪いました。ファカタヴァさんはこの日2つめ、日本チームとしては3つめのトライとなり、ボーナスポイントが獲得できる4トライも見えてきました。

↓押し込むだけがドライビングモールではない!回して、横から飛び出した!

リーチマイケルさんのスクリーンが効いている!

日本の「モールから押し込むためのデザインプレー」にも注目です!



前半終えて21-7と14点リード。熱量では譲るものの、スコアではしっかりとリードして折り返しました。チリの先制トライのときにはドキッとしましたが、日本は出足が鋭く、ハンドリングでのエラーが少なく、安定感がある試合ぶりです。ペナルティも日本に有利に働き、「ここで取りたい」という時間帯でしっかりトライを重ねられました。「歴戦の強豪」といった感じの試合運びです。

後半に入ると、再び元気を取り戻してきたチリが攻撃を重ねてきます。そのなかで、日本に「わざとボールを叩き落とす反則」があったとしてイエローカードが与えられ、10分間の退場となります。人数が少ないなかで迎え撃ったチリの攻撃。ここで「相手が裏を狙って蹴ったキック」が「日本選手に当たって跳ね返り」、「それがチリの選手にダイレクトで渡る」という不運ピンボールみたいな事故が発生し、日本はチリにトライを許します。不運プラス相手の気迫によって押し込まれてしまいました。

ただ、その不運や気迫をも跳ね返していく武器が日本にはありました。強い日差しと熱気のなかで、チリの選手たちはじょじょに疲労の色を見せ始めます。何人もの選手が足を伸ばすような動きを見せ、プレーが切れると再開まで露骨に時間を掛けるようになっていきます。ときにはプレー中断時間を目いっぱい休んだあと、「あと、選手交代もします」で休憩時間を引きのばすような動きさえも。逆に、試合始めから鋭かった日本の出足はさらに冴え、相手のボールより先に接点に到達しそうな勢いでチリのラインに突き刺さっていきます。競技を超えて日本代表に共通するチカラ、走力と粘りがこのチームにもある。

その走力が光ったのは後半13分。まだ日本がひとり少ない時間帯の日本の攻撃の場面、相手が陣地挽回のために蹴り返してきたボールを拾うと、ナイカブラさんが切れ味のあるステップで相手のタックルをかわしながら大きく前進します。相手インゴール付近では右に左に展開してチリ選手を走らせながら、最後はポッカリ空いたゴール中央にリーチマイケルさんが飛び込みました。コンディションの問題で大会直前に代表を離脱したジェームス・ムーアさんを思って「JM」と手書きしたヘッドギアを脱いでいた(暑くて?)のは惜しかったですが、日本の大黒柱がしっかりと決めてくれました。

↓前半にトライを決めていれば、もっとイイ話感が出たのだが…!


↓この人が決めると日本全体が盛り上がる!


↓勝ったあとみたいなカッコイイ映像!でもまぁ、これで4トライ目ですし、勝ちましたかね!


これでボーナスポイント獲得の条件を満たした日本。勝てば最大となる勝点5を獲得できます。この組で上位を争うであろうイングランドとアルゼンチンは互いにトライを奪えないという渋い戦いで大会初戦を終えていますので、勝点5なら日本が首位に立つ格好です。おおむね初戦の目標達成は見えてきましたが、日本の追撃はまだまだ終わりません。むしろ、時間が進むごとに圧力を増していきます。

その圧力がとりわけ目立ったのはスクラムでした。前半は押し勝ち過ぎてしまってペナルティを取られたり、意図せず回転してしまったりしていた日本ですが、後半は集団としてのバランスがよくなり、強く当たって押し込めるようになりました。スクラムで勝てば、相手はその後の展開の守備に十分なチカラを割けません。押し込む⇒狙い澄まして展開⇒トライ、という流れでさらに得点を重ねる日本。後半31分にはスクラムからの展開で中村亮土さんがトライ。さらに試合終了間際にもスクラムからワーナー・ディアンズさんが押し込んで、日本6トライ目。松田さんのキックも6本すべて決まって、42-12で日本は初戦快勝となりました!

↓スクラムで勝つと「勝ったな!」って気持ちになるトライ!


↓日本は42-12で初戦を快勝!


いやー、試合直前の不安はどこへやら、終わってみればポジティブ要素満載の快勝となりました。コンディション面が不安視されていたファカタヴァさんとワーナー・ディアンズさんが試合出場しただけでなく大活躍、久々の代表復帰となったレメキさんはキレキレ、松田さんのキックは100%成功という大当たり。試合終盤にかけてチリとの差が際立ったコンディション面は、日本がいい準備をできていることの証です。

ラグビーワールドカップはとかく大会期間が長いので、大会中のコンディション調整が重要となります。今は絶好調でも、準々決勝を戦う1ヶ月後まで絶好調とは限りません。1ヶ月もあったら、別人のように絶不調になることだってあり得ます。身体のコンディションはもちろん、心のコンディションも、ジワジワとあげながら大きな山を作っていきたいところ。その点で「直前のテストマッチは低調」「試合前が底」だったと感じる日本代表の流れは、この先に大きなピークが来てくれそうないい雰囲気です。あとは姫野さんが復帰して、タックルがしっかり決まってくれば、前回大会以上の結果も見えてくるのではないでしょうか。手応えある初戦でした。

次戦は予選プール最大の山場となるイングランド戦(※エディー・ジョーンズHCではない)。昨年11月の敵地での対戦では日本は13-52とメタメタにやられました。勝つことがもちろんベストですが、よしんば勝てなくとも「4トライを取ってボーナスポイント獲得」「7点差以内での負けでボーナスポイント獲得」といった目標を見据えて、最後まで戦っていきたいところ。10月末まで戦う気持ちで、じっくり坂を上っていきたいものですね!

↓ちなみに、試合終了後の会場では何故か長渕剛さんの「乾杯」が流れていました!

チリが「完敗」という意味なのか、日本に「Cheers」という意味なのか!

大活躍のファカタヴァさんのお気に入りの1曲という説もあるが…?

とにかく、今、長渕が世界で熱い!セイッ!セイセイッ!

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日本が優勝したらトロフィー掲げるバックで長渕が流れるのかもしれませんね!