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2023年10月16日08:00
これが「三冠馬」の見る景色か…!
15日、中央競馬にて注目のレースが行なわれました。3歳牝馬三冠レースの第3戦、GI秋華賞です。単勝1.1倍、そして最終的に「複勝1.0倍元返し」となるほどの圧倒的な支持(※これはほかの馬も上位人気だったためでもあるが)を受けた1番人気リバティアイランドが三冠達成なるのか。いや、なるのかならないのかで言えば「なるとしか言えない」という強さをすでに存分に見せつけられているわけですが、レースを終えてみて思うのは「1.1倍でも十分だった」ということだけ。負けようがない馬の能力と、勝ちに徹した騎手の騎乗と、こういうレースになるのであれば「わずか2分で資産が10%増える」馬券を買えば十分だったなということ。何度やってもアクシデント以外では負けようがない、そんな強さでした。
ちなみに個人的な馬券周りはと言うと、単勝1点で割り切る胆力も10%増えたら幸せになれるほどの軍資金もなかったことで、「当てればOK」くらいの消極姿勢でリバティアイランドからのワイド攻めでいってみました(←馬券下手そう)。せめて小さな夢でも見ようと「リバティアイランドが1着に来ても2着・3着には必ず別の馬が来る」という観点から2着・3着のワイドに夢を託したわけですが(※2〜5着に入った馬のワイドをボックス買いしていたので10.9倍的中)、トータルでは1500円購入で1880円払い戻しという25%プラスとなりました。これが勝利なのか、勝ち損じなのかはよくわかりませんが、まぁ減らなかっただけヨシとしましょう…!
↓今年の凱旋門賞に出てたら勝ってたんじゃないですかね!それぐらいの強さに見えました!
小回りの1コーナー2コーナーに向かうレイアウトの京都競馬場。3枠6番の好枠に入ったリバティアイランドは、五分のスタートから少しだけ手綱をしごいて前方好位につけます。ハナを切るのは4番コナコーストと、外から押していった9番ミシシッピテソーロ、13番ラヴェルと17番ソレイユヴィータも前に行きますが、枠順もあって1コーナーまでに先頭を取り切るには至らず。ラヴェルが先頭で逃げる展開があればひと波乱あったかもしれませんが、無理に逃げるのは距離的にも不安があり、その目は消えました。
狙いなのか、成り行きでの作戦なのかはわかりませんが、17番ソレイユヴィータは少しずつ内側に位置取りをずらして、2番ハーパー(2番人気)と左右からリバティアイランドを挟み込み、先団につけるラヴェルをフタとしてリバティアイランドを取り囲みます。リバティアイランドを内から睨むハーパーにはルメール騎手が、リバティアイランドを外から睨むソレイユヴィータには武豊騎手が。ウマ娘CMでタップダンスを披露する両巨頭が「簡単にはやらせないよ」と面白い競馬を提案してきた模様。
武さんあたりは「この馬では最後まではとてももたんだろうなぁ」と思いながらやっていたのでしょうが(※最終順位17着)、それでも「リバティアイランドを負かしに行った」のは、強いヤツが簡単に勝つなんてことを許したら競馬が退屈だよね、といった競技全体を俯瞰してのことでしょう。まぁ、「僕より先に牝馬三冠されると、ねぇ」とか「私ならその馬でジャパンカップも勝ってみせますよ(ニコッ)」的な感じで両巨頭が意地悪しただけかもしれませんが。とにかく、一応の「包囲網」的なものが出来上がりました。その頃、3番人気のマスクトディーヴァは後方一気に賭けるように、14番手あたりに控えています。どこまでこの包囲網が維持されるのか、どれだけリバティアイランドを引き留められるのか、そのとき後ろから届く馬がいるのか。
しかし、そうした包囲網の動きを察知するやリバティアイランドと川田騎手の動きは速かった。位置取りをわずかに下げつつスッと横に出し、3コーナーに入る前には大外に持ち出していました。3コーナーからジワジワと前をうかがうと、4コーナーに差し掛かったところでひとつ気合をつけ、その途端にリバティアイランドは弾むように加速します。直線に入る頃には完全に先頭に立ち、馬場のまん真ん中をリバティアイランドは独走します。後方からマスクトディーヴァも追い込んできますが、先頭で直線に入った馬と最後方あたりで直線に入った馬の上がりの差がわずか「0.1秒」では届くはずがありません。
走路さえ確保すれば、後ろから来る馬に負けるはずがないという絶対的な信頼感。前を行く馬も見える範囲にいれば差せないはずがないという絶対的な信頼感。この馬で負けてはいけない、絶対負けてはいけない、と「紛れ」を排除するかのような手堅い騎乗で勝ち切った川田騎手。最後はもうムチも使わず、ちょうどのチカラでレースを終えるような緩やかな走りでした。マスクトディーヴァもかなり近いところに迫っていましたが、届きそうなところまで来たら、そのぶん突き放されるだけで、永遠に詰まらない差だったと感じます。「馬が強い」と言えばそれまでですが、強い馬を勝たせるための騎乗をした人間と合わせて、完璧なレース運びだったのではないでしょうか。お見事でした。
↓そしてこのレース、勝ったリバティアイランドにジョッキーカメラがついていました!これが三冠馬が見た景色!
こちらのジョッキーカメラを見ていると、リバティアイランド包囲網であったものは実はリバティアイランドによる「ハーパー包囲網」でもあったのかなと感じました。オークス2着、もっとも警戒すべき相手と見ていたであろうハーパーを視界におさめつつ、リバティアイランドもまた「最後まではもたないであろう馬の後ろ」にハーパーを押し込めていたのだなと感じます。そこにいさせれば前を行く馬が必ずフタになりますし、上手く壁が割れたとしても五分になるだけで自分の不利がない位置取りです。オークスで2着した馬が先に仕掛けてロングスパートするという、紛れがあったかもしれない作戦をスタート後の位置取りで見事に封じていました。
そして、向こう正面の直線に入ったところで、川田騎手の目線はチラッと外の馬(17番ソレイユヴィータ)と後ろのスペースを確認しています。「前の馬と外の馬はいつかタレる馬」と見て、それがいつになるかはわからないものの、同時に垂れてきてコーナーでまるまる包まれたらたまりませんので、早めに下げて早めに外に出したというところでしょうか。しかも今度はソレイユヴィータの外につけて、ハーパーが大外に持ち出せないように壁を作りました。レース全体がスローペースであったこともあり、あとはもう好位から先に仕掛けて悠々と先頭を行くだけ。もともと負けるはずのないレースでしたが、勝つべくして勝った、そんな動き方。
ウィニングランで川田騎手がリバティアイランドにかけた「ありがとうお嬢さん、素晴らしい走りだ」という言葉の何とも言えずオシャレなこと。「よく頑張った。ゆっくりでいいよ」と引き返し、陣営と合流したあとには数万人のカワダコールを受けながら「よっ!しっ!」と叫ぶ。普段ならせいぜい指を3本立てる姿を見るくらいしかない三冠馬誕生の模様を、こうして騎手の実況つきで見られるというのは大変ありがたいことだなと思います。カメラをつけるのは気になるしイヤだという騎手や馬主さんもいるでしょうが、競馬体験の向上のために、いい取り組みだなと改めて思います。
「これが三冠馬の見た景色か」
そう思って見る京都の空はとても高く、緑の芝はとても美しい。
リバティアイランドから素直に買って、この景色を素直な喜びで見られる、それで十分幸せだなと感じました。
大きな夢はないかもしれませんが、いい夢を見たレースでした!
↓誕生日にコレをやってのける、メモリアルな一日!
【忘れられない誕生日】
— 競馬ラボ (@keibalab) October 15, 2023
川田将雅騎手は今年が騎手デビュー20年目。節目の年の自分の誕生日・10月15日に牝馬三冠ジョッキーに輝きました。
改めて、誕生日、そして三冠制覇おめでとうございます。#川田将雅 #リバティアイランド https://t.co/wZKIUlxfTs pic.twitter.com/SVCDDZdNru
「道を作ることだけが最優先課題」と振り返った川田騎手!
まぁ、道がなくても勝ったとは思いますが、盤石で勝ったのは「腕」ですね!
ジョッキーさんもお嬢さんも素晴らしい走りでした!
人馬一体での圧巻のレース!これはイクイノックスとの対決が見たくなりました!
単勝1.1倍、10000円買えば1000円儲かりますが、そういう買い方できる人は今回いたのかなーと気になります。
こんなに揺れるのに乗ってられるのすごいなと思いながらジョッキーカメラを見ましたが、「ありがとうお嬢さん、素晴らしい走りだ」いいですね。馬への愛情と感謝が伝わってきました。
彼女は凱旋門賞へ行っても勝てるのか、イクイノックスより強いのか、も気になります。
ところでエースインパクトも引退してしまいましたね。ジャパンカップで見ることもできないのは残念ですが、他はどの馬が来てくれるのか楽しみに待ちたいと思います。