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阪神タイガース、アレおめでとうございます!

僕は確信しました。2023年、阪神タイガースは38年ぶりにアレすることを。28日、京セラドーム大阪で迎えたプロ野球日本シリーズの第1戦。本拠地での初戦となったオリックス・バファローズは日本一の投手・山本由伸さんを先発マウンドに送り、必勝態勢で臨みます。しかし、阪神は強かった。采配も冴えた。一方、オリックスには万全さも運もなかった。他人事なので痛みも忖度も遠慮もなくハッキリと言わせてもらえば、このシリーズでアレするのは間違いなく阪神です。この初戦を踏まえて、阪神オジサンとの猛虎飲み会は第4戦までに設定することといたしました。第5戦、半々以上でない気がしますからね!

↓来週も野球が見たいので、頑張ってふたつ勝て!オリックス!



1964年以来59年ぶりとなる関西対決の日本シリーズ。互いの球場を行き来するのに15分くらいしかかからないのに合間に「移動日」が設けられていることへのイジりも捗るなか、もはやどちらがホームなのかすらわからない球場の雰囲気。もちろんオリックス側は大勢力で陣取っています。しかし、阪神側も「そもそもこの地域全体が阪神なのである」という存在感で、中間層を含めた「オリックス以外全部」を支配しています。もしかしてこれはオリックス側の「最後の砦での防衛線」なのか、そんな雰囲気も漂います。

阪神側の先発は指名打者の起用があることを除けばほぼシーズンそのまま。一方のオリックスは「日替わり打線」こそがスタイルなのであると言えばシーズンそのままであるとも言えますが、杉本裕太郎さんが故障で不在なこと、セデーニョさんも相手投手との相性なのか起用がないことに加えて、「その打順でその起用か」と少し驚くような打線になっています。パ・リーグの負け球団の視点で言うのもアレかもしれませんが、やはり阪神の充実ぶりが際立つような顔ぶれです。

それでもオリックスには日本一の投手・山本由伸さんがいます。山本さんは初回に1安打こそ許しますが、阪神側のサインミスなのか一死一塁から盗塁を仕掛けた際に「2ストライクなのに打者が振らない」という形での三振ゲッツーとなり、阪神の攻撃は3人で終了。2回表・3回表は三者凡退となり、4回表にオリックスのエラー絡みで生まれた無死一・二塁のピンチもダブルプレーで切り抜けられるなど得点にはつながりません。やはり、この投手を攻略しない限り、オリックスを倒すのは難しい。

一方、阪神側も「1点もやらない」という緊張感をもって臨み、村上頌樹さんは完全試合ペースの好投を見せます。捕手との意思疎通、制球、素晴らしい。そして改めて見る阪神の守備というのは非常に手堅く、少々強い打球が飛んでも難なくさばいて見せます。このあたりは屋根ナシ風アリ雨アリ地面土という難しい環境の甲子園でやっている強みでしょうか。9年ぶりの日本シリーズということで、多くの選手はシリーズ未経験のはずですが、熱くて落ち着いたプレーぶりです。

そして、試合が動いたのは5回表。先頭の佐藤輝明さんがヒットで出塁すると、何と次打者の初球で佐藤さんが走ってきました。初回の出塁でも走ってきていた阪神ですが、やはり山本由伸さん攻略にあたっては「連打などない」という割り切りがあったでしょうか。どんどん仕掛けてきます。打者ノイジーさん、走者佐藤輝明さんという形での初球スチールにはオリックス側も虚を突かれたか、山本さんは送球コースから避けるのが遅れ、捕手の送球も大きく外れました。ベンチの阪神・岡田監督もニンマリです。

この盗塁が決まったことで、ノイジーさんのライトフライは走者を三塁に進める犠牲フライとなりました。1球の油断が走者を2つ進めてしまうことにつながってイヤーな雰囲気のオリックス側。さらに走者が三塁に進んだことで、次打者・渡邉諒 さんは外野フライでもいいという状況に。直球破壊王子とも呼ばれたストレートに滅法強い打者へ150キロ超えの速球から入った選択は果たしてどうだったのか。ここで渡邉さんは初球を振り抜き、詰まりながらもセンター前に落とします。阪神先制!

↓まるでホームのように「チャンス襲来」の大合唱が響く京セラドーム!


城壁の小さな穴を広げるかのような阪神の攻撃は、このチャンスを逃しません。ヒットで一死一・二塁とすると、次打者は送りバントを小フライで失敗となるも、つづく1番・近本光司さんが浅い外野の間を抜く三塁打で2点追加。次打者もタイムリーでつづいて、この回一挙4得点とします。オリックス側は、送りバントが小フライになったときに「わざと落としてゲッツー」を狙う手があったかなと思いますが、「落とそう」という動きの捕手と、「捕ろう」という動きの投手とで、判断が分かれてしまった感じでした。このあたりは「大舞台×」とでもいうか、さすがの山本由伸さんでも日本シリーズは固くなるのかなという場面でした。

↓阪神・近本さんの大舞台での勝負強さ、なるほどヤクルトが何回もブツけるわけです!


これで大きく傾いた勝負の流れは、オリックス側に不運となって押し寄せます。つづく5回裏、先頭の森友哉さんの打球はスタンドまで飛ぶ大飛球と思われましたが、天井部分の2枚目のスーパーリングの裏に入って落ちて来なかったとのことで、スタジアムルールで二塁進塁までにとどめられます。その後の攻撃でも「判定まで一瞬間が空くストライク」「際どい大ファール」などがあって、この回オリックスの攻撃はゼロで終わります。

もしあの飛球がホームランになっていれば、もしあのボールがボール判定なら、もしあの打球がフェアなら、また空気も違ったかもしれませんでしたが、すべてオリックスにとっては裏目が出ました。しかも、森さんの打球がリングの裏に入って落ちて来なかったとき、オリックスの中嶋監督は指をまわして「ホームランだろ?」というアクションをしながら審判団に話しかけていましたが、「おっ、本拠地球場の特別ルール知らない愚将だな?」という余計な隙まで見せる結果となりました。シリーズ全体の流れすら決めかねないような5回表裏の攻防だったなと思います。

↓このときと同じ案件ですが、中嶋監督も3年ぶりで忘れていましたかね!

そろそろ屋根に野球盤みたいなペイントしてもいいかもですね!

外側のリングを赤く塗って「HOMERUN!」にするとか!



そして、采配面でもオリックスはこの悪い流れを跳ね返せません。てっきり降板するものだと思った山本由伸さんが、何と6回のマウンドにも上がってきたのです。エースを信じるという気持ちの表れなのか。状態は悪くないという判断なのか。あるいは、これが日本プロ野球での最後の登板だからなのか。それとも、「もうこの試合は捨てた」というサインなのか。結局この采配も裏目に出て、四球⇒一ゴロ⇒安打⇒三振⇒安打(+1点)⇒二塁打(+1点)⇒(投手交代)⇒四球⇒安打(+1点/2点目を狙うも本塁タッチアウト)で、この回都合3失点。大量7点差がつき、ちょっともう挽回は難しい試合となってしまいました。

そうした大量点差にも隙を見せない阪神。攻撃面ではキレイな形ではないものの、内野ゴロの間に1点を追加するという形で、相手救援陣からも得点をもぎとって13安打8得点。3四球の大山悠輔さんを除いてスタメン全員が安打を放ち、「逆シリーズ男」は生まれない展開としました。守備面では完全な勝ちパーティではない継投でもオリックス打線を2安打に抑え込み無失点。勝利監督インタビューで「佐藤輝明さんの盗塁はサインですか?」の質問に「いやいや、まだ試合あるんでちょっと言えない」と応じた指揮官の鉄のカーテンも含め、「強い」「隙がない」と唸らされる試合でした。最終スコア8-0を受けて、SNSで「逆33-4」がトレンド入りするのもなるほど納得です。アレぐらいやっても不思議はない、そんな阪神の強さでした!

↓最後は「あと1人」「あと1球」コールが響くなかで阪神勝利!日本一まで「あと3勝」です!」



パ・リーグ民としては、あれだけぶっちぎって離されたオリックスがこのようにコテンパンに負ける姿を見せられるのは穏やかではありませんが、まぁ、そのぐらいはあるかなと思います。今年の阪神は外から見ていても「強そう」と感じる、若く、隙がなく、投打ともに充実したチームでした。ドラフトで獲得した選手が着実に侍級に育ち、黄金時代の幕開けといった雰囲気さえ感じます。一方でオリックスは強いは強いが、去年よりは弱いなと率直に思います。今年のぶっちぎりは、日ハム・西武の弱さ、楽天・ロッテの戦力不足、ソフトバンクの高齢化と不運将による「5弱」状態だったからでしょう。38年ぶりの日本一へと意気上がる近畿地方の勢いを止めるのは、ちょっと難しいのではないかと思います。

もし、この流れを変えて勝利するなら、第2戦先発の宮城さんに完封級の快投を望みたいところ。2連敗で甲子園に乗り込んだとき、今の阪神を押しとどめてひっくり返せるチームがあるとは、ちょっと想像ができません。甲子園で「何とかひとつは勝ちたい」から逆算しても、第2戦は必勝の心で臨みたいもの。それができてようやく阪神の背中が見える…そういうシリーズかなと思います。はたして「来週の土日も野球が見たい」という僕の願いは叶うのか。もしも第2戦もアッサリ阪神が取るようなら、そこからは全力で雨乞いでもしようと思います!

↓初回盗塁時に見逃し三振の森下さんを、何やかんやで1本出るまで打席に立たせる温情采配も冴えました!

なお、対山本由伸さん作戦は「まっすぐ打ってフォーク見送れって言っただけ」だそうです!

そうかー、真っ直ぐ打ってフォーク見送ればいいんだー!


このペースで4連勝してもまだ「32-0」で、「33-4」は遠いなって思いました!