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馬VSイクイノックス、世紀の対決!

いやー……すごいものを見ました。これまでの競馬観が変わるというか、いままでやってきたものは何だったのかと呆けるというか、もしかしてこの日で競馬が終わってしまったのではないかとさえ思うような凄まじいレースでした。2023年10月29日、東京競馬場は秋の天皇賞芝2000メートル。このレースを制したイクイノックスと、イクイノックスが演じたレースは、世界のすべての馬が束になってかかっても敵わないと確信させるものでした。「誰よりも速く走ってゴールまで駆け抜ける」というシンプルにして破壊的な勝利、これはもう別次元の生き物です!

↓日本競馬、史上最高のレースと断言します!


11頭と少頭数ながらもGI馬4頭が集った充実のメンバー。単勝1.3倍の圧倒的な1番人気に推されたのは現在GIレースを4連勝中の世界最強馬・6枠7番イクイノックスでした。天皇陛下が「朕もイクイノックスを見たい」と言ったかどうかは定かではありませんが、競馬法100周年を記念して天皇陛下をお招きするにふさわしい「日本競馬100年の結晶」と言える世界最強馬。この世界最強馬とどう戦うのか、あるいは戦うことを諦めるのか、どうしたって各陣営が意識せざるを得ないレースの絶対的な中心です。

↓この馬をひと目見ようと大変な賑わいを見せる東京競馬場!
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↓陛下と皇后様が御幸なされました!あとで陛下の買い目教えてください!
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最大の対抗馬となりそうなのは「イクイノックスを破ってダービーを取った」ドウデュースでしたが、2頭の臨戦過程はまったく異なります。宝塚記念を制して、予定通りにここまでやってきたイクイノックスと、ドバイターフで出走取消となってレース間隔が空いてここにきたドウデュース。ともにジャパンカップを視野に入れる「ここが100%ではない」仕上げのはずですが、万全ではないなかでもイクイノックスのほうが順調と言える過程です。しかも、この日、ほかのレースの際に馬に蹴られたとかでドウデュースに騎乗するはずだった武豊騎手が乗り替わりとなりました。あらゆる面でイクイノックスに優位な展開になり、ドウデュースが勝ち負けするのはちょっと難しそうです。

↓ドウデュースには戸崎圭太騎手が騎乗することになりました!もちろんテン乗り(初騎乗)です!
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事前のレース展望としては、8枠10番ジャックドール、5枠5番ガイアフォースあたりがハナを切る展開が予想されました。ジャックドールは同じ2000メートルのGI大阪杯を逃げ切っており、いいテンポでラップを刻んでいけば、そして有力馬が後方で睨み合いでもしてくれれば、前年のパンサラッサのような一発もあるかもしれません。その先行勢を見るようにして、ドウデュース、イクイノックス、プログノーシスあたりがつけ、ダノンベルーガ、ジャスティンパレスあたりは後方から最後の直線に賭ける……そんな形でしょうか。イクイノックスの寝首をかくとすれば「先行勢の逃げ切り」「イクイノックスより先に仕掛けて粘る」くらいか。

↓イクイノックスは毛ヅヤもよくまったく問題ない仕上がり!
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↓イクイノックスを意識するドウデュースと我関せずのイクイノックス的な構図の本馬場入場!
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いざ始まったレース。各馬キレイに揃ったスタートから、予想通りにジャックドールとガイアフォースがハナを切ったレース序盤。イクイノックスはハナを切る2頭のすぐ後ろにつけ、ドウデュースはイクイノックスの背後に取りつきマークする位置取りとなりました。ダノンベルーガはドウデュースの後ろにつけて9番手くらい。ジャスティンパレスは後ろから2頭目の10番手、プログノーシスは3〜4馬身離された最後方となりました。脚質的にスタートから勢いよくとはいかない馬ですが、ポツンと置かれると「プログノーシス絡みの馬券は消えたか…?」とも思いました。

しかし、1000メートルを通過したとき場内は騒然とします。1000メートルの通過タイム、何と57秒7。これは昨年大逃げを打ったパンサラッサの通過タイム57秒4(そして1998年にやはり大逃げを見せたサイレンスズカの通過タイム57秒4)から0.3秒しか違わないのです。パンサラッサは2番手以下を15馬身以上ちぎった大逃げでしたが、今年はまるで普通のレースをやっているかのように集団のままレースが推移しています。

ジャックドールは意図してそういうレースをしていたのでしょう。それしか自分が勝つ道はないと。しかし、去年と今年で違うのは「その一縷の可能性すらも世界最強馬が潰しに来た」こと。これだけのペースで逃げている馬のわずか3馬身ほど後方でイクイノックスはずっとついてきています。自身の誇りにかけてイクイノックスと勝負をしに行かざるを得ないドウデュース(および、そういうバトンを急に受け取ってしまったテン乗りの騎手)と、その流れに乗ってしまった各馬も「大逃げのペース」でついてきています。

残り400メートルの時点で、先頭のラップは1分32秒1。もうイクイノックスは今にも先頭を捕まえそうな位置にいます。昨年のパンサラッサの場合は、残り400メートルの時点でまだ50メートルほどのリードがありましたが、その時点のラップタイムは1分32秒4です。「昨年より速い時計で通過しているのに、昨年より全体が前に押し上がっている」という異例のハイペース。

にもかかわらず、イクイノックスに騎乗するルメール騎手がひとつ合図を送ると、イクイノックスはさらに加速しました。ハナを切ったジャックドールはヘロヘロで後退し、イクイノックスをマークしていたドウデュースはすでに脚色鈍って引き離されていくのに、イクイノックスはさらに加速するのです。まったく淀みも息を入れる機会もない「12.4⇒11.0⇒11.5⇒11.4⇒11.4⇒11.4⇒11.4⇒11.6」の一貫したラップを刻んできたレースで、まだ最後に伸びるというのです。グングン加速するイクイノックスと総崩れする先行集団。最終的に2着以下におさまったのは、レースを「最後方から進めていた」ジャスティンパレスとプログノーシスの2頭でした。イクイノックスに挑んだ者はすべて敗れ、自分の競馬をした者が前の順番で残ったのです。

「化け物だ……」

影すら踏むことができず、「イクイノックスとそれ以外」という形で終わったレース。刻まれたタイムは東京競馬場芝2000メートルのレコードを1秒近く更新する1分55秒2でした。展開も有無もなく、「最初から最後まで誰よりも速く走ってゴールまで駆け抜けただけ」のシンプルで破壊的な勝利。世界最強だと知っていたはずの馬は、完全なる異次元の怪物として日本競馬の100年を遥かに超えていきました。果たせなかった夢だからこそ今もなお残るサイレンススズカの幻さえも、同じ舞台で抜き去りました。もしもディープインパクトがこの場に居れば対決に興味は沸きますが、どれだけディープが翔んだとしても「サイレンスズカ並みのペースで逃げつづけて最後にさらに加速する馬」をディープの位置取りから差せるとは思えません。すべてを超えた、そう思います。こんなレースを見られたこと、一生の自慢となる体験でした!

↓この馬で単勝1.3倍つくなら1000万円くらい賭ければよかった!持ってないけど!
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↓驚異的なレコード、東京芝2000メートル1分55秒2!
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↓ルメール騎手とイクイノックスが陛下に最敬礼!
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↓優勝おめでとうございますというか、すごいものを見させてもらってありがとうございます!
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↓ルメール騎手視点で見れば、口笛吹きながら楽しい早駆けでもしているみたいなレース!


ルメール騎手も「すごい、信じられない!」「時計すごい、見たことない!」と驚愕!

「You are the Champion♪」の歌も飛び出しました!



最終レース後、パドックでは天皇賞の振り返りトークショーが開かれ、そこにルメール騎手も姿を見せました。自分が決めるわけではないが…と前置きしつつもジャパンカップへの意欲を見せ、それを念頭に「完成度は95%くらい」とまだ上積みがあると示唆したルメール騎手。質問のなかで、「ほかの馬に乗ってイクイノックスを倒すとしたらどうするか?」の問いにルメール騎手は「わからない」と答えました。これは手の内を隠すとか、質問をかわすとかではなく、本当に「どうすればいいのかわからない」というニュアンスの答えでした。

同じトークショーに出演していた元騎手の岡部幸雄さんは「奇襲しかない」と言っていましたが、この天皇賞ですべての奇襲の可能性も消えたかなと思いました。大逃げをしようとしてもアッサリ捕まえられ、足が止まらないので後ろからいっても差せず、よしんば最後方からのレースとなっても豪脚で飛んで来る。前からも行けるし、後ろからも行けるし、ご機嫌取りが難しいということもなく、レースに対して真面目で一生懸命な馬に通じる奇襲など思いつきません。負かすための条件を出すなら「雨で足元がグズグズ」とか「間違ってダート競争か障害競走に出走した」とか「ほかの馬が全部チーム戦で取り囲んできた」とか、それぐらいやらないと勝てない気がします。

そんなことより考えるべきは「こんなに強い生き物が走るレースでどうしたら儲けられるか」のほうでしょう。1000万円あれば単勝1点でいいでしょうが、種銭がない者が儲ける道を見つけないと、心の底から楽しい競馬にはならないでしょう。個人的自慢で恐縮ですが、今回はイクイノックスから買って儲けるのは諦め、ドウデュースは臨戦過程から重きを置かず、イクイノックス絡み以外で決着する「ワイドの残り1点」に集中しまして見事に儲けることができました。宝塚記念で見せた末脚に期待して買ったジャスティンパレスの見事な2着入線は、払い戻しも高くつき、「世界最強生物を見たなぁ〜」の喜びを倍増させる会心の当たりでした。

おそらく次戦となるジャパンカップでは、今年の3冠牝馬リバティアイランドとの対決が待っています。人気も割れるでしょうから、少しは儲けるチャンスもあるでしょうか。今度は同じ次元での対決となるのか、あるいは「リバティアイランドでもなお次元が違う」となるのか。じっくり検討して見守りたいと思います。この素晴らしい対決を、「負けた…」と思いながら振り返りたくないので、頑張って当てにいきます!

↓トークショーまでたっぷり競馬を楽しませていただきました!
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↓よく考えたらここまで絞ってるなら三連複で買えばよかったですね!

もっと購入金額を増やせという話もありますが!

「当てたい」「損したくはない」だけなのでこのくらいで十分です!



「イクイノックスと勝負しない馬」を買うというのが、ポイントかもしれない!