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タワマンの全戸にチケットをポスティングしましょう!

本日はお出掛けの記録です。じょじょに足音が聞こえてきたパリ五輪を見据え、メダルを狙う有力選手たちの競演を見てまいりました。18日まで有明コロシアムで開催中のワールドスケートボード東京2023、要するにスケボーのストリート種目の世界選手権、こちらを見に行ってまいりました。パリ五輪予選の一部でもある重要な大会は、日本のアーバンスポーツにとっても未来への大きな一歩になるだろう、そんな意気込みでの参加です。

↓会場となるのはおなじみの有明コロシアムです!
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↓大会ロゴの提灯みたいなものも飾ってありました!
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↓記念撮影にピッタリのスポットも用意してありました!
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現地有明に降り立った僕は、思いがけない閑散さと現場のピリピリ感に、ただならぬ雰囲気を感じます。もう競技が始まろうとする時間だと言うのに、前にも後ろにもそれらしきお仲間の姿が見えません。いや、もしかしたらいるのかもしれないが、通常の通行人と区別がつかない程度です。僕などはスケボーに合わせて悪そうな英文字の書いてあるトレーナーなども着てきたというのに、もしかして会場を間違えたかな?有明アリーナのほうだったかな?とか思いながら向かいます。

しばし歩くとようやく見えてきた会場と、聞こえてきた「ガゴーッ」という音。見れば駐車場みたいなスペースの一角で選手たちが練習をしています。しかし、そのすぐそばには「NO Skateboarding」という看板と厳しく目を光らせる警備員さんの姿が。どうも周辺情報を探っていくと、ご近所への配慮というか、対応というかである模様。いかにもスケボーやってそうな感じの街並みではありますが、縦に長いだけでめちゃめちゃ住宅街であるという現実、緊張感をもって過ごさないといけない感じが急にしてきましたね。

↓練習場所以外でスケボーやるなよ!練習場所以外ではスケボーはファッションアイテムだぞ!
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しかしまぁ、そんな緊張感とは裏腹に、現場のキッズたちは大人しいものです。来場しているのは自分も滑りそうな人と、子どもが滑ってそうな親と、滑ってそうな子ども、といったところが中心ですが、現地では滑るのが禁止になっていることをご理解いただけたのか、皆さんファッションアイテムとしてスケボーを小脇に抱えて行き来しています。会場内では置き場に困った末か、ときどきスケボーがガコガコいいながら前の座席のほうに落ちていったりしていましたが、それも含めてスケボー界隈に来たという異世界感があってイイ雰囲気です。

↓会場内には堀米雄斗さんと漫画「ガチアクタ」がコラボしたグラフィティの展示が!
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↓オリジナルグッズの販売などもありました!スケボー型のキーホルダーは転がして遊ぶのによさそうです!
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↓競技会場へインしますと、有明コロシアムにストリートが出来上がっています!
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↓雰囲気がオシャレ薄暗であんまり映っていませんが、座席数の2割くらいの入りかなと思います!

この日は男女の準決勝ということで、ここまで勝ち抜いてきた男女16名ずつの選手が決勝進出の8名を争って競います。仕組みとしては、「ラン」と呼ばれる45秒間の通し演技を2本、ベストトリックと呼ばれる大技一発の披露を5本やりまして、ランの上位の記録1本と、ベストトリックの上位の記録2本の合計点で順位を決めるという格好。基本的には「コケたら負け」という温度感で、ランではひとつコケが入れば順位を争えるようなスコアではなくなり、ベストトリックのほうはコケたら「0点」となります。ジャッジによる採点で70〜80点を超えてくればグッド、90点を超えてくればグレイト、そんな匙加減です(※大会によって基準などあってなきがごとくのバラバラではあるが…)。

男女とも日本勢が大変な強さを見せており、男子は16名中6人が、女子は16名中7人が日本勢という圧倒的な状況。そのなかにはもちろん、東京五輪男子ストリートの金メダリストである堀米雄斗さんや、女子ストリートの金・銅メダリストである西矢椛さん・中山楓奈さんも名を連ねています。そういう意味ではもうちょっとお客さんも集まってもよさそうな気がしますが、ちょっと大会の情報というかアピールというかが弱かったかなという感触。この感じであれば、近隣のタワマンにポスティングでもしてタダ券バラ撒いてもよかったように思います(※撒いたけど無視されたパターンもあるかな?)。相互理解のためにもまずご覧いただく、そんな考えもあったかもしれませんね。

そんなこんなで若干寂しい客入りではありますが、それで選手たちが影響されるわけではありません。早速始まった女子の準決勝では、チャレンジングで華麗なラン・トリックが次々に繰り出されます。素晴らしいトリックが生まれたときには、競技に詳しい少数精鋭の観衆から大きな拍手が起こり、大変な盛り上がりようです。ときには激しく転倒して地面に叩きつけられるような瞬間もありますが、どの選手も受け身がとても上手く、うまいこと尻⇒背中と落ちて怪我なく次の演技へと向かっていきます。転倒の場面でも選手をため息ではなくむしろ大きな拍手で観衆が後押しするムードは、あの夏日本を沸かせたスケボー感そのまま。一歩会場の外に出ると近隣住人と揉めているとはとても想像ができない温かい雰囲気です。

↓こちら東京五輪銅の中山楓奈さんです!
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↓東京五輪金の西矢椛さんも引きつづき大冒険中です!
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こうした実績ある有名選手さえも、すでに追われる世代となっているのはスケボー界隈の時の流れの速さでしょうか。西矢さんなどはまだ16歳と人生の第一歩目くらいにいる若さですが、それを突き上げる次の世代がもう続々と育っています。同じくこの準決勝に進出してきた赤間凛音さん(※凛音と書いてリズと読む)はまだ14歳ながら五輪を見据えた世界ランクで4位に位置する強豪ですし、吉沢恋さん(※恋と書いてココと読む)も14歳にして五輪を見据えた世界ランクで8位という上位選手。吉沢さんなどはあの五輪を見て「私が普段やってるのと同じ技だなー」と自分が世界レベルの選手であることに気づいたとかで、もはやビックリ箱のような飛び出し具合になっています。まぁ、「13歳以上なら金メダルを獲れる年齢」と思って見ないといけないのでしょう。

女子の準決勝前半ではその吉沢さんが、ランでは2本ともミスなくまとめて高得点、ベストトリックでも2本目・3本目でキッチリと80点台を並べる高得点で、前半の8人で1位となります。その後、有力選手が集った後半の組では、東京五輪に出場した西矢椛さん、中山楓奈さん、東京五輪では直前の代表落ちとなった織田夢海さんが順当に決勝へと駒を進めるなか、赤間凛音さんもランの2本目でミスなく滑り切って得点を残し、ベストトリックでも高得点をマーク。ベストトリックの試技を残した段階で早々に決勝進出を決めました。前半の組で1位だった吉沢さんも最終的に7位に踏み止まって、日本勢は5人が決勝進出となりました。地元選手の大活躍、お見事です。

ただ、その上を行ったのがオーストラリアのクロエ・コベルさん。見ていてもまさに「ビッタビタ」というか、ボードを跳ねさせてはそれをまた足でキャッチするような技の際に、「離れたものをまた足でつかまえる」のではなく「足と一緒にボードが飛んで行ってまた同じ位置に乗っかる」という感じで、一枚上を行く演技を終始見せていました。日本勢の五輪連覇というのは、そう簡単なことではないなと思わされる見事な演技でした。

↓9段の階段を飛び降りながら、跳ね上げてドリルみたいにクルッとまわしたボードに空中で完全に乗っていくクロエ・コベルさん!
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↓トップで決勝へ駒を進め、見事に日本勢の包囲網を突破!

男子の部では、準決勝前半の組に東京五輪金の堀米雄斗さんが登場。堀米さんはもうひとつ調子が上がってきていない感じもありますが、ランでは1本目からフルメイクでしっかり高得点を残し、日本の小観衆を沸かせます。ランの2本目の際には、ほかの選手の試技中に走路を横切ってご迷惑を掛けてしまうというアクシデントがありましたが、ここは当該の選手の試技をやり直すということで穏便に決着がつき、会場も温かい拍手に包まれました。ベストトリックでは、ちょっとインフレというか、どの選手も見事に大技を決めるものですから、加熱するオークションみたいな感じで得点がドンドン伸びていき、最後のほうは90点台連発という格好に。「後半の組に出す点がなくなるぞ」と心配しないといけなくなるような盛り上がりの末、堀米さんは前半の組で第3位の位置から決勝進出を狙うことになりました。

↓東京五輪の金メダリストが東京都の会場で奮闘中!
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↓ベストトリックではミスも多いながらも90点台を2本決めてイイ感じ!
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↓ランの途中で進路を横切っちゃった相手ともすぐさま仲直りのグータッチ!
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堀米さんの決勝進出という意味ではあまりハイレベルな戦いになると厳しいけれど、日本勢が5名登場という意味ではどんどんハイレベルな戦いになってもらいたい準決勝後半の組。現在五輪を見据えた世界ランクで日本勢最上位(※つまり五輪切符に一番近い位置)につける白井空良さんは、ランは1本目をミスしてちょっとヒヤッとしますが、2本目でしっかりと得点を残すと刀を振り下ろすような侍ポーズで決めます。ベストリックでは自身の名前を冠した得意技ソラグラインドを繰り出すなどして高得点。早々に決勝進出を決めてみせました。

↓ピースサインも飛び出すなど、イイ感じでやれていたようです!
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↓ソラグラインド見事に決まりました!
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さらに日本勢では小野寺吟雲さん(13歳)も会場を大いに沸かせます。「13歳は金メダルを獲れる年齢」と言いつつ、やはり大人のなかに入って躍動する少年の姿は爽快です。ランの途中で勢いをつけるために一生懸命足で蹴っていくところや、あえて一番高い足場からスタートするところ、高さやパワーが足りないぶんクルクル板を回して魅せるところなど、まだ小さい身体のぶんも工夫で補いながら、次々に難しいトリックを決めていきます。ベストトリック最後の試技となる5本目で高得点を出し、日本勢最上位での決勝進出を決めたときには会場も温かい熱気で包まれました。うーん、スケボー界隈からは少年少女がどんどん出現してきますね!

↓日本勢最上位で決勝進出を決めた小野寺吟雲さん(※吟雲と書いてギンウと読む)!
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↓会心のガッツポーズも飛び出しました!
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↓なお、トップ通過はこの種目の第一人者であるアメリカのナイジャ・ヒューストンさんでした!
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ナイジャ・ヒューストンさんは「別格」って感じでしたね!

ボードが跳ね上がることは当たり前という軽やかさでした!

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堀米さんも何とか8位で決勝進出を決め、根附海⿓さんと合わせて男子は日本勢が4人決勝へと駒を進めました。充実の試合、地元選手の活躍、少数精鋭の熱い観衆が集った会場、パリ五輪を見据えて個人的にもいい予習の機会となりました。やはり実際にこの目で見て、応援してという時間を持つと思い入れも深まってきますからね。

帰り道では「駅までの道案内の人かな?」と思ったらスケボー禁止の札を掲げる係員だったのは、ありがとうございますお疲れ様ですという気持ちになりましたが、総じていい盛り上がりの大会だったかなと思います。箱が大きかっただけで中身は充実していましたからね。この感じだと決勝戦も座席自体は数千席くらい余っていると思いますので、運営さんはご近所のタワマンにぜひぜひ当日券をポスティングしていただければと思います。なお、遠方の方含めてもし会場へ向かわれる際は、スケボー以外の交通手段でお願いいたしますね!


東京五輪で埋め立て地の端にスケボー島でも作ればよかったですかね!