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コンディション不良で棄権じゃ仕方ない!

本日はお出掛けの記録です。仕事納めも無事に終わり、気力と体力が甦ってまいりましたのでバドミントンなどを見てまいりました。とは言え、いきり立ってという感じではなく、バス1本で行ける範囲でいい感じの大会があるのでフラッと…くらいの軽い気持ちです。映画ファンが道すがらフラッと映画館に入る、くらいの感覚でスポーツ観戦に行くパターンもある、そういう話です。

↓やってまいりました第77回全日本総合バドミントン選手権大会!
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会場には熱心なバドミントンファンが多数来場しており、年末らしい賑わいを見せています。ファンが集うことを見越してか協賛各社も熱心にブース展開などしており、観戦前の散策も大いに捗る感じ。まずはミズノさんやヨネックスさんなど、用具メーカーさんの出展などを冷やかしていく僕。「ほほーん」などと買う気ゼロパーセントの顔でふむふむと頷きながら通過していくのですが、さすが生粋のバドミントンファンが集う大会だけあって来場者の反応は真剣そのもの。「試し履きOKです!」と靴が並んでいるブースでは、本当に試し履きしている人などもおり、ちょっとした靴屋みたいな雰囲気も。試着室があればこの機会にウェアもいっちゃうんじゃないかという本気度で、ブースの係員さんもやり甲斐がありそうです。

↓ご自由に試し履きしちゃってください!
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そうした用具関連以外でもお楽しみがさまざま。競技場の外では、屋外用のバドミントンだという「エアバドミントン」の体験イベントが行なわれており、専用のコートで体験プレーができたり、的当てゲームで高得点を出すとグッズがもらえたりするのだと言います。これは僕もぜひやらせていただこうと早速列に加わります。

しかし、僕にはひとつ心配がありました。それは僕がバドミントン能力がゼロであることです。まぁどの競技なら得意ってこともないのですが、とりわけ壊滅的なのがバドミントンでして、僕はバドミントンのサーブが打てないのです。シャトルをポトッと落として叩くときに、どうしても羽根のほうが下になって落ちてくるのです。物理的にあり得ないと頭では思うのですが、現実に羽根から落ちてくるのですから仕方ありません。当然、叩いたシャトルはペソッと目の前に落ちてしまいます。

「うーん、体験しないとブログにならないが、体験したら恥ずかしい感じになりそう」と案じながらの1球目、僕が叩いたシャトルはカコーンといい感じで飛んでいくではありませんか。エアバドミントン用に作られた「風の影響を受けにくいシャトル」とやらが、もしかしたら僕の周辺で生まれるシャトルをひっくり返す謎の風を無効化していたりするのでしょうか。とにかく、人生で一番気持ちよくシャトルを飛ばすことができて、とても気持ちいい体験となりました。

↓的当てゲームで高得点を取ると、キャップとかTシャツがもらえるぞ。
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なお、僕のシャトルは気持ちよく飛び過ぎてホームランを連発してしまい、無得点でした。

飛ばないよりはマシ!

そのほかにも場内では、使わなくなったラケットやシャトルを回収して世界のバドミントン仲間に届ける取り組みの回収ブースや、日本バドミントン協会のオフィシャルファンクラブのブースなどもあり、試合観戦に入るまでに何やかんやで30分ほどブラブラしてしまうことに。純粋に試合だけやっている感じを想定していたので、思いがけず楽しい散策となりました。「全日本」感があっていいですね。

↓使わなくなったラケットを回収して世界の仲間に届けてくれるとのこと。
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↓バドミントン協会ファンクラブのアンケートに回答したら素敵なステッカーをくれました。
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そんなこんなで充実の散策を終えた僕はいよいよ試合観戦へ。今大会はさすが「日本一」の名誉を争うというだけあって、日本を代表する強豪が多数名を連ねております。男子シングルスでは現在世界ランキング2位としてパリ五輪にもっとも近い位置にいる奈良岡功大さんをはじめ、再び頂点を目指す桃田賢斗さん、パリ五輪争いで上位につける西本拳太さん(※今大会棄権/12月24日発表)などのそうそうたる顔ぶれが。

女子シングルスではパリ五輪金候補の一角である山口茜さんは怪我で不参加となったものの、現在の世界ランキングで日本勢2番手につけパリ五輪出場圏内にいる大堀彩さんのほか、ここからの上位進出で再び五輪を目指す奥原希望さんらが出場。男子ダブルスには現在日本勢で世界ランク最上位の保木卓朗/小林優吾組(※今大会棄権/12月24日発表)が名を連ねました。

注目の女子ダブルスでは、フクヒロの愛称でおなじみの福島由紀/廣田彩花組は怪我で不参加となりましたが、現在日本勢で世界ランク最上位の志田千陽/松山奈未組(※今大会棄権/12月24日発表)、ナガマツの愛称でおなじみの永原和可那/松本麻佑組(※今大会棄権/12月24日発表)の名が。さらに混合ダブルスでは東京五輪でメダルを獲得した渡辺勇大/東野有紗組も名を連ねました(※今大会棄権/12月24日発表)。

この日の準決勝では、そんなそうそうたる顔ぶれのなかでも注目の試合が予定されていました。まずは女子シングルス準決勝では「パリ五輪に行くのはアタシだよ!」の火花がバチバチ散る感じの直接対決、大堀彩さんVS奥原希望さんの試合。そして、男子シングルスではこれが公式戦で初の対戦となる、「日本のエース」は誰かを懸けたプライドの一戦、奈良岡功大さんVS桃田賢斗さんという世界バドミントン界も注目せざるを得ないビッグマッチが。僕がこの日の準決勝を見ることを決めた時点では、こんなビッグマッチが行なわれることになるとは決まっていなかったのですが、思いがけない剛運を見せた格好です。我ながらチケットのヒキが強い!

↓大観衆が日本一を懸けた選手たちの戦いを見守っています!
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↓この大会はパリ五輪の出場権争いに関係はないけれど、負けるわけにはいかない大堀彩さん!
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↓この大会はパリ五輪の出場権争いに関係はないけれど、勝って「ここにあり」を示したい奥原希望さん!
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まるでどこかの国際大会の決勝戦のようなカードに、一段と熱気高まる場内。BS放送の中継で解説をつとめる高橋礼華さんが「(事実上の決勝戦)ここでやるのがもったいない」「(観衆は)目に焼きつけて帰ってほしい」と語るほどの大一番は、まさに「決戦」というつばぜり合いに。上背とリーチのある大堀さんが強いショットで打ち抜こうというプレーを見せれば、スタミナ・スピード・動きが戻ってきた奥原さんはそれを拾って、前後左右に揺さぶって粘りのプレーを見せます。

第1ゲームは大堀さんのショットがネットに捕まったりアウトになる場面が目立ち、序盤で点差を広げた奥原さんがゲーム終盤の猛追を振り切って先取。「ここに打たれたらイヤだな」という場所にシャトルを持っていく奥原さんの組み立ての上手さが光りました。第2ゲームは一進一退の攻防となりますが、先にマッチポイントを握ったのは奥原さん。しかし、あと1点で決着という20ー18から大堀さんが自サーブで巻き返して追いつくと、奥原さんはサーブがアウトになったりレシーブが空振ってしまうなど珍しいミスが出て、大堀さんがゲームを取り返しました。うーん、熱い。

ただ、第3ゲームは体力面で少し差が出てしまったでしょうか。第2ゲーム終盤からヒザに手を置いたり、ラケットを突いて立ち上がったりするような場面が見えていた大堀さんの動きが鈍り始めます。奥原さんの揺さぶりに対してあと一歩(あるいは最初の一歩)が出ないような感じで、際どいコースへのショットをそのまま見送ってしまうような場面も。返すショットも、「その場で」打っている感じのものが多く、いいコースに返すことができなくなりました。結局このゲームは奥原さんが21-13で取り、復活を改めて印象づけることになりました。

↓「全日本」にふさわしい熱い試合を見せてくれた両選手に感謝です!
さーて、いよいよ世界が注目のビッグマッチ、男子シングルス奈良岡功大さんVS桃田賢斗さんの試合が始まる…と思ったのですが、先の大堀さんと奥原さんの試合途中に残念なアナウンスが。何と、奈良岡さんがコンディション不良で大会を棄権するのだとか。これには会場からも「えーーーーーっ」の声が漏れるのは致し方ないことでしょう。この先いつ行なわれるかわからない対戦だけに、せっかくなら練習だけでも見たかったのは正直なところ。(※ちなみに男子シングルス準決勝は、もう1試合も試合途中で棄権により決着)

ただまぁ、こうなるのもしょうがないかなと思います。ここまでもチラホラと混ぜ込んではおりますが、この大会は日本一決定戦という建付けではあるものの、懸かっているのは名誉だけで「賞金などが出るわけではなく」「パリ五輪出場権争いにはまったく関係なく」「有力選手も多くが棄権している」のが実情。一応優勝すれば「来年度の代表チーム入り」が決まるというメリットはありますが、国際試合を転戦してきた上位選手にとっては特に何かプラスアルファがあるわけではありません。2週前に行なわれたワールドツアーファイナルズまで出場した選手にとっては、2024年のツアーに向けて休むタイミングがここしかないという時期でもあります。まぁ、客観的冷静に考えれば残念ながら棄権が妥当と言える大会です。

僕が底意地の悪い協会会長なら「世界ランキングに基づいて個人として出場権を獲ったとしても、全日本に出場していない場合は協会として五輪に派遣しない」くらいの人権無視な付帯条件でもつけるところですが、そうしないのは日本バドミントン協会の優しさでしょう。「いや、そんなことより賞金を」的な声もあるかもしれませんが、どっちかと言えば参加料を取って大会やってるくらいの話ですので、無い袖は振れないのです。「理事がポケットマネーからカンパして賞金680万円を出す」くらい言えばもうちょっと選手も頑張るかもしれませんが、五輪に出ることが最優先というのはひっくり返らないでしょうから、五輪イヤーはこんなものと受け止めるしかないかなと思います。

それでも、ここからさらに上位を狙っていこうという若手選手や、奥原さんのように復権を目指すベテランが勢いをつけていくには、やはり「日本一」という誉れは重要なものでしょう。「金ないンだわ」ということであればこの誉れの部分だけでも、もっとドーンとクローズアップしまして、「やはりこの大会に勝ってこそ日本で一番強い選手なんだ」と皆が思うような、そういう運営・そういうアピールをしていくしかないのかなと思います。いろんな競技において、たとえ世界で活躍する選手であっても、勝ったら泣くのが「全日本」というタイトルです。日本で一番強い選手が勝って泣く大会、そういうものであればメリット云々だの賞金云々だのという話は出ないと思いますからね!

↓なお、この大会の優勝者がもらうトロフィーがロビーにポンと置いてありました!
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おおっ、特にガラスとかもなく間近で見られる親切展示!

ガラスで囲ってあったところで盗賊がハンマー持ってたら意味ないですからね!

ガラスないほうが写真撮りやすくていいと思いました!

まぁ、テニスみたいに「視線は常に世界」っていう感じもアリかもしれませんが!