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サッカー日本代表、事実上の決勝戦で敗れる!

いやー、厳しい試合でした。唯一の目標、アジア制覇を目指して日本代表が臨んだアジアカップ2023準々決勝で日本は1-2でイランに敗れ、ベスト8での敗退となりました。これまで幾度も死闘を演じてきたアジアのライバルは、ワールドカップ後16戦無敗を記録してきたアジア最強のライバルでした。事実上の決勝戦と言ってもいい戦いでした。日本は強かった、しかしイランも強かった。戦えばどちらかが敗れるわけで、今大会はそれが日本だった、そう思うよりありません。



試合前、日本は「●●●●さんが離脱するのかしないのか」問題で揺れていました。チームの気持ちと世間の気持ち、チームの気持ちと協会の気持ち、もしかしたら食い違う部分があったかもしれません。少なくとも「日本一丸」という状態にはなりようもない、不協和音が流れていました。それを理由にする者はいないでしょうが、ピッチ内にいるイランとの戦いだけに集中することができなかったのは気の毒に思います。それを跳ね返してこそ日の丸を背負う日本の代表なのだ、とは思いつつも。

日本のスタメンは前戦・バーレーン戦からは3人が変わりました。前の試合で負傷があった旗手怜央さんの位置にはスタメンで守田英正さんが入り、左サイドバックには伊藤洋輝さん(※●●●●さんとは別の選手です/ある意味で似た感じではあるが)、左のワイドには前田大然さんが入り、左サイドは全体的に形が変わることに。イランにはアジア最高の選手のひとりとも言われたアズムンさんがいることもあり、ある程度守勢にまわる時間帯を念頭に置いた布陣でしょうか。「ビンタされたりヘッドロックされたりしてもヒッってならずに戦えそうな面々」がズラリと揃いました。

そして始まった試合。立ち上がり早々からコンタクトは激しく。体当たりも厭わないような雰囲気です。イランは全体的にサイズが大きく、球際の競り合いでも根性を見せてきます。要所要所では足ぐらい踏んでくるようなところもある、油断ならない相手です。

しっかりとボールをつないでいく日本に対して、イランのほうはわりと強引というか力業が目立ちます。スローインになれば一気にロングスローで入れてきますし、ボールを持てば前線のアズムンさんあたりを目掛けて長いボールを入れてきます。このロングボールの精度がなかなか高く、五分の競り合いを強いられるので、簡単に跳ね返すことができません。そして、相手にこぼれ球を拾われる展開も生まれます。日本の守備陣が競り合いを制して味方につなぐ、そんな高い要求に応えられるかどうかが問われそうな試合です。

互いに目立ったチャンスもピンチもない睨み合いのなかで迎えた前半28分、守田英正さんがワイドに開いてボールを受けたところから突如として日本の得点が生まれます。守田さんが中央の上田綺世さんに当てたポストプレーから、再び守田さんが返しのボールを受けると、詰め寄る相手との交錯のなかでピンボールみたいにボールが跳ね返り、それを守田さんがオットットとタッチしていると、ゴール前にポッカリ空いたスペースにボールと守田さんがいつの間にか飛び出していました。お手玉している間に何故かステージの中央に出ちゃっていた、そんな感覚。守田さんが迷わずシュートを放つと、最後は相手GKに当たったボールがゴールに飛び込みました。日本、サッカーの神様に愛されて先制!

↓「勢いで偶然できた!」みたいな感じもしないではないけれど、入ればOKです!



前半はそのまま日本がリードして折り返すことに。ただ、前半の終盤にはかなり押し込まれる場面もあり、センターバックの板倉滉さんが少し足を気にする様子も見られました。すでにカードを1枚もらっていること、足を気にする様子は前の試合までにも見られていたことを考えると、はたしてどこまで引っ張れるかなといった考えも浮かびます。このあたりは森保監督の手腕の見せ所ともなりそうです。

後半に入ると早速の後半5分、最終的にはオフサイドとなったものの、アズムンさんと板倉さんの走り合いからボールを奪われ、危ないシュートを撃たれる場面が。そしてつづけざまの後半10分、縦パスがアズムンさんに入ったところから、アズムンさんが冨安健洋さんの当たりを跳ね返して前を向くと、裏へのパスに反応している板倉さんをイラン選手が追い越し、身体を前に入れられてしまいました。うーん、出足がつかない。イランに同点ゴールを決められてしまいました。

↓アズムンさんに完全にやられました!


とは言え、まだ同点。先ほどの先制点は幸運な跳ね返りもありましたので、気持ちを仕切り直してここから始めればいいだけのこと。しかし、勢いづくイランに対して、日本にはそれを跳ね返していく強さというのがいまひとつ出てきません。相手の身体の当たりに潰され、そこで動きごと止まってしまうような姿が見られます。

後半18分にはロングボール一発で裏に抜け出したアズムンさんに日本のDF2人がかわされ、ネットを揺らされる場面も生まれます。ここはかろうじてオフサイドとなりますが、走りで振り切られ、慌てて飛び込んだのも冷静に見切ってかわされ、形としては「完全にやられた」というものでした。一昔前の判定なら副審のさじ加減ひとつでゴールでもおかしくないような際どい場面でした。ちょっと「個」の勝負で後手を踏んでいる印象が否めません。

つづく後半23分にも裏への長いボールをヘッドでアズムンさんへと落として、見事なボレーを撃たれます。ここも最初の抜け出しがオフサイドという判定ではありましたが、ヒヤッとする場面でした。アズムンさんが怖いこと、4バックに対して4枚の攻撃をぶつけられること、執拗に裏を狙われること、構造的に日本全体が押し下げられてしまうような流れです。

↓その頃、実況席に駆け付けたサッカーファン松木安太郎さんは最近のシステムに怒っていた!
【後半18分の場面】

松木:「これ(※あとからオフサイドとわかる)があるってのはさ、このやり方(※オフサイドディレイ)どうなのと思うよ」

松木:「あそこで笛吹いてほしいよね、あんなもん」


【後半23分の場面】

松木:「オフサイドだろー!」

松木:「オフサイドだろ!」

松木:「オフサイドだよオフサイドだよ!」

松木:「んなもんオフサイドだろ!」

実況:「オフサイドディレイです」

松木:「オフサイドだよ」

松木:「このやり方ぁちょっとダメだな!」

(※以下このシステムが導入された意義などを実況が説明)
サッカー版「不適切にもほどがある!」の主人公みたいですね!

「審判に見えてなきゃいいんですよ!」とか言う感じの!

でも、そういうノリもいいと思います!



日本も三笘薫さんらを投入して主導権を引き戻そうとします。三笘さんはさすがの動きで何度か突破を見せますが、イランも三笘さんにはふたりをつけて警戒しており、決定機を作るには至りません。日本は動き出しが乏しくなっており、前に運ぼうにも出し所が難しくなってきました。相手のシンプルで怖い攻めに対して、気持ちごと全体を押し下げられている印象です。3バックに変更して守備を整理するであるとか、攻撃のカードを切って押し返すであるとか、何か変化を加えたいところですが、日本はなかなか動けずにいます。

そして迎えたアディショナルタイムの3分。イランは日本の左サイドからロングスローを入れてきました。見た目にはファウルスローを取ってもいいような投げ方でしたがプレーが続行されると、跳ね返したボールを拾われ、今度は逆サイドに大きく展開されます。日本の4バックに対してイランは攻撃を4枚当てており、そのうち中央で陣取るアズムンさんが怖いものですから、どうしても日本のセンターバックふたりがアズムンさんに吸い寄せられてしまいます。そのため逆サイドに展開した2枚はサイドバックがひとりで見る形を強いられ、ここを何度も使われてきました。同じ形でここもボールを逆サイドに入れられ、中央への折り返しを許します。

その時点では取り立てて危ない感じもありませんでしたが、ここで日本のセンターバック2枚が浮き球の処理をめぐってよもやの交錯。ゴール正面にこぼれたボールに対して詰めてくる相手に板倉さんが足を出してしまい、日本は痛恨のPKを与えました。目安のアディショナルタイム4分台まであと1分、多少の追加はあるにしても、ここで決められるとさすがに苦しい。してはいけないミスが、してはいけない時間に出てしまいました。

↓このPKをザイオンさんが止めて伏線回収の総手の平返し…とはいかず、日本勝ち越しを許す!

まぁ、日本側は心もポッキリいきましたかね!

もしザイオンさんがPKを弾いても、イランのほうが早く走り出しているので押し込まれたことでしょう!



日本は攻撃のカードを切って、ロングボールに全員がラッシュするようなパワープレーを繰り出します。しかし、試合を通じてそうでしたが五分五分のボールの競り合いではイランに分があり、チャンスにはつながりません。「一度引き出してから崩す」「一方のサイドに寄せてから逆サイドに展開」なんて悠長なことをやっている時間はもはやなく、逃げ切りを図るイランに対しての有効な策は見出せないまま、結局日本は1-2で敗れました…!

↓相手の策がシンプルなだけに、そのまんまの流れで試合が終わってしまいました!


残り1分で勝ち越されたのではそうそう追いつけるものではありませんので、この負けは致し方ないところ。相手の攻め手が「ロングボールで裏」というシンプルなものであるぶん、選手を信じて同じ構えで対応という感じだったのかなと思うと、同じ勝ち越しを許すにしても、もう少し早い時間帯か、もう少し遅く延長突入後であれば、まだまだ勝負はわからなかったなと思います。ワールドカップでは1点取られてからガラッと仕組みを変えて大逆転を見せた日本が、この日は何やかんやで勝ち越されなかったことで、大きく動くキッカケを逸してしまいました。

まぁ、敗因については森保監督自身が「采配ミス」と早々に宣言しておりますので、ドーンと改善を信じて見守りたいもの。采配ミスなのですから、それはつまり「チームが負けた」のではなく「今日は負けた」ということ。打つ手がなかったのではなく、打つ手をミスったのだという話です。解任解任と騒ぐのは恒例行事としてはアリかなと思いますが、今大会は気の毒な部分もあったわけで、改めて仕切り直しがよいでしょう。

ほかの国の試合などを見ていてもイランは非常に強力なチームですし、この試合が事実上の決勝戦だったということをイランが証明してくれるよう期待していこうと思います。アジア最強国はソンフンミン(※もはや国レベルの存在感)なのかイランなのか、今から決勝戦(予定)が楽しみです!


地上波の試合だけ負けてるので全戦DAZN独占がよかったかもですね!