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バスケ女子日本代表、パリ五輪出場決定!

いやー、ハラハラドキドキの最終予選でした。来たるパリ五輪への出場を目指して、世界最終予選に臨んでいたバスケットボール女子日本代表。11日に行なわれた最終予選の最後の試合カナダ戦で日本は見事に勝利し、パリ五輪の切符をつかみました。最終的には世界の強豪スペイン・カナダを撃破するという素晴らしい結果でしたが、途中いろいろあって本当に最後まで緊迫感のある戦いでした。危なかった。よかった。ホッとした。とにもかくにもまずはパリ行き決定、おめでとうございます!

↓雑コラみたいな感じですが公式ですのでコチラでよろしくお願いします!


この3試合、予想外のいい結果と想定外の悪い結果とでジェットコースターのような道のりでした。日本が出場した世界最終予選ハンガリーラウンドには、日本、スペイン、カナダ、ハンガリーの4ヶ国が進出していました。世界4ヶ所で同じようなラウンドが行われており、各ラウンドから3チームがパリ行きの切符をもらえるという仕組み。つまりはこのラウンドで「4分の3」に入ればいいという戦いでした。単純に言えば「1勝すればOK」という話です。

日本は非常に幸先がいい滑り出しでした。初戦の相手・スペインは世界ランクで言っても実力で言っても「かなり格上」の相手。負けを計算して臨んだ試合でしたが、この試合は現在のチームのコンセプトである「走り切るシューター軍団」のバスケが非常に機能します。12人の登録メンバーにポイントガード4人、シューティングガード3人と「ガードを7人」入れた日本は、運動量とスリーポイントシュートでスペインを攪乱。相手はチョコマカとへばりつく日本のディフェンスに露骨に嫌気を見せ、オフェンスでも日本のスリーポイントが高い確率で決まったことから思いがけない大差の展開となります。最終スコア86-75での勝利は金星と言っていいものでした。「最低限1勝」のハードルを早々にクリアし、半ばパリ行きは決まったような気分にもなったもの。

↓東京五輪銀の立役者・林咲希さんのスリーが落ちたところをナイスリバウンドから打ち直しで決めた!


しかし、つづく第2戦ハンガリー戦はランキングで言えば格下とも言える相手ですが、開催国という特別な強みと、日本のコンセプトに対する「特攻」とも言える選手の存在に苦しめられます。身長2メートル8センチという突出した長身を誇るベルナデット・ハタール選手です。序盤こそ日本がリードを築くものの、ハタール選手にまるでポートボールでもやっているかのようにゴール下を支配され、日本は痛恨の逆転負け。日本にはセンター登録の選手が高田真希さんしかおらず、馬瓜エブリン・ステファニー姉妹や赤穂ひまわりさんなどを含めてもいずれも身長180センチ台までで、2メートルを相手に主導権を取れるようなカードはありません。この敗戦には日本が誇るセンターである渡嘉敷来夢さんを招集しなかったことが本当に適切だったのか?と、チームのコンセプト自体を揺るがすような不協和音さえSNSでは鳴り響きました。

↓初見でも「デカッ!」とすぐ分かるハタール選手が出てくるたびに日本は追い詰められていきました!

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この敗戦によって、一転日本はグループでもっとも苦しい立場に追い込まれました。スペイン、カナダ、ハンガリー、日本が全チーム1勝1敗で並んで迎えた最終第3戦。それぞれのカードで勝った2チームはもちろん問題なくパリ行きが決まります。負けた2チームはどうなるかと言うと、勝点が並んだ場合バスケ界隈の順位決定方法では次に「直接対決の結果」が重視されます。そうなったとき、日本がカナダに負け、普通にありそうな結果として強豪スペインがハンガリーに勝った場合、「日本とハンガリーが1勝2敗で並び、直接対決の結果によりハンガリーが上位」となるのです。つまり、「日本は第3戦でカナダに負けたら、かなり高い確率で五輪に行けない」ということ。過去の対戦でも負け越している格上カナダを相手に勝たねばならないという厳しい条件。ここで負けたら、東京五輪銀のチームが本大会前に消えるかもしれないというヒリつく試合設定。大一番に身震いするようでした。

↓過去の対戦成績「3勝8敗」!4勝目を挙げねばパリに行く前に五輪が終わるかもしれない一戦!


迎えたティップオフ。日本はこの日もスターティングファイブで起用された宮崎早織さんのドライブから先制点を挙げます。どの試合でも宮崎さんのドライブは強力な武器として日本を支えてくれており、「日本の河村勇輝」といった感じの活躍ぶり。その後も小刻みに加点していく日本。この日はこれまでの2試合とは異なり、スリーポイントをあまり狙わずまずはインサイドからしっかりと決めていくような構え。前の2試合を通して、「とにかく日本は外から打ってくるぞ」ということが伝わっていますので、相手の意識の裏を突いていくような組み立てです。

第1クォーターを20-20の同点で終えると、そろそろ意識づけも十分といったところか、第2クォーターには馬瓜エブリンさんのスリーポイント連発や山本麻衣さんの要所でねじ込むスリーポイントなど外からの攻撃も織り交ぜて日本がリードを築きます。前半を終えて50-46の4点リードでの折り返しとしました。日本としては悪くない前半でしたが、この試合もインサイドはカナダに押し込まれており、ひとつ流れを失えば4点などあっと言う間という気配も。シーソーゲームはまだまだつづきそうです。

↓夏休みを終えてフレッシュなエブリンさんが「私はバスケ大好き芸人ではない」というところを見せつける大活躍!



後半に入って第3クォーター。気合を入れてきたカナダが最初の攻撃でオフェンスリバウンドを拾いまくりながら都合8回ほどシュートを撃って得点するなどすると、日本の攻撃がモタつく間にわずか2分ほどで逆転されてしまいます。ただ、その気合のせいかカナダはファウルになるプレーも多く、第3クォーターの中盤で早くもチームファウルが5つとなります。これで日本はファウルされるたびにフリースローを撃てるようになり、攻撃が手詰まりなときにも得点を重ねることができました。ショットクロック間際でダメ元で撃ったスリーポイントでファウルをもらい「フリースローを3本決める」などという場面は、日本としては非常にありがたいラッキースコアでした。そのほかにもカナダの得点と思われた場面がトラベリングで得点につながらなかったりして日本を助けることがたびたび。最終的な得点差を考えると、このクォーターでカナダはちょっとファウルをし過ぎたかなと思います。規律が勝負を分ける、そんな分岐点でした。

70-67の3点リードで迎えた最終第4クォーター。一時は同点に追いつかれるものの、カナダにはトラベリングだったりパスが合わずにコート外に投げてしまったりと何かとミスが多く、試合の流れをひっくり返すには至りません。逆に日本は高田真希さんと馬瓜ステファニーさんのコンビで相手の裏をかく攻撃を決めると、ジャンピングセレブレーションでチームを盛り上げるなど雰囲気がいい。残り1分を切っての攻撃で、山本麻衣さんが苦しい攻撃を得点に結びつけて85-80の5点差としたところでようやく「勝てるぞ」と感じると、最終盤は「得点をやってもいいから絶対にファウルはしない」といったプレーでしっかりと時計を進めて勝利。無事にパリ五輪の切符を手に入れました!

↓いろんな積み重ねの末にここまで来てようやく「勝てるぞ」と思うギリギリの勝利でした!


日本VSカナダ戦のあとに行なわれたこのラウンドのもう1試合を見ますと、前半を終えた段階ではハンガリーが20点ほどリードしており「あぁこれなら日本負けててもいけたな」と思ったのですが、最終的にはスペインが地力を見せて「第4クォーター開始時点で14点ビハインド」からの大逆転勝利をしており、改めて「あぶねー!」と胸を撫で下ろしました。カナダに負けていたらやはり日本のパリ五輪はなかったのです。いやー、勝ったから言える話ですが、そんな大ピンチだったからこそ熱くて面白い、いい最終予選になったのかなと思います。負けていたら「あぁーー!」「ハンガリー何やってんの!」「しっかりせぇ!」とか言いながら頭抱えていたかもしれませんが、勝ってから振り返るピンチというのは最高に楽しいものです。

試合後はヘッドコーチや選手たちも目に涙を浮かべて大きな達成感を覚えていたようでしたが、そんななかでも馬瓜エブリンさんなどは「フォー!パリ行くぞみんなで!」「馬瓜姉妹、バスケもクチもしっかりやっていきますよ!」「日本の女子バスケット応援してください!」と本番へのあふれるエネルギーで元気いっぱい。その元気が本番でもチームを牽引してくれたらいいなと思います。ハンガリーには敗れはしたものの「五輪でメダルを争うライバル」に対して2勝というこの結果は、本番へ向けても手応え十分。前回以上の大活躍を期待したいところです。走って走って走り切って、今度は大観衆のなかで勝ちましょう!

↓パリでは男女のバスケが大いに盛り上げてくれそうです!




スペインに勝ったのにこんなにハラハラさせてくれて、ありがとうございます!