なでしこJAPAN、パリ五輪出場決定!
28日に行なわれた女子サッカーのパリ五輪アジア最終予選北朝鮮戦。僕も現地で応援の気持ちを届けた大一番で、サッカー女子日本代表なでしこJAPANは見事に勝利し、パリ五輪の出場権を獲得しました。いろいろなことがドタバタする苦しい最終予選でしたが、ホーム国立まで五分で戻って来てくれさえすれば何の問題もありません。熱い声援と手厚いサポートを受けての見事な勝利。大目標・金メダルへの挑戦権、無事に獲得です!
↓「ワールドカップ優勝のスペインに勝った日本」のチカラを示しに行きましょう!
試合前、情勢は若干雲行き怪しい雰囲気でした。アウェー扱いであるとは言え「実質中立地」で行なわれた第1戦で2失点くらいしていても不思議はないような試合内容でのドロー。しかも第2戦はホーム扱いであるはずなのに、チケット販売は奮わず、熱烈なサポーターが陣取るゴール裏エリアに限って言えば「北朝鮮側のほうが売れている」という状態。
JFAが「助けに来てください!」となりふり構わぬアピールをXで始めた段階では、北朝鮮側のゴール裏チケットが3000枚売れているのに対して、日本側のゴール裏は1496枚しか売れていないと言うではありませんか。まぁ、日本側はゴール裏だけにいるわけではありませんが、それにしても倍はいかがなものかと。向こうは「おたくはココからココまで」とエリアを区切られたうえで、そこを全部買っているから3000枚なんてキッチリした数字になっているわけでしょう。枠さえあればもっと入っても不思議はないのです。これでは2戦とも「実質中立地」みたいです。
しかし、打てば響くのが日本のお客さん。「負けてます!助けてください!」のアピールを始めてみれば、そこからグングン伸びる販売枚数。最終的には日本側ゴール裏エリアの販売枚数は3600枚を超えるところまで伸び、劣勢を跳ね返しました。よーし、これなら何とか格好がつきそうです。
↓「売れた枚数」で圧を掛けられると買わざるを得ないプレッシャーがある!
↓ドデカイ緩衝地帯を挟んで南側ゴール裏に陣取る北朝鮮サポーター!赤の集団!
↓赤の圧がすごい!ウィーアー北朝鮮!
↓日本側も大サポーターが集って応援態勢はバッチリです!
サポーターだけでなく、運営側も盛り上げに余念がありません。日本のソフトパワーを見せつける…なんて話ではないのでしょうが、試合開始前には国立競技場上空でドローンショーを行ない、チームと観衆を鼓舞します。ピンクとブルーのなでしこカラーに輝くドローンが東京タワーの形からエッフェル塔の形へと変化し、「全員で勝ち獲ろう」とメッセージを送るショーは、北朝鮮側からは見づらい場所に日本語を表示するという「完全ホーム」仕様のもの。チケット代はいただいているけれど、皆さまはお客さまではない。パリに行くのは私たちだ。ビシッと言ってやった感じがしましたよね!
↓せっかく屋根ナシなんだから、毎回ドローンと花火あげちゃいましょう!
ホーム感あふれる空気のなかで迎えた試合開始。日本は第1戦であまり機能しなかった布陣からガラリと変わって、大黒柱・熊谷紗希さんを中央に置いた3バックの布陣です。左サイドハーフには相手の突破への対抗策として人に強い北川ひかるさんを置き、さらに左サイド前めの位置には上野真実さんを入れる新鮮味のある顔ぶれ。「今日負けたらクビなんだろうなぁ…」という試合で、池田太監督が思い切った手を打ってきました。
立ち上がり、第1戦のように引いて睨み合いという構図ではなく、日本・北朝鮮ともに積極的に攻撃に出ます。球際の競り合いも激しく、特に北朝鮮は気持ちを出してきます。気持ちが出過ぎて荒っぽいプレーになってしまうのは「北朝鮮らしい」ところで、この最終予選にはVARは採用されていないということを知ってか知らずか、「最悪やっちまおう」みたいなプレーも繰り出してきます。前半9分にはプレー後の選手をスパイクの裏で蹴る「VARならレッド」という危険なタックルを見せ、場内も騒然としました。
しかし、相手が積極的であるのは日本にとって悪い話ではありません。攻めに気持ちが向けば守りが薄くなるのは道理。日本が攻めるチャンスでもある。そして迎えた前半26分。NHKが「このあと18時59分からはサブチャンネルでお届けします」とかいう暴挙で各地の録画予約をぶっ飛ばしたわずか30秒後、ついに試合が動きます。フリーキックのチャンスから北川さんがボールをゴール前に入れると、熊谷さんが競り合ってこぼれたボールが上野さんのもとへ。上野さんが再び中央に折り返すと、田中美南さんがすらしたボールがクロスバーに当たり、その跳ね返りに詰めたのは高橋はなさん!この日の布陣でポイントとなった選手たちがつないでつないで大きな先制点が実るとは、吉兆を感じるゴールです!
↓サブチャンネル使うなら「最初から最後までサブチャンネル」でやってほしかった!
↓ゴールを決めた高橋さんに長谷川唯さんと清水梨紗さんが抱き着く!さすがに積載重量オーバーです!
攻撃でいいプレーが出たあとには守備でもいいプレーが。前半終了間際の45分、北朝鮮はエリア内にボールを入れると、上手く中央につないで最後はヒールで枠をとらえてきました。強いシュートではないものの完全に逆を突かれた格好で、ほとんど同点に追いつくゴール…になるところでした。しかし、そこに立ちはだかったのはゴールキーパーの山下杏也加さん。リオ五輪予選敗退という苦い経験を持つ山下さんは、苦しさを乗り越えたぶんの「あと一歩」がありました。ほとんど倒れ込みそうになりながら、転がるように足を進めて、ゴールラインを今まさに割ろうとするボールに追いついたのです。
北朝鮮はすでにガッツポーズで得点を確信していますが、まだラインは割っていません。「三笘の1ミリ」よりも遥かに余裕がある状態で、山下さんは見事にそのボールを掻き出しました。リードを守る大きな大きなセーブ。最後までボールを追うことを諦めず、身を投げ出すしかないとすぐに決めつけず、「あと一歩」を踏み出したから届いた勝負の分岐点でした。前半を1-0リードで折り返し、勝負は後半戦へ!
↓よく飛び込む前の数歩が出た!これぞ守護神というビッグプレー!
ともに交代なく迎えた後半戦。攻めに出るしかない北朝鮮は日本のサイドを積極的に狙ってきますが、日本は左の北川さんと右の清水さんがしっかりと対応し、突破を許しません。日本の守備は前線から追っていき最後にサイドで詰めるという狙いが上手く機能している模様です。1点の余裕もあるので安心して見ていられます。北朝鮮は後半21分に一気に3選手を替える勝負手を繰り出し、セットプレーから日本ゴールに迫りますが、エリア内では日本も身体を張ってしっかりと守りゴールを許しません。
そして迎えた後半31分。相手のクリアミスを高い位置で拾った瞬間、右サイドの清水さんは猛然と駆け上がります。ポッカリと空いた右サイドの奥に侵入すると、競り合いに来た相手DFを切り返しの股抜きで清水さんがかわしました。エリア内には日本の2選手がフリーで待っています。清水さんが入れたクロスに詰めたのは藤野あおばさん!ワールドカップで日本人最年少ゴールを決めたなでしこの未来が、「これを決めるのはアタシだよ」精神でパリを引き寄せる追加点をもぎ取りました!
↓中央にいる清家貴子さんへのクロスだというのはみんなわかってる!でも「決めるのはアタシ」です!
↓みんなで頭ポンポンして差し上げました!
そのわずか5分後の後半36分、「よーし、勝った!」と思った日本に北朝鮮の追撃ゴールが突きつけられたのは、パリへの課題をいただくにしてもちょっと早いなぁとは思いましたが、まぁいいでしょう。2点リードするまで1点もやらなかったことが大事です。ゴールの順番が違っていればまったく違う結果になるかもしれないのがサッカーという競技。2-0から2-1になるのは危険なスコアなんて言いますが、「2-1から負ける」のと「0-1から負ける」のとでどちらがより負けるかを考えれば2-1の危険なんて高が知れています。残り10分少々、しっかり守れば無問題。
日本は後半44分にフレッシュな選手を投入して試合を締めにかかると、保持したボールはゆったりと時間を掛けて持ち、上手く攻め上がった際にはボールキープの時間も作りながら時計を進めていきます。アジアカップを見たあとでは一瞬に感じる程度のアディショナルタイム5分を守り切って日本は勝利。見事にパリ五輪行きの切符を勝ち獲りました!
↓よーし勝った!13年ぶりに自力で五輪予選突破!なでしこの歴史をつないだ!
↓苦境を乗り越えたキャプテンは責任を果たして大きくガッツポーズ!
↓歓喜の輪が広がりました!
池田監督をはじめ各選手がインタビューを受けるスペースには、世界一のなでしこの一員であった岩清水梓さんもDAZN解説者として姿を見せていました。熊谷紗希さんや長谷川唯さんが重圧からようやく解放されたように岩清水さんに抱き着いているのが印象的でした。背負った人にしかわからない重さがあって、それをわかってくれる人がそこにいた、話したかった、やっと話せるようになった、そんな感じでした。
非常に苦しい予選でしたが、それが五輪予選ですし、苦しいんだからこそ強くなるというもの。怪我人が多く、ワールドカップ主力メンバーの何人かは参加が叶わなそうなのが気になるものの、その選手たちの想いも背負って、ワールドカップで一瞬見えた世界一の強さを発揮し、「パリで金」の大目標へ向かって進んでいってほしいと思います。苦しい状況から立ち上がって夢を叶える姿は、きっとたくさんの人の元気や勇気になる。それができるし、それを期待されるのが、なでしこJAPANというチームのはず。パリで大きな花を咲かせましょう!
↓楽しそうで結構です!パリ五輪出場決定おめでとう!
↓喜びの自撮りを広報さんから要求される各選手!
↓こんな自撮りになりました!
↓ちなみに自撮りの背後に出ているのは、能登半島地震の被災地への応援です!
↓パリから勇気と元気が届きますように!
寒さも吹き飛ぶ熱い試合に感謝!パリの楽しみがまたひとつ増えました!
北青鵬引退の大相撲newラップはよ