2024年05月06日08:00
ゴールデンウィークにRE_PRAYをリプレイ!
長いようで短いゴールデンウィークも今日で終わりますが、皆さま不元気でしょうか。僕ももちろん不元気なのですが、その気持ちを少しでもかき消し、未来に向かって前向きに頑張ろうと思わせてくれる特番が放送されました。5日にCSテレ朝チャンネルで放送された「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd RE_PRAY TOUR 舞台裏SP」です。
羽生結弦氏のRE_PRAY横浜&宮城公演から本編をお届けしつつ、舞台裏の様子もつぶさに届けてくれたコチラの番組を見ながら、「決意をもって平日を生きていく」「サボらない自信はないけれど」と僕も奮い立ちました。6日夜にもう一回「あーイヤだ」「連休終わるのやっぱりヤダヤダ」「ずっと休みたいから3億ください!」とか落ち込むかもしれませんが、そのときは次のアイスストーリーを万全に迎えられるように今日を頑張れ、と自分を励まそうと思います。素晴らしいゴールデンウィークの贈り物、ありがとうございました!
↓僕がポッキーくわえて寝ている日にも、懸命に努力をしている誰かがいる!
【ch2】遂に今夜7時〜「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd #RE_PRAY TOUR」舞台裏SP❄️ #羽生結弦 秘蔵映像で描く“舞台裏 3時間SP”✨ #フィギュアスケート を超える新しいエンターテインメントをお見逃しなく⛸https://t.co/oDMedRzCss pic.twitter.com/3e53tpCgC4
— CSテレ朝チャンネル (@tvasahi_cs) May 4, 2024
番組は去年8月のオンライン会議の模様からスタート。羽生氏やMIKIKO先生をはじめとする関係者が集い、共有画面にはオーバル型で最大1万席くらい作れそうなアリーナの図面が映し出され、リンクや大型映像装置の設営場所を仮置きしつつ演出プランを検討しているようでした。僕もこのアリーナなら協賛スポンサーさまの広告も完璧に映えそう…などと頷きつつ、リアルオンライン会議まで覗き見させていただけることに興奮を覚えます。
そうした制作の舞台裏と並行して、「このショーは見ている方々がプレイヤー」「RE_PRAYというゲームが存在していてお客さんはそのゲームをプレイしていく」「そのプレイがだんだんだんだん物語の進行によって変化していく」といった羽生氏の解説コメントが織り込まれ、「RE_PRAY」初見の方にもわかりやすく公演の内容を伝えてくれる構成である模様。さいたまでの初公演で覚えた「これは…何だ…?」という衝撃を懐かしみつつ、休日にご家族でたまたまご覧になる方がいることにも心を配ったわかりやすくてためになる構成だなと感心したりします。
公演の見えている部分については複数回感想なども書いているので割愛し、主に舞台裏の部分に注目していくと、そこには紛うことなきプロフェッショナルの姿勢があふれ出ています。演出や設営に細やかなチェックとアップデートを重ねることは当然として、とにかくスタッフさんとのコミュニケーションが密で丁寧です。会場が違っても、居る場所が違っても、仕事を始めるときの羽生氏はまず「挨拶」から始まります。「お願いします」「ありがとうございます」「ミーティング中失礼します、羽生です」といった声掛けを天井にいるスタッフさんにまでひとりひとり届けていきます。いつしか照明をパカパカ点滅させてスタッフさんと羽生氏が心を通わせるようにさえなっていた模様。それがあの宮城公演でのスタッフ紹介の際の「ピカピカして!」「いつもの!」というやり取りにつながるのだと思ったら、スタートとラストが結びつくようで感動を覚えました。これは映像の前で独りで演じている孤高の舞台ではなく、人と人との絆が作り上げたエンターテインメントなんだと。演者であると同時に、全員のチカラを束ねる総監督として羽生氏はそこにいたのだと。
リンクにいる羽生氏とスタンドにいるMIKIKO先生がマイクで会話をしながら「鶏と蛇と豚」を作り上げていく場面や、 オープニングでのわずかなセンターポジションのズレを修正するために目印となるライトを追加する場面、さらには会場のリンクに「アイスリンク仙台のライン」を投影することで練習拠点での感覚と本番会場での感覚を合わせていく場面など、興味深い場面が惜しげもなく放映されていく番組。そのひとつひとつに羽生氏の創意工夫がこもっており、だからこそあれだけの作品にもなるのだと感心することしきりです。熱心になり過ぎて手にしたスケート靴のカバーをマイクだと思ってスタッフさんに話し掛けてしまう一幕もあったようですが、それはつまり「それぐらいマイクで会話することが身体に馴染んでいる」ということ。面白失敗場面でありつつ、どれだけ綿密に演出を作り上げてきたかが滲む場面でもあったなと思います。
公演のコンセプトなどをひとしきり紹介したあとは、いよいよ公演本編の上映へ。本編は公演第1部を横浜公演から、公演第2部を宮城追加公演からお届けするマルチな構成になっています。こちらも舞台裏スペシャルだけあって、「マルチアングル舞台裏カメラ」とでも言いたくなるような感じで、羽生氏がバックステージに控えているところからつぶさに映してくれるという大サービス付きです。公演直前までつづく緊迫のウォームアップや、仕事場に入るときの境界に手で触れて挨拶する姿、今まさに舞台に飛び出そうとするときの小刻みなジャンプとスタッフさんの秒読み、幕間の着替えに急ぎ向かう様子なども、まるでその場にいるかのように見ることができました。
公演日によって演目が変化するいわゆる「トロッコ問題」のくだりでは、ひとつめの展開を見せたあと一度巻き戻ってふたつめの展開を見せてくれるという編集をしてみせたり、佐賀公演での地域挙げてのおもてなしの紹介や宮城追加公演に訪れた世界各国からのファンの声を挟み込んでみたり、公演の全容や周辺状況までもわかる構成は贅沢の一言。これを見れば「RE_PRAY」がわかる!くらい言ってもいいかもしれない番組でした。こんなに放送しても映像商品化への影響は心配ないということなのであれば、ブルーレイが登場する日がさらに楽しみになりますね!
↓公演をこれからご覧になると言う方は、取り急ぎTELASAでどうぞ!
舞台裏SPを見終えて、本当によかった、ハッピーだなと思ったのは、舞台裏の羽生氏が元気であったことです。競技会時代から酷使した身体は「万全」であることのほうが少なく、ひとりで2時間10演目以上を演じる類を見ない構成であることから、プロ転向後の公演では閉幕と同時に舞台裏で息も絶え絶えになる姿が垣間見られてきました。「生命を削る」の言葉が大げさではない、見ている側が「もうちょっと抑えてはどうか」と言いたくなるような消耗ぶりは、ありがたくもあり心配でもあり、そこまでさせていることにためらいを覚えるものでした。
しかし、RE_PRAYの舞台裏はとにかく元気です。消耗や疲労はもちろんあるのでしょうが、羽生氏は自力でしっかり立っていますし、息遣いも穏やかですし、スタッフさんとの談笑なども普通に行なわれています。さいたま公演や佐賀公演ではもしかしたら「過酷な舞台裏」だったりしたのかもしれませんが、トレーニングを見直すことでツアー終盤にはしっかりと課題をクリアしていた模様。第1部と第2部の間に流れた解説によれば、佐賀公演を終えたあとに「根本的に変えないとダメだ」という思いからトレーニング方法を見直し、ウェイトを使っての筋力トレーニングを取り入れたことの解説が行なわれていました。第1部最後の演目「破滅への使者」のあとは、あえて休憩を取らずに動きつづけることで、もう止めなさいという身体の指令…「防御本能」を外すという対応も編み出していたようです。トレーニングで強化した体力で、休まずに走りつづけるからこそ、最後まで元気でいられる。「ラクになった」のではなく「強くなった」のだということが分かりやすく伝わってきました。
プロになってラクになることなどない、プロになってラクになるのが当たり前なわけがない、たとえ五輪2連覇の選手であっても進化しつづけなければならない。この界隈に薄っすらと横たわる古い常識みたいなものさえ打ち砕くようなプロフェッショナリズムがそこにはありました。五輪2連覇の選手がさらに進化してようやく遂行できるものを見させていただいていることへの感謝は、「そういうものを楽しみとして見るのだから」「自分の仕事に対しては自分もプロとして胸を張れる程度に」「せめて自分なりに頑張ろう」という決意を奮い立たせるものでした。
「あぁ、やっぱりこれはスポーツだ」と思います。誰かが生命を削って頑張る姿や、破れて立ち上がり勝って歓喜する姿、すなわち人生の縮図を自分自身に重ねて、「自分の人生もそうできるはずだ」と奮い立つことができるのがスポーツエンターテインメントの素晴らしさです。虚構や演技ではない、その人自身の苦しみと悲しみと痛みと頑張りと感謝と喜びと…人生と同じものが凝縮されたのがスポーツエンターテインメントです。過酷で、理不尽で、思い通りにならないものだからこそ、それに挑む姿から勇気や元気が湧き出してくる。この舞台裏スペシャルを見て、いい試合を見たあとのような気持ちになりました。なるほど、ゴールデンウィークに放送されるわけです。
↓改めましてRE_PRAYお疲れ様でした!
『→RE_PRAY←』いかがでしたでしょうか。
— 羽生結弦official_Staff 公式 (@YUZURUofficial_) April 13, 2024
皆さんのおかげで無事に完走しきることができました!
一緒にストーリーを形にしてくださった方々、それぞれの会場の方々、
そして何より、、、
プレイしてくださったプレイヤーの皆さま、
本当に、ありがとうございました🎮🧊🪽
羽生結弦#RE_PRAY pic.twitter.com/G9zDjrDK91
番組の最後、MIKIKO先生からの「身体能力的にももちろん天才的なものを持っていて」「表現とか解釈の面でも群を抜いたものを持っているんですけど」「あそこまで努力することに驚く」という評価に改めて深くうなずきます。優れた資質があることはその通りですが、その資質だけに頼らず、むしろ自信は乏しく自己評価は低く、これまでもこれからも努力と挑戦をせずにはいられない人であるだろう羽生氏。だからこそ、羽生氏が「達成感は強いですね」と語る姿に喜びを覚えますし、納得の公演を見られたことに感謝を覚えます。
努力しつづける、という最大の才能。
生きる指針として、目標として、その場にいるための心意気として、追いかけていけたらいいなと思います。
それでは皆さま、ゴールデンウィークから現実へ、頑張ってお帰りください!
また近い将来、「頑張れるようになる目標」を置いてもらえると嬉しいです!
見せてもらえた舞台裏について、フモさんが挙げてくださっている通り驚きと感動を覚えました。制作した方の真摯さも伝わる良番組だったと思います。
そして、特筆すべきは観たくて観たくてたまらなかった、伝説ともいえる宮城初日の『破滅〜』を観ることがかなって....!その想像以上の質に非常に興奮しました。
美しく力強いジャンプが鬼構成なのに揃っているだけでなく、表情も他も惜しみなく徹頭徹尾「語彙」豊かな表現で、さいたまスーパーアリーナで初見だった時に比べてシーズン最後に磨き上げて示された作品のようでした。
千秋楽のフィナーレは、最初CSで観た時に心が動くことに気づく前から自動的に涙が溢れましたが、今回しみじみとあらためてこの先を観たいし、自分のあれこれを生きてくぞって思いました。お茶の間スタオベ出来て、ありがとうって言えて幸せです。💫