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パリ五輪(みたいなもの)開幕です!

さぁ、ついに始まりましたパリ五輪。いつもより体感としては1年くらい五輪が来るのが早い気がしますが、世界の祝祭の前では記憶もおぼろげになって当然です。世界的名所揃いのパリの街並み、美しいはずのセーヌ川、天高くそびえるエッフェル塔、歴史と文化のなかで刻まれる新たな記憶。これから迎える素晴らしい17日間に期待したいものです。

日本時間の24日深夜から25日未明にかけては、開幕に先行して一部競技(サッカー男子、7人制ラグビー男子)が試合を開始しました。これはまったくけしからんことです。オリンピックの憲法と言える五輪憲章の規則32付属細則にはこのような記載があります。「オリンピック競技大会の競技実施期間は16日間を超えてはならない」と。本来であれば「26日の開会式+16日間の競技実施期間」で合計17日間のパリ五輪となるべきところなのです。しかし、「これと異なる期間を承認した場合は、その限りではない」という前半の文章がまったく意味ナシとなる無茶苦茶なルールによって、16日間ではおさまらない日程でもやっちゃっていいことにしているのです。くー、これが常時ルール変更闘争を繰り広げる欧州のやり方か。この柔軟さ、日本も少し見習っていきたいものです。

この本来ならルール外の実施期間に、すべての競技種目に先立って我らが日本代表も登場しました。先陣を切ったのはサッカー男子日本代表と7人制ラグビー男子日本代表。7人制ラグビー日本代表は初戦からラグビー界の盟主・ニュージーランドさまを引き当てるという誉れに恵まれ、日本選手団に最初の黒星を刻みました。奮闘実らず12-40で敗れたこの試合から始まる17日間+2日の大冒険。素晴らしい喜びと感動に満たされた、黄金の夏になるよう祈りたいと思います。

↓今大会はテレビ&TVerでほぼ全試合全種目がカバーされるそうですので、ご活用ください!



そして、大きな期待を背負って登場したのがサッカー男子日本代表。今大会はオーバーエイジの選出はせず、才気あふれる23歳以下の年代での出場です。直前にはDF半田陸さんが怪我のため代表を離脱するというアクシデントもありましたが、すぐさま鈴木海音さんを登録するなど対応にも抜かりはありません。スタメンにはU23アジアカップ(兼アジア予選)優勝の際にも大活躍を見せたGK小久保玲央ブライアンさんや、正確なパスで得点機を生み出すキャプテン藤田譲瑠チマさん、この年代のエースストライカー・細谷真大さんなど自慢の選手たちを並べました。

迎える相手は南米予選を1位で突破してきたパラグアイ。メンバーを見れば三笘薫さんのチームメイトであるフリオ・エンシソさんなども含まれており、相手にとって不足はありません。2004年アテネ五輪では小野伸二さんを中心とした日本代表が3-4で敗れ(※パラグアイは銀メダル獲得)、その後の2010年にはワールドカップのベスト16でもやはり日本が敗れた「ここぞで負ける」因縁の相手。今度は気持ちよく勝って、日本選手団最初の白星を刻みたいところです。

↓未来を担う日本の若き選手たち、悲願のメダルを目指して突き進め!


ワインみたいな名前のヌーヴォ・スタッド・ド・ボルドーに登場した日本代表は引き締まった表情をしています。色とりどりの椅子でビッシリと埋まったスタンドは5万大観衆が居並ぶかのような荘厳さを讃え、これから始まる熱戦の期待感に満ちています。流れる君が代。選手全員をスーッと映せばいいのに途中で止まったり戻ったりする謎のカメラワーク。笑顔で握手する両監督。見守る僕も緊張感で身震いしてきます。

そして迎えたキックオフ。日本はおなじみの4-3-3の布陣、パラグアイはどのシステムで来るかという部分も気になるところでしたが4バックを選択してきたようです。立ち上がりからゴール前を行き来してシュートが生まれるなど静かななかにも積極性が見られる入りで、早速の前半5分には日本がコーナーキックからすらしたヘッドでパラグアイGKをヒヤッとさせる場面も作りました。それと並行して味方のバックパスに日本のGK小久保ブライアンさんがちょっと慌てる場面などもあり、緊張感も垣間見える立ち上がりです。

試合が動いたのは前半19分、日本が左サイドを深くえぐったところからマイナスの折り返しを送ると、エリア内で受けた三戸舜介さんがしっかり態勢を整えてから右足でニアサイドを突き刺しました。出色だったのはそのゴールの際に、ブロックに行けそうなパラグアイの選手を細谷真大さんが身体でブロックして潰していたこと。まるでバスケットボールのスクリーンプレーのように味方を活かす影のアシストでした。

↓日本先制!細谷さんのアシストでフリーの時間が生まれた!

このスクリーンはやられたら腹立つでしょうな!

前に行きたいのに行かせてくれないし、押して倒すわけにもいかないし!



これでもともと高かったパラグアイのテンションは熱過ぎる方向にいってしまったか。直後の前半22分には、平河悠さんがアフターで突っ込んできた相手に右足を踏まれて倒れ込む場面が(※平河さんはその後前半33分で負傷交代)。スローで見れば右足首が踏まれてグニャリと曲がるかなり悪質なプレーで、当然ながらVARによってレッドカードと判定され、パラグアイは前半25分で10人となりました。1点リードで1人多い、これは日本としてはリスクは取らずに確実に仕留められそうな理想的試合展開となってきました。

↓ビデオで見れば大体退場!ルールを破る者は厳罰を喰らうべし!


その後、日本は攻勢強めるも「どうしても追加点を」というところまでは見せず、落ち着いた試合運び。前半の終わり際には、GKの小久保玲央ブライアンさんが大きなブーイングを浴びながら「ボールを蹴りそうで…蹴らない!」「拾いそうで…拾わない!」「投げそうで…投げない!」というハートの強いボールキープも見せ、主審から怒りの注意もいただきました。さらにはベンチから飛び出してパラグアイの荒っぽいプレーに怒りを見せた大岩監督も注意をいただくなど、プレーはパラグアイが荒いのに何故か主審は日本ばかりを注意するという謎展開のなか前半終了。まずは1-0で折り返しました。

迎えた後半、パラグアイは少し前に人数をかけて反撃を狙う構え。一方、守備の布陣としては前半と同じ4バックのままのようで、1人少ないなかでピッチの幅をはたして守り切れるのかどうか。最初の10分ほどは日本ゴールへのパラグアイの圧力も強く、後半10分過ぎにはサイドネットを揺らす場面も作られますが、反撃もそこまで。やはりひとたび日本がボールを持てば取り返すのにも苦心するようで、じょじょにパラグアイの勢いは失われていきます。

そして日本が試合を決定づけたのは後半18分。日本は波状攻撃でパラグアイゴールを脅かす流れから、左サイドでボールを持った斉藤光毅さんがエリア内のドリブルでさらにサイドを深くえぐり、最後は中央フリーで待つ三戸さんにクロスを送ります。誰も詰めてこない空白の数秒、三戸さんは確実にゴールに入れる美しいヘッドでこの日2点目。枠に入れさえすればいいという美味しい場面、しっかりいただきました!

↓パリ五輪に愛された男・三戸舜介さん!味方のお膳立てが完璧です!


この2点目で明らかにパラグアイは意気消沈し、ガクッと気迫も動きも規律も落ちました。後半24分には山本理仁さんの見事なミドルが決まって3点目。後半36分にはセットプレーから藤尾翔太さんの力強いヘッドで4点目。得点になったもの以外にも挙げればキリがないほど得点のチャンスが生まれ、「決まりさえすればビューティフルゴールだった」という場面が連続してつづきます。

日本は選手交代もしっかり行なって「五輪」の雰囲気を多くの選手に体験させるなど、勝利以外の目的も完璧に遂行しました。あまりに余裕があり過ぎてノッソリしたバックパスを相手FWにさらわれてGKと1対1なんてうっかりピンチもあったりはしましたが、それすらもGK小久保さんが相手の進めるコースを限定しながらサイドに追い込み、最後はキッチリ身体で防いで失点を許しません。

そしてトドメは後半42分、完全に規律を失ったパラグアイのDFラインの裏に藤尾翔太さんが抜け出し、しっかりと決めてチーム5点目。得失点差もこれ以上ないほどに稼ぎ出し、楽勝オブ楽勝、圧倒オブ圧倒の初戦となりました。日本5-0勝利で、幸先のいいスタートです!

↓藤尾さんはこの日2点目!町田から世界に羽ばたけ!



オーバーエイジの不在や直前の怪我人発生など不安も残るなかでの大会入りでしたが、南米予選1位を相手にこの圧倒ぶりであれば、もう何の不安もありません。申し訳ないですが11人対11人でも日本が楽勝だったのでは?と思うほど、個々のクオリティとチームとしての完成度に差を感じる試合ぶりでした。もしかしたら日本、相当強いかもしれません。公言する金メダルの目標にも可能性を感じます。メダルがクッキリと見える最高の初戦、相手が1人少ないことが「強さを隠すいい煙幕になったな」くらいの大圧勝でした!



パリ五輪日本選手団初勝利!眠れない17日間+2日を楽しみましょう!