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台風には勝ちました!

いよいよ夏休み気分の終わりが見えてきた8月31日。僕は国立競技場にいました。こちらで行なわれるJ1リーグ・FC町田ゼルビアVS浦和レッズ戦の観戦に赴いたのです。たまたまではありますが町田さんの国立開催の試合を連続観戦ということで、僕もすっかり町田サポーターかのような誤解を招きそうな雰囲気になってまいりましたが、全然違いますのでご安心ください。

さて、この試合を前に世間は大きな戦いに臨んでいました。ジョギング程度のスピードで九州から日本列島を舐めてまわっているという超大型の台風10号との戦いです。この週末は各地で公共交通機関が運休したり、イベントが中止になったりと「安全寄り」に舵を切った早め早めの判断が下されていました。なるほど、素晴らしい姿勢だと思います。

しかし、世のなかすべてがそっち側の判断をするはずはありません。可能性がある限り勝利を追求する、そんなマインドもあるのです。FC町田ゼルビアさんも「可能性を追求」する側のチームなのでしょう。台風情報が危機感を持って伝えられるなか、町田さんは「明日の試合は開催します」の姿勢を崩しませんでした。あらかじめ時刻を宣言しつつ、半日くらいごとに判断を更新するという発表は観衆の立場としても納得感があるものでした。国立開催の振り替えなどできるはずもないのですから、やれるものならやりたいは関係する全員の総意です。僕もできることならやらせてあげたい…そう思って判断を見守っていたもの。

↓2日間ほど都度判断を発表しながらついに開催当日の朝に開催を最終決定した町田!


さて開催を決定はしたものの、非常に強いと評判の台風10号を向こうにまわして、予定通りそのままというわけにはいきません。すでにこの国立開催のために用意したイベントのいくつかは前日の時点で中止を余儀なくされました。子どもたちが大好きなふわふわする巨大なトランポリンは撤収しましたし、よくあるキックターゲット的なミニゲームは取り止めにしました。残念ですが致し方ないところ。

しかし、それでも、この日のために用意した注力企画の数々は、国立の広い敷地と屋根を活用して、何とかかんとか実施すると町田さんは言うのです。この日のためのグッズ販売は場内で行ない、コロコロコミックさんとコラボしたクイズラリーやフォトスポットは軒下での実施に切り替え、そして、来場者1万人に配布するというプレゼントは駐車場の入り口みたいな通路を活用して配布を行なうのであると。うむ、その心意気は台風にも一歩も後退しない果敢な運営と言っていいでしょう。台風め!来るなら来い!人間の休日を楽しもうとする気持ちは天候になど負けないのだ!僕たちはバーベキューパーティーをやると決めたら当日が鉄砲水でも食べ終わるまで止めない!そんな熱い気持ちを胸に秘めた開催当日の午後、国立競技場に降り立った僕が見た光景は……

↓あれ?意外と晴れてました!
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「おっ、おぅ…」と人々も拍子抜けする空模様。台風どころかまだ雨雲も国立には到達していません。未来の天気を知る術がなければ、何事もなかったかのように予定通りの開催をしていたかもしれないくらいの天気です。何にせよ天気がいいのは結構なことです。イベントなども一通り実施できましたしね。町田VS台風戦は当日までしっかりと天候を見極めた町田さんの粘り勝ちと言っていいでしょう!

↓コロコロクイズラリーはたぶん大盛況でした!
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↓フォトスポットも雨を気にせず撮影できる状況!
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↓今回は着ぐるみのゼルビーくんとも遭遇できました!
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↓サッカーの試合だけどベースボールシャツも元気に配布中!
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↓ちなみにベースボールシャツはこんなヤツです!

これはサッカーが野球に屈したわけじゃなくて、オシャレの一環ですからね!

野球選手が休日はバスケットシューズ履いてるみたいな話です!



ひとしきりイベントを冷やかしてまわると試合開始時刻が近づいてきました。すると、試合開始に合わせるかのように国立上空には雨雲が。ふぅー、何というタイミングでしょう。お客様が国立の屋根の下に移動して試合観戦を始める段まで、雨が待ってくれたのです。「よーし屋根の下に来さえすればあとはどうでもいい」「濡れるのは選手だけだからどうでもいい!」「何ならめちゃめちゃ激しく降ってほしい!」などと観衆のテンションも大いに上がります。

ただ、町田の戦いはここからが本番です。台風という自然との第1ラウンドは乗り越えましたが、国立ではもうひとつの強敵が待ち構えています。この日の対戦相手・浦和レッズです。「客のイメージが悪いチームVSチームのイメージが悪いチーム」のイメージ悪ダービーとなったこの対戦、浦和側は妙に燃えていました。順位争いをするほど勝点は近くないのですが、SNSではこの日のチケットを求める声が当日まで盛んに飛び交い、「ぶっ潰してやる!」的な投稿も噴出しています。台風よりもヤベー対戦相手がやってきたのかもしれません!

↓アーティストがライブ中に「ウチらスタンディング文化だよね」とか言ったら炎上しそうですが、立って応援する意気込みの浦和!
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↓堂々とした台風みたいなバナーで圧力を掛ける!
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↓どっちのホームなんだかわからないような巨大な赤の集団!
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浦和側はスタンディングからの大声で猛烈な攻勢を仕掛けてきます。ゼルビアパーティーナイトなどと言って楽し気な音楽でフェス気分を盛り上げようとしようものなら、その音楽をかき消してやれと爆音の合唱を被せてきます。自分たちの選手紹介には大歓声を上げ、町田側の選手紹介には「人を選びながら」大ブーイングを放ってきます。特に標的に選ばれた町田の昌子源さん・藤尾翔太さん・黒田剛監督は、浦和側理屈で言えば「実力を評価されて大いにリスペクトされている」といったことになるのでしょうか。ここまでブーイングされると逆に気持ちいいかもしれないなとは思いましたよね。

ちなみにこのブーイング、ちゃんと人を選んでやっているというか、状況を見極めて何らかの浦和的理屈のもとでやってはいるようで、「町田側を盛り上げよう」とする動きには猛烈に対抗してきますが、ニュートラルなゲストの登場に関してはある程度の分別もある模様。キックインセレモニーで元乃木坂46の秋元真夏さんが登場したときには、それまで「ブウウウウウウウウ!」くらいだった声量が「ぶぅ」くらいになったのでカワイイなと思いました。ハーフタイムのショーでも「何ぃ!?ハーフタイムショーだとぉ?」とイキり立つポーズは見せつつも、アーティストさんが歌い始めたら静まりましたからね。伊達に長年ブーブーやってないなと思いました!

↓黒田監督へのブーイングは声が非常によく出ていました!
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↓キレイな女性の登場には闘志も緩むのかもしれませんね!ぶぅ!
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そしていよいよ始まった試合。雨はかなり強まり、上空では稲光も見えるなかでの試合ですが、押し気味に進めるのは「水属性」のチームとしておなじみの町田です(※PKの前にボール濡らしたり、タオルで拭くフリして拭かないでフェイントかけたり、相手チームのタオル係と揉めたり)。町田のワイドに構えたサイドが常に空き気味になっており、そこからの個を活かした突破で幾度もチャンスを作ります。前半20分には右サイドの突破からスルッと抜けてきたクロスを藤尾翔太さんが叩き、ゴールに迫る場面も。浦和側は爆音のブーイングで「効いてないぞ」アピールをしますが、惜しい場面が幾度も生まれ、かなり苦しい嚙み合わせとなっている印象です。

しかし、チャンスが多ければ勝てるわけでもないのがサッカー。浦和は前半37分の直接フリーキックの場面で、ゴール前を全部飛ばして大外フリーで待ち構える関根貴大さんのところまで送り、それを関根さんが見事にダイレクトで蹴り込みました。「策を弄するのはお前だけじゃないぞ」という感じのデザインプレーでもぎ取った先制点。前半は浦和の1点リードで折り返すことになりました。

↓見事な浦和の先制点!町田は完全にやられました!
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↓ハーフタイムは町田側の光の演出と浦和側の声の演出でお祭り騒ぎとなりました!
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迎えた後半。町田は怒涛の攻勢に出ます。まず後半開始早々の49分、左サイドからのクロスにオ・セフンさんがヘッドで合わせて同点に。その後も、雨あられと浦和ゴールに襲い掛かり、次々に惜しいシュートを放ちます。後半はひたすら町田の攻撃がつづくような展開です。決定的な場面だけでも3回、4回はあったでしょうか。いつ逆転弾が飛び出してもおかしくない、そんな雰囲気だったのですが……

↓後半42分、DFが瞬間的に棒立ちになったところを浦和のチアゴサンタナさんに決められた!


↓浦和サポーターも大喜びです!
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いやー、この勝ち越しの場面の雰囲気はすごかった。「WE ARE REDS」の大コールで国立の屋根が吹き飛ぶんじゃないかとさえ思いました。どっちが勝ってもどうでもいい立場で見ている僕ですらも、あれだけの大歓声を聴くと特別な気分になります。夏休みの国立開催で今日が初めてのJリーグなんて人も多いだろうことを思うと、「いいものを見た」と感じてもらえるナイスな場面だったのではないでしょうか。僕の近くにいたサラリーマン風の集団もスタメン発表の時点では「ダメだ、今の選手ひとりも知らねぇ」って言っていたのに最後は「レッズすげぇぇぇ!」って叫んでましたからね。

試合決着を察した場内。「町田お疲れ」「試合をできただけでもよかったよ」「遠いから公共交通機関が動いているうちに帰ったほうがいいかも」と、周辺ではポツポツと席を立つ人も見られます。それでも町田は懸命に同点を狙いますが、浦和GKの西川周作さんが好セーブを連発し、どうしてもゴールが奪えません。後半アディショナルタイム3分にはGKも相手陣内に上げての攻勢を掛けますが、逆に浦和のカウンターを喰らう場面も(※追加点を決められたかのように見えるも、別のところでファウルがあってノーゴールに)。幻の3点目が決まったときには僕も席を立とうと思ったのですが、ドラマは最後の最後に待っていました。

浦和の幻の3点目が取り消しになったあとの後半アディショナルタイム8分、表示のアディショナルタイムが7分台ですので、もうこれで終わり、もうこれで決着となるという最後のプレーでそれは起きます。GKからドーンと蹴り込んだボールをヘッドですらしてサイドにつなぐと、折り返しのクロスがポッカリと空いたゴール前に入り、それを町田のエリキさんが蹴り込みました。まさかまさかラストプレーでの同点弾!ちょっと浦和DFは、ボールが流れて外に出ると決めつけるのが早かったかもしれません。内容では9割方町田が勝っていた試合は、9割方浦和の勝利で終わるはずだったところから、最後は同点痛み分けとなり、ホントどっちが勝ってもどうでもいい立場からすると最高に面白いナイスゲームでした!

↓最後までどうなるかわからない、国立開催にふさわしい熱戦でした!



↓48887名の大観衆も大満足だったと思います!
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まぁ、お互いに「勝てた試合だったなー」とは思うんでしょうが!

お互いに「負けなくてよかったー」という試合でもあるので、引き分けなら御の字ですね!



いやー、サッカーのなかでも大変面白い、「当たり」の試合を引かせていただいてとてもいい観戦になりました。浦和の応援はすごいし、町田のイベントは豪華で楽しいし、試合もチャンスがたくさんあって得点もたくさんあって、しかも最後にドラマまでありました。お客の立場としては台風の影響も帰り道がちょっと雨が強かったくらいで特にありませんでしたし、大成功の国立開催だったかなと思います。また機会があればぜひ見られたらいいなと思います。今度はベースボールシャツを全員に配ってくれたら嬉しいですね!


「事前に抽選に応募して当選者に配布」はイメージできてませんでした!