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もっと面白い試合はDAZNでご覧ください!

「2026年になったら起こしてください…」と世間の薄っすらサッカーに関心がある人が眠りを決め込む2024年。サッカー日本代表はワールドカップアジア最終予選なる知られざる戦いを繰り広げていました。「え!?もう最終予選?」と飛び起きる声と、「まだ最終予選かよ!本大会まで起こすな!」と再び眠りにつく声が半々くらいに感じる世間の風。もはや「アウェー戦はDAZN独占配信である」ことにも慣れ、サッカー日本代表というコンテンツは「五輪とワールドカップで2年ごとに見れば十分」といった塩梅に落ち着いたのかもしれません。

まぁそれも当然のことでしょう。日本代表はワールドカップ7大会連続、男子については五輪8大会連続で本戦出場中の強豪です。すでに幾多の名勝負を世界の舞台で繰り広げており、出るのは当然、出てから何をするかだけが関心の的。前回大会では史上初めて日本代表がワールドカップ出場を決める瞬間が地上波で放映されたなかったことで話題となりましたが、もし今回同じことになったとしても、そこまでの話題にはならないような気もします。見たい人はアウェー戦もDAZNで見ているでしょうし、そうでもない人はそもそも2026年までドジャースを見ながら眠りについているでしょうから。

そんななかひっそりとアジア予選9連勝&無失点(※いつの間に?)で勝ち進んでいる我らが日本代表は、今予選最大の盛り上がりポイントを迎えていました。15日に行なわれたホーム・埼玉スタジアムでのオーストラリア戦です。まだ予選の行く末がハッキリ定まっていないなかでアジア予選屈指の強豪国とホームで戦うこの一戦。スタンドには「ピリピリできるのはここが最後」「ここを逃せば次はもう事実上決まってるかもしれんぞ」「確定するのだけアウェーになりそうだけど」と燃え上がる6万大観衆が集い、チケットはソールドアウト。埼玉スタジアムでの日本代表戦チケットが完売するのは実に6年ぶりのことだと言います。

その人気ぶりを表すように特定興行入場券転売サイト…じゃなくてチケットリセールサイトのコメント欄では「お値下げお願いします」「すでに定価を大幅に下回っておりますのでこれ以上のお値下げはできかねます」「もったいないので値下げお願いします」「このままだと売れなくなってしまうので値下げしてください」などの熱いやり取りが行なわれ、試合開始後にもなお「まだ購入可能でしょうか?値下げしてください」の声が寄せられていたほどです。うーん、熱い!世間は2026年まで眠っていようとも、現場は歴史的な森保ジャパンの強さによって熱く燃えているようですね!

↓多くの人が「見るべきはここだな」と見定めたような人気集中ぶり!


↓その期待を背負うに足る頼もしい日本代表の顔ぶれ!



19時40分頃キックオフの試合を19時から中継するなど気合いの入ったテレビ朝日・地上波中継。世界の大舞台で活躍した内田篤人解説者に対してスタジオゲストの槙野智章さんがちょこちょこ「ウッチー」と呼び掛けていたのは若干イラッとする感じもなくはありませんでしたが、川平慈英さんや矢部浩之さんなども集う豪華布陣でこの一戦を盛り上げてくれています。画面右上には「三笘・久保ら最強森保ジャパン集結」の字幕が誇らしげに踊り、国民的行事といった雰囲気さえも。このお祭りを前にしては2026年まで寝ているのは勿体ないというものです。

そして迎えたキックオフ。日本はおなじみの3-4-3の布陣で攻撃的なスタンスを貫く構え。一方オーストラリアは日本に対して強いリスペクトを抱いているのか、ほぼ5-4-1の形でブロックを組んで守勢にまわってきました。しっかり耐えて0-0引き分けもしくは1点取って勝てたらラッキー、そんな狙いでしょうか。相手方の監督が元J1広島で活躍したトニー・ポポヴィッチさんであるというところもあるのかもしれません。最強・森保ジャパンへの畏怖、十分に伝わってきます。

日本は個人の高いスキルで巧みにボールと陣形を操り、ほぼ一方的に攻め立てます。ワンサイドゲームと言ってもいいほどの押し込み具合です。かつてはこういう展開からもロングボールと体格で押し返されたものですが、そんなやられ方も今は昔。日本の3バックはオーストラリアの選手にも決して押し負けることはなく、特にDFリーダーとなる板倉滉さんの出来は出色でした。相手の攻撃陣にまったく仕事をさせない完封ぶりで、J1町田で活躍するミッチェル・デュークさんあたりも「誹謗中傷の裁判には勝てると思うが、今日の日本代表に勝つのは難しい…」と感じたことでしょう。

様相としては「1点取れば日本の勝ち」という感じの試合ですが、そこはさすがのオーストラリア、中央では身体を張って日本の攻撃陣を封殺し、日本の攻撃をサイドからの個人突破に限定してきます。もちろん日本は左に三笘薫さん、右に久保建英さんを置いて相手守備を切り裂いてみせますが、最後のパス、最後のシュートの部分が決め切れず。前半6分に久保さんがエリア内で放ったシュートも、前半15分にCKからのデザインプレーで放った堂安律さんのシュートも、前半34分の三笘さんのドリブルからのシュートもいずれも惜しくも決まらず得点を奪えません。そうこうするうちに前半は終了し、今予選で初めて前半でリードを奪うことができませんでした(※没収試合となったアウェー北朝鮮戦は考慮せず)。これにはDAZN加入者も「DAZNではすっごい強いんだけどなー?」と少し首を傾げたかもしれませんね。DAZNでは強いんですけどね!

↓ここでズバッと決められればよかったですが、惜しかった!


↓中継でもこんな感じで難しい顔をしている長谷部誠コーチが映りました!

2030年の予選ではここにあと何人か加わって長谷部ジャパンやってそう!

それはそれで楽しみです!



迎えた後半、日本はメンバーチェンジはなく前半と同じ布陣ですが、攻撃のときにはボランチがサイドバックの位置まで広がり、4バックのような形での組み立ても見せてきます。相手の守備ブロックの弱みを的確に突いていく采配です。後半12分には南野拓実さんの惜しいヘッドなどもあり、引きつづき主導権は日本のもの…だったのですが。

そこに颯爽とヨシダが舞い降りたのは後半13分。まったく危なげなく試合を進めているなか、相手が右サイドから入れた何気ないクロスをセーフティーにゴールキックにでもしようとしたのか、谷口彰悟さんが自軍ゴールに蹴り込んでしまいました。おぉこれぞ日本伝統の、安定した守備と予想不能なオウンゴールを共存させる劇場型の守備スタイル。吉田麻也さんが代表を去って以来「面白い負けがないのぉ」と嘆いていた一部好事家もこれには「ヨシダの後継者が現れたぞ」と大喜びです。久々のビハインドで大観衆も盛り上がってまいりました。

↓特に慌てる必要のないときに唐突に蹴り込むのが日本流!


日本はこのピンチを前に、晴れて日本代表に戻ってきた伊東純也さんをすかさず投入すると、鎌田大地さん、中村敬斗さんを矢継ぎ早に送り出します。中継席からはファン代表・松木安太郎さんの「オォイ!」の声も元気に聴こえるようになってきました。ひとつの攻撃、ひとつのプレーに対する歓声も一層増していくようです。やはりこのピンチ、この危機感があってこそのサッカーです。ラクに勝てそうな試合ではないからこそ燃えるというもの。

そこからの日本の猛攻は熱かった。キレイな崩しには至らないものの、猛然とオーストラリアゴールに迫りました。積極的に左サイドに流れてくる伊東さんと、それを機にポジションとマークをずらして仕掛けを狙う攻撃陣。果敢にシュートを狙うボランチ。縦横無尽に日本が攻撃を展開します。

そして、ついに後半31分には左サイドを切り裂いた中村さんからの鋭いクロスが、相手DFに当たってゴールに入る「オウンゴール返し」を呼び込みました。相手のはコッチがやってしまったオウンゴールですが、日本のは相手を追い詰めて蹴り込ませたというチカラでもぎ取ったオウンゴール。今予選で初めてのピンチもアッサリ跳ねのけるあたりはさすが最強・森保ジャパンです。もうちょっと熱いピンチを楽しみたかったですが、リードされたままでいるのも難しいものですね!

↓三笘さんのスクリーンも効いていました!




結局、残り時間も日本が攻め立てる一方のまま、スコアだけが動かず試合は引き分けに。得点こそ1-1ですが、シュート数で言えば「10-1」の圧倒ぶりで、日本はアジア予選無敗記録を継続しました。各国4試合を終えて日本は3勝1分の勝点10。3位チームに早くも勝点5の差をつけ、グループ2位までが得るワールドカップ出場権は半ば手中と言ってもいいでしょう。ここから毎試合2ヨシダが降臨でもしない限り、2026年まで寝ていても特に問題ない…それぐらいの日本の強さでした。

惜しむらくは、DAZNでやっているほうの試合はもっと熱くてもっと面白かったことくらい。まぁ今の日本代表の強さだとやりやすいホーム戦ではなく、数万人の相手方応援団に囲まれる「敵地」での試合でもないと、危機感とか熱さとかが出てこないのは致し方ないかもしれません。レーザーポインターなどの野蛮攻撃は論外ですが、それぐらい剥き出しのアウェー感があったほうが面白いなとは率直に思います。テレビ朝日の報道ステーションさんも試合後の速報で「森保ジャパン 最終予選初黒星」という字幕をドカーンと出して顰蹙を買っていましたが、「ちょっと負けてくれたほうが面白いのになぁ」という素直な願望でもあったのではないでしょうか。

そういう意味では、危機感や熱さを堪能できる面白い試合はDAZNでやっているアウェー戦のほうなのかもしれません。であるならば「いい試合のほうが有料」なのはむしろ健全な環境と言えるでしょう。熱い試合は有料配信で、和やかな試合は無料の地上波で。そういうことなら渋々納得するしかないすみ分けだなと思いましたよね。いいものはお金がかかる、それは世の真理なのです!

↓「DAZN独占だけど代表戦だけタダで視聴可」ってのも手ですけどね!

2026年まで寝てる勢の皆さん!

予選敗退の危機になったら起こしますね!

たぶん、そんな展開はナイと思いますが!


あとの注目は3月のホーム2連戦で予選突破を決められるかどうか、です!