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巨人さんに不名誉バトンを渡せてよかったです!

いよいよ今年の日本プロ野球もドン詰まりに差し掛かってきました。21日にはセ・リーグのクライマックスシリーズが決着し、シーズン3位から勝ち上がってきた横浜DeNAベイスターズがセ・リーグ覇者の巨人を下して、日本シリーズ進出を決めました。

近年の研鑽目覚ましいプロ野球界においては、短期決戦だろうが何だろうが強いチームが強さをしっかり発揮して勝ち切ることが当たり前となっており、シーズン覇者は「当然のごとく」「ラクラクと」「圧倒的に」日本シリーズへ勝ち進むのが通例でした。2020年はパ・リーグでソフトバンクが全勝で勝ち上がり(※セはCSなし)、2021年はセ・パともに無敗での勝ち上がり、2022年・2023年はオリックスがそれぞれ1敗したのみ、2024年もパ・リーグではソフトバンクが全勝での勝ち上がりを決めてきました。

今年のパ・リーグCSなどは2位の日本ハムが劇的な逆転劇でファーストステージを勝ち上がりつつ、エースの伊藤大海さんをファイナルステージに温存しておりましたので「あるいは波乱も」と思ったものですが、それでも優勝チームのチカラは圧倒的でした。走攻守すべてでソフトバンクが上回る、グウの音も出ない決着でした。シーズン1位はCSでも当然負けない、もはやそれがスタンダードになっていると思います。

そんななか2018年・2019年の埼玉西武ライオンズ以来となる「リーグ戦1位からCSで敗退」をやらかした巨人さんに西武からかける言葉があるとすれば、「弱かった」の一言に尽きます。いろいろ後悔したり、采配を議論したり、たらればが心に浮かんだり、「シーズン1位が進出しない日本シリーズとは?」的な愚痴も出るでしょうが、真に強いチームとはそういう次元にはいない、その紛れを吹き飛ばすところまで高まったチームなのだろうと思うのです。逆説的に言えば、CSで負けるようであれば、所詮はそこまでのチームなのです。要するに「弱かった」のです。

それを心から認めることができたなら、「逆に優勝できてよかったな」と前向きな気持ちもわいてくるはず。CSで負けちゃう程度のチカラしかないチームが、もう一回シーズンをやり直したらどうなるかわからないような運否天賦の競り合い(※広島もきっとそう思っている/広島はもう一回やったら普通にずっと4位な気もするが)を「たまたま1位でフィニッシュできてよかった」と思える日がいつかきっと来ます。

僕も2018年・2019年の埼玉西武ライオンズを振り返ってみてそう思います。あの年、たまたま1位でフィニッシュしておいたことで、あの年は総じてイイ年だった気がするのです。「2位で終わって普通にCSで負けた」であれば数あるシーズンのひとつでしかない年が、たまたま1位でフィニッシュできたことで晴れがましい記憶となったのですから。もちろんCS敗退直後はイヤーな気分でしたが、それはすぐに忘れます。今の不愉快を忘れて、「逆によかった」と思える日が早く訪れるよう、不名誉バトンを渡した者として祈っております。次に同じようなチームが出たときはもうウチは引き合いに出されないし、「リーグ戦1位からCSで敗退した最後のチーム」として歴史に名を遺すことも当面なくなったので、僕もやっと肩の荷が下りた気分です!(※不幸の手紙をポストに投函したときのような)

↓横浜の皆さん、日本シリーズ進出おめでとうございます!


レジェンド監督がチームを率い!

球団の魂と言えるような大事な選手がメジャーから凱旋し!

日本シリーズに臨めるという幸せ!

心から羨ましいです!



たまたま同じ日にはアメリカのメジャーリーグでもロサンゼルス・ドジャースがリーグ優勝を決めて、ワールドシリーズへの進出を果たしていました。ドジャースと言えば毎年地区優勝するような強豪・伝統球団というイメージですが、そのドジャースでもワールドシリーズに進出するのは4年ぶりのこと。そして、過去10年で9度地区優勝して、3度リーグ優勝したドジャースでも、ワールドシリーズ制覇はそのうち1回に留まるわけですから、それぐらい勝つというのは難しいことなのだと思います。

今季は大谷翔平さんを始めとした大型補強に乗り出し、自慢の「MVPトリオ」も構築されましたが、それでも故障者は続出でしたし、先発陣は手薄でしたし、このポストシーズンもブルペンデーなどを交えながら何とかかんとか打ち勝ってきた格好です。負ければ終わり、という局面も実際にありました。リーグ優勝シリーズのMVPとなったエドマンさんなどは7月末のトレードでやって来たシーズン中の補強選手でした。あれだけの戦力を整え、順調に勝っていたなかでもなお貪欲に補強を怠らなかったからこそ、ドジャースはリーグ優勝シリーズを勝ち抜けた、そう思います。あの強いドジャースでもそうなのですから、どれだけやっても足りるということはナイのです。

これも逆説的な話になりますが、大型補強などを敢行すると金満球団と呼ばれたり、強奪と揶揄されたり、その強さを批判的に見られることもありますが、「どれだけやっても足りない」と思うチームだからこそ強いのだろうと思います。チームとして戦力は十分足りていると思う状況でも、誰かが怪我するかも、誰かが不調になるかも、と思って二の矢・三の矢をつがえておけるようなチームだからこそ、やり直しのきかない一発勝負にも勝ち抜けるのです。

そもそも、目の前に優れた選手がいて、その選手が移籍を検討していて、ほかの球団に行くかもしれないときに、金だろうが環境だろうがなりふり構わず整えられる球団でなくて、どうして強くいつづけられるでしょう。ライバルが強くなる(あるいは弱くなる)かもしれない出来事を前に「金部分」「環境部分」で全力を尽くせない球団にあって、選手とスタッフが練習とか采配とか育成とかの「野球部分だけ」頑張っても十分なはずがありません。打者走者が毎回全力疾走しても年にセーフが増えるのは1回とか2回くらいでしょうが、首脳陣が争奪戦で1勝すればそれだけでチームの勝利はいくつも増えるのです。金満の悪口のひとつも言われない球団が強くありつづけられるはずがないのです。「札束ビンタ、環境ビンタ、野球ビンタ」の3本勝負、くらいに思っていないと。

↓実際に押し進めた大型補強と「それぐらいやる気があるぞ」と見せつけた姿勢、ドジャースは首脳陣も強かった!


「大谷争奪戦」に勝ったことで何勝増えたことか!

今季の真のMVPは首脳陣だと思います!



強いチームのどこまでも強くあろうとする姿勢を見ていると、なるほど現在の埼玉西武ライオンズがこのような状況であることも致し方ないなと思えてきます。2018年・2019年にたまたま優勝したとき、確かに負けて悔しい、次は勝ちたいと思っていましたが、それはあくまで野球部分で「次は頑張ろう」という意識でした。しかし、たまたま優勝したからこそ、野球部分に強みがあったからこそ、ほかの部分の弱みをカバーできる千載一遇のチャンスと自覚して、優勝した強いチームであるという金看板を引っ提げて「優勝したければウチだよ」と戦力拡大に打って出なければいけなかったのだと。あの頃で言えばFA市場に出ていた西勇輝さん、丸佳浩さん、福田秀平さん、鈴木大地さん、美馬学さんあたりを全部獲りに行くくらいの野球部分以外の勝負ができるようでなければいけなかったんだなと思います(※福田さんにフラれてションボリして終わり)。あのチャンスを活かすこともせずに、普通に札束ビンタ・環境ビンタで負けるぶんの戦力漸減を放置していれば、それはこうなるというもの。そして、今となってはもう「ウチに来てよ」と誘っても、ほかに誘いがあればわざわざ暗黒球団には来ないのです。

ですので、冒頭の巨人さんへのお悔やみに戻りますが、ここからが巨人さんらしい勝負の時間かなと思います。阿部監督のもと新たな黄金時代を築くための大補強、その準備が整ったのが今なのかなと思います。今の巨人さんから「来年一緒に優勝しよう」「日本一になろう」「阿部監督のもとでV9、いやV10だ」と誘われたら選手も「そうかも」と思うでしょうし、球団内向きの意味でも悔しさと希望が共存する今だからこそ大きな金や環境の捻出について「必要だな」と思わせられるでしょう。今年の日本シリーズはソフトバンクがエグイほどの強さで勝つんだろうと思いますが、来年はそれを打ち破れるような存在として大巨人に帰ってきてほしいなと思います。ドジャースとヤンキースのワールドシリーズみたいな頂上決戦を日本でやろうと思ったら、巨人さんに頑張ってもらわないと始まりませんからね!

↓球界の盟主同士による真の頂上決戦!これは文字通りのワールドシリーズ!

WBCでVSトラウト戦をやって勝ち!

ワールドシリーズでVSジャッジ戦をやって勝つ!

この先のボスはもう「宇宙から来た邪悪な野球大王」くらいしかいないかもですね!



今年は日本でも日本シリーズじゃなくワールドシリーズ見る気がしました!