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2025年も埼玉西武ライオンズに熱いご声援をありがとうございました!

今年もやってまいりました、他人の運命をクジでもてあそぶ日、プロ野球ドラフト会議の日が。この日は我が埼玉西武ライオンズにとっても、まさに球団の命運をかけた一日です。屋根に隙間があいた球場で底に穴があいた組織を運営する西武は、穴からどんどん抜けていく選手を常に補充しつづける必要があります(※ありったけの血液をください状態)。これまでは何とかスープの継ぎ足しが間に合ってきましたが、ついにその寸胴は空になり、カラカラの豚骨だけが剥き出しになりました。選手がいない。とことんいない。ドラフトガチャ、現役ドラフトガチャ、外人ガチャ、全部当ててもまだ足りない。そのなかでも球界の至宝が間違って取れるとすればこのドラフト会議のみ。とにかく絶対にスカは許されない一日です。

今年は学生年代から侍ジャパンに加わる逸材もいるなど、大豊作との前評判。コロナ禍の影響もあって甲子園で国民的に名前を知られるようなスター性のある選手は乏しいものの、必ずこのなかに球界の至宝がいる、そういう年になりました。特に注目を集める20年にひとりの遊撃手・宗山塁さん(明大)、即戦力大型左腕・金丸夢斗さん(関西大)はどこの球団からメジャーを目指すのか。どうせメジャーに行くのならふたりとも西武に腰掛けで来てくれないか。そんなことを思いながら例年以上の真剣味で僕もクジの行く末を見守ります。

会場に入場してきた12球団の面々。我が西武は西口文也新監督を筆頭に、いっちょ前のプロ野球団みたいな雰囲気で威風堂々の入場です。その後もやたら楽しそうな中日・井上一樹新監督、コンサルみたいなオリックス・岸田護新監督とクジ運未知数の新勢力がつづき、「弱いうえに運もない球団はどこなのか」と早くも火花散らす睨み合いです。その後も、あの歴史的大失速でも続投が決まっちゃった広島・新井監督、アヤしい手品師みたいな風貌の日ハム・新庄監督、抽選箱に手を突っ込むときは火の玉ストレート(※ガサゴソしないの意)でいってほしい阪神・藤川新監督と一癖ありそうな顔ぶれがつづき、グッとクジへの気持ちも高まってきます。

↓この風貌の人なら空中から当たりクジを出せても不思議はない!


注目の1巡目。最弱ポジションから優先指名をさせていただく西武は、最多競合が見込まれる宗山塁さんを指名。西武比で言えば「比較的埋まっている」ショートの選手ではありますが、ひとつやふたつ穴を埋めたところでどうにもならないという達観のもと、補強ポイント云々ではなく一番の選手を取りにいったでしょうか。「そこ、近々FAで空く予定なんだよ」という裏事情さえなければファンも納得の指名。我々の勝負は来年ではなく5年後くらいなのですから。

中日は大型左腕・金丸夢斗さん、オリックスは強打の外野手・西川史礁さん、ヤクルトは学生侍・中村優斗さんをそれぞれ指名。その後、楽天・広島・日ハム・ソフトバンクは宗山さんで競合、ロッテは西川さんで競合、DeNA・巨人は金丸さんで競合と、1巡目では11球団がクジに臨む格好となりました。一本釣りで高みの見物となったヤクルトが見守るなか、まずは我が西武も含めての宗山さんのクジ引きが行なわれることに。

西口新監督は箱のなかに絶対に当たりがある1番手でのクジ引きです。ほかは関係なく、剛運さえあれば必ず当てられる順番です。「休養前にせめてクジだけでも当ててってくれ…」と昨年の松井前監督につづく即戦力大物新人獲得を祈る西武界隈ですが、西口新監督が封筒をモタモタとまさぐっている間にすぐ隣にいた楽天がお先にガッツポーズ。あぁ、早くも来年の即時反撃の目は消えたか。即戦力大物新人の獲得を逃し、「ウチは炊かないと食べられないコメではなく、すぐに食べられるパンが欲しかったのだが…」と心は早くも2026年へと飛んでいくよう。ま、気長に頑張るしかありませんね。

↓「外れた〜!」を味わうこともできず「ヨソが当てた〜!」を見る結果に!


つづく金丸さんのクジではDeNAファンが勢いに乗った声援を送るなか、中日・DeNA・阪神・巨人によるセ界争奪戦が行なわれます。そのなかで脱臼するほどのガッツポーズを繰り出したのは中日・井上新監督。金丸さん本人が「中日か」というポーカーフェイスで見守るなか、セの他球団も「ま、中日なら」「中日がちょっと強くなるぶんには別にいいか」「大勢に影響なし」とポーカーフェイスの微笑み返し。井上監督は仮に就任1年半で休養となったとしても、この大仕事と「席に戻ったあとイテーって肩を抑えてる場面」の面白思い出があれば許されるかもしれませんね!

そして西川さんを巡る第3のクジ引きでは、オリックスとロッテがCS争いさながらのバチバチの戦いに。クジこそ外したものの、岸田新監督のサッと開けてサッと見てジッと待つ姿は「仕事ができるな」という予感に満ちあふれていました。封筒ごときでモタモタしていてはコンサルはつとまらない、とでも言わんばかりの手際のよさで「来年のオリックスは怖いな」と感じましたよね。ま、西武から見るとソフトバンクも日ハムもロッテも楽天もオリックスも全部プロの怖さを感じる球団なんですが。

↓井上新監督、中日の故障者第1号!一生使えるネタが残って幸先よし!


↓2015年ヤクルト真中監督(当時)の「ハズレくじでガッツポ」以来のネタになりました!

井上監督!来年はハズレくじでガッツポして脱臼してください!

骨折でもいいです!



さて、競合つづきでまだ8球団の1位が決まらないという仕切り直しの2度目の指名へ。西武は高校生大型遊撃手・石塚裕惺さんを指名。これが巨人との競合となり、西武は2度目のクジ引きとなりました。他球団では日ハムとソフトバンクが西武ファンの祖父を持つ柴田獅子さんで競合となり、そのほかオリックス・麦谷祐介さん、広島佐々木泰さん、DeNA・竹田祐さん、阪神・伊原陵人さんはそれぞれ交渉権獲得となりました。

再びクジに臨んだ西口監督は、今回も必ず当たりが残っている先手番でのクジ引きでしたが、右手でガッチリとハズレくじをつかんで帰ってきました。先ほどは左手でハズレくじをつかんでいましたので「左手、やっぱりお前はクビだ!」「頼むぞ俺の右手!」ということなのでしょうが、どっちで引いてもハズレということがわかり、来年は左足を試す流れとなりそうです(※本人的には現役当時に右腕の運は使い過ぎたとのこと)。その後、柴田さんのクジでは先に引いた新庄監督がCSの悔しさを晴らす大勝利でソフバンに一矢報いることに成功。どういう新庄的理屈かはわかりませんが、これによって来季の続投も正式に発表となり、パ・リーグにとっても楽しい未来がつづくことになりそうです。

↓チームが強くなってクジも強いなんて、最高じゃないですか!


さて、ハンデでももらえるのかと思って来たのにハズレクジを2回つかまされた西武ですが、気落ちしているわけにもいきません。3度目の1位指名では、一貫して野手にこだわるスタンスで金沢高の齋藤大翔さんを指名した西武。競合相手のソフトバンクもそろそろ今宮健太さんの後継探しの時期ということで、野手を上位指名するにしても「先に内野手から」という戦略的な指名だったでしょうか。ソフトバンクは速球派右腕・村上泰斗さんを指名したことで3度目のクジ引きは回避され、12球団の1位指名がこれで決まりました。

西武はその後、1番手で指名ができる2位指名において1位指名の前評判もあった大型外野手・渡部聖弥さんを指名。侍ジャパンにも選出された長距離砲は西武の補強ポイント(※ホームランを打てる野手ならどのポジションでもいい)にも合致しており、さらに何と言ってもその体格が素晴らしい。177センチと上背はそこまででもありませんが88キロの太くてたくましい肉体は、西武伝統の「大型大砲」の予感がタップリ。近年は「単なる大型人間」も量産しておりますが、そろそろドーンと大きな一発を期待したいもの。これで西武は有望な野手を上位で2人、実質「1位が2人」と言えるドラフトとなり、まずは一安心。一日でも早くレギュラーを獲得して、西武ドームと西武打線の隙間を埋めてくれるよう期待したいものです。

↓「開幕スタメン」は目標として物足りないので「開幕4番&全試合スタメン&新人王」を目指してください!


↓西武の試合は見たことないそうですが、我々としては問題ありません!

しっかり見ると来たくなくなるかもしれないですからね!

ほかと比較しなければいい球団ですよ!



その後、西武は豊富な登録枠を活用して12球団で最多となる7巡目まで指名を敢行。大卒以上の野手を3人、高校生野手を2人と、埋めても埋めても足りない野手中心に指名を行ないつつ、高校生投手も2人指名するなど、現状を鑑みつつ将来も見据えた指名となりました。そして育成指名においても、球界の盟主・ソフトバンクさんの「育成13巡」という「いい宝石を探すにはまず原石を大量に集めるしかない」という姿勢には及ばないものの、全体2番手となる7巡目までの大量指名を行ない、種もみを大量にバラまきました。ひとりでもふたりでも、このなかからレギュラーが育ってほしい。そして、2030年ぐらいを目安にCS進出を果たしてほしい。まずは指名おめでとうございます!ともに頑張っていきましょう!

ただ、すべての指名を終えて僕には非常に大きな不満があります。それは各方面の注目を集めていた清原正吾さん(慶大)を西武が指名しなかったことです。諸事情あって中高では野球から離れていたということもあり、素人目に見ても技術はまだまだ成長途上という印象ですし、大学リーグでの成績もそこまで目立ったものではありません。4年生になってようやく「キラッ」と光を放ったかな?くらいの原石あるいは岩石です。支配下登録されるとは思っていませんでしたし、育成でも上位指名はないだろうと理解はしていました。

ただ、それにしてもです。今西武に何が足りないのかと言えば、夢と希望です。球場を建て替える見込みもなく、沿線が発展する見込みもなく、しばらくは暗黒期がつづき、薄暗い球場で相手の優勝を見守る日々がつづくなかで、どういうエンターテインメントを見せていくのか、球団には真剣に考えてもらいたかった。岩石、大いに結構じゃないですか。むしろ岩石であることが我々の補強ポイントだったはずです。すぐに結果が出ないことは誰の目にも明らかだけれども、もしかしたら大きな夢と希望が眠っているかもしれない可能性こそが必要だったのに、どうしてそれをファンに与えてくれないのか。

ほかの誰でもない「清原の息子」がプロを志望しているのに、指名さえすればライオンズブルーのユニフォームを着せることができる…まぁ向こうから拒否されるかもしれないですが少なくとも交渉はできるのに、どうしてその物語を始めようとしなかったのか。成功しそうなキャリアがないぶん、成功しないだろうと見切ることもできない「未知」が指名を待っていたはずなのです。その未知が仮に花開かなかったとしても、西武には「清原」という大きな夢が生まれたはずでした。もしも入団していれば、僕はユニフォームを買いましたとも。何番を背負おうがそれは無視して、自分で「3」をアイロンプリントして。長い暗黒期がつづいたとしても、未知を見守ることで、前向きに日々を過ごしていけたでしょうに。つまらん。面白くない。それが「プロ」球団なのか。ビジネスとしてもエンターテインメントとしても、「清原の息子」を育成枠の年俸で雇えるのなら、十二分にお釣りがくるでしょうよ。

まぁ、本人のことを考えるなら「西武の育成で3年過ごす」よりも独立リーグや社会人で地力を高め、出遅れぶんを挽回してから真のドラフトに臨んだほうがプラスかもしれませんし、普通に就職したほうがハッピーなのかもしれませんが、「プロで鍛えたほうが絶対に伸びる」「これが君の夢への近道だ」「一緒に夢をつかもう」と手を差し伸べられないのだとしたら、それはそれで情けないというか何と言うか…。このぶんだときっと、目の前に2012年の大谷翔平さんがいても指名しないんだろうなぁ、と思いますよね。西武の指名自体については100点のドラフトでしたが、「つまらん」を加味すると0点のドラフトだったなと思います。現実ではなく夢を見るためにお客は野球場に行くのだということを理解し、「向こう3年勝てないなかでどんな夢を見せられるんだろう?」と考えながら球団運営に臨んでほしかったものだなと思います。ガッカリしました!

↓チカラをつけて巨人に入ろう!西武のことはもう気にしなくてよいです!

ウチは心理的優先権を放棄しました!

来年以降は、どの球団様も西武のことは気にせず、いきたいと思ったらいってください!



さて、今年もドラフトが終わりましたが、かつてのようなドキドキ感や緊迫感というものが薄れ、「ふーん」くらいの話になってきている感じは否めません。まず、移籍制度の変革などによって、実力ある選手にとっては拘束期間が多少あるなぁというだけで、昭和の頃のような「運命」が決まる日とはそもそも言えなくなっているという点があります。「一度クジで決まったら一生幽閉」くらいの人権無視な制度であるからこそ運命を感じもするわけで、最終的には自由に希望球団に行けるのであれば、ちょっと早いか遅いかという程度の話でしかありません。

そして、もうひとつが「本当の戦いはメジャーリーグからだ」という見る側の意識の変化もあるだろうと思います。今日本をもっとも熱くする野球選手は大谷翔平さんであり、もっともその勝敗が注目される球団はロサンゼルス・ドジャースです。大谷さんを除いたとしても、日本のもっとも優れた選手たちを見ることができるリーグはメジャーリーグです。推しの球団があるような日本の野球に魂を囚われた者たち以外は、「どんだけすごい若者か知らんが、メジャーに行ったら教えてくれるか」くらいの気持ちになりつつあるのが現在でしょう。サッカーと同様に「海外に行って活躍するのがエンタメとしてのスタートライン」となる未来が野球にも迫っている、そのように感じます。

ひと昔前はTBSが夜まで特番を組んで「ドラフト緊急生特番!お母さんありがとう」などと感動ドキュメンタリーをゴールデンタイムをぶち抜いて放送していたものですが、今はそれもドラフト会議中継内の1コーナーとなり、時間もジワジワ短縮されてきました。もともとそうではあったけれど、ついに広く一般層においても「ドラフトにかかったところで、そこはまだスタートラインですらない」という理解が広まってきたことが、その段階で泣いたり笑ったりすることから心を遠ざけているのではないか、そう思うのです。

かねがね「ドラフトの答えは5年後」と思ってきましたが、もはや答えというか、ドラフトの5年後にスタートラインが来る、くらいの感覚かもしれません。埼玉西武ライオンズに入団することがゴールではなく、埼玉西武ライオンズから脱出することがスタートラインなのだ…そのぐらいの気持ちで若者たちもファンもこの日を過ごしていくのがいいのかなと思います。このドラフトで入る場所には存在しない大谷翔平さんという大きな目標を見据え、さらに大きな舞台に羽ばたいていく野心を胸に頑張ってもらいたいもの。その道のりのなかで、我が西武もついでに一緒にCSに出られたら嬉しいなと思います!

↓2030年ぐらいのCS進出を目指して、ともに頑張りましょう!



2030年までこのなかの何人が残っているのかという話もありますが!