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2024年10月30日08:00
ドジャースのあとは日本シリーズ見なきゃ!
世界の野球がクライマックスを迎えている今週。午前中はドジャースのワールドシリーズを見守り、夕方からドジャースのワールドシリーズの再放送を見守り、ドジャースが終わったら日本シリーズの行く末を見守るという日々は野球民にとっては大変贅沢な時間です。
29日はドジャースがシリーズ3連勝で世界一に王手をかけると同時に、日本では横浜DeNAベイスターズが絶対王者・福岡ソフトバンクホークスに一矢報いたことで、「ドジャースとソフトバンクがともに4連勝で同日優勝」という事態は回避できました。せっかくなら日付をズラして楽しみたい…僕の祈りが届いた気分です。
この10年でソフトバンクの日本一を阻んだのは「ドジャースで世界一になる大谷翔平さん擁する日ハム」と「ドジャースで世界一になる山本由伸さん擁するオリックス」だけだったということから、世界一の選手でもいなければようようソフトバンクには勝てないというのが僕の認識ですので、スコーンと4連勝で決まらなかったことは少しの驚きと来週末へ向けての大きな期待が広がってくる、大変よい結果でした。
日本シリーズ第3戦、その好結果を生み出してくれたのはDeNAの東克樹さんでした。東さんは敵地での大事な先発マウンドを託されると、ソフトバンク村上打撃コーチによる「宮城の方が断然いい」という本音評論を吹き飛ばすように7回1失点の好投。ソフトバンクに勝つには、とにかくリードをさせず勝ちパを使わせないという展開が前提となるだろうと思っていましたので、期待に1000%応えるナイスピッチでした。
↓村上コーチも「今日のウチの打線じゃ宮城にはノーノー喰らってましたわダハハ」くらい言うといいかもですね!
【#村上打撃コーチ】
— スポニチ鷹番(ソフトバンク担当) (@SponichiHawks) October 29, 2024
ー #DeNA の先発 #東克樹 投手について。
「パ・リーグにもそんなにいないかもしれないけど、宮城の方が断然いい。小島、加藤貴とかのチェンジアップの見極めの対応になっていく。我慢するところは我慢させながらになる」#sbhawks #宮城大弥 #小島和哉 #加藤貴之
打てるとは言ってませんからね!
今言うのが間抜けかどうかはさておき、僕も評論自体はその通りだと思います!
そんな東さんはこの試合中ひとつの議論飛び交う出来事に立ち会っていました。横浜が2点リードで迎えた6回裏ソフトバンクの攻撃中、一死一塁という状況でのソフトバンク・今宮さんの打席途中に、投球を一時中断したのです。バックネット裏スタンド席あたりを指差し、その後1球を投じたあと審判のもとに歩み寄って言葉を交わすと、それを受けた審判の指示によって「お客様にお願いいたします。試合進行の妨げとなりますような行為はご遠慮いただきますようご協力をお願いいたします」という場内アナウンスが流されたのです。
その直後、NHKの中継席では実況・解説が「何があったかはわかりませんが…」「東が何か言ったんですかね…」「どういう妨害があるのかはこっからではちょっとわかんないんですが…」と事態を把握できずにいるような会話をしていました。その後、スローVTRなどを見ると東さんが厳しい顔つきで口に指の輪をもっていくような動きが見られ、ショートでは森敬斗さんが左右の手の指を2本ずつ咥えるような動きを見せています。どうやら東さんは指笛を気にしているようです。確かに先ほどスタンドを指差した場面では、かなり長くて大きな(ある意味で上手な)指笛の音が中継でも長く拾われていました。
ただ実況席の反応と同様に、一度目のアナウンスではそのあたりはハッキリ伝わらなかったようで、東さんは試合再開後も投球を行なわず、審判は改めて場内アナウンスを要請しました。今度は具体的に対象を示すように「お客様にお願いいたします。投手が投げる間際の口笛などはご遠慮いただきますようお願いいたします」と言い直されました。この件自体はこれで一応の決着を見まして、その後の熱投によって東さんはピンチを脱したのでした。
↓二度の注意喚起が行なわれた場内!
↓わざと妨害したかどうかはさておき、すごくよく聞こえる指笛だったなとは思います!
DeNA・東克樹 6回観客席の“指笛妨害”に「わざと吹く感じだった。僕たちは人生をかけてやっている」https://t.co/NrNoJt9NEi
— スポーツニッポン新聞社(スポニチ)【公式】 (@sponichiannex) October 29, 2024
この件については、もう少し意見交換があってもいいように思います。まず大前提として僕の個人的な立場を申し上げると、僕は基本的に「大半の物音」や「大半の応援行為」は耳障りで目障りであると思っています。ずっと歌いつづけられる知らない応援歌や、何故か一番安い席が応援行為用に占有されている理不尽、安い席でいがみ合う観衆同士の揉め事、視界を遮るように振られる小旗などなど「なくていい」と思っていることがたくさんあります。観衆が自然に試合を楽しみ、どの位置・どの席からもそれぞれの歓声と拍手だけがあれば十二分であると思います。
それに加えて他人の存在自体をそもそも目障り・耳障りと感じており、特に目の前にアフロなどが来たときには「金返せ」くらいの気持ちを抱きます。コロナ禍の際の5000人くらいしか入場できない野球場は大変快適でしたし、極端な話「僕以外無観客」でもいいと思うくらいです。にぎやかなのも嫌いではありませんが、僕はおひとり様でも何ひとつ変わらず試合を楽しむことができますし、目の前にアフロが来る懸念(アフロリスク)を完全に排除できるなら今すぐ「僕以外無観客」になってほしいくらい。僕がひとりで球団を養える王族であったなら、きっと「ウチの試合の観客は僕だけ」という球団運営をしていたでしょう。ですので、スタジアムのどこであろうが指笛などピーピー鳴らす輩は傍迷惑ですし、うるさいですし、黙って静かに見てろですし、ついでに下手糞なラッパも止めろという観点で東さんのご指摘には強く同意するところです。
ただ、線引きは難しいなと思います。
すでに東さん自身もコメントしているように、みずほPayPayドームでは指笛は禁止されていません(※横浜スタジアムでは指笛での応援は禁止と明記)。その点で指笛の輩は「悪」とまでは言えません。まぁ観衆の立場としては、選手のベストなパフォーマンスを望みたいところなので、選手が気になってプレーの妨げになるのであれば好ましい状況ではありませんので、「やめて」とお願いされてまでやる行為ではないだろうと思いますが、「悪」ではないなと思うわけです。僕も指笛は嫌いなので、僕の球団であれば即刻追い出すところですが、少なくともこの試合の事例においては「悪」とまでは言えないだろうと。
とかくこうした出来事が起きると、正義ポジションを取って相手を「悪」認定しようとする人が出てきますが「指笛はサイン盗みの代表的なアクション」みたいな無理筋の悪認定を繰り出すのは行き過ぎだろうと思いますし、「注意されても止めなかった!悪!」みたいに噴き上がるのも、前述の場内アナウンスを聞けば1回目で対象が「指笛」であることが認識できなくても仕方ないだろうと思いますので、2回目の具体的なアナウンスで控えてくれたのなら、善良で話が通じる範囲の観衆であろうと思うわけです。
そもそもこの出来事に対して、「東さんがナイーブである」という指摘は、多少なりともあっていいだろうと思います。僕は指笛嫌いなので止めろ派ではありますが、指笛以外にも応援歌や鳴り物や歓声は四六時中あがっているのですから、個人的に気になったから「やめて」をどこまで適用できるのか、本当にそのお願いを繰り出していいのかは慎重になるべきところだろうと思います。「相手のチャンステーマはいいけれど指笛は気になるんです」に対して、「いいからとっとと投げろ。遅延行為取るぞ。アメリカならピッチクロック超えてるぞ」という観点はあってもいいはずなのです。
結局それを定めるのは「民意」です。
ゴルフのようにプレーの際は観衆にもメディアにも完全な静寂を求める競技もあれば、野球やサッカーのようにむしろにぎやかな歓声や歌声で盛り上げる競技もあり、あるいはバスケのようにフリースローの際は積極的に声をあげ旗を振って相手の集中力を乱そうとする行為も含めてエンターテインメントの一部として楽しんでいる競技もあります。それらはどれが正しくてどれが間違っているわけではなく「民意」が作り出す「文化」です。それはその競技やその界隈を支える人たちが作り出すものであり、尊重すべきものです。クラシックコンサートのお作法とアイドルのライブのお作法が違うのと同じ話です。
同じ競技のなかでも「民意」や「文化」は少しずつ差があるわけで、アメリカの野球では日本では禁止されていることが多い内野席での立ち上がっての応援行為も当たり前に行なわれていますし、牽制や盗塁に対するブーイングなどもしばしばみられます。そういう意味で「横浜スタジアムでは禁止」だけれど「福岡ドームではOK」なこともあるでしょうし、それを福岡ドームの界隈が自分たちの文化として大切にしているならやはり尊重すべきだと思うのです。
今回の出来事に対する反応を見る限りは、何となく「禁止と明記はしてねーけどうるせぇよ!指笛止めろ!」が民意なのかなという気配は感じますが、そこは改めて福岡ドーム界隈で考えてもらうのがよいですし、もしも「やっぱり指笛好きなんでやりたいです」が民意なのであれば、そこは郷に入りては郷に従えで東さんも「気にせず投げる」のがいいだろうと思います。今回はひとつそうした民意を探るいいキッカケになったのだろうと思いますので、「指笛」「小旗」「アフロ」の禁止について広く活発な意見交換が行なわれるといいなと僕も思う次第です。
↓炎上覚悟と言う投稿がまったく炎上していないところを見るに、総じてみんな指笛は嫌いのようですね!
炎上覚悟で言います。
— 東 克樹 (@DeNA11AZUMA) October 29, 2024
指笛の件なんですが、禁止されていないのでやってもらって構わないんですが、ただ投球モーションに入ったタイミングで指笛をやるのはやめてください。という話です
あ、ちなみに別件ですが宮城大弥投手はめちゃくちゃ参考にさせていただいてます!
スーパーピッチャーですから!
↓ただ、福岡ドーム界隈では必ずしもそうではないかもしれません!
「短期決戦は敗因を振り返る意味がないので」
— 西スポWEB OTTO! タカ番がつぶやくソフトバンクホークス最新情報・裏情報 (@nishispo_hawks) October 29, 2024
「東がすごかったですよ」 #小久保裕紀 監督の一問一答
▼記事はこちらから▼ #sbhawks https://t.co/2nq6uHTcH1
小久保監督:「よくわからないですね。口笛って何」
小久保監督:「指笛?笑ってしまいましたね」
小久保監督:「みんなで大爆笑していました」
それが福岡の民意であればビシッと言ってやってください!
野球なんだから指笛くらい気持ちよく吹かせろと!
そうしたなかで、審判団の落ち着いた対応というのはよかったなと思います。試合を止めてアナウンスを流し、再度の要請に応え、スムーズな試合再開に漕ぎつけていました。こうした出来事を見ると、やはり最後は人間の裁きが必要だなと思います。ストライク・ボール判定の正確性などは機械のほうが正しいのかもしれませんが、どうすべきか決まっておらず、基準もない事態に対して「この指笛は止めさせよう」と判断し、その人の責任において裁きを下す人間はどれだけ技術が発展しても必要なんだろうなと思います。
判定技術部分だけではなく、こうした試合運営に関する人間としての判断力・対応力といったものも含めて審判に敬意を持ち、その判断に従っていくことは大切だ…そんなことを思う出来事でした。この想いを胸に、東さんには今後の登板で白井一行審判員の「アアァイ!」コールに対して「ストライク入ったらわざとやっているように聞こえた」「やってもらって構わないんですがタイミングは考えてほしい」「悪気はないかもしれないけれど、僕たちは人生懸けてやってるんで」など一石を投じてもらえたらいいなと思います(※岩石を投げてほしいという意味ではなく)。あれも本人以外全員うるさいと思ってると思いますので、民意を探るキッカケになればいいなと思います!
次の週末まで野球がつづくように、横浜にはもう1勝を期待しています!
かなりの長文でしたが、そのことに言及されてないのは残念です。