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もう競馬予想やめた!

22日、中央競馬一年間の締めくくりとなるGI・有馬記念が行なわれました。昨年の今頃は「人生初の年間収支プラスになるやいなや」で競馬関連の投稿なども盛んに行なっておりましたものですが、今年はその辺りの報告もトンと消え失せておりました。理由は単純で、年間を通じて大負けしていたからです。

買えども買えども当たらない。当たらないことが重なり、少しずつ負けが積み重なっていくことで予想も中途半端に穴狙いに重心が傾き、ますます傷口は広がっていきました。もとがケチ臭いので金額としては大したマイナスではありませんが、割合としては引くほど負けました。

有馬記念レース開始前時点で見た今年の収支は回収率40%、的中率33%という惨憺たるもの。特に秋シーズンに入ってからは状態が悪く、秋のGIシーズンは的中1戦のみ(※しかもトリガミ)となり、ほぼ全寄付となったのです。「もう競馬やめる」「本当に競馬やめた」「今度こそ競馬は卒業」などと心で宣言しては翌週にはまた寄付をしている無限地獄は、規模の小さい一平のようでした。

しかし、だからこそ、この有馬に(金を)賭けたのです。

昨年は「有馬で負けなければ年間プラス」という状態で敗れたわけですが、今年はその逆で「有馬で勝って年間プラス」という状態に持ち込めばいい(←ダメ人間の発想)。競馬にはそのドリームがあります(←ダメ人間の発想)。一撃100万円だって非現実的な出来事ではありません(←ダメ人間の発想)。勝てばいいんだよ勝てば(←ダメ人間の発想)。勝つ前提で買い目を決めよう…とまぁそんな作戦で一発逆転勝利を目指すことにしたのです(←ダメ人間の発想)。

↓当てればいいんだよ当てれば!逆転勝利に必要な金額を賭けたうえで!



しかし、その予想のなかで僕は自分の性分というのを痛感することになります。ずっと今まで気づかずに、あるいは気づきながら無視していましたが、僕は予想や分析などまるでしておらず、結局「こうなってほしい」という夢に賭けていたようなのです。そのことを教えてくれたのがファン投票史上最多得票数&得票率に推されたドウデュースの存在と、そのハ行による出走取消でした。

いざ出走取消となったときに去来した思いは、「やっぱりドウデュースに勝って終わってもらいたかった」でした。事前の予想ではドウデュースにいかに逆らうか、いかにほかの買い目を探るかばかりを考えていたのに、いざドウデュースの有馬がナイとなったら、途端に寂しさがあふれ出てくるわけです。推していた馬ではないのに。むしろ対立するくらいの気持ちで見ていた馬だったのに。

思い返せば近年僕が個人的に一番推した馬はイクイノックスでした。まだ重賞すら勝たない段階でその馬体と風格に魅了され、以降一貫して買いつづけることで大きなリターンをもたらしてくれた「愛馬」の前に立ちはだかった最大の強敵がドウデュースでした。対戦では必ずイクイノックスから買い、ダービーでは破れこそしたものの、古馬となってからは圧倒的な強さで「一蹴」と言っていいような勝利を演じ、勝負をつけたぞ、どうだ見たか、人気は知らんが実力は我が方の圧勝だ、人気も豊さんコミの話だろ、そういう気分でおりました。

ただそれは贔屓からくる歪んだ推し感情であった模様。イクイノックスを推す気持ちがドウデュースへの斜に構えた見立てを生み出し、今季さらなる良化で秋シーズンの主役となり一層人気を高める状況に「でも本当に強いのは…」と反発するような気持ちを生み、何とかして予想の評価を下げよう予想の評価を下げようと感情をこじらせながらも、推しの最大のライバルとしての思い入れもまた強く、「史上2番目に強い馬であってほしい」「イクイノックスをダービーで負かした相手なのだから相当な名馬であってほしい」「あの世代の物語はこのレースで勝ってつづくべき」などと心の底では思っていたようなのです。

「ドウデュースを買わない」ことを先に決めていた予想は、ドウデュースが不在となっても何の状況も変わらないはずなのに、軸を失って途端にゼロに戻りました。なんなら今年の有馬記念は「見」でスルーしてもいいか、くらいの喪失感を覚えました。どうしたらいいかわからなくなってはじめて「あぁドウデュースにも相当に思い入れていたんだな」と気づくような気持ちになりました。そして、今さらながらに、実力分析とか展開分析とか金儲けとかではなく、推しの走りと推しの夢を見るためにお金を投じているんだなと再認識したのです。なるほど何十年もやっているのに一向に馬券が上手くならないわけです。「当たるもの」「儲かるもの」ではなく「見たいもの」に賭けているのですから。「推しがめちゃめちゃ強いのに案外人気しない」という状況以外で勝てるはずがありません。そう、イクイノックスを推しながら、ドウデュースが人気を2分するような状況以外では。

で、お察しかもしれませんが、イクイノックスの影とドウデュースの喪失を埋め合わせるかのように、買っちゃいましたよね、ジャスティンパレスを。推しと、推しのライバルと、ずっと戦ってきた世代の雄を。スタート直後からコーナーに入って6回コーナーをまわる中山2500メートルで?、絶好のスタートからでも一旦後ろに下げるようなチグハグなレースをする常時展開不利の馬が?、去年よりさらにズブくなったのに中山の短い直線で一気に抜き去るとでも言うのか?、なんて疑問符は全部ぶっちぎって買いましたよね。「坂井瑠星なら前に行かせるかもしれない」「枠順と展開考えれば押し出されるように先団外目でまわってきちゃいそう」「早めにまくれば中山でも届くんちゃうか」などと全部都合いいほうに考えて。愚かだなとは思いますが、自分がこうしたかったんだろうなと思うほかありません。

↓この馬券で勝てば、年間収支はプラスになる!
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↓はたして実際のレースはどうなったのでしょうか!?




迎えたスタート、有利な内枠に入ったはずの1番人気アーバンシックはスタートで出負けして、同じくスタート失敗のプログノーシスとともに後方からの追走となります。もともと後方追走型の馬ではありますが、意図して位置取りを下げたものではないでしょうから、これはちょっと苦しい。慌てて前に押し出しますが、本来ならラクに取れたはずの位置取りからは2列ほど後ろに下がったでしょうか。

一方コチラも人気のダノンデサイルは好スタートを決めて先頭に立ちます。内枠から好発走のベラジオオペラ、スターズオンアース、レガレイラなどが枠なりに前につける形で先団を形成していきます。外枠組からはスタニングローズなどが前への進出を図り、僕が買っているジャスティンパレスは頑張って上がってきたアーバンシックの横に並んで中団につけます。そのさらに横に外から被せてきたシャフリヤールが壁になっているのが気になりますが、まぁまだレースは序盤ですから、ここから何とかすればいいでしょう。

スタンド前を通り、1000メートルの通過は1分2秒9とかなりゆったりしたペースに。レースペースを見ても、1ハロンに12秒中盤から13秒近くかけており、完全に逃げた馬にレースを作られています。ここから急にペースが上がるわけもなく、このままの展開となれば最後のコーナーあたりから一気にまくっていくようなレースでもしないと後ろからは届きそうにありません。今のところ逃げたダノンデサイルが一番展開を利したレース運びをしています。その後ろにつけたベラジオオペラも悪くありません。

向こう正面の直線に入ったところで、中団からはじょじょにシャフリヤールが前へと進出を図ってきます。僕が買っているジャスティンパレスもその後ろについていって合わせてまくる感じにできればよさそうでしたが、行列のようになって外側からローシャムパークがクチをパクパクさせながら被せてきており外に持ち出せません。さらに後ろからも馬がつづいており、外にも出せず、かといって少し位置取りを下げてその行列の後ろに並ぶわけにもいかず、スローの流れのなかただただ馬群のなかで待機する格好に。このあたりはやはりレース展開に合わせて、行くべきときに行く判断というか、何なら最初から行っておけばよかったというか、理想のイメージと実際のレース運びがだいぶ違ってしまった部分だなと思いました。まぁ、馬がもう前に行かないのかもしれませんが。

じょじょに全体のペースは上がり、終盤は長いスパート合戦の様相となります。1ハロン11秒台のラップを連打しながら、先団のペースも落ちることなく、ダノンデサイル、ベラジオオペラが1・2番手のままレースは最終コーナーへ。この時点で2列目あたりまでにつけておいて「バテなかった馬が勝ち」というレースですが、僕が買っているジャスティンパレスは皆と同じタイミングで仕掛けたらズブいぶん普通に置いていかれてしまい、最終コーナーあたりでは最後方から4・5番手というよくない位置取りに。何ならスタートで出遅れたアーバンシックにもスペースを取られて、「うーん、さらに内に入れるか」と切り返してさえいます。あー、これは厳しい。最後の直線200メートルほどで5着入線まで追い上げてきたのは立派でしたが、レースはド下手だった…そんな内容でした。

レースのほうはと言うと、内の好枠から逃げた1番ダノンデサイルと5番ベラジオオペラが前残りするなかで、2列目につけていた8番レガレイラと、大外枠発走からレース中盤の好判断で前目に押し上げてきていたシャフリヤールが並んで先頭に立ち、最後はクビの上げ下げでレガレイラが有馬記念を制しました。レガレイラは「強い馬が有利な条件で枠なりにいい競馬をした」という感じで、シャフリヤールは「不利を跳ね返す好騎乗、馬もよくチカラを出した」といった感じでしょうか。最後の勝敗を分けたのは3歳牝馬ということでの斤量差も効いていたかなと思います。

見終わって思ったのはレガレイラはイクイノックスを管理していた木村哲也調教師の管理馬で、「そっち方面」からイクイノックスの影を追っていれば単勝10.9倍的中での年間収支逆転勝利もあったかもしれないなということ。臨戦過程から割引で見てしまっていましたが、有馬記念では「牝馬の強いのがいたらとにかく馬券に絡める」というのを大きな反省としたいと思います。牝馬の強いのは有馬ですごく走るんだと何度勉強すれば覚えるのかわかりませんが、何度目かの勉強を来年以降に活かせればいいなと思います。物覚えが悪いので、何度も反省と失敗だけを繰り返す人生ですが、来年はこの反省を覚えていたらいいなと思いました。

↓有馬でよく馬券に絡む牝馬ですが、3歳牝馬の優勝となると64年ぶりの快挙とのこと!


このような反省を踏まえまして、今後は競馬予想は止めようと思います。結局、データとか展開予想を多少やったところで最後は「こういう夢が見たい」で捻じ曲げてしまう自分の性分を思い知りました。予想をするという意識よりも、1頭ずつの馬への思い入れだったり背景だったりを重視して、見る夢の幅を広げるほうが結果的にプラスだなと思いました。「同世代」で夢のバトンを託す安直な選択だけでなく、「だったら同厩舎でも同馬主でも別によくない?」という発想から手を広げていれば、予想ではなく夢の形そのものが違っていたかもしれませんので。

まぁそういう性分なのだということを言語化できたことで、収支がよくないことへの痛みはだいぶ和らぎました。仮に当たらなかったとしても、夢以外の馬券を買う気にはならない性分なんだなと、反省のうえでもやっぱりそう思いましたので。今後はもっと視野を広げて、夢の選択肢そのものを増やし、そのなかに結果的に当たるものが入っているように祈りたいと思います。もう「予想」はしないし、負けたときも収支は気にしません!本当にありがとうございました!

↓レガレイラの夢を見た皆さん、おめでとうございます!



1年間夢を見た結果として2万円程度の負けであれば、悪くない一年でした!