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ミラノ・コルティナ五輪への道のりがさらに楽しみになりました!

本日はお出掛けの記録です。今回は横浜で開催されました日本カーリング選手権大会に行ってまいりました。4年に一度カーリングのことを思い出す日本がそろそろ目覚めようかという2025年、いよいよ迫ってきたミラノ・コルティナ五輪への道のりがますます楽しみになるような時間でした。

会場となるのは横浜スタジアムから歩いてすぐのところにある横浜BUNTAIなるアリーナです。約5000席を備えた真新しく立派な会場には、初の日本選手権首都圏開催に沸き立つカーリングファンが多数詰め掛けています。チケットは早々に完売したとのことで、あやうく行きそびれるところでしたが、追加販売のタイミングで首尾よくチケットを確保することができ「実はこの日しか行けない」という2月8日の観戦に僕も滑り込むことができた次第。狭い隙間を通したドローショットのような感覚での訪問です。

会場の内外ではたくさんの催しが行なわれており、観戦以外の部分も大変充実しています。入場口前の広場では滅びゆく会社ともっぱらの評判の日産さんが新車の展示を行なっていたり、会場内では「もぐもぐ横丁」と題した誰でもフリーで入場できるイベントスペースでパブリックビューイングやカーリング体験イベントが行なわれています。試合のチケットがなくても楽しめるというのは、楽しい試みだなと思いましたよね。

↓会場には大型のバナーなども設置されて準備万端!
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↓もぐもぐ横丁にはチケットがなくても入場可能です!
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早速散策から始めていきますと、入場口付近ではいろいろな配り物が用意されています。学研さんが「地球の歩き方」テイストで特別編集した「カーリングの歩き方」なる冊子がいくらでもどうぞの雰囲気で自由配布されていたり、大会スポンサーのアマノさんは応援用のスティックバルーンを配ってくれています。同じく大会スポンサーのノジマさんは、抽選でプレゼントキャンペーンを実施しており、買い物をしたときにポイントがもらえるクーポン券などを配布してくれています。うむ、最近はステッカーをいただく機会が多いなか、ステッカー以外のものをいただくとグッと気分も上がってまいります。ぜひいただいていきましょう。

↓地球の歩き方みたいな冊子をいただきました!
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↓あのちゃんを意識したスティックバルーンをいただきました!
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↓200円クーポンとクジで当たったエコバッグをいただきました!
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↓何らかのキーホルダーをいただきました!
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景気のいいおもてなしを受けたあとは、もぐもぐ横丁を冷やかしにまいります。アリーナ併設の体育館に多くの人が詰めかけ、この日のために持ち込まれたグルメに舌鼓を打ったり、記念グッズを買い求めたりしている様子。氷がなくても何とかカーリングをしたいという熱意に突き動かされて生まれた「滑る床」や「テーブルの上でカーリングを遊ぶゲーム」の展示では、親子連れなどもカーリング体験に勤しんでいました(←それはカーリングではない気もするが)。さらに、特設のフォトスポットでは実際のストーンやブラシを携えて記念撮影ができるようになっており、僕もスキップ気取りでブラシで指示出しなどしながら記念撮影をさせていただきました。

グルメのほうでは、平昌五輪で一躍有名になった「赤いサイロ」も販売されていたようですが、残念ながらそちらは売り切れで買えず。まぁ、アンテナショップに行けば買えるっちゃ買えるし、買えるっちゃ買えるのに今まで買わずにきたんですから今さらっちゃ今さらですが、この日の観戦とセットの体験として「試合を見ながら赤いサイロをもぐもぐ」はしてみたかったのでちょっと残念でした。アンテナショップで買ってからくればよかったかもですね。

↓大盛況のもぐもぐ横丁へ!
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↓赤いサイロは品切れでしたが北海道のお土産がたくさんありました!
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↓さらにカーリングのストーンに見立てた峠の釜めしの販売なども!
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↓グッズコーナーでは個性的なグッズの数々を販売!
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↓記念撮影が捗りそうなフォトスポットのコーナー!
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↓日本のカーリング界隈の人が一挙集合したサインの寄せ書き!
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↓「どうしても家のなかでカーリングがしたい」という人間の欲望が生み出したミニゲーム!

たっぷり1時間ほど散策をしたのちはいよいよ試合観戦へ。会場内には4面ぶんのシートが設けられ、ハウス内の様子を拡大してくれる大型ビジョンも用意されていました。場内アナウンスなどはそのぶん控えめで、試合の合間の説明・進行や若干の盛り上げ音声があるくらい。基本的には選手たちの会話そのものを肉声で聞きながら、それぞれが思い思いに展開を予想してご覧くださいといったスタイルです。

なるほど、このあたりは「首都圏開催とは言っても、カーリング見に来るぐらいの人だからカーリング好きなんだろう」という割り切りを感じさせます。ちょっと気を回し始めると「場内解説くらいしたほうがいいかな?」とか思ってしまいがちですが、せっかくの現地ですからやはり選手たちのコールを聞きたいもの。「7…7.5!」「8あるかもー!」「ヤァーップ!」などのデリバリー中の掛け声から、作戦を検討しているときの相談話までが結構クリアに聞こえてくるのは現地ならではの楽しみだなと思いました。シートまでの距離も近く、臨場感があっていい感じです。

↓美しいシートに試合への興奮が高まります!
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↓得点表示などをする小さいビジョン!
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↓ハウスの様子を大映しにしてくれる大型ビジョン!
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↓トイレの看板も試合会場っぽい雰囲気でよかったです!
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まず午前の部は男子の準決勝。準決勝と言ってもトーナメントのベスト4ということではなく、ここまでの予選リーグの結果に基づき、決勝に進むチームを決める暫定2位VS暫定3位の戦いです。男子の準決勝はロコ・ソラーレの男子チーム(※ロコ・ドラゴで覚えてくださいね!)と前年度優勝のコンサドーレとの対戦となりました。

少し気の早い話をすると、もし日本がミラノ・コルティナ五輪の出場枠を獲った場合、日本代表となるにはザックリ言うと「2024年の日本選手権で優勝」「2025年の日本選手権(この大会)で優勝」「2025年の日本選手権開催時点での世界ランキング最上位のチームが、2024年・2025年の日本選手権で3位以内に入る」のいずれかを満たす必要があります。条件を満たすチームがひとつならそのチームが代表になり、複数あれば代表決定戦を行なうという流れです。

男子ではコンサドーレが「2024年の日本選手権優勝」「この大会開催時点での世界ランキング最上位」を占めていますので、要するにコンサドーレがこの日本選手権で優勝すれば日本代表に決定するのです(※五輪の出場枠はこれから獲る必要があるが)。コンサドーレは絶対に勝ちたい、それ以外のチームは負けたらその時点で五輪が消える、そういう緊張感の高い戦いとなっており、これは見る側としても燃えるというもの。やはり「負けたら終わり」の緊張感はたまらないものですね。

↓準決勝を控えた両チームの選手たち!
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↓ロコ・ソラーレの本橋代表もこの戦いを見守ります!
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そして始まった男子の準決勝。ラストストーンをコンサドーレが持った状態から始まった試合は、1エンド・2エンド・3エンドがブランク(互いに0点)となる静かな立ち上がり。しかし、その静けさは白く燃える炎のようなもので、コンサドーレは複数得点を狙いつつ無理ならば0点で後攻を握りつづけようとし、ロコ・ソラーレは何とか1点を押しつけようとし、際どい盤面とタフなショットの応酬となります。前半の5エンド終えて1-1というガチガチの守り合いです。

しかし、試合は後半に入るとここから劇的に動いてきます。6エンド、先に投げるロコ・ソラーレの最後の1投がストーンとストーンの間を抜けていくミスとなると、コンサドーレはこのエンドを3点獲得のビッグエンドとします。それでも粘るロコ・ソラーレはすかさず2点と取り返して3-4と1点差に追い上げます。ここからコンサドーレは序盤と同様に、ラストストーンを握ったまま8エンドをブランクとし終盤の攻防へ向かいますが、流れが変わったのは第9エンド。盤面づくりの段階でコンサドーレに不十分なショットがあり、ロコ・ソラーレがナンバーワンの石を持ったままガードを置きつづける展開となります。

ガードを置く、それを剥がす、また置く、また剥がす…その途中で一度に2個剥がすようなショットが出ていればコンサドーレの優位は動かなかったのですが、そうしたナイスショットは生まれず。ロコ・ソラーレは4番手で投げるスキップの前田拓海さんの1投目のところで、ここが勝負とハウスのなかにドローし、ナンバーワン・ツーを作りました。今度は互いにナンバーワンを叩いて外に出し合うハウス内での攻防となり、やがてコンサドーレのラストストーンを迎えます。

ハウス中央部にはロコ・ソラーレの石がふたつ。ただ、中心は空いており、道も開けています。ドローで真ん中に止めてもいいし、奥側の石を叩いてステイしてもいい、ブランク(互いに0点)にするのは難しそうですが1点取るのは比較的簡単そうな局面でした。が、ここでコンサドーレにはミスが出て、ロコ・ソラーレの石を叩いたあと自分の石が外に流れていってしまいました。痛恨の1点スチールで4-4と同点に持ち込まれます。10エンドのコンサドーレ後攻は変わらないので、ブランクにしたのと同じと言えば同じですが、やはりリードがあるのとないのが同じはずはありません。

10エンド、このエンドはコンサドーレがハウスのなかでナンバーワンを作った状態で、ガードの置き合い・剥がし合いとなります。最終盤、ロコ・ソラーレは13投目でナンバーワンの石に見事に寄せて止め、叩いて外に出すのが難しいナンバーワンを作ります。何とか外に出そうとヒットするコンサドーレですが、フォースの清水さんの1投目(第14投目)では出ず、ナンバーワン奪還もなりません。15投目でロコ・ソラーレはガードを置き、「最後の1投で真ん中にドローできたらコンサドーレさんの勝ちです、どうぞ」という盤面を作って投げ終えました。そして…

↓コンサドーレ清水さんのドローショットはわずかに長くなり、計測の結果ナンバーワンにならず!


↓計測の最中からロコ・ソラーレのスキップ・前田拓海さんは男泣きしていました!
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↓本橋代表の目にも涙が浮かぶ劇的な幕切れ!
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詰め掛けた大観衆からも両チームに大拍手が送られる素晴らしい試合。勝った側も負けた側も観衆も泣いているというドラマを目撃し、大変いい思い出となりました。さぁそして、その余勢をかって迎えた女子の準決勝は、皆さまおなじみロコ・ソラーレと北海道銀行の対戦です。今日も笑顔いっぱいのロコ・ソラーレは「首都圏開催ってこういうことですよね?わかってますよ」とでも言わんばかりに劇場型のカーリングを展開していきます。

第1エンドの序盤から早速ハウスのなかに石を溜め始めると、北海道銀行もその流れに応酬し、気がつけば「12投目を終えた段階でハウスのなかに石が10個ある」という、おはじきかビー玉みたいなカオスな盤面になっているではありませんか。自ら混沌を生み出し藤澤五月さんのミラクルで勝つ、それがロコ・ソラーレのやり方なのであれば、まさにこれこそが狙い通りの戦いなのでしょうが、男子の準決勝とあまりに違う展開に、コチラもちょっと笑いがこぼれます。

↓今日も楽しそうなロコ・ソラーレの面々!
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↓北海道銀行も楽しそうでいい感じです!
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↓盤面もめちゃめちゃ楽しそうです!もうここまできたらどっちも後には引けない!
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↓で、最後こうなりました!


北海道銀行が田畑百葉さんの素晴らしいショットで2点を先制すれば、第2エンドは途中まで北海道銀行がナンバーワン・ツー・スリー・フォー・ファイブを作るというカオスな展開から、藤澤さんが最後に見事なダブルテイクアウトを決めてロコ・ソラーレが2点を取り返します(←危なかった)。第3エンドは、藤澤さんのストーンが石の隙間を抜けていってしまう大きなミスが出て、北海道銀行が4点を獲得。しかしロコ・ソラーレも4エンド・5エンド連続得点で追い上げる…と出入りの激しいカーリングとなり、観衆も「盤面が複雑過ぎて次にどうすりゃいいのかまったくわからない」と、混沌のなかで大興奮です。

↓5エンド後の休憩時間に藤澤さんは何らかの反省をしていたようです!
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6エンドは中盤で北海道銀行の仁平美来さんが見事なトリプルテイクアウトを決めて優位を築くも、ロコ・ソラーレも粘って北海道銀行は1点止まり。7エンドは北海道銀行のナンバーワンの石が強く、ロコ・ソラーレはそれを動かせないまま北海道銀行がスチールで連続得点とします。これでロコ・ソラーレは7エンド終えて5-8と苦しい展開に。

そして第8エンド、後攻のロコ・ソラーレは「藤澤さんがダブルテイクアウトを決めれば2点」といった盤面作りをイメージしていたようでしたが、狙い通りに決まらないショットがつづき、最後は藤澤さんの「1点取るしかない」の真ん中へのドローショットが短くなってしまい、北海道銀行が3点スチールします。8エンド終えて5-11ではさすがに厳しいか、ロコ・ソラーレはここでコンシード。ミラノ・コルティナ五輪へ進むためには今大会優勝が大前提となる北海道銀行が競り勝ち、日本一そして世界へ生き残りました。

まぁ、藤澤さんはいつものように「私が」と反省をするのかもしれませんが、ロコ・ソラーレは全体的に上手くいかない場面が多く、苦しい展開を自ら強いてしまったような感触。一方で北海道銀行はサード・フォースの安定感が素晴らしく、スキップもつとめるサードの仁平美来さんのところで、「厳しい盤面をどうぞ」と仕上げていたところがスコアの差となったのかなと思います。決勝は姉妹チーム対決とでも言うような縁深い相手・フォルティウスの対戦で、五輪を目指すにはどちらも優勝が必要となります。「現地」で見たことで思い入れも増してきましたし、ぜひ北海道銀行にも頑張ってもらえたらいいなと思います!

↓第8エンド終了後、大差がついたところでロコ・ソラーレはコンシード!


↓対照的な表情を見せる両チーム!
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↓なお、試合中はキリッと引き締まった視線が印象的な仁平さんですが…
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↓マイクが自力で取れなくなったらしくて試合後に本橋代表に外してもらっていました!
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どことなくドジっ子の気配がしますね!

五輪に出たら日本の注目を集めそうです!



そんなことで大変充実した観戦となったこの日。今大会は観衆の入りも大変よく、選手の皆さんも試合を楽しんでくれていたようですので、ぜひ今後におきましてもときどき首都圏開催というのを検討していただきたいなと思いました。北海道や軽井沢に行くのは面倒だけれど近くに来るなら4年に一度のペースで見てみたい…くらいのライト層が日本にはたくさんいると思いますのでね。特に首都圏には!


ロースコアの痺れる試合と混沌の試合を両方見られてとてもお得でした!