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2025年04月18日08:00
敵は気温ではなく湿度!なので実質は敵増援!
埼玉西武ライオンズが約1年ぶりに3位、それも単独の3位となり西武界隈がにわかに優勝への予感を漂わせる折、球団から驚きのバックアップが発表されました。「暑くて寒くて遠い」と評判の我が本拠地ベルーナドームの大改善計画です。すでに「寒い」に対しては無償の防寒具配布、「遠い」に対しては便利な電車通勤という絶対的解決策を提示させていただいておりましたが、いよいよ最大最強の難敵である「暑い」の撃退に臨もうというわけです。見ていろ他球団、これが西武ホールディングスのやり方だ!
↓大規模な冷却用ミスト噴射装置を設置して気温を5度下げます!
【西武】本拠地ベルーナドーム暑さ対策!大規模な冷却用ミスト噴射装置設置へ 気温5度低下予想 #seibulions #プロ野球 #NPBhttps://t.co/1BqgLfnFMF
— 日刊スポーツ (@nikkansports) April 17, 2025
そういうことじゃねええええええええ!
肉まんでもふかす気かあああああああ!
もうすでにSNS・ヤフコメ・匿名掲示板などの各種地獄サロンで散々指摘されているのだろうとは思いますが、この計画には「そうきたか」と身悶えるしかありません。ミスト噴射で温度が下がる仕組みは、細かいミストが蒸発して気体になるとき、周囲の熱を吸収すること(気化熱)を利用したものです。「水が」「蒸発すると」「周囲の熱を吸収する」わけです。奪われた熱は虚数空間的などこか謎の世界に消えるわけではなく、水蒸気が持っていくだけであり、エアコンでも何でもそうですが「熱をどこかに押しつける」だけのことです。
翻って我がベルーナドームの暑い原因を考えますと、「屋根で落としブタをしていることで空気がこもる」「隙間が空いているくせに風が吹き抜けない」という熱と湿気がこもりやすい構造にこそ本質があります。ハマスタや千葉マリンのように直射日光を受けて暑いという話であれば、ミスト噴射⇒蒸発⇒気化して熱奪う⇒水蒸気は天空へと昇り風で周辺に散らされる、という流れである程度の冷却効果を体感できるのだろうと思います。しかし、ベルーナドームで同じことをした場合、ミスト噴射⇒蒸発⇒気化して熱奪う⇒水蒸気は落としブタで行き場を失い球場内に熱が留まる⇒なおミスト噴射⇒先のミストの蒸発に加えてさらに湿度が上昇⇒暑いうえに蒸す低温サウナ状態に⇒それでもなおミスト噴射⇒水蒸気飽和⇒蒸発できず水の玉となったミストの直撃で全員ビチャビチャ⇒不快度マックス、となるだけなのではないか。これまでもサウナと呼ばれてきたベルーナドームですが、本格的に蒸し器とかせいろとかタジン鍋とか呼ばれる段階にやってきたのかもしれません。
この状況を自宅の環境にあてはめると、エアコンはつけずに窓をちょっとだけ開け、室内で加湿器をバンバンふかしながら「加湿器ふかすとちょっと冷える感じがするんよ」などと言っている人になりますが、本当にそれでよかったでしょうか。そんなことをしながらステテコ一枚でサーティワンアイス舐めて「あちぃ」と言っている人がいたら、「まず窓をしめろ」「そしてエアコンをつけろ」「加湿器はいらない」というアドバイスから始まるのではないでしょうか。よしんばエアコンが壊れている場合も、「じゃあ窓を開けろ」「玄関も開けて風の通り道を作れ」「加湿器はいらない」となるのではなかろうか。いずれにしても加湿器はあんまり関係ないんじゃないか、ただただカビだけが元気になりそうな予感しかしません。
↓今からでも隙間を塞いでエアコンをつけるわけにはいかないものでしょうか!
\自分で組み立て球場の歴史を味わおう/
— 【公式】埼玉西武ライオンズ グッズ (@Lionsstore_web) April 14, 2025
ki-gu-mi 西武ライオンズ球場/ベルーナドーム
存在感抜群の3Dクラフトアート✨
かつての「西武ライオンズ球場」と現在の「ベルーナドーム」を再現したデザイン❗️
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どうせ風も吹かないなら隙間部分を全部ミストカーテンで覆えば外気の熱が入ってこなくなるか…?
まぁ、素直に屋根を剥がすという手もあるわけだが…!
こうしたミストとか打ち水とかでの冷却効果を探るときに、建築界隈では「湿り空気線図」という資料を利用するそうです。その資料には乾球温度(いわゆる気温)、湿球温度(湿ったガーゼを巻いた温度計で測った気温)、相対湿度(いわゆる湿度)、絶対湿度(空気中に含まれる水の質量)などが記載されており、それを見ていくと、ある日ある状態の空気をミストで限界までビチャビチャしたときに気温が何度くらい下がるかをつかめるのだそうです。
この湿り空気線図で日本の気候にありがちな「気温30度、湿度80%」みたいな高温多湿のムシムシ熱気のパターンを見ますと、そこから限界までミストをばらまいても気温はほんの数度…3度とかくらいしか下がらないようなのです。「気温35度、湿度70%」くらいのもうちょっと成果が出そうな条件を引っ張り出しても、いいとこ5度くらいの下がり幅しか得られそうにありません。「気温40度、湿度20%」とかの「暑いがカラカラ」という砂漠みたいな気候であれば10度を超えるくらいの下がり幅も得られそうですが、日本の気候では劇的な効果を得るまでには至らなそう。
このあたりは球団側の発表でも「同装置によってドーム内で5度程度の気温低下が予想される」と書いてありますので、「気休め程度」という認識は持っているのでしょう。しかも、その5度の下げ幅を実現したとき、いわゆる湿度は「100%」になる理屈ですので、そうなれば汗が乾くこともなく、ひたすらビチャビチャの衣服で過ごすことになります。「気温35度、湿度70%」のときの不快指数は88.9(暑くてたまらない)で、「気温30度、湿度100%」のときの不快指数は86(暑くてたまらない)ですので、多少改善は見込めるかもしれませんが、「いずれにしても」という話です。
↓夏にブンまわしている大型扇風機と同様に大型気休め設備になる予感!

ただ、球団がこうしてせっかく気休め設備を用意してくれるのですから、少しでも有効活用していきたいもの。人工的に熱を奪う仕組みは導入されるわけですから、要は気化する余地を広げる…つまり湿度を下げればそのぶんだけミストによって気温は下がるわけです。「俺がミストを噴射する!お前は湿度を下げろ!」という穴掘って埋めるみたいなミッションですが、観客の立場で気温を下げることの困難さに比べれば、湿度を下げることならまだ貢献の余地があります。ズバリ、除湿剤の持ち込みです。
市販の除湿剤や竹炭、重層などを持ち込み、そこにベルーナドーム内の湿気を吸収するのです。そうすれば、空気中の水蒸気はそこに固定され、湿度が下がり、ミストが蒸発する余地が生まれ、想定を超えて気温が下がるはず。観戦ルールの持ち込み禁止物を確認したところ、除湿剤や竹炭・重曹の持ち込みは禁止されておりませんでしたので(やったね!)、ひとりひとりがこれらの除湿グッズを持ち込むことで、今より過ごしやすいベルーナドームを実現することが可能なのです。
「試合を見るのに炭を運ぶのはイヤだ」「俺は炭焼き職人じゃない」「山小屋じゃなくて炭焼き小屋と呼ぶぞ」というわがままなファンには、実益を兼ねて「凍らせたペットボトル飲料を持ち込む」ようにしていただきましょう。これはもちろん冷たいドリンクを飲むためではありません。凍らせたペットボトルを球場内で掲げますと、氷に冷やされてペットボトルに水滴…すなわち結露がつきます。それはまさに空気中の水蒸気が冷やされて生まれた水であり、その水をどこかに封じてしまえば空気中の湿度が下がるのです!
凍らせたペットボトル取り出す⇒ボトルに結露がつく⇒ペロペロ舐める⇒舐めた結露が巡り巡って自分の汗となって噴き出す⇒乾いたタオルで拭う⇒拭ったタオルをジップロックとかに入れて汗が蒸発しないようにする⇒湿度が下がる⇒ミストで冷える⇒快適!という具合で、ミストとの合わせ技で劇的に快適な観戦が可能となるわけです。「結露を飲む」という画期的システムを導入すれば、ドリンク代は実質無料となりますし(※ペットボトル飲料はまた次回凍らせて持ち込む)、単純にボトルに触って体温を一時的に下げることも可能ですし、いいことしか思いつきません。
まぁ結局タオルで拭うって話なら、結露を飲む工程はすっ飛ばしてボトルをタオルで拭いても一緒かもしれませんが、どの道何かを飲むのであればまずは結露を飲んでもらったほうが除湿効果は高いはず。今さら考慮する衛生面も含めると、ボトルはベタベタ触らないようにフタ部分を握りながら、こん棒でも振り回すみたいな感じで空気中の水蒸気をキャッチし、結露を舐めていくのがいいのではないでしょうか。見た目が若干応援バットかメガホンみたいな形状でもありますし、応援している感もグッと増しそうですよね。舐めやすさ、結露キャッチ性能を考えると表面のラベルは剥がし、なるべく表面積が大きくなるようボコボコした商品がいいのではないかと思います。ボトルの薄さ(氷部分との伝導効率)など総合的に考えると、「いろはす」あたりがいいのではないでしょうか。あぁもちろん公式グッズのフロストボトルあたりを使ってもいいかなと思います。凍らせ具合などは各位で研究いただきつつ、今年の夏はミストと結露で乗り切ってもらえたらいいなと思います!
↓以上、旧赤プリ跡地を売ったお金を投じるベルーナドーム暑さ対策のお話でした!
西武がベルーナDの「暑さ・寒さ」を改善へ ビル売却益2600億円の一部を投入…観客増見込み #seibulions #npbhttps://t.co/WHKa4fg3u7
— Full-Count フルカウント (@Fullcountc2) December 13, 2024
売却益の全部を投じるなんて一言も言ってないですからね!
一部、一部、あくまでも「一部」ですから!
あぁ、あと夏になったらいつもの無料ウチワ交換券とか届くと思うんで、頑張ってあおいでください!
大規模ミストでメガネとか曇りそうなので、メガネ拭きも忘れずに!