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アウェーに入りてはアウェーに従って、なお勝て!

周回遅れでアッタマきました。去る4月5日深夜、僕は通算何百回目かの競馬引退をしました。UAEはドバイのメイダン競馬場で行なわれた2025年のドバイワールドカップで大敗を喫し、引退したのです。日本から乗り込んだ押しも押されぬ1番人気馬・フォーエバーヤング号にドカンと賭けてドカンと負ける大惨敗。一応馬は3着入線を果たしたものの「確勝」という見立てでの購入であったため、その日の資金はすべて露と消えました。

気になったのはレース後の矢作調教師の言葉。言い訳はできないとしつつも「アウェーの洗礼を受けた」「ひどい仕打ちを受けた」と何かヤラれたことを匂わせていた矢作師。その背景が今になって明かされたのですが、どうやらフォーエバーヤングはレース前に抜き打ちの尿検査対象に指名され、そこですっかり入れ込んでしまったようなのです。これにはさすがの僕もアッタマきましたよね。「それ先に教えてくれよ」「そしたらエバヤン切ったのに」「あー金返せ!」と。怒りのポイントが若干ズレているかもしれませんが(!)、とにかくこんなことで引退するわけにはいかぬと、通算何百回目かの引退は怒りの撤回となりました。

↓一体どんな洗礼があったのかと気になっていたのですが…!


↓矢作厩舎より質問及び要望書が現地当局に送られており…!


↓こんな回答が得られたとのこと…!



原文は各自で読んでいただくとして抜粋要約すると、フォーエバーヤングはレース前の抜き打ちの尿検査の対象となり、数十分間検査所に留め置かれ(厩舎主張は35〜40分間暗室に入れられた、現地回答は時間は26分間で明かりもエアコンもついていた/要望あれば映像も出せるとのこと)、その結果馬は大きなストレスを受け、レースへ向けた装鞍などの準備時間を大きくロスしたというのが「アウェーの洗礼」の概略であるようです。

なるほど、「金を賭けている」立場からすると怒り心頭の事態です。レース前にストレスを受けたり、4人掛かりで抑えなければならないほど入れ込むような状況がどれだけレースに悪影響を及ぼすかは言うまでもありません。そんな話だと分かっていれば、馬券の買い目も再考しましたし、少なくとも「単勝一本全ベット」とか「アタマ固定」といった前のめりな賭け方はしなかったでしょう。

日本の競馬でももちろんドーピング検査はありますが、それはレース後に上位入線馬と「謎の大敗を喫した人気馬」など一部の指定馬を対象に行なうものであって、レース前に抜き打ちで呼び出して一部の馬にだけストレスを掛けたりするようなものではありません。当日のドバイワールドカップデー全体では9頭がレース前検査の対象となったそうですが、そのうちの1頭が「メインレースの断トツ1番人気馬」だというのは、「ははーん、やってるな?」と疑わざるを得ないでしょう。

しかも、その9頭のなかには同じ日本からの出走でドバイターフに出走したソウルラッシュも含まれており、こちらも大変なストレスを受けたというのですから疑いも確信に変わるというもの。ソウルラッシュも相当激しく入れ込み、厩舎スタッフの肩を脱臼させるほどだったそうで、管理する池江調教師は「除外を覚悟した」とも言います。コチラは何やかんやの本番大爆発で現役世界最強馬の一角であるロマンチックウォリアーを下して勝ちましたが、だからといって「な?大丈夫だったろ?」なんて話になるわけがありません。くー、こっちのレースは当てたんで「金返せ!」とは言いにくいのですが「倍払え!」くらいの気分です。

↓「アッタマきた!ヒヒーン!」で勝った説、あると思います!



と、ひとしきり憤慨しましたが「これが勝負」かなとも思います。日本ではレース前の検査はしないものだとしても、それが全世界共通のルールということではありません。レース前に抜き打ちで検査をするところもあれば、レース前に全頭の検査をするところもあります。UAEの競馬規則では必要なときにいつでも検査ができるということになっており、レース前検査もこの日だけ急に実施されたわけでもないそうです(2024-2025シーズンは64開催で429頭にレース前検査を実施したとのこと)。仮にそれが「コイツちょっと嫌がらせしてやろう」と作為的に運用されていたとしても、その悪意を証明する証拠は出ないでしょうし、公正なレースのために必要だと言われたら黙るしかありません。強いアスリートほど検査をされるのは、人間の世界でも同じです。

もちろん日本の感覚からすれば「レース後の検査でいいじゃん」「1時間くらい経ったところで何も変わらないだろ」「やるなら全頭やれ」とは思いますが、それはコチラの考えであってアチラの考えではありません。日本だって東京五輪の際には日本としての考えを貫いて、「集団で飲食した」だの「観光のために外出した」だのという理由で選手資格をはく奪したのです。UAEの競馬がレース前検査を必要だと思うならするでしょうし、両者からの経緯説明を見ても不当な嫌がらせのための検査とまでは言えない内容ですし、それで負けたのは馬と人間が弱かったと言うしかないのです。

細かい運用の部分で「検査は何時間前に実施する」とか「尿が何分間出なかったらレース後の検査とする」など決めてくれていたら、もうちょっと動きもスムーズだったかもしれませんが、一度検査を始めてしまったなら尿待ちで26分間とか40分間とか掛かったとしても仕方ないでしょう。人間のドーピング検査も「出るまで待つ」仕組みです。厩舎側でも「検査があるかもしれない」とは認識していたようですから、出なかったときの対応を用意しておくとか、すぐ尿を出すための備えをしておくとか、現地の係員とコミュニケーションできるスタッフを帯同させるとか、そこまで徹底してこその海外遠征なのかなと思います。招待競走とは言え勝ったらガッツリ金を持ち帰ろうという大勝負です(※696万ドル/約11億円)、相手もこれぐらいやってきて当然かなと思いますし、むしろ、これぐらいやってくる戦いのほうが金の奪い合いとしては燃えるというもの。

今回は僕にも「確勝」などと勝手に思い込んだ落度がありましたし、厩舎側にも馬にも弱いところがありましたし、そこまでやってもなおフォーエバーヤングには3着賞金120万ドル(約2億円)を持ち帰られ、あまつさえソウルラッシュには勝利まで許したのですから、みんなちょっとずつ負けた痛み分けとする案件かなと思います。あえてひとつ公平性に関して要望するなら、レース前検査に指名された馬は速やかに公表し、JRAやメディアなどを通じて日本にもその情報が伝わるようにしてもらいたいということ。人気馬がレース前検査に指名されていたら、チャンスと思って切りますので(←金目線の要望)。

まぁ、こんな舞台裏だということであれば、何も世界の競馬はドバイだけなわけでもありませんし、日本から参戦するのであればサウジアラビアのサウジカップのほうが賞金も高く、日本のダート馬にとっての適正も合っているだろうと思いますので、ドバイワールドカップは「夢」を追う者の舞台とするのがよいのかなと思います。凱旋門賞と同じように。そういう意味では、夢を追う者の旗手である矢作師がこの舞台に挑み、敗れ、怒り、毅然として質問と改善要望を出し、結果を受け入れているのは熱いなと思います。この憤りを来年以降の楽しみとしたい、そう思うレースとなりました。「来年はすぐ尿出して勝つ!」ことを期待しております!

↓ま、どの道、1着馬も2着馬も切ってたんでハズレでしたが!



↓いろいろトラブルが多くて、逆の意味で持ってる馬だなと思いました!

ウマ娘とかに採用しやすそう!

不運キャラとかで!



負けた原因もハッキリしたので、次走はまた狙っていこうと思います!