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界隈が苛立ってまいりました!

喉元過ぎれば熱さを忘れるでおなじみの埼玉西武ライオンズファンの皆さん、こんにちは。いよいよ地獄の夏が始まるぞという雰囲気漂う7月最初の試合、テレビで試合中継など見ておりますと今日は珍しく選手たちが快適そうに野球をしています。「おや?ついに球場にエアコンでもついたかな?今井の自費で」と思ったところ、何とこの日は沖縄セルラースタジアム那覇での遠征試合オリックス戦でした(※一応ホーム扱いではあるが主催は琉球放送)。

一般論で言うと「沖縄セルラー⇒KDDI⇒au⇒ポンタ⇒オリックス⇒オリックス宮城さんの凱旋登板」という流れで、目一杯奮闘したうえで完封負けあたりを期待されているのかなと接待気分での遠征となるところですが、我が埼玉西武ライオンズも沖縄には一家言ある球団です。「沖縄出身の選手が活躍したら宜野湾のプリンスも少しはにぎわうはず…」という期待のもとオリオンビールの歌などを球場に流してきた実績があり、できることなら第二のホームとして沖縄を手中におさめたいとさえ思っているところ(←群馬は第二のホームではなく第一のホームの外周部扱い)。

ということで、我が方も沖縄出身の與座海人さんを先発に立てて沖縄接待遠征に臨んだわけですが、どうにもSNSの空気がよろしくありません。 試合自体は「こんなもんでしょうなぁ」と思うような内容で、特に驚くような凡プレーがあったわけではありません。與座さんは5回まで無失点の登板をつづけ、6回に1点、8回にもホームランを浴びるなどして都合3失点という内容ですが、沖縄の声援を受けて十分によく投げたと思います。「7回3分の1を3失点で見事なクオリティスタート」くらい言っても不思議はないでしょう。ただまぁ打線のほうはもともと「人並みの下」でしかありませんので、先に3失点もすれば負けるのは致し方ないこと。いかにも「こんなもんでしょうなぁ」「次、次」の試合です。

しかし、界隈の空気感はそうではなかった。

どうもこの試合に埼玉西武ライオンズ界隈はイライラしているようなのです。SNSを見れば「選手が悪い」「監督が悪い」「気分が悪い」の文句三國志みたいなバトルが始まっており、何故かいっちょ前に界隈が荒れ狂っている始末。特にその火付け役となったのが試合後の西武・西口監督のコメントである模様なのです。それはいかにも西口さんらしく、いかにもごもっともという内容でしかないのですが、苛立っているとイラッとくるコメントだったでしょうか。いやー、ホント、界隈の沸点が低いなと思いますよね!

↓「もうちょっと考えてくれよ」と選手に苦言を呈したら、「お前が考えろ」と監督に文句が返ってきました!



西口監督のおっしゃることはまったくもって「そうでしょうなぁ」と思うような話です。このコメントで触れられているのは0-1の1点ビハインドで迎えた7回裏西武の攻撃での一死満塁というチャンスの場面のことです。このピンチにオリックスは正直者でおなじみの山岡泰輔さんを救援に送り、西武はキャッチャーの牧野翔矢さんを打席に送りました。

この場面、守備側としてはまず三振を狙いたいところ。内野ゴロでゲッツーを取れればラッキーですが、バットに当てられたら何が起こるかわかりませんので、まずは三振狙いで三振崩れのゲッツーならなおヨシ、くらいのイメージで臨む場面かなと思います。山岡さんの球種で言えば、一番空振りが取れて、よしんば当てられたとしても外野に飛びづらく、上手くすれば内野ゴロでゲッツーになりそうな縦に大きく割れるスライダー、これが軸になるというのは素人目線でも想像できる範囲の組み立てです。中継でも「(山岡は)自分が持ってるなかで一番いいボールからくると思いますから」と縦スラを念頭に置いた解説をしており、そこはもうプロとしての勝負の前提条件くらいの話しぶりです。基本線は縦スラがくるものとして、裏をかかれたらどうするか、失投がきたらどうするか、そういう思考の勝負なのであると。

しかし、ここで牧野さんは「ストレート系を引っ張って外野に飛ばす」狙いだったのか、左打席の足元にきた縦スラを豪快フルスイングで迎え撃ち、勢いよく空振りました。これには中継席からも「確かに振ってしまうとは思うんですけども…」「ウィニングショットから入ってくるんで…」と柔らかめの苦言が。高めにストレート系がきたのなら犠牲フライ狙いで手も出すでしょうが、それはチョコーンと合わせて定位置付近まで飛ばせばいいわけで、フルスイングは必要ありません。それよりもゲッツー・三振を避けたいと思えば、低めのボール球に手を出して内野ゴロあるいは空振りというのは一番気をつけたいところ。低めのストライクは捨てる気持ちで、ゾーンを高めに設定していくような場面だっただろうと思います。縦スラがくると半ば分かっている状況、そのボールに手を出したらダメな状況だと分かっている場面で、手を出して豪快な空振りをする。この初球の攻防を見たら、なるほど西口監督も「もうちょっと考えてくれよ」「むしろバットに当たらなくてよかった」「考えのなさを技術の低さで補った」くらい言いたくもなるでしょう。あぁすみません、後ろふたつは西口監督の言葉ではなく僕の感想でした。

とまぁ、これだけ「ストレート系で犠牲フライが打ちたいです!」を露わにされれば投げる方も察するわけで、あとは縦スラとチェンジアップのサンドイッチとなり、ストレート系は1球も投げずに山岡さんは空振り三振を奪いました。後続も倒れ、同点にするチャンスを逃した西武は、次の回に追加点を奪われてジ・エンドとなり、試合後の西口監督コメントにつながったと、そういう流れです。

↓解説の「振ってしまうか…」の空気感をお楽しみください!




文句三國志と言うくらいなので、ひとつの軸だけでの悶着ではありません。監督コメントで選手に苦言を呈するのがそもそも嫌だという人もいますし(※逆に選手をかばうとそれはそれでイラつくという人も)、代打策ではなく牧野さんをそのまま送り込んだことをお気に入り起用だとか間違いだとか言う人もいますし(※どの選手を起用しても入れ替わり立ち替わりで文句が出てくる)、特に攻撃面での動きを見せなかった采配が無能無策だと言う人もいますし(※満塁でもスクイズしろというスクイズ原理主義者含む)、「牧野さんを打席に送る=攻撃よりも與座さん続投を優先した興行的采配」だとして複雑な文句を言う人もいますし(※全試合興行です)、意見はさまざまです。どれも一理あると言えばありますし、違うと言えば違う気もします。

個人的には「與座さんはまだいけると思ったんだろう」「すでに1点負けてるんだし勝つための救援はできれば使いたくないから投げられるなら8回も投げてほしい」「まだ92球だしあと1回くらい投げてくれてもいいだろう」「この前は替えた途端に後続が5失点だったし」「できれば沖縄で勝ちをつけてやりたいし」「なら専用捕手みたいになっている牧野さんを替えるのはできれば避けたい」「どうしても打たないといけない場面なら代打も送るが」「絶対的な代打がいるわけでもなく」「あそこは四球でも外野フライでもいいところ」「中村剛也さんを出しておけば納得感はあったかもしれないが」「牧野さんもその日の試合でヒットを打っていたし」「2軍戦でも25日にマルチヒットしてきたところだし」「いちいち捕手に代打出す野球があるか?」「1点だけ取って追いついて12回とかのケースもあるだろ」「チャンスに必ず代打送られるようでは仕事にならない」「プロなんだし、何とかするだろ」「何とかすべきだろ」という理解で、西口監督の期待も采配も苦言も納得しております。

納得がいかないことを挙げるなら、「早くもいっちょ前に文句が噴き出す空気感なのか」という界隈への驚きぐらい。散見される意見のなかにはAクラス入りを意識した「不甲斐ない」的なものも多くありましたが、今年は90敗しなければ合格点みたいなシーズンだったはず。選手の成長、補強の成功、先発投手陣の怪物化みたいなものがあって、5割を超える望外の勝率を残してはいますが、優勝・Aクラス云々は努力目標に過ぎないはずです。もうすでに十二分に期待以上のシーズンを過ごせていますし、最後までCSの夢を見られたら嬉しいなぁくらいの上機嫌でいればいいところ。それがもうこのいっちょ前ですか、と。

夏場になれば本拠地の暑さと湿気で選手が自動的に弱るわけで(※弱らないのは東京ドームとかドーム球場くらい/まぁウチもドーム球場だけど/自然強制型ドームだから…)、ここから急激な下降線をたどっても何ら不思議はありません。それがまだ貯金が4もあるなかでこの空気感では、借金生活突入、楽天に逆転を許し、ロッテの影が見えてきたみたいなことになったら、どれほど空気が悪くなるものかと今から心配です。替える監督のアテもないわけですし、松井稼頭央監督につづいて西口監督も文句で追い出したみたいな格好になれば、それこそ球団の歴史に汚点を残すというもの。

ここはひとつ合言葉として「オールスターまで5割」を掲げる、というのではいかがでしょうか。一般的には「オールスターまでは5割近辺をキープできればヨシ、そこから優勝を狙う」みたいな文脈で使う言葉ですが、我が方としては「オールスターまで5割をキープできたら、今季はもう十分楽しんだのでヨシ!」という逆の建付けで掲げていくということでは。オールスターまで残り16試合で貯金が4ですから、6勝10敗で達成できる現実的な目標です。オールスターまで5割なら、何なら優勝争いくらいしたのかな?というシーズンに見えますし、そこをひとつのゴールとするということでいかがでしょうか。

その後は、チームの調子がよければ調子に乗り、チームの調子が悪ければ「夏」「湿気」「気温」あたりに矛先を定めて、「誰も悪くない、夏が悪い」「打線が湿ってるのはバットが湿気を吸ってるせい」「この気温のなかで采配を考えるのはそもそも無理」などと、傷ついたり言い返してきたりしない相手に責任を押し付けて溜飲を下げるというのではいかがでしょうか。太陽に向かって「何故貴様は我々に仇なすのか!」とか叫んでいたら、ちょっと偉人っぽく見えそうですしね。

「オールスターまで5割」今季はこれで手を打ちましょう。

そしてあとは楽天とロッテが勝手に負けるのを祈りましょう。

4位か5位でフィニッシュできれば「順調に上昇している」と前向きなイメージも持てると思いますのでね。

全員元気に来季に向かえたら、来季はAクラスを狙ってもいいかもしれませんね!



イライラする人は、涼しい部屋でアイスでも食べて夏と戦うといいと思います!