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世界最高峰のリーグって何なんでしょうね!

先日卓球Tリーグの開幕戦を見に行ったのですが、それからまだ10日ほどというこの時期に、日本&世界のトップ選手である張本智和さんからTリーグに対する痛烈な苦言が呈されました。若干の荒れ模様の気配もあるので、前向きな議論になるように祈りつつ、自分なりの意見をまとめていければと思います。

↓意見についてはご本人のインスタで見るか(ストーリーなので時限で消えます)、記事でご覧ください!

記事には含まれていない4枚目のストーリーもあります!

そちらには「世界最高峰」を目指したいという気持ちが綴られていました!



まず荒れ模様への牽制からですが、意見をご覧いただければわかるように、張本さんの苦言は若干言葉が強いものになっています。ストーリーなので勢いついちゃった感じもしますし、もう少し上手く言えそうに思う箇所もあります。最初から4枚目のストーリーのような説明があればもっとよかったと思います。「振れば入るようなボールを使う」は真意を表現するには言葉選びが違っているように思いますし、用具そのものを非難するような表現は避けるべきだったろうと思います。まさに今週行なわれるWTTチャンピオンズ横浜大会でも、Tリーグの男子が採用しているメーカーのボールが使用されます。道具の性質に違いはあるでしょうが、それはどの世界でもあること。日本のプロ野球とメジャーリーグのボールも性質がだいぶ異なるといいます。体操の器具もメーカーによってだいぶ感触が違うといいます。大会ごとに条件が揃っているなら、それに対応するのも選手の力量です。

たとえ話として挙げている「格下はゲームカウント1-0スタート、格下チームはチームカウント2-2にできれば勝ち、みたいなもっと極端なルール」という例も、本気でそう思っているわけではないのでしょうが、ツッコミどころが多そうなラフな案であり、いらぬ揚げ足取りを招きそうだなと思います。代替案や改善策を示すのは選手の仕事ではないのですから(←運営が考えるべきこと)、問題点の指摘だけでよかったように思います。まぁ、これは代替案として挙げたわけではなく、憎まれ口というか「アタシのことが嫌いなら出ていけばいいじゃない!」的な感情の暴発だろうと思いますので、前向きな議論のためには揚げ足取りはナシでいきましょう。

タイミングとしても、3日の試合で張本さんの所属する岡山リベッツが今季の初戦を戦い、チームとしても張本さん個人としても敗戦したあとだったというのも、発言するにはいかにもよくないタイミングでした。負けた苛立ちも含めての感情の暴発だったのかもしれませんが、負けたあとのタイミングだと「敗者の弁は聞かぬ」という世紀末スタイルの人が絡んできますので、勝った試合のあと…理想としてはシーズン優勝を決めたあととかに言えるとベストだったなと思います(※昨季優勝して言えれば美しかった)。ただ、まぁ、そのあたりは百も承知のうえで、もう言わねばならぬと奮い立ったのでしょうから、タイミングには囚われず真意のみを見つめるような世界であってほしいなと祈るばかりです。

と、「前向きな議論になりますように」の牽制をしましたところで、張本さんの意見から真意を汲み取りますと、「今のTリーグのルールは本当に強い選手が勝つルールになっていない」という指摘なのかなと受け止めました。そして、それは本当の意味で参加する選手たちの成長や、日本の卓球の発展につながっておらず、むしろマイナスになっているのではないかという危機感なのだろうと受け止めました。そのような状態のTリーグは「世界No.1の卓球リーグを実現する」という理念には到底至らず、単なるイベント・興行になってしまっている、そういう意見なのかなと。その指摘や危機感を念頭に、現行のTリーグルールについて考えていきたいと思います。

Tリーグは団体戦形式のリーグ戦です。1試合は4マッチ(3シングルス、1ダブルス)を基本とし、「2-2」となった場合はビクトリーマッチで勝敗を決める仕組みです。シングルスが5ゲームマッチ、ダブルスが3ゲームマッチで、ビクトリーマッチは超短縮の1ゲームマッチです。各ゲームは「11点先取」を基本とし、デュースを行なうのは各試合の最終ゲームとビクトリーマッチのみ。ですので試合の大半において、「10-10」の場面では次に1点取って11点に乗せたほうが勝ちです。一般論で言えばサーブ権があるほうが有利であり、つまりは「最初にサーブを打ったほうが有利」ということになります(※2本ずつ交互にサーブを打つので10-10の次のサーブは先手番のサーブになる/デュースありでもそれは変わらないが2本のうち1本取ればいいみたいな猶予もない)。サッカーのPK戦が「1本先取」の勝負だったら先に蹴る側が有利過ぎてめちゃめちゃ文句が出そうですが、そのマイルド版をTリーグでは採用しているわけです。

世界のトップ選手が主戦場とするWTTでは、シングルス・ダブルスとも5ゲームマッチあるいは7ゲームマッチとなっており、決勝・準決勝であったり格付けが高い大会ほど7ゲームマッチが採用される傾向ですので、卓球における「真の決着戦」という観点では7ゲームマッチが求められるのかなと思います。その意味では、Tリーグのルールは「初見殺しで逃げ切り勝ち」とか「奇襲で最後に差し切り勝ち」とかがやりやすい、手の内を全部さらしたうえでの地力をぶつけ合う試合形式ではないなと思います。卓球界では「ゲームカウント0-3から逆転勝ち」なんて事例も多いわけで、手の内をさらしたところからが本番という感覚もあります。ですのでTリーグルールで勝ったとしても、WTTやオリンピックで勝てるとは限らない、それはまったく張本さんの指摘通りだと思います。そうした「真の決着戦」を日々戦っている張本さんにしてみれば、このルール・環境では本当の強さは育まれないと感じるのは自然で当然でしょう。世界1位を倒す最後の1点がどれだけ遠いのか、そこにひりつく勝負の醍醐味があるわけですから「そこをカットするんかーい」と言いたくなるというものです。自分が勝ったとか負けたとかではなく、卓球の頂点をうかがう者の当たり前の感覚として。

↓選手が心から「勝った!」「負けた…」って思う試合を観衆としても見たいのはその通り!




という話は、何も張本さんに指摘されるまでもなく運営側もわかってはいると思うのです。最終的には世界標準のルールだったり試合形式になるべき…という思いもあるんだろうと思います。それなのに現状そうなっていないのには、何か理由があるのでしょう。何でもそうですが、全員がマヌケだったせいで「おかしい」が放置されていることというのは実はそんなになくて、「おかしい」にはそれなりの理由があったりするもの。張本さんと運営側でコミュニケーションがあったのかなかったのかはわかりませんが、そこは先に裏で聞いてみてもよかったのかなと思いますし、聞いたうえで「やっぱりアカンわ」となっているのであれば、その全体像を発信してもよかったように思います。なので、取り急ぎは運営側からの「ご指摘の件、わかります」「言わせてしまって、申し訳ない」「ただ、こうした事情がありまして」という発信があることを望みたいと思います。

それを待つ間に個人的に思ったところを挙げますと、まだTリーグは裾野を広げる途上であり、その段階では世界標準と違う点があることも必要悪なのかなと思います。日本の卓球が発展していくには「オリンピックとWTTさえあればいい」「優秀な選手は超級リーグかブンデスに行くべし」なんて話では当然なく、日本で卓球をして生きていくための基盤…プロリーグがあってほしいと望むのは自然なことでしょう。そこには世界トップではないかもしれないけれど日本ではトップの選手たちが集い、その舞台をゴールとし、その舞台があるからこそ子どもの頃から安心して卓球に打ち込めたという若者たちが集ってくるのです。世界で勝つためではなく、卓球で人生をまっとうするために。大谷翔平さんあたりから見たら「お前、そんな意識じゃメジャーで通用しないぞ」と言われるのかもしれませんが、日本プロ野球で自分の野球人生をまっとうできる環境があるのは世界の頂点を目指すにあたっても重要なことだと思うのです。そういう環境がない国・地域に、何故か「世界最高峰のリーグ」だけがポッと誕生するとは僕には思えません。高い塔を建てるには大きな土台が必要なのです。

国内卓球プロリーグが盛り上がり、観衆が増え、チーム数が拡大し、卓球に人生を捧げようと思うレベルの選手たちを大体吸収できる規模になって、「その人生イイね」と子どもたちが憧れるくらいになっていれば、おかしなことをする必要はありません。世界につながる一本道を敷いて、世界に羽ばたける者はそのままスムーズに飛び立てるようにしてあげたらいい。ただ、今は2018年の発足当初に比べれば若干拡大したとは言え、いまだ男女6チームずつの小規模リーグですし、先日の男子開幕戦でも観衆は1500人といったところ。まだまだ発展途上のプロリーグです。理想よりも現実が先に立つ段階です。

観衆が物理的に見ていられる時間は2時間、せいぜい3時間でしょうか。そのなかにできるだけ多くの選手の出場機会を作り、インチキかもしれないけれどどちらが勝つかわからない波乱の展開を生み出し、卓球を好きで詳しい人でなくても楽しめるようなエンターテインメント性を求めようとしたら、今のような理不尽な試合形式も十分あり得るものだと僕は思います。Jリーグだって昔は「引き分けナシ/Vゴール決着」とかやってたわけですし。野球などはむしろ最近になってタイブレーク制とか導入していますし、状況に応じて「ルール」や「普通」は変化するのです。オールド卓球ファンなら「1ゲーム21点制、サーブは5本交代でなければ真の決着とは言えぬ…」とか言うでしょう。

よくある卓球の団体戦フォーマットだと3人編成のチームで「シングル5マッチ、3本先取」とか「ダブルス1マッチ+シングルス4マッチ、3本先取」とかになり「3-0」決着もよくある反面、もつれた場合には4時間超えの死闘なんてことも稀にあります。そこをTリーグでは「できるだけ多くの選手に出場機会を与えたい」「毎回3-0決着じゃ出場機会が限られるから混戦にさせたい」「ちょっともつれたほうが面白くない?」という希望と、「でもオリンピックじゃあるまいし4時間は見てくれないかも」「時間が延びるほどコストが掛かるのもまた現実」という恐れを勘案しつつ、妥協点を見出している段階なのかなと想像するのです。実際Tリーグでは「1試合に4名以上出場すること」「3-0で決着しても第4試合まで必ずやること」など出場機会の増加を意図したと思われる特殊ルールを導入しており、それとトレードオフになっているのが「真の決着戦=時短」の部分だと思うわけです。

本当に強い選手が勝つルールになっていないのはその通り。

一方で、限られた時間内により多くの選手が試合をできるルールになっているのもその通り。

この両方を普通のやり方で両立させるには、「チームが増える」が正攻法でしょう。チームが増えればより多くの選手が卓球で人生をまっとうすることができ、「試合数増加かつ時短する」みたいな策を弄する必要もありません。ただ、その正攻法に至るには何もかも足りないのが実情です。ファンの絶対数は単純に少ないですし、選手もTリーグは敬遠気味ですし(※世界に羽ばたいていく)、当然お金も環境も足りないでしょう。

ただまぁ、そのなかでどれが一番優先かとなったらやっぱり「選手」なのかなと思います。選手が何かを目指し懸命に奮闘する原初の光があって、そこに人々が惹きつけられ、お金が集まってくるのですから、「選手」がこの舞台何か違うなと思うのなら改めたほうがよいでしょう。実際問題WTTチャンピオンズ横浜大会は約5000人収容の会場で3連休ぶんのチケットが売り切れているわけで、エンタメ性を重視した時短ルールなら観衆が増えるという話でもなさそうですし、普通のルールにしてもお客が減ったりはしないのではないかと思います。有り体に言えば「減るほどいない」ですし。

運営側からは、観戦後に質問盛りだくさんのアンケート依頼とか送ってきてくれていますが、あの感じで選手たち自身に聞いてみてもいいのかなと思います。「今のルール面白い?」とか「どうしたらTリーグに人生懸けようって思う?」とか。発展途上のいいところは、守るべきものも成功体験も何もないので、何にでもためらわずトライできることだと思います。朝令暮改、大いに結構。どんどん変化しながら理想に近づいていけばいいんじゃないでしょうか。個人的な試案としては「1ダブルス、2シングルス」の5ゲームマッチ3試合制で、選手の出場は1試合に限り、最後のシングルスに勝点2あげるのはどうかなと思います。そうしたら双方必ず4選手が出場して、3試合で終了し、かつ序盤2試合がどういう結果でも最後までダレないので。勝ち点2のエース戦を担う選手は、真の実力が育まれるんじゃないかと思いますので、そこだけ7ゲームマッチにするとかでもいいかもですね。このルールだとひとり強いエースがいるチームがぶっちぎりで優勝しそうですが、むしろそのほうがどのチームにもチャンスがある混戦になる気もします。ひとり、とにかくひとりスカウトしてくれば勝てそうな理不尽ルールですからね!

↓選手間にもいろんな意見があると思いますが、まずは選手のやる気が出ることが最優先と思います!

この投稿だけ見ると「ぼちぼち頑張ろう」みたいなスタンスに見えますが、開幕戦では誰より熱いプレーをしていましたよ!

こういうやり取りをSNSじゃないところでやれたらもっとよかったかもですね!



SNSで問題提起するとザワつきが広がり過ぎるのは、考え物です!