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2025年10月06日08:00
トヨタアリーナ東京、いいじゃない!
本日はお出かけの記録です。バスケBリーグが開幕を迎えるにあたり、今季からB1リーグ・アルバルク東京の新ホームアリーナとして開業した新施設「トヨタアリーナ東京」を訪問してきました。新たなアリーナがどんな観戦体験を提供してくれるのか、期待と不安を抱えながらの訪問です。
↓降り立ったのはりんかい線・東京テレポート駅!
↓階段やエスカレーターにも装飾を施して熱烈なお出迎えです!
さて、正直に言って今回の訪問、僕のなかではネガティブ寄りの気持ちがありました。ここ数シーズンはよくアルバルク東京の試合を観戦しているのですが、その大きな理由に原宿にある国立競技場代々木第一体育館をホームとしていたという点がありました。あの立地、あの環境、近くて便利で賑やかで気分が上がる総合的な観戦体験に大きな魅力を覚えていたのです。水曜のナイトゲームもふらっと見に行けるような気安さや、代々木第一の建築的美しさやレガシー感なども含めて、とても気持ちのいい観戦体験だったのです。
それが今季から遠い遠いお台場に行ってしまう。チケット代もダイナミックプライシング制度も含めてガツンと料金が上がる。新しいアリーナはキレイかもしれないけれど、全体的に負担感が重くなるなと。試合を見に行くのにもちょっと気合がいるなと。まぁベルーナドームくんだりに野球見に行けるんだったらお台場は気楽だろうという話もありますが、「ずっと代々木第一にいてくれてもいいんだよ…」という地元に残された彼女みたいな顔で、彼が住む新しい街に来たわけです。
しかし、その少し薄暗い表情はいつしか晴れやかになっていきました。りんかい線・東京テレポート駅から駅徒歩5分と聞いていたアリーナですが、お台場の開けた平地と絶妙な配置によって、駅を出て1分と歩かないうちに視界にはトヨタアリーナ東京が入ってきます。実際にはそこからさらに公園を抜けてアリーナにたどり着くので駅徒歩5分はかかるのでしょうが、公園入口部分にバルーンで入場ゲートを設け、キッチンカーなどを並べますと、もう「そこからアリーナ敷地内」といった感覚になり、気分的には駅直結くらいの錯覚を覚えることに。
まぁもともとMEGAWEBとかがあった場所なので、駅から遠いはずもないのですが、東京アクアティクスセンターとか有明アリーナとかの「お台場にあるスポーツ競技会場の絶妙にどこからも遠い感」がまったくなく、新宿・渋谷から乗り換えなし直通というりんかい線の特性もあって、代々木第一体育館へ行くのと比べても気分的には遠さを感じません。時間は相応に掛かっていますが、個人的な感覚では「乗り換え1回、ほぼ駅直結」が維持されていて大きなネガティブ感はないなと気分が上がります。
↓駅徒歩1分でこの視界だと脳が「ほぼ駅直結」とカンチガイする効果あり!
↓公園に屋台など出すことで「もう敷地内」とカンチガイさせる効果も活用!
実際にアリーナにたどり着きますと外観などはやはり新築だけに大変キレイです。造りは全体的にコンパクトですが、アリーナ前にはそこそこの広場スペースがありつつ、アリーナ横にはバスケを楽しめる屋外コートなどもあって、雰囲気は良好。トヨタ関連施設ならではなのか、デカめのハイエースみたいな次世代車両「e-Palette」を売店に転用していたりして、新鮮な刺激も与えてくれます。お台場ならではの「生活感との隔絶」もあり、特別な場所に来たなという高揚感を覚えます。
↓もうだいぶ前から敷地内にいる気分ですが、アリーナの看板前に来ました!
↓トヨタの次世代車両は売店としても使えるようです!
↓トヨタアリーナ東京入口前に到着!
↓隣接するバスケコート前には記念撮影にピッタリのオブジェもありました!
こちらは庶民用の一般入口で、高額ボックス席などに座るVIPにはまた別の入口があるようでしたが、そこは気にせずで早速入場していきます。もしかしたら今回のお出かけで一番気分が上がったのはこの入場の場面かもしれませんが、手荷物検査しまして、チケット読み込みまして、扉くぐりまして、チラシなどもらいまして、そのまま視界が開けた前方に10メートルほど進んだらですよ、扉も階段も何もなく同じ視界が連続したままで試合会場のコートまで着いてしまったのです。「え!?近!?」ってなりましたよね。空間すべてを試合会場にしてしまうような、まるで代々木第一のようなこの試合と地続きの一体感。昨今の「入口のすぐ前にフォトスポットとか作っちゃってそこで人流を詰まらせている」設計ミスの会場に視察に来てほしいような体験でした。完全に錯覚ではありますが、りんかい線のエスカレーターを降りたらそこはバスケ会場だった、くらいの気分になりました。
↓入場時にチラシもらってそのまま前方に10メートル進んだ視界がコレって!
建物の構造としては5階建てとなっておりますが、一般客の入場口は3階フロアになり、そこがいわゆる「1階スタンドの最後部」にあたります。前のほうの良席のお客さんはスタンド内を降りていき、いわゆる「2階スタンド」にあたるお客さんは4階へ上がっていくという流れ。建物内は試合会場を取り囲むようにグルリとコンコースが一周しており、その左右にビッシリと必要な施設が配置されています。トイレ、売店、階段、エレベーター、ごみ箱、休憩所、トイレ、売店、階段、エレベーター、ごみ箱、展示スペース、トイレ、売店、階段、エレベーター、ごみ箱、キッズプレイスペース…といったリズム感で、必要なものがコレでもかコレでもかと連続して出てきます。
この配置感は両国国技館の体験に近いでしょうか。試合会場を取り囲むコンコースに売店やら展示スペースやらがこれでもかと配置してあり、周回しても楽しいし、自分の座席付近だけ利用しても用は足りるというあの過ごしやすさがトヨタアリーナ東京にはあります。よくあるアリーナの「この面、何もないな」という空白地帯がまったくない、充実の施設群です。特に驚いたのはトイレで、僕は男性用しか見ていないので女性用のトイレを見ると評価が変わるかもしれませんが、なかに入ったときに「大体このぐらいだろ?」というアリーナトイレ相場感を大きく上回る便器数がセットされており「広っ!」となりました。
あとで配置図などを見ると、人がたくさんいそうな場所には大きなトイレが設置されており、3階フロアのコンコース片面はほぼ全部トイレといってもいいくらいにトイレが用意されています。アリーナとかスタジアムなんて「みんな同じ時間にトイレに行く異常な環境」なんですから、人数に比しての適切な個数の設置じゃ滞るのが当たり前なわけですが、トヨタアリーナ東京には「どうせ試合開始直前とハーフタイムに一斉にトイレ行くんだろ?わかった、行け!」というトイレ絶対行かせるマンの存在を感じましたよね。
↓トイレに囲まれた試合会場という雰囲気も!
で、僕もせっかくならいろいろ楽しみたいと売店やら展示スペースやら巡ったのですが、ちょっと1回ではよくわかりませんでした。バラエティに富んだ売店がたくさんあって目移りする感じでして、これは何度か訪れるなかで少しずつクリアしていく体験なんだなと思います。初手は選手プロデュースグルメの売店、次はマスコットのコラボカフェ、次は音羽山部屋監修のちゃんこ屋、みたいな感じで。これも両国国技館の体験と近くて、ちゃんこがラインナップされていることも含めてなんとなく国技館を参考にしている気がしてきます。
フードの売店なんて「本当にこんなにいるかな?」と思うくらいにありまして、場内コンコースだけでもたくさんあるのに、さらに屋外テラスエリアにもズラズラキッチンカーを並べているものですから、買い出しの時間が短いこと短いこと。実はこちらの運営さんは原則として飲食物持ち込み禁止ということをうたっているのですが(※許容できる程度の例外規定あり)、なるほどここまでするなら原則飲食物持ち込み禁止をうたうのも理解できるかなとは思いました。フードにもチカラを入れているので、ぜひセットでお楽しみくださいと言うだけの内容は出してきていると思います。どうしても手持ちのお金がなければ事前に食べてくればいいわけで、上手にアリーナグルメを楽しんでいけるといいですね。
↓まずは定番の選手プロデュースグルメの店とか!
↓そしてマスコットのコラボカフェとか!
↓そこはかとなく名古屋を推してきている肉系丼もの屋とか!
↓屋外テラスにもキッチンカーがたくさん出ていて選択肢多過ぎィ!
そうした売店の体験においてもひとつ印象的だったのが、売店で買い物をしているときにも開放された隙間から試合会場が見えるようなお店を設けているんですね。「弁当を買いに出ている間はモニターで試合をチェック」になってしまうのではなく、試合会場と地続きのエリアに売店があり、没入感が損なわれないで買い物ができるような工夫をしているのです。随所に感心することしきりで、誰が考えているのか知りませんが、これがトヨタイズムなんだって言われたら「じゃあクルマもトヨタにしようかな」って思いますね。
↓コチラのお店、カウンターの奥にスタンドが見えますよね?
↓スタンドから見るとこんな感じになっているんです!
会計を待っている間も試合とつながっていられる!
そのほか5階フロアにはスカイラウンジなる、イートイン的に飲食を楽しみつつ、試合観戦もできるスペースが設置されていたりして、どこで何を飲み食いしてどんな観戦体験にするか、いろいろ工夫ができそうな感触。一度ラウンジに入ったらもう出てこないんじゃないかって気もしないではないですが、庶民にも「ラウンジ」という名前のスペースを与えてくれる優しさに感謝したいところですよね。
↓こちらがスカイラウンジ!普段は画面右手のカーテンを開けて外が見えるそうです!
↓もちろんこのラウンジも試合としっかりつながっています!ラウンジの柱が見えますね!
すっかり売店の視察ばかりになってしまいましたが、いよいよ会場内へ。今回はお値段お安めの天井席に入ったのですが、もう何度目かになりますがまたしてもこのアリーナに驚かされます。とにかく「近い」のです。まずコートが近いし、ビジョンがデカくて見やすいし、よくよく見たらアリーナを周回するようにリボンビジョンが大小2本走っていて得点表示などもいつでも見えるようになっています。
そして会場全体がものすごくコンパクトです。バスケ設営の場合1万人収容という話ですが、箱のサイズ感としてはマックスで7000人くらいの会場かな?と思う感じでキュッと圧縮されているのです。もうバスケ特化型というか、1階スタンドの最前列などはスタンド席とは言えないレベルの近さですし、余剰のスペースもほぼありません。バスケのコートを真ん中に置いて、その周囲にビッシリ1万席並べました以上!みたいな造りです。コンサート設営の場合は少し中央部が手狭になるかもしれませんが、このコンパクトさなら一番上の天井席からでも選手の表情まで見えるでしょう。近いは正義、そんな会場です。
スタンドはいわゆるすり鉢状の構造なのですが、勾配はやや緩めで、体感として「もっと急勾配の会場はあるな」と思いました。前の人が前のめりになったら少し頭が邪魔になるかもしれません。ただ、その緩やかさのぶん手すりなどの余計な構造物はほとんどなく、とにかく前の人の頭以外は邪魔になる可能性のあるものは何もありません。視界全体としてはスッキリと開けており、「何故僕の視界に手すりが…」「誰だよこのアホな階段の折り返し作ったの…」「階段の折り返しはお前の記念撮影スポットじゃないからどけ!」などとプンスカする心配はなさそう。
勾配が緩やかであるぶん、一段ごとのスペースもゆったりしており、着席したままの状態でもギリギリ足を通過させることができるくらいにはヒザと前席の背もたれの間に隙間を作れます。座席下のスペースはカバンを置けるサイズが十分にあり、何より椅子が柔らかい!一番後ろの天井席でも座面も背もたれもフカフカで、3時間座っていてもまったく苦にならないイイ椅子でした。「前の席のアフロ」に年中憤っている視界にうるさい僕でも、勾配が緩やかな分を勘案しても総合的に満足できる絶妙な設計だなと思います。これはちょっと設計時の話とかいろいろ知りたくなる感じですね。
↓ほぼ最後部から見てもこの近さ!1万人収容の会場とは思えない!
↓センターの大型ビジョンは情報量充実!
↓スコア表示や広告表示、場内演出にも活用される二重のリボンビジョン!
↓スタンドはキレイなすり鉢状で手すりなどなく視界良好!
↓椅子は天井席でもフカフカです!
↓広いとは言わないけれど、このコンパクトさに1万席入れたにしては上出来の席間!
いやー、いいんじゃないでしょうか、トヨタアリーナ東京。ややネガティブなところからスタートしたこともあって、期待をいい意味で大きく裏切られました。こうして振り返っていても「アレがああだっらよかったのにな」がパッと思いつかない、けなすところがすぐに出てこないアリーナでした。ここまで触れていない部分でも照明が明るくていいなと思いましたし(※これはむしろ明る過ぎと言われるかも)、音響もなんとなくよかった気がします。あんまり音の良し悪しもわからないのですが、よくハーフタイムショーとかでありがちな「スポーツ会場の音響だと歌声が割れてひずんで何言ってるかわからない」という現象が起きず、低温含めて迫力ある音なのに歌詞がハッキリ聞き取れたのはスゴイなと思いましたよね。
とまぁ、会場の感想が長くなり、試合の感想にたどり着きませんでしたが、おかげさまで試合のほうも大変楽しく観戦することができ、大満足のお出かけとなりました。もしも関東近郊のアリーナを転々とするバスケのチームがあって、友だちを誘って見に行くならどのアリーナで試合する日にすべきかという検討機会が発生したら、僕はトヨタアリーナ東京で試合する日を選ぶと思います。代々木第一の近さという利点はやや気にはなりますが、総合的な観戦体験としてはコチラが上かなと思いましたので。近さの部分は、多摩とか八王子とかの友だちを呼ばなければいいだけですからね。むしろ豊洲のタワマンに住んでる友だちだったら原宿に行くほうが遠いでしょうし。人を誘って探検したくなるアリーナ、そんな楽しい場所としてどんどん進化していってほしいなと思いました!
↓散策の様子など動画でまとめておりますので今後行かれる方はご参照ください!
次はもっと早く行って、いろいろ見て回りたいです!
見逃しているものがたくさんありそうなので!
心配なのはアルバルク東京が今季弱そうだなってことくらいですかね!





























