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ブラジルにもヨシダ(概念)がいた!

2026年ワールドカップを目指すサッカー日本代表がやってくれました!何とあの世界最強のサッカー王国として、実態はさておき今も世界中から多くの敬意と憧れを集めるブラジル代表に対して歴史的初勝利を記録したのです。これには2025年の戦い全般に漂っていた「あれ?」という感じも払拭されずにはいられません。ワールドカップ優勝を夢として掲げるに十分なチカラと手応えを示すことができたのではないでしょうか。




大観衆が詰め掛けもはや椅子を置く隙間もなくビッシリと青で埋まった東京・味の素スタジアム。豪華なメンバーが集った放送席には、ピッチ解説としてかつてブラジル代表からゴールを奪ったことがある槙野智章さんも駆けつけてくれました。ほかの日ならさておき、この日ばかりは「ブラジルから1点も取ったことのない解説の内田篤人さん」よりも「ブラジルから1点取ったことがあるピッチ解説の槙野智章さん」のほうが、大きな存在感を放っていると言っても過言ではないかもしれないこともないのではないかという説もある、そんな顔ぶれです。何せブラジル代表(※A代表)から得点を奪ったことがある選手は歴史上5人しかいないのですから、これは槙野さんの言葉にも耳を傾けるしかない、義務感に近い神妙な感情で僕も耳をそばだてます。そばだてた耳に「どうですか影山さん」と呼び掛けられるたびに「どの影山さんですか!?」「あぁアレじゃなくて!」「飛行機でやったらそりゃANAも怒りますよね!」とドキマギすることになる状況も、これはもう槙野さんに免じて受け入れていくしかありません。

しかし、戦前の雰囲気は決していいものではありません。アジア予選の最終盤ではオーストラリアに黒星を喫したり、9月のアメリカ遠征では本大会で開催国として居並ぶメキシコ・アメリカを相手に無得点の1敗1分と低調な結果に終わり、2025年は右肩下がりに雰囲気が低下している日本代表。先日10日のパラグアイ戦もほぼ負けの展開から「相手GKのトス」と「最後のドサクサ」で何とか追いついたという格好の2-2ドローとなっていました。一方でブラジルは同じ10日に韓国代表を相手に5-0の大勝を飾っており、かつてのような世界のメガスター集団という感じではないとは言え、やはりブラジルはブラジルだなと震えるばかりの強さ。「ひと昔前ならビニシウスVS槙野のマッチアップとか煽ったんやろうか…」「ひと昔前エグいな…」「政治家だってもうちょっと現実味のあること言うぞ…」などと戦う前から敗北の歴史が積み重なるイメージだけが膨らんでいくほどです。はたして日本代表はこの強敵を相手にどう戦っていくものか。

↓ひと昔前とは違う、世界の最前線で戦うメンバーだけが集った充実のスタメン!

なお、ワンピースの懸賞金みたいなシステムで言うと、市場価値は日本約332億円VSブラジル約1613億円とのこと!

くー、これだけ充実してもさらに5倍か!



ウォームアップ中には笑顔も見せていたブラジル代表が引き締まった表情へと一変して迎えた選手入場。キックオフ前には8月に亡くなったレジェンド・釜本邦茂さんへ黙祷を捧げる場面も。互いに緊張感を滲ませながら、いよいよ試合が始まります。日本はおなじみの3バックの布陣から、サイドが引いて5枚の守備ブロックを作り、しっかりとブラジルの攻撃を受け止めていく構え。ブラジルは名将アンチェロッティ監督就任の影響か組織的なサッカーを展開してきますが、ときおり見せる自陣でのおしゃれなヒールパスや、瞬間的な速さで突破してくる攻撃など、ブラジルらしさもたっぷり。シュートやチャンスは少なめながらも、互いに相手ゴールを脅かしつつ熱量の高い試合を演じます。

そんななか試合が動いたのは前半26分。ブラジルは右サイドからパウロ・エンヒッキさんが縦の細かいパス交換で抜け出し、そのまま先制点を決められました。さらに直後の前半32分、今度は日本陣内で長いボール回しをされた末に、球際の競り合いでひとつ負けたのをきっかけに、一気にマルティネッリさんに裏を取られ、今度もそのまま追加点を決められました。このあたりはブラジルの嗅覚というか、「これがチャンスになる」という未来絵図を描いて反応するまでの速度が違うなと感じさせられる場面でした。ガッチリ構えた日本の守備がまだ前を向いている状態で、もう裏に入られているんですから。漫画なら背後を取られて「は…速い!」とか慄くセリフが入るところです。

↓このままいったら普通に5点くらい取られそうな気配!


日本はその後特に反撃のチャンスはなく、結局前半は0-2で折り返しに。ひたすらボールを回されて、ここぞの瞬間的な強襲で2点を失うこれぞブラジル戦という展開に、僕も「森保 解任」検索で世間の空気を探らずにはおれません。うーむ、まだまだ「マスコミ 偏向」「公明 裏金」「野党 節操」の勢いには及びませんが、単刀直入な「森保解任」4文字での投稿なども散見されキナ臭い雰囲気です。ただ、まだ世間も揺れている感じで「森保解任して名波繰り上がったらと思うと震え止まらん」など解任一辺倒というムードまでではありません。後半に向けてしっかりと巻き返しを図ってほしいところです。

両チームメンバー交替なく迎えた後半戦。そこには「まさか」の展開が待っていました。攻勢を強める日本が後半5分にエリア内中央から惜しいシュートを放つなど圧力を掛けるなか、後半7分、自陣でボールを保持するブラジルは最終ラインに何でもないバックパスを戻します。これを受けたファブリシオ・ブルーノさんは、詰めてくる日本の動きに「やべ!パスコースない」と慌てたか、大きく蹴り出せばいいものを何故かエリア内でコースを塞いでいる南野拓実さんに転倒しながらナイスパスを決めてしまいます。「ヨシダだ」「ヨシダみたい」「ヨシダって今何してるんだっけ?」と我が家の茶の間が戦慄するなか、南野さんはこのチャンスボールを落ち着いてゴールに叩き込み、まずは1点!

↓ブラジル代表でもこういうのやるんですね!まぁむしろブラジルっぽいって話もありますが!


ブラジルは一気に3枚を代えて前線にフレッシュな選手を投入してきますが、勢いがあるのは日本のほう。後半17分には、右サイドを突破した伊東純也さんのクロスが逆サイドまで抜けると、これを叩いた中村敬斗さんのシュートに対して、またしてもファブリシオ・ブルーノさんが出張ってきて、何とまさかのクリア失敗で自ゴールに蹴り込んでしまいます。記録上は中村さんのゴールですが、本当のブラジル代表守備陣(本当のベンゼマみたいなどこかにきっとあると語られる概念)であればコレをやったかな?逆に本当のヨシダならやりそうだな?という限りなくオウンに近いゴール。一気に試合の形勢が変わってまいりました!

↓1試合で2回ヨシダったらワールドカップでお会いするのは難しいかもですね!


さらにブラジルゴールへと襲い掛かる日本。後半25分にはまたしても伊東さんから鋭いクロスが送られると、ここに上田綺世さんが飛び込んで素晴らしい高さの打点からシュートを放ちます。ここでもまた地味にファブリシオ・ブルーノさんが上田さんと競り合いながら、最終的にはヘッドで自ゴールクロスバーを叩いていたりするのですが、さすがに三度目のヨシダはならず、ここはコーナーキックに。しかし、もう日本の勢いは止められません。このコーナーキックから上田さんが打ち直しのゴールを決め、日本が怒涛のゴールラッシュでついに逆転!

↓ブラジル代表も頭を抱える悪夢の展開に!


後半29分にはお互いに3枚のカードを切り、激しさを増す試合。しかし、ペースは引きつづき日本のまま。1対1で素晴らしい守備を見せた鈴木淳之介さんに対して、ブラジル代表のエステバンさんがユニフォームをつかんで引きずり倒しにくるなど、どちらが格上なのかもわからなくなるような競り合いも生まれます。すでにスタジアムはお祭り騒ぎ、日本ベンチでは笑顔も見られ、歴史的勝利へ一歩一歩近づいていきます。やがて時計は規定の45分をまわると、表示されたアディショナルタイムは6分。ブラジルも最後までゴールを狙って懸命に戦いますが、日本は集中を切らさず相手のあがきを最後まで凌ぎ切りました。前半を終えたときは「森保解任」を検索するような試合だったものが、まさかこの歴史的勝利へとつながろうとは。最後に長い笛が吹かれると、まるで何かに優勝したような感じで、日本がブラジルに勝利しました!

↓あえて言うならキリンチャレンジカップ優勝です!

まさか「アンチェロッティ 解任」のほうが盛り上がりそうな試合になるとは!

またしても森保監督が世界の名将にサッカーの難しさを教えてしまったな!



ファブリシオ・ブルーノさんがいなければどう転んでいたか分からないという側面はあるものの、勝ちは勝ち。これまで何十年・10何試合と歴史を重ねたなか、いつもいつもブラジル代表が本気モードだったわけでもベストメンバーだったわけでもないのに一度も勝てなかったものが、最後頭抱えるまで本気を出したブラジル代表に歴史的黒星をつけてやったのですから大いに自信にしていいところ。

ほんのひとつ、ほんの少しのキッカケや流れがあれば、日本代表はブラジル代表にも届き得る。ドイツ、スペイン、そしてブラジル。森保ジャパンはまたひとつワールドカップ王者を相手に歴史的逆転勝利を見せてくれました。もはやここまでくると世界の名将率いるワールドカップ優勝国に前半ボロボロにされると、何故か後半から逆転イベントが発生する法則でもあるんじゃないかと思えてきます。これはぜひ本番でも、そういう強豪との対戦を引き当てて、世界を驚かせたいもの。「森保 解任」を検索されている皆さんも、この圧倒的結果の前にはその手の平を回転させ、「名波 だけ 解任」でも検索しながら穏やかに過ごしていただければと思います!

↓何か次の試合でウソのように負けそうな記念写真ですが、次負けても何の問題もないので大丈夫です!

本番のイメージがバッチリわきました!

来年、これをアメリカ大陸で再現しましょう!



歴史的な試合だったのでファブリシオ・ブルーノさんの名前だけ覚えました!