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立派なスケートリンクになってました!

週末つづけざまのお出掛けとなりますが、間もなく開幕を迎えるミラノ・コルティナ五輪に向けての気持ちを高めるべく、ショートトラックの全日本選手権を観戦してまいりました。あわせて、会場となる東京辰巳アイスアリーナを実際にこの目で拝見しよう、そんなことを思ってのお出掛けです。

向かいましたは東京アクアティクスセンターにもほど近い江東区辰巳。かつてこの地にあった辰巳国際水泳場が、東京アクアティクスセンターの完成を受けて役目を終え、通年型のアイスアリーナに転用されました。建物自体はそのままで、プールを撤去し、アイスリンクを設置し、開業を迎えたのが2025年9月のこと。オープニングイベントの観覧などはご縁がなかったもので、ニュースなどでチラ見するに留まっておりましたが、遅ればせながらアリーナ探訪としゃれこんでいきます。

↓ということでやってきました新生・東京辰巳アイスアリーナ!
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↓ショートトラックの五輪最終選考会を兼ねた全日本選手権を観戦します!
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まぁ、聞いていた話通りと言えばそれまでなのですが、外観については基本的に特に何も変わっていない感じ。看板の文字こそ張り替えられましたが、観衆の導線含めていつも通りです。ロビーが広くなるとか、売店スペースが広くなるとかも特になく、「居抜き」といった佇まい。

なかに入りますと、早速ヒンヤリした空気が感じられ、アイスアリーナになったんだなと変化を実感します。見なれたドーム型の屋根と2面の大型モニター、しかしフロアに据えられたのは国際規格のアイスリンク。メインスタンドの観客席はそのまま転用されているようですが、バックスタンド側の簡易スタンドや飛込競技で使う台などはなくなり、そのあたりは荷物置き場とされている様子。

この日は見る機会がありませんでしたがカーリングができるサブリンクも設けられているそうで、立地や観客席数(3500席)などもほどよく、現実的な利用料金も含めて東京近郊でのウィンタースポーツイベントで幅広く活用できそうな施設です。施設カレンダーを見るとすでに朝から晩までさまざまな団体が練習や試合で利用しており、「待望」の施設といったところがうかがえます。

↓おお、立派なリンクが設置されています!
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↓飛び込み台などがあったあたりは広大な荷物置き場に!
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↓大型ビジョンなどは従来のものを利用しているようですね!
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↓応援のバナーも掲出されたスタンドは、椅子もそのままでよく見知った感じでした!

で、去る週末にこちらの会場で行なわれたショートトラックの全日本選手権。「全日本」とは言っても、この大会がミラノ・コルティナ五輪の最終選考会を兼ねており、実態としては選考会のほうがメインといった建付けです。ショートトラックでは国ごとに獲得した枠に対して、その枠数のなかで各国の統括団体が選手をあてこんでいくことになっており、日本で言うとミラノ・コルティナ五輪の出場枠は男子が4、女子が5となっています(※リレー含む)。

すでに実施済のワールドツアーで五輪代表選考基準を満たした選手が複数おり、男女3名ずつに事実上の内定が出ています。そして、内定済の選手がこの日の大会に出場すると「五輪切符を放棄した」とみなされ、再度この日の大会で好成績を残したとしても「代表に選考しない」ということになっているため、端的に言えば有力選手は全員お休みする大会です。それは逆に言えば、最後の切符を懸けて人生の大勝負を演じる選手だけが出場する日ということでもあります。その一場面に立ち会うというのは、観衆にとっても大変な誉れですので、熱く見守っていきたいもの。

と言いつつ現地入りしたのはお昼過ぎということで、早朝から始まっていた競技はすでに大詰め。残すは男女1000メートルの決勝のみという状況です。個人種目500・1000・1500の中間距離にあたるこの1000メートルは、スピードと持久力のバランスを問われる種目でもあり、選考でも重視される種目です。ここでのパフォーマンスが代表争いにも大きく影響する、するんじゃないかな、そんな思考で「決して朝寝坊による出遅れではない」「あえて最終局面にやってきた」と自分に言い聞かせながらレースを見守ります。

女子のA決勝では前日の競技で500メートルと1500メートルを制していた長森遥南さんが後方待機の構えからレース中盤以降に着実に順位を上げ、最後はしっかりと逃げ切って優勝。レース序盤には、スケート界にその一家ありと名高い菊池家の菊池萌水さんが転倒で大きく後退するような場面もありましたが、そうしたアクシデントにも影響されることなく勝ち切る見事な三冠達成でした。代表争いの有力候補であった黒川輝衣さんが準々決勝で敗退となっておりましたので、この三冠は代表争いにもインパクトを与えそう。

↓奥から2番目の10番が優勝の長森さんです!
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↓勝利後は「どんな壁を乗り越えても絶対にハグしたい」という熱い思いで陣営と歓喜の抱擁!
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つづく男子の1000メートルA決勝では1500メートルを制していた松林佑倭さんが優勝して、こちらも2冠達成。ちなみにこの日の優勝者となった長森さんと松林さんはともにアンリ・シャルパンティエ所属ということで、お祝いのアイスかケーキでも振舞われるのではないかと勝手な期待を募らせましたが、そんなことがあるはずもなく(!)、その代わりに仲良く勝利を祝うふたりの姿を拝見することとなりました。

↓最後方からひとりずつまくっていく強いレース運びでした!
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↓所属先仲間ということでお祝いの連携もバッチリでした!
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レースを終えたあとは、緊迫の五輪代表の発表へ。選考を待つ間、場内ではファンミーティングイベントが行なわれ、すでに事実上の内定を決めている選手たちがスタンドに登場して、ファンからの質問に答えるなんてお楽しみコーナーが実施されました。すぐそばにファンもいるなかで、選手たちがその辺を歩きながらイベントに登場するあたりは、距離感の近さというか、普段あんまり観衆がいない環境で試合をしているというところが感じられたりもして新鮮です。

選手たちに大会の感想などを聞いても「私は出てないんですが、すごくお客さんが多くて感動しました」「僕は出てないんですが、この環境で滑ってみたいです」みたいな話が何度も繰り返されており、観衆としても嬉しい気持ちに。3500席あるという座席の3分の1くらいは埋まっていたかなと思いますので、言うても1000人とか1500人とかだと思うのですが、こんなに喜んでもらえるなら足を運んだ甲斐もあるというもの。今後はぜひもっと重要な大会…距離別選手権とかも東京でやってもらえるといいのではないかと思いました。上手く告知すれば満席も目指せると思いますので。

このファンミーティングイベントに出ている選手は「私は五輪代表決まってる」という余裕がありますので、トークも大変軽やかです。「キッチンカーがたくさん出ていて嬉しかったです!」「僕は全種類食べました!」「ケバブが一押しです!」みたいな意識低い系(!)のトークを披露してくれたり、「五輪に向けた気持ちをラップで表現してください」なんて無茶ぶりに吉永一貴さんが即興で見事なラップを返す場面もあったりして、楽しい思い出となりました。お世辞とか皮肉とか罠とかではなく、吉永さんのラップは文字通りに見事なラップだったと思いますので、今後の壮行会やらテレビ取材やらでもぜひラップをガンガンズンズングイグイ押し出していってくれるといいなと思いました。

↓スタンドでファンミをやるというサービス全開の運営姿勢!
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ひとしきりファンミなどしていると、この日の競技に出場していた選手も着替えてスタンドに駆けつけ、それぞれ家族や関係者と記念撮影をしたり抱き合ったりして過ごしています。間違って自分が関係者席にいるのかなと思ってしまうほど、選手と関係者と観衆の距離が近く、選手への思い入れも強まっていきます。ついには、代表発表も距離感ゼロのスタンドでやりましょうとばかりに、選手たちがスタンドの一角に集まり始めました。勢ぞろいした有資格者のなかからその場で代表を呼び出すというなかなかに劇的な発表方法です。

すでに事実上内定済の6選手は淡々と発表を受け止めていきますが、この瞬間まで未定だった男子のラスト1枠と女子のラスト2枠が発表されたときには大きなどよめきもあがります。男子では前日の1500メートルで一旦1位入線しながら、他選手間の競り合いにおけるペナルティによってレース自体がやり直しとなり、再レースでは5位となっていた岩佐暖さんが選考されました。自分自身以外のことも含めていろいろ難しい最終選考会だったかなと思いますが、アクシデントは出尽くしたという思いで本番では頑張ってもらいたいところ。

そして女子ではワールドツアーにも参加していた渡邉碧さんがまず代表入りを決め、そして最後の1枠には今大会で3冠を成し遂げた長森遥南さんが、ワールドツアー組の黒川輝衣さんを逆転する形での代表入り。3冠という結果がよほどのインパクトを与えたということなのでしょう。本人的にもこの発表はインパクト大だったようで、驚き混じりの感じで立ち上がると、リンクへの移動では感極まって泣きながら誘導される姿を見せていました。スタンドのそこかしこで祝福やら号泣やらが巻き起こり、代表選手に意気込みを聞くインタビューでも涙で言葉を紡げなくなるような選手もいたりして、スポーツというよりは「人生の大事な日」を見守ったような気持ちになりましたよね。

↓こちらが選考されたショートトラック五輪代表の皆さんです!
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↓女子の記念撮影では中央の中島未莉さんがひとりでボードを持たされたことで、ガッツポーズできず!
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チークワークへの課題を若干感じましたね!

誰かひとり片手貸してあげなさいよと!



そんなこんなで思いがけず感動の一日となったこの日。五輪に向けて自分のなかの思い入れもグンと増して、いい準備ができたなと思います。個人種目+混合リレーに出場する男子勢にはワールドツアーで1500メートル上位進出の常連となり世界ランキングでも上位につける宮田将吾さんがいたり、女子勢では今季のワールドツアーで2度の3位表彰台を経験した3000メートルリレーがあったりしますので、メダルにも期待を持って見守っていきたいもの。日本勢のショートトラックの五輪メダルは、何ともう27年前になりますが長野五輪での西谷岳文さんらが記録したダブルメダル以来ひとつもないんだとか。言われてみれば「そうですね」「ヨソも強いし」と思いますが、さすがに27年は空き過ぎでしょう。そろそろ壁を打ち破ってもいい頃と思って、期待したいと思います。

見事に壁を打ち破った際には、ぜひ選手たちのために今後の大会でもキッチンカーを出してあげていただければと思います。僕もそれなりにいろいろな現場で選手のインタビューを聞いてきましたが、あんなにキッチンカーの出店に選手が喜んでいる現場は初めて見ました。あんなに喜んでくれるのなら、ごほうびは永続的なキッチンカー、これしかないと思いましたよね。赤字で大変と聞いていますが、日本スケート連盟の皆さん、ショートトラック試合会場へのキッチンカーの永続的な出店をよろしくお願いいたします!

↓ちなみに、選手たちが全種食べたなどと盛り上がっていたキッチンカーはコチラです!
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「よくある感じの」と思ってしまってすみません!

キッチンカーがある大会は当たり前のことではなかったのです!



選手の要望を汲んでラインナップにケバブは必須ということでお願いします!