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強豪国同士が睨み合って別れたドロー!

FIFAワールドカップ2026、日本代表が見事な発進を決めました。FIFAランク8位、過去準優勝3回という強豪オランダを迎えた日本の初戦は、2度リードされたものをいずれも追いついての2-2ドロー、最後は互いに「納得の勝点1を分け合って終わる」という結果となりました。

ひと昔前であれば「初戦の相手は日本か、ならばオランダが勝点3を狙う試合だな」となっていたであろうシチュエーションは、長い歴史の積み上げによってグループステージ第1節のなかでも指折りの好カードとなりました。世界の強豪オランダが最大級の警戒心をもって試合に臨み、それにふさわしいチカラを日本が示し、下馬評に違わぬ面白い試合になりました。まさに隔世の感があります。

この試合に臨むにあたり、恐怖や不安はまったくありませんでした。オランダに対する敬意はあるけれど、萎縮することはもはやない。勝ち負けを演じて当然の相手としてオランダを迎え、堂々と渡り合い、しかも日本は功を焦らなかった。最後の数分、2-2に追いつかれたオランダは「もうこれでいい」という動きでした。まぁ、それはいいでしょう。しかし日本も、「これでよかろう」という動きでした。これがすごかった。

長い戦いを見据え、相手の力量と試合の状況を踏まえて、今日のところはドロー勝点1で納得できるような場所まで日本はきている、そう思いました。陸上男子100メートルで強豪たちが準決勝までは決して本気を出さないように、日本はオランダを沈めるチャンスもありながら、そこにこだわりはしなかった。今ここで勝つことに意味はないし、それは目指すものではない、そんな空気感。心から「日本は強くなった」と実感しました。

まだ大会は始まったばかりで、本当のチカラを見せるべきタイミングはまだこの先にあります。一戦必勝のトーナメントでどれだけのチカラを出せるか、そこに向かってジワジワとあげていってもらえたらいいなと思います。開幕前はアクシデント的な出来事が多く、心配もされましたが、完全に取り越し苦労でしたね!

↓どの道「最高の景色」はここにはないのだから、今日はこれぐらいでカンベンしてやろうの心!



午前5時、日本はぱっきりと目覚めていました。各地のパブリックビューイングに駆けつける人たちの姿、家々の窓に灯る明かり、時差の関係で早朝の初戦となりましたが、万障繰り合わせて「日本」がオランダ戦に集いました。現地ダラス・スタジアムはオレンジのカラーが若干優勢ですが、日本のブルーも大きな塊で盛り上がっています。相手が実績上位であることは承知しつつも、虎視眈々勝利を狙う、そんな心境です。

日本はおなじみの3-4-2-1のシステムでほぼ想定通りの顔ぶれですが、左シャドーのスタメンには前田大然さんを入れてきました。豊富な運動量でスイッチを入れる役目を担うことが多い前田さんをスタメンで入れてきた、そこにはしっかりとした守備、間違いのない序盤の入り、そんな意識があるのかなと思いました。オランダは伝統的なウィングが大きく張り出す4-3-3の構え。まずはオランダの攻撃をしっかり潰して、チャンスをうかがっていきたいところです。



森保監督が目にわずかに涙を滲ませた国歌斉唱を経て、迎えたキックオフ。前半はいたって静かな展開です。日本は中盤の司令塔にあたるデ・ヨングさんにしっかり警戒を払いつつ、積極的にボールを奪いにはいきません。睨みを利かせる、といった構え。オランダは伝統芸といった感じで、左ウィングのガクポさんにボールを預けての攻撃を主に繰り出してきますが、そこは日本も堂安律さんと久保建英さんがふたりでマークする決まりになっているようで、しっかりと睨みを利かせています。

日本はオランダにボールを持たせ、ただし急所はしっかり押えているので、オランダもなかなか出しどころがない、互いに「前半はそれでいい」そんな雰囲気。日本で見守るファンも「前半は解説の本田さんと一緒にワールドカップを学習する時間にしよう」「開幕戦見てない、選手の予習してない、ハイドレーションブレイク知らない、ところから本田さんと一緒に学んでいる最中」「まさに視聴者目線の解説でありがたい」などと、じょじょに大会にフィットしていけそうな静かな立ち上がりです。

ときおり単発で訪れるチャンス&ピンチも、そこまで得点の匂いがするものではなく、互いにゴールにはつながらず。前半3分に相手のマレンさんが上手い反転からゴールの枠を捉えたシュートを放ちますが、コースはほぼ正面で鈴木彩艶さんがしっかりセーブ。前半28分にエリア内正面で中村敬斗さんがボールを持つ場面があるも、シュートには至らず。前半34分、コーナーキックからオランダのシュートを許した場面も当たっている鈴木彩艶さんがしっかりセーブ。前半43分に中村敬斗さんがエリア内左から放ったシュートは、ゴール脇のボトルを叩くところまで。前半45分の上田綺世さんのシュートはサイドネットへ。セットプレーやクロスが入ったときの空中戦で日本が押し負けているのはやや気になりますが、「何もない前半」だったと言ってもいいくらいです。

↓前半一番盛り上がったのはベンチに掲げられた遠藤航さんのユニフォームが映った場面でした!


このまま終わるはずがない後半、双方ともハーフタイムでの選手交代はありません。ただ、前半の流れそのままではなく、オランダは前半とは一転して右サイドからの攻撃を中心に繰り出してきます。すると後半5分、相手フリーキックの流れから相手右サイドにボールがこぼれると、長身選手が多く残ったままのゴール前にクロスを入れられ、ファンダイクさんにヘッドで決められてしまいます。オランダ先制、日本失点。前回大会は前半失点からのハーフタイムで軌道修正という流れでしたが、今大会はピッチ上で自力での立て直しが求められることになりました。

しかし、日本はたくましい。先制点を許したすぐあとの後半12分、ここまでたびたびチャンスに絡んできた中村敬斗さんがやってくれました。左サイドでボールを持った日本は、久保さんと中村さんの連携で相手守備を崩し、最後は中村さんのまた抜きからのシュートで同点弾を突き刺しました。中村さんは、シュート打てない⇒打つもボトル叩く⇒見事な同点弾、と試合内でアジャストしていくような見事な微調整具合で、今大会のひとつの不安要素であった三笘薫さんの不在というところも払拭してくれました。

↓誰がいるとかいないとかではなく、誰が出てもできる!




さぁ、試合は俄然盛り上がってまいりました。このままノッていきたい日本と、そうはさせてくれない世界の強豪オランダ。ここで日本にとっては試練の展開となりますが、同点に追いついたすぐあとの後半19分、オランダに勝ち越しを許してしまいます。オランダ右サイドからフラーフェンベルフさんが日本の守備を引きつけながら前進すると、空いたサマーフィルさんに渡し、長いシュートをゴール隅に決められてしまいました。もう一回入れろといったら入らないかもしれませんが、お見事なコースでした。うーん、厳しい。

ただ、日本にはまったく動揺はありません。相手がまだゴールを喜んでいる間に、しっかりと円陣を組み、声を掛け合っています。ベンチも動き、前田さんを下げて伊東純也さんを投入します。一方オランダもハイドレーションブレイクを利用して一気に3枚を代え、日本の反撃に備えます。その動きと、試合中の接触で久保さんが足を痛めたことを踏まえて、さらに日本は3枚を交代。久保さんに代えて小川航基さん、渡辺剛さんに代えて冨安健洋さん、そして堂安律さんに代えて菅原由勢さんを投入します。相手がしっかりブロックを敷いて構えることを見越し、日本の右サイド・疲れが見えるガクポさんの側に攻撃の起点を据えて、伊東さんの突破&好クロス製造機の菅原さんから小川さんあたりを狙う構えです。このあたりは互いにカードを切り合う知略戦といった感じで、日本のたくましさを感じるようでした。もはや「疲れが見えるので同じ役目の選手を入れる、ことで全部のカードを使う」なんて次元にはないのです。

試合時間が残り15分から10分と進むと、オランダはクローズに向けて残りのカードを切り、5-4-1の5バックでほぼ引いて守っているような状態です。日本も最後のカードとして上田綺世さんに代えて塩貝健人さんを入れ、最後の攻勢に出ます。逃げ切りたいオランダと、そうはさせじの日本。勢いは日本にあり、オランダは懸命に守っているような格好で、セカンドボールもほとんど日本が取っているような状態です。

そしてついに訪れた後半43分、執拗に攻めつづけた右サイドからのコーナーキック、ゴール前正面に入れたボールは小川さんのヘッドから最後は鎌田大地さんに当たってオランダゴールに吸い込まれました。ここまでクロスでもコーナーキックでもとにかくゴール前は外してファーサイドへ送る「逃げ」のプランを見せつづけた果てに、ここぞの場面でド真ん中で真っ向勝負を挑むというこの大三味線。日本が自分たちに真っ向勝負の空中戦を挑んでくるとは思いもしなかったか、あるいは試合中にファーサイドに逃げるボールを意識させられたことで一番危険なエリアへの意識が少し薄まったか、とにかく日本は相手の鼻っ柱をガツンと折ってみせました。会心の同点弾!

↓サムネも含めてほとんど小川さんのゴールですが、記録上は最後に触った鎌田さんのゴールになりました!


ニアに3人を走らせ、ファーで2人が引っ張り、空いた中央に大回りした小川さんが飛び込む!

意図があるセットプレーでオランダのゴール前をこじ開けた!



アディショナルタイム6分を含めての残り時間、そこには強豪国同士の初戦、といった予定調和が広がっていました。もちろん勝てるものなら勝ちたい。ただ、オランダも逃げ切りを意図してメンバーを代えてきた流れですし、日本もこの試合でこれ以上のリスクを冒す流れでもありません。「もう一回勝ち越すのはキツイ」「二度追いついたなら今日は十分」「ではこのあたりで終わりということで」と、お互いにこの結果にある程度の納得と満足をもって、試合は2-2の引き分けに終わりました。

オランダが勝点1を不満とすることもなく、日本がオランダに勝てるかどうかで功を焦ることもなく、それぞれ少し残念に思いつつ総じてこれでヨシとしているその空気感こそ、日本の現在地なのだろうと思いました。日本は世界のなかでも相応に強く、相応に敬意を抱かれた、強豪国の一角にある。グループステージ第1節のなかでも指折りの熱戦となったであろうこの試合は、もはや何ひとつ世界を驚かせるものではなかったことが、日本がひとつ上の段階に到達した証なのかなと思います。

世界を驚かせるのはもっとずっと先のこと。

怪我人続出など心配は尽きませんが、誰が欠けたら弱くなるなんてチームでもないでしょう。

ひとつ言えるのは、日本が優勝したらそれは間違いなく世界が驚くだろうということです!

↓「分けて強し」を感じる引き分けでした!


↓本人不在でユニフォームだけいるほうが仲間が燃える、まで考えてのことならすごいですね!


仮にこの試合勝っていても「驚く」はなかったと思う、そんな日本に驚いた!