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この機会に「輩」感を払拭しましょう!

「どうせ無理だろうな」と思いつつ、本日はサッカーワールドカップで起きた出来事について持論をまとめておこうと思います。キッカケとなった出来事は、アメリカ代表FWのフォラリン・バログンさんがベスト32のボスニア・ヘルツェゴビナ戦で一発レッドの退場処分を受け、本来であれば次戦出場停止となるところを何故か出場停止処分が保留され、ベスト16のベルギー戦に出場したという例の件です。

アメリカのトランプ大統領が電話でクレームを入れたとか、仲良しのFIFAインファンティーノ会長が便宜を図って超法規的な対応をしたとか、陰謀論的なものも含めていろいろ言われており、「レッドの次の試合は出場停止だろ」という半ばサッカー界に神託のように刷り込まれた常識と相まって、世界で喧々諤々となっておりました。僕の観測範囲でいうと問題視する人が9割9分で、残り1分が「そもそも誤審だろ!」「ここはアメリカだぞ?」「トランプ大統領閣下万歳!」というMAGA勢力となっており、ネガティブ反応がほとんどなのかなと思っております。

しかし、僕はそこまでこの処分保留についてネガティブに捉えていません。むしろポジティブ寄りです。そして、もっとこういう状況を当たり前にすべきとも思います。それは翻って日本にとっても有益な方向であろうと。まぁ、世間の「常識」に対して分の悪い意見なので、あんまり賛同はされないでしょうし、紋切り直情型の否定とかが飛んできそうですが、持論を述べる自由とそれを無視する自由が日本にはあると信じて、まとめていこうと思います。

↓発端となった出来事はコチラでご確認ください!



↓アメリカでは2対1くらいでバログンさん擁護派が優勢のようです!




まず、そもそもの話として、この件はルールに則って行なわれた正当なものです。発端のプレーがあり、それを主審が当初は流したけれど、VARの介入によって一発退場とされ、次戦も出場停止となるはずだったものが、FIFAの懲戒規定第27条に基づいた介入によって次戦の出場停止処分が保留された……これはすべてルール内の出来事です。その運用にあたってトランプテレフォンが影響してるんじゃねーの?という不信感は当然あるでしょうが、それを塞ぐルールがないのであれば、それも当然ルール内です。

日頃、ルールを盾にマウントを取っているルール厨の皆さんは今こそ「FIFAは正当な手順でルールを運用しただけ」「悪法も法なりbyソクラテス」「文句があるなら先にルールを変えてください」といったいつもの自動反撃構文を繰り出すのがよいでしょう。まぁ実際はこういう手合いは自分がレスバに勝つために「自分に有利なときだけルールを持ち出す」ので、自分が不利になるルールは普通に無視してくるのですが。みんなで従おう懲戒規定第27条。

僕などはルールを絶対視することなく、そのうえにより大切な「理想」を置いて、理想を実現するためにルールがあるという黄金の精神をもっておりますので、懲戒規定第27条など知ったことかという立場ではあるのですが、僕の「理想」からしたときに本件は実は「まぁいいんじゃん」という出来事であったりします。

そもそも僕はあのバログンさんのプレーは「退場+次戦も出場停止」に相当するような、過剰なチカラで行なわれた行為であったり、著しく不正なプレーとは思っていません。結果的に相手の足首を踏むことになり、それで足首がグネッているので大きな怪我につながりかねない出来事であるとは思いますが、プレイ中にそうなってしまった不可抗力の類でしょう。足裏即レッドではないのはご承知の通りですし(よく引き合いに出されるメッシさん案件のように)、主審自体も当初はスローインと見ていました。先に挙げたESPNの議論では「スローで見れば何倍も悪く見える(から不当だ)」などと言っておりますが、スローで見たら悪く見える典型的な事例だろうと思います。

それを懲戒規定第27条に基づいて「悪質性が低い」と判断し、出場停止が猶予されたのであれば、結構なことだと思うのです(※退場処分なのにピッチ内で勝利を喜んでいた件も割り引いてあげるあったかい世界)。主審の判断、そこに介入するVAR、さらに介入する規律委員会という形で、より正しい判断をできるよう三審制のような体制になっているのは総じていいことでしょう。その結果として、国を代表するほどの選手が、ワールドカップの試合に出場できるというのは、喜ばしいことだと思います。ワールドカップという夢舞台で、たとえばクリスティアーノ・ロナウドさんのような世界のスターが出場停止処分とか喰らっていたら寂しいですからね。「選手が出場できる」は総じていいことです。



こう言うとルールがー正義がー不正がー悪がはびこるーみたいな反応になるのでしょうが、もっと前の段階に本当に考えるべきことがあると僕は常々思っています。サッカーのファウルって、アレめちゃめちゃ卑怯ですよね?、大前提として。ちょっとピンチになると、普通に手でつかんで引きずり倒すじゃないですか。体当たりなんて当たり前ですし、普通にバンバン蹴ってますよね、サッカー的にはノーファウルの範囲で。お互いにユニフォーム引っ張るものだから、つかみづらいピチピチツルツルのユニフォームとか着てきたりするイタチごっこなんかして。蹴られたほうも演技でイタイイタイしまくりますし、まぁ率直に言ってダーティーだなと思います。

しかも、そうした「(サッカー界隈以外からは)不正(に見える)行為」が半ば公然と行なわれていて「マリーシア」だの「戦術的ファウル」だのと言って褒められさえしますよね。バスケにもファウルゲームなんて概念はありますが、アレは相手を止めるためではなく時計を止めるためにペシッと叩いているだけのこと。バスケの基準でサッカーを裁いたらほとんど全部アンスポーツマンライクファウルなんじゃないでしょうか。一度バスケの審判にバスケの基準でサッカーのファウルを判定させて、何人退場になるかやってみてもらいたいくらい。

「ラグビーは貴族のスポーツでサッカーは労働者のスポーツだ」とか「サッカーの起源は切り落とした敵の首を蹴って遊んだことだ」とか「ボールは友だち、友だちはボール、どっちも蹴っ飛ばせ」とか「チームを勝たせるために俺たちはバスを囲む!」みたいな真偽不明の輩エピソードがサッカーのちょっとイイ話みたいに語られることも含めて、サッカーは総じてダーティーな「輩」感を大事に成長してきたスポーツだと思うのです。世界のスーパースターがワールドカップで手でゴール決めて、それを「神の手」とか言ったら大ウケして神格化されるんですから(※それ以外のプレーが実際凄かったが)、これは肉とか草を火で炙っていただくのが好きそうな輩界隈だなって感じがしますよね(※もちろんBBQの意)。

2018年ワールドカップでとあるチームが自分たちが負けてるのに「この点差の負けなら自分たちがベスト16に上がれる」と期待して敗退行為同然のボール回しとか始めたときにそれを非難したら、サッカー大好きっ子の有識者は「これがサッカーだ。これがイヤならサッカーを見るのに向いてない(キリッ)」とか何とか言ってましたが、公明正大で清廉潔白でフェアネスと敢闘精神にあふれた世界観とはちょっと違う、ワイルドな輩によるダーティーなスポーツだと思うのです、サッカーは、大前提として。それをまったくダメとも、すごい嫌いとも思ってはいませんが、映画で言えば任侠映画だなとは思うわけです。ラブロマンスとかコメディではなく。

その「輩」感を大事にした結果、ピーピー笛を吹きまくることはなく、むしろちょっとガツガツ衝突して火花散るくらいの激しさをヨシとしてきたわけでしょう。ボールを受けにいったフォワードに後ろから体当たりしてディフェンスするとか、そういうことをヨシとしていれば、そりゃ踏んだり蹴ったり怪我したりも生まれるでしょうよ。これはもうある程度の必要悪と思って、サッカー界隈は飲み込むしかないはずです。「俺たちは足を蹴るスポーツをやっている。壊れる足が悪い」くらいの顔をして。

もちろん、あまりに目に余るものには罰を与えて抑止するわけですが、ここにサッカーの構造的な難点があって、「サッカーでは罰が効かない」のです。イエローカード2枚で退場処分になるアレ、ほかのスポーツでは選手が試合から取り除かれてかつ交代(補充)も不可で次戦も出場停止なんてのは相当に重い罰なのです。ヘイト発言とパンチをコンボで決めるくらいの悪質な輩に対して下される処分なわけですが、サッカーではその重い罰がよくあるプレー中のアクシデントに対して下され、しかもあんまり効かない。人数が恒久的に1人多くても得点につながらないことが多く、何なら人数少ないほうが逆に点取ったりさえします。

かと言って、罰として相手に1点あげよう、なんてことをやるとサッカーではそれで勝負が決まってしまいかねない。バスケでチーム5回目のファウルからフリースロー2本あげたり、ラグビーで相手陣内のファウルからPGで3点狙ったりする感じの、「罰として妥当な程度の得点」を与えるのがサッカーではとても難しいのです。

「輩」感を大事に激しさを助長したはいいが、行き過ぎる行為を抑制するにちょうどいい罰を得点として与える匙加減が難しいもので、恒久的な退場(補充不可/+次戦以降も出場停止)という競技としてはまったく望ましくない無闇に重い罰を採用せざるを得なくなっている、にもかかわらずそれが罰としてそんなに有効に機能してもいない、というのがサッカーの現在地だと思うのです。「輩」同士では「ごめん」とか「和菓子」とかが通用しなくなって、お詫びのスタートラインが「小指」になってる、みたいなおかしな状況なんだろうと、外野視点からは思うのです。

↓罰で10人になったのにあんまり効いてません!



このおかしな状況の解決法として、僕はもっとファウルをちゃんと取って、もっとバンバン退場させるべきだと思います。その代わり、現状のように試合から取り除いて補充不可とか、次戦も出場停止みたいな無闇に重い罰ではなく、ラグビーのシンビンのように10分間の一時的退場とかの軽めの罰も用意し、もっとカジュアルに罰を行使できるようにすべきであろうと。ワールドカップの決勝で「開始5分でレッド出したら荒れそうだなー」とか主審が心配するようなことなく、気軽に退場させられるくらいに行使のハードルを下げるべきだと。

そうやって、試合中に自分たちの人数が1人多い(あるいは1人少ない)という状況が頻繁に発生するようになれば、パワープレーの練習をすると思うんですね。今は相手の退場を戦略のなかに組み込むのは難しいですが、毎試合どこかしらでパワープレーが発生するくらいになっていれば、ひとり多いときの崩し方とかをしっかり追求するようになるでしょう。あの広さを11人でやっているんですから、1人多いのは本来なら相当有利なはずなのに、それが結果につながってこないのはパワープレーが下手だからだと僕は睨んでいます。それを追求したり、練習するメリットが低過ぎて、ちゃんとやってないんでしょう、と。

パワープレーが当たり前の光景になり、そこにちゃんと研究と練習の労力を割けば、「1人少ない」がちゃんと罰として機能するくらいになるのではないでしょうか。同じ「輩」感を大事にするスポーツであるアイスホッケーでは、頻出するパワープレーの時間にしっかりスコアが動きますし、それがゲームの面白さにもつながっています。相手を殴ってスカッとすることと、それによる罰のバランスが取れていて、「輩」スポーツとしてうまく成立している。

1人少ないことがちゃんと罰として機能するようになれば、あんまり退場してもいられんなと抑止効果が生まれ、巡り巡って何試合も出場停止にするような無闇に重い罰を与えなくても済むようにもなると思うのです。よく「輩」が言う、「試合の最初に審判がちゃんとコントロールしないから試合が荒れるんだ」という「輩」ロジックがまさに正解で、普段から厳しくファウルを取ってコントロールしないから競技全体が年中荒れており、その結果として過剰な罰が採用される悪循環に陥っている、そういうことなのではないかと睨んでおる次第です。(※コントロールされないと無限に増長するのが「輩」なので…)

もっと厳しくファウルを取り、もっとカジュアルに罰を与える、それが罰の抑止効果を本来あるべき姿に戻し、「恒久的に1人少ないはほぼ負け」という重圧が生まれることで競技から「輩」感が払拭され、うっかり踏んじゃったという本当のアクシデントに「退場+次戦も出場停止」なんて無闇に重い罰を持ち出すまでもない未来がやってくるのではないかなと思うのです(※当該選手を当該試合から除くだけでも本来は十分重い罰のはず)。もしそういう未来がくれば、もともと「輩」感が乏しく、接触プレーにも弱く、規律だけはやたらある日本には有利に働くのではないか、そんなことも思ったりするのです。「日本、相手がふたり少なくなりました!」「狙い通りですね」「日本は満を持してパワープレーのスペシャルチームを送り出します!」みたいな話で。ちょっと世間の「常識」から離れ過ぎていてあんまり伝わらないんだろうなぁとは思いますが、そんな未来があれば日本優勝の可能性も高まるんじゃないかなと、自己都合など考えながら思うのです。

まぁ、それじゃつまらん、俺たちは「輩」感を大事にしたいんだ、ルールのギリギリ外側でいつも生きていたいんだ、殴り合って最後まで立っていたほうが勝ちなんだ、ということであれば、「上位輩」が介入してきて非道が通ることも「輩」世界観の一部として受け入れるのだろうと思います。それがサッカー有識者の言う「これがサッカーだ。これがイヤならサッカーを見るのに向いてない(キリッ)」ってことなんだと思うので、今こそ自分に向かって「これがサッカーだ」って言えばいいんじゃないかなと思いましたよね。何か、サッカー界隈がやたら「不正だ」って怒ってましたけど、その怒ってる部分こそまさに「これがサッカーだ」って出来事だと思うんですよね。一般視聴者がピュアに怒るのは普通としても、サッカー界隈は「トランプやるねぇ」「サポーターの鑑」「俺も偉くなって電話でサポートしたい」ってなるのかと思ったらそうでもないのが、すごい意外でした。もしかしたら、少しずつサッカー界隈からも「輩」感が払拭されてきているのであれば、それはそれでいいことだなと思います!

↓上位輩の介入も、上位輩を皮肉るのも、どちらもサッカーらしい出来事ですね!

それにしても、「客が文句言って現状変更しようとした」という意味では、サッカーではよくありそうな話なのに何でサッカー界隈から怒られたんでしょうね!

お貴族様がやるのはダメってことなんですかね!

サッカー界隈の匙加減がわかりません!



「退場+次戦も出場停止」がすごい重い罰だと思ってないのはサッカーだけ!