スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム

ラグビー

埼玉西武ライオンズ・源田壮亮さんが「まつもtoなかい」ご出演で世間に示した「健康管理は自分でできないと絶対ダメ」の大金言の巻。

08:00
埼玉西武ライオンズはハマタ派ではない説!

一年中がWBCだったかのように日本が野球にわいた2023年、その余勢をかって21日のフジテレビでは、プライムタイムにプロ野球関連でドーンと3時間の放送を行ないました。19時からの「ジャンクSPORTS プロ野球スター大集結!(秘)話連発!トークの日本一決定SP」、そして21時からの「まつもtoなかい」。2番組にプロ野球選手がドーンと登場し、ドーンとトークに花を咲かせたのです。

もっとも、「ジャンクSPORTS」のほうでは埼玉西武ライオンズ界隈的には若干の肩透かしも。「セ・パ両リーグのスター選手21人が大集結!」という触れ込みでありながら、何故か埼玉西武ライオンズからはひとりも収録に参加せず、番組内でもまったく触れられずじまい。一応、スタジオのセットにはライオンズのロゴも飾り付けられてはいるものの、そんな球団ははじめから存在しないかのような「空気」となったのです。



良識あるライオンズファンの間では「スタジオのBクラスチームが座る席には不自然な空きスペースがあったので、参加予定はあったけれど当日急遽スケジュールの都合などで参加が叶わなかったのでは?」という穏当な自己解決が行なわれていますが、SNSで「スターがいないってことか?」などの憶測が広がると「それもそうだな」「いないもんな」「あー、和田がいればなー!」と言った感じで世論に押し切られる気配も。

「普通にスターがいなかった説」「番組名物のBクラスチームに小学生からアドバイスをもらうコーナーで、半端なく厳しい指摘が飛び出して選手を呼びづらくなった説」「BクラスじゃなくCクラスだった説」「収録には参加したものの、何らかの問題でスタジオ映像からは『映す価値ナシ』として消された説」「忘れた説」「前日のTBS『ジョブチューン』では逆に楽天からひとりも参加がなかったので何かバチバチしてる説」「呼ぼうとした選手がFAでいなくなっちゃった説」「呼ぼうとしたけどその選手は人的補償での移籍を拒否した説」「呼ぼうとした選手がまだ公表されていない何かをやっちゃっている説」など諸説渦巻いておりますが、真相は藪のなか。まぁ番組内には各チームが「ロッカーが狭い」「風呂が狭い」などの球場逆自慢をするコーナーなどもありましたので、西武は殿堂入りだったかもしれませんね。

しかし、そのぶんと言っては何ですが、21時からの「まつもtoなかい」ではライオンズが大活躍。昨年のWBCに埼玉西武ライオンズから確か唯一参加した源田壮亮さんがご登場し、MCの松本人志さん・中居正広さん、ラグビー日本代表の稲垣啓太さんご夫妻と1時間のトークを行なったのです。本格バラエティでのテレビ出演は初、しかも奥様とご一緒での登場というレアな姿。こうなるとにわかに「西武は松ちゃん派でハマタ派とはバチバチしてる説」というのも浮上してまいりますが、ハマタか松ちゃんかどちらかを選ばなければいけないという二択だったとすれば、収録前の時点では妥当な選択だったと思います!

↓松本人志さん×元旧ジャニーズ事務所×埼玉西武ライオンズという豪華な顔合わせ!

麻雀なら役牌の暗刻で1翻って感じ!

役牌ドラ3で満貫お願いします!



「日の丸を背負って戦う男」として呼び込まれた稲垣啓太さんと我らが源田壮亮さん。源田さんはふんわりした雰囲気の衣装もスマートに着こなし、心なしか唇の色もピンクに艶めいています。うむ、「ジャンクSPORTS」のほうではいかにもプロ野球選手という風体のユニフォームの面々が居並んでいましたので、イメージ戦略としてはいきなり大加点といった印象。爽やかで上品で優しそうな雰囲気が全身から滲み出ています。スタジオで稲垣啓太さんを何とか笑わせようと軽妙なトークが展開されると、源田さんからは爽やかな笑顔がこぼれ、その色白の表情には「日本で一番顔色が悪い野球選手」というあだ名もいただきました。稲垣さんが全身黒のスーツ姿ということもあって、源田さんのホワイトな印象がグングン高まっていく番組。うむ、ホワイトで爽やかなイメージだけを広げたい球団事情としては、番組・人選ともにベストチョイスだったかもしれません。収録前の時点の判断としては。

稲垣さんからラグビーにおける激しいコンタクトについてや、チームのために立ち上がる強い意志などのトークが展開されると、通常なら「ちょっとこのあとで出すほどの武勇伝はないな…」となるところですが、我が方のキャプテンにはとっておきのエピソードがあるので、まったく後退するところはありません。あのWBCで大会中に右手小指を骨折しながら世界一までプレーしたことを振り返りつつ、今もわずかに外側に曲がっている小指を披露する源田さん。番組では触れられませんでしたが、あの骨折がキッカケで源田さんは、これまでの「両手でボールをキャッチする」捕球動作ができなくなったと言います。これぞ文字通りの「名誉の負傷」。「私はコレで世界一になりました」、小指を立てながらそんなことでも言いたくなるかのような強いエピソードでした。うーん、たまらん。

↓「まつもtoなかい」よりも指の角度がよく見えて名誉の負傷が際立ちます!


ひとしきりトークが盛り上がるとスタジオには両選手の奥様がご登場。源田さんは階段を降りてくる妻・衛藤美彩さん(※収録時は第2子妊娠中で臨月だったとのこと)に駆け寄って、自然に手を添えながら席までエスコートします。その自然な感じ、この自然なパートナーへの優しさ、埼玉西武ライオンズにもそういう選手がいる、基本そういう選手だけがいる、ぜひ世間にも伝わってもらいたいところ。

美彩さんの登場で源田さんも少しリラックスしたのか、「初めてテレビに出るのは中居さんの(番組)で出たいと思っていた」とトークの球速もグングン上がっていきます。源田さんと美彩さんは息もピッタリで、先ほどの骨折についてもそれまでの源田さんの想いを汲み取ったうえで後押しをしたと美彩さんが語るなど、互いを支え、高め合っている感じがビンビン伝わってきます。「本人が目の色変わって、出るから、みたいな感じだった」「水は差せない」「捻挫だよね、捻挫だよねこれは」と指が曲がる系の捻挫で押し切ったという美彩さんの言葉で、源田さんも「よっしゃいくぞ」となったというのですから、パートナーに恵まれたなと思いますよね。

スタジオが稲垣さんご夫妻のなれそめエピソードで盛り上がるなか、源田さんにもなれそめトークのお鉢がまわってきます。すでによく知られた話ではありますが、美彩さんが「プロ野球ニュース」のキャスターとしてご出演されていたときの取材が出会いのキッカケであったことを話しつつ、同郷の出身であったことや、美彩さんの仕事への取り組みに敬意を抱いたこと、そして「あと顔カワイイ」(※本人コメントママ)というド直球の惚れた理由をお披露目。美彩さんが乃木坂46を卒業する際には「結婚を考えてつきあってほしい」と申し込んだと言い、「絶対ほかの人に渡すもんか」「大好きです」とノロケの三連コンボを発動しました。これにはさすがにMCの中居さんも「もういいかな」とお腹いっぱいに。埼玉西武ライオンズ的にも「パートナーや家族を大事にする球団」というイメージを広めることができて、素晴らしいノロケだったように思います。源田さん、美彩さんとお子さんを大事にしてくださいね(※「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士の口調で)。

↓最愛のパートナーすら大事にできなくて、ファンを大事にできるはずがない!

まず、家族を大事にしてください!

そして、ファンも家族の近くに置いてもらえれば嬉しいです!

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稲垣さんの妻・稲垣貴子さんが南海・近鉄などで活躍した元プロ野球選手・新井宏昌さんの娘さんであるということもあって、トークは「野球選手の子育て」という話題に。ちょっと新井家のエピソードはあんまり参考にならない感じでしたが(苦笑/子どもの髪型をパンチパーマにする等)、源田さんは「参考になりました」と穏当に話を切り上げるスマートさを見せました。美彩さんは手を横に振りながら「ナイナイ」みたいなポーズをしていた気もしますが、いいほうで参考にするのか、悪いほうで参考にするのかは各ご家庭の自由ですので、何らかの参考にしていただければよいかなと思います(※子どもにパンチパーマを強制するのは止めようね的な)。

そして印象的だったのは、両ご家庭の食事に関する話題。稲垣さんは「白米、鶏のむね肉、ブロッコリー」を食べ、あとはサプリメントで補っているという「食事も仕事」の姿勢を示します。もちろん記念日に貴子さんとレストランに行く機会もあるそうですが、貴子さんもモデル業をしている関係もあり、基本的には自分の食事は自分で管理しているのだとか。源田家でも、当初は「野球選手の奥様」という世間のイメージに沿った小鉢ズラズラみたいな食事を意識したこともあるそうですが、源田さんからは「自分はどんぶりにいろいろ乗せてかき込みたい」という明確な理想のイメージが提示され、それを美彩さんに用意してもらっているとのこと。そして源田さんからはアスリートに限らずすべての人・すべてのご家庭が拝聴すべき金言として、「健康管理は自分でできないと絶対ダメ」という強烈な一言が示されました。

まったくその通りだなと思います。

自分の身体を作るのは自分の仕事です。もちろんご両親や周囲のスタッフ、パートナーにサポートしてもらう部分もあるでしょうが、最終的に何が必要で何が効果的かを把握できるのは、その身体とつながっている自分だけなのです。自分の体調がどう変化し、何をするとどう変動するのかをわからずに、どうして「たった一度しかない、この日、この時、この瞬間」に自分のピークを合わせることができるでしょう。そのことをアスリート本人が理解していれば、そしてそのことを世間も含めて広く理解していれば、結婚したから成績がどうたらとかという話になるはずがないのです。すべてはアスリート本人の選択に掛かっており、何を食べるか、どんな暮らしをするかを考えるのも本人の責任。成績はいろいろ上下するかもしれませんが、家族を誹謗中傷するとか、家庭を誹謗中傷するとかは絶対に止めてもらいたいなと改めて思いました。

何と言うか、この日登場した二組は、それぞれがしっかりと自立したうえでお互いを尊敬しているという、令和の世が求める理想的な夫婦像だったように感じました。我が方のキャプテンは、いい家庭を築いた、いい人だなと改めて誇らしくなりました。すでに第15回ペアレンティングアワードを受賞している源田さんご夫妻ですが、ライオンズさえいい成績を残せば、この先もさまざまな機会にこうした夫婦像が注目され、表彰などもされていくのかなと思いました。ベストファーザー賞、パートナーオブザイヤー賞、ベストファミリー賞などを受賞するような未来があると、埼玉西武ライオンズ的にもとてもいいアピールとなるのではないかと思う次第。所属選手と球団には直接の因果関係はないとは言え、選手の行動次第でイメージが上下したりするのは世間の現実ですからね。

その意味では、番組の最後に「お互いの相性を診断できるボックス」に閉じ込められたとき、美彩さんはボックスからの「アヒル口で相手を10秒間見つめて」の指示に従って完全に「ここでキスのパターンですな」の顔で唇を突き出していたにもかかわらず、源田さんは半分くらいのアヒルぶりでキスもしなかったというのは、美彩さんだけを置き去りにする感じだったので若干の連携ミスを感じました。今後はしっかりと3-3-3(ミ・サ・サン)とのダブルプレイを決めていってもらいたいもの。チームと家庭を守るたまらん活躍、2024年もよろしくお願いいたします!

↓家族とパートナーとチームメイトをどこよりも大事にする球団・埼玉西武ライオンズ、このイメージでいきましょう!

あと、今季からは「源田の#箸とまらん弁当」も丼に変更していただけますか!

本人が丼って言ってるんだから、丼のほうが気分が出ます!



チーム内でも「自分で健康管理しなさい」をガチで徹底してやってください!

オールブラックスのリッチー・モウンガさんほかW杯を沸かせた選手たちの活躍を見守り大満足となったラグビー・リーグワン開幕戦の巻。

08:00
ラグビー・リーグワン開幕戦に行ってきました!

ワールドカップの熱い余韻…というほどには世間に余韻はないかもしれませんが、日本にラグビーの季節がやってまいりました。3シーズン目を迎えるリーグワンの開幕。もはや「例年通り」といった話でもありますが、今季も世界からビッグネームが続々と日本にやってきました。「シーズンも短いし、季節もちょうどいいし、日本は過ごしやすいよね」という隙間産業的な動きかもしれませんが、どんな経緯であっても、これだけのビッグネームが集ったリーグが面白くならないはずがない。

ということで、僕もご近所のチームの開幕戦へと足を運びました。このめでたき開幕の日に訪問させていただいたのは、東芝ブレイブルーパスと静岡ブルーレヴズの一戦。東芝にはワールドカップ決勝の舞台にも立ったオールブラックスの司令塔リッチー・モウンガさんと、同じくオールブラックスのシャノン・フリゼルさんが新加入しました。東芝の名前を日本に轟かす、そんなシーズンとなるよう期待を込めて、モウンガモウンガしてまいりました。

↓快晴に恵まれた開幕の日、やってまいりましたリーグワン開幕戦へ!
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スタジアムには穏やかな空気が広がり、開幕戦とは言っても平和そのもの。「どうせちゃんと見ない手荷物検査ならやらなくていいことにします。我々はラガーマンですから」といった雰囲気の運営も、緩やかでいい感じです。本日のスタメンボードにはモウンガさんをはじめとした選手たちが写真入りで紹介されており、その前で記念撮影をする親子連れやカップルの姿も。皆さん幸せそうなイイ表情です。

そのスタメンボードの横に貼られていたファンクラブプレミアムメンバーの皆さまを紹介するボードには、ファンのハンドルネーム的なものが紹介されており、掲示希望しないさん、なしさん、希望しないさん、希望しませんさん、希望しませんさん(※ハンドルネーム被りの2人目)、希望しませんさん(※ハンドルネーム被りの3人目)など、たくさんの奥ゆかしいファンが名を連ねていました。「そうかー、掲示は希望しないって記入すると、希望しないって名前で掲示されるんだー」というのは意外な発見だったかもしれませんが、来場時サプライズって感じでいいですよね。

↓入口で出迎えてくれた東芝のマスコット・ルーパスくんです!
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↓本日のスタメンが並んだボードとプレミアムメンバーの皆さんのお名前!
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↓奥ゆかしいファンの名前が並んでいました!
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↓スタンドには開幕を待ちわびたお客さんが大勢集まりました!
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上層を使っていないのはお客さんが少ないんじゃなくてスタジアムが大きいんだぞ!

この日の観衆は11553人でした!

スルスルッと座席に着くと特に何事もなくスルスルッとキックオフの時間を迎えます。偉い人のご挨拶と和太鼓の演奏など簡単な式次第を経ると、あっという間にキックオフへのカウントダウンのコールが始まりました。「ははーん、『皆さまが本当に見たいのは余興ではなく試合ですよね』という質実剛健スタイルだな?」と僕も好印象を抱くシンプルさ。開幕戦の日にアーティストさんを呼んでは「俺たちが応援歌を歌う大事な時間に歌手を呼ぶんじゃねぇ!」と毎年揉めているJリーグ界隈の運営もこのぐらいのシンプルさを取り入れたらいいかもしれませんね。

↓スタメン発表ではひと際大きな声があがったリッチー・モウンガさんのコール!
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↓言っていることはあんまりよくわからないけれど、とにかく紳士であることは伝わる意気込み!
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↓和太鼓のリズムに乗せて選手たちがやってきました!
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↓そしてあっと言う間にキックオフです!
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まず先制したのは東芝。「接点無双」の意気込み通り、中盤での攻防を圧力でジワジワと押し切ると、モウンガさんの鋭い展開、フリゼルさんの突破を活かし、前半2分にいきなりのトライ。視野が広くて、それを活かす技術も高い。見ていても面白い連続攻撃からのトライでした。一方、静岡も負けてはいません。スクラムでは体重差を跳ね返して東芝を押し込むところを見せると、モールでもチーム一丸の動きで東芝守備陣を押し込む強さを見せ、前半9分にはモールの流れからトライを返します。前半16分にもスクラムで押し込んだところから逆転のトライ。序盤からスコアが動くアゲアゲな試合です。

↓静岡は相手をスクラムで押し留めつつ素早い持ち出しを狙う攻撃が効果的でした!
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しかし、地力はやはり東芝か。前半25分に桑山淳生さんの単独突破でトライを決めると、前半30分にもワールドカップ日本代表ジョネ・ナイカブラさんが相手DFをステップで振り切る快速を見せてトライ。静岡のあわやトライという攻撃をすんでで食い止めたあとの前半38分には、フリゼルさんが中央から相手のラインを割って大きくゲインしたのち、最後はセタ・タマニバルさんがトライを決めて再逆転。

それでも静岡は決して多くはない攻撃機会を着実に得点に結びつけて粘ります。前半終了間際にはかなり距離のあるペナルティゴールを家村健太さんが決めて、東芝22-20静岡というほぼ互角の折り返しとすると、後半開始直後にもペナルティゴールを決めてあれよあれよと再々逆転。「前半のホーンが鳴った時点では東芝が5点勝っていた」のに「後半2分には静岡が逆転していた」という流れは、開幕戦にふさわしい熱いシーソーゲームでした。周辺からも「ここでペナルティ狙っても届かないだろ…おおおお決まった!」的な驚きや、「この試合おもしれー!」といった盛り上がりの声が多数上がっていました。

↓東芝はトライがたくさんあるものの、モウンガさんのキックが決まらず、前半だけでコンバージョンを3本外したのも熱戦の要因でした!

その熱戦に決着をつけたのは、東芝・ナイカブラさんの大爆発でした。後半15分、中央でモウンガさんが相手守備を引きつけてから大外のナイカブラさんに飛ばす見事なお膳立てのパスで再々々逆転のトライを決めると、つづけざまの後半18分には中央を突破したフリゼルさんが大外に余っていたナイカブラさんに送って、ナイカブラさんはハットトリックとなる3トライ目。静岡がクワッガ・スミスさん(※南アフリカ代表/2023ワールドカップ優勝メンバー)のトライで追いすがるも、後半29分に「キックして裏に転がし、自ら拾ってトライにつなげる」という個人技を見せてまたしてもナイカブラさんがトライ。ナイカブラ、ナイカブラ、ナイカブラ、ナイカブラのド派手な花火大会のようです。

結局試合は東芝が43-30と勝利。両チーム合わせてトライ7本が飛び出すという、開幕戦から大変景気のいい試合を見ることができ、個人的にも大満足の一戦となりました。東芝はもともと展開からの攻撃や接点での圧力に強みがあるチームではありましたが、テンポ・視野・発想・技術すべてで明らかに別格のモウンガさんが司令塔となり、そして随所で強烈な突破を見せていたフリゼルさんがフォワードに加わったことで、チームの強みを増す大型補強が2枚大成功した模様。優勝候補の一角として、今季を大いに盛り上げてくれそうです!

↓モウンガさんが相手守備を釘付けにしてナイカブラさんのトライをお膳立て!これだけ周囲に誰もいないトライだと練習みたいですね!
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↓自分で蹴ったボールを自分で拾って飛び込むナイカブラさん!
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↓早くも黄金コンビという感じが漂うモウンガさんとナイカブラさん!
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↓試合後は互いを讃え合ってノーサイドです!
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とまぁ、大変盛り上がった試合でしたが、試合後にもさらにもうひと盛り上がりが。東芝では「ファミリーロード」と称して、ファンクラブ有料会員を対象に選手がお見送りをするというイベントを実施しており、これが大変な賑わいを見せていました。選手(+ヘッドコーチら)が作る長い列が3つほどに分かれてお客様をお迎えし、ファンたちが通過しながらグータッチや写真撮影などを行なうという微笑ましい交流は、「今からでもお金払ってファンクラブ入ろうかな?」と思わされる光景でした。

この日はやはりモウンガさん狙いの人が多いようで、モウンガさんのいる列にはとりわけ長い行列が。序盤は「どこにモウンガさんはいるんだ!?」という運否天賦の感じもありましたが、列が進むごとに「モウンガさんは真ん中の列にいました!」というのが後ろに伝わったようで、モウンガさんの列がグンと伸びる格好に。最後のほうはほかの列が若干ヒマするくらいの人気となっており、改めてオールブラックスのスターの輝きというのを感じる場面でした。

運営さんの待機列分散への対策が「選手が列を移動する可能性があります!」というものだったことについては「全員1列にして『立ち止まらないでください』のほうがいいんじゃないですかね」とは思いつつ、まぁ、ちょっと思い通りにならないくらいのほうが次回への楽しみも増すというものです。お目当ての選手の列に当たらなかった方も、次回また楽しまれることでしょう。コロナ禍も落ち着いたということで、こういう楽しみもまたドンドン増えていくといいなと思うリーグワン開幕戦でした!

↓ファミリーロードに参加するためにファンクラブ入るのもアリですね!
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モウンガさん(だけじゃないけど)と毎試合交流できると思ったらレギュラー会員5500円は他チームファンでもアリ!

これでこそ「ファンクラブ」って感じがしますよね!



「モウンガ中央!」「リーチ左!」とかスタンドから言えばよかったですかね!

ベスト8に届かずラグビー日本代表は敗れるも、世界の強豪と堂々渡り合い新たな大きな壁を感じられるところまで順調に前進した件。

08:00
この壁は次のフェーズでまたブレイクすればいい!

ラグビーワールドカップでの日本代表の戦いが終わりました。勝てばベスト8という直接対決となったアルゼンチン戦で日本は27-39で敗れ、ベスト8進出はなりませんでした。前回大会のベスト8を超え、優勝を目指した日本の前に立ちはだかった大きな壁。世界の強豪との間にある壁を感じ、その壁に触れ、その壁を見上げる、そんな時間の始まりだなと思います。2019年は夢中で駆け抜けた場所に「勢いで飛び越えちゃったけど壁があるぞ」と気づいた、そんな気持ちです。



眩しい日差しが照りつけるなかで迎えた勝負のアルゼンチン戦。日本の面々は「勝つ」というシンプルな目標に向けて集中しています。キャプテン姫野和樹さんの頬を伝う雫は涙か汗か。一方のアルゼンチンは観衆も含めて闘志全開です。国歌を高らかに歌い、頬を紅潮させます。男と男の真剣勝負。憧れのような気持ちが湧き上がります。

暑さ・日光、厳しい環境での一戦。リーチマイケルさんも「どうせいつも暑くてすぐ脱いじゃうからな…」とJMのイニシャル入りヘッドギアはつけずに出てきました。いい判断です。日本は太陽を背に受けて試合に入ります。この陣取りには、できれば立ち上がりに太陽パワーで相手の混乱を誘いたい、そんなラッキーに期待する部分もあったでしょうか。しかし、ラグビーの神様から「簡単ではないぞ」と福音でもいただくかのように、先に混乱を生じたのは日本でした。

アルゼンチンボールのラインアウトからモールで押し込まれると、そこからバックス陣への速い展開のなかで、ライン間をスルッと抜けられてしまいました。さらに自陣で構えていた最終ラインもかわされ、味方の戻りまで時間を作ることもできずに開始わずか1分あまりでトライを許してしまったのです。試合に順応する間すらなくスコーンといかれた痛恨のトライ。サッカーでも昔よく見た「立ち上がりの強襲」でいきなりやられるあの展開。これがゲームならリセットしてやり直すところですが……この状態から頑張るしかありません。

日本は背面キックやデザインされたパス回しなど、ここ一番のために用意した攻撃を駆使して攻めます。あと一歩でノックオンなどが出てしまってなかなか得点にはつながりませんでしたが、ようやく試合を動かしたのは前半16分。相手がキックしてきたボールを拾うと、素早い展開から最後は大外でファカタヴァさんが「自分でキックしたボールを自分でキャッチして一気にトライ」までもっていくスーパープレイ。キックも決まって日本は同点とします。

↓楕円球はファカタヴァさんの味方をした!


勢いに乗りたいところですが、ここで日本にトラブルが。前半23分、相手へのタックルが頭に当たってしまったことでラブスカフニさんが10分間退場となったのです(※TMOバンカーでの判定はイエロー)。人数が少ない状況のなか、なるべくボールを保持していたい日本ですが、日本は敵陣内での攻撃のなかでドロップゴールを狙う選択をします。狙い自体は悪くありませんでしたが、この狙いは相手に読まれており、また、距離も十分に取れていなかったのでキックにチャージされてしまいます。

こぼれたボールをキャッチして再度ハイパントで前に送ったところ、これがアルゼンチンに渡ります。隊列整わず、かつハイパントを蹴った松島さんが自身でチャージしていたなかで、ウィングがいない状態の日本守備を一気に破られてしまいました。アルゼンチンのトライ決まって突き放された日本。いわゆる「アンストラクチャー」の状態を自ら作り出し、その乱戦のなかでの勝負をひとり少ない日本が仕掛ける格好になってしまったことはプレー選択としてはたしてどうだったのか、今後に向けて振り返ることになるプレーだろうと思います。

ただ、まだまだ日本も元気です。7-15で迎えた前半38分、日本はフィフィタさんの突破から最後は斎藤直人さんにつないでトライ!大外を走る松島さんを警戒する相手の心理を見切って、チラッと松島さんを見る「目」のフェイントで相手の逆を取ったフィフィタさんの技ありでした。キックも決まって14-15。アルゼンチンは前半でコンバージョンキックとペナルティゴールを1本ずつ外しており、都合5点をロスしています。日本は痛いトライをふたつ許しましたが、これでまだ1点差なら悪くありません。後半いけるぞ、そんな手応えでの折り返しです。

↓斎藤直人さん、ワールドカップの舞台で未来につながるトライ!



迎えた後半、日本は立ち上がりに大きなチャンスをつかみます。後半2分から3分にかけての連続攻撃で、トライまで5メートルと迫ります。あと少し、もう少しだけパスが高ければ相手のカバーを越えて一気にインゴールまでという気配もありました。しかし、これはアルゼンチンの固い守りの前に実らず、日本は松島さんが交錯のなかで足を痛めて翼をもがれる格好に。それとは逆にアルゼンチンは、返しの攻撃シリーズのなかでモールで大きく前進して日本陣内深くまで攻め上がると、アトバンテージ中の攻撃で大外にひとり選手を余らせ、そこまでつないでトライを決めました。これで14-22。

日本は後半12分にペナルティゴール、後半16分にはレメキさんがドロップゴールを決めて20-22まで迫ります。レメキさんのドロップゴールについてはアドバンテージ中の攻撃だったので、トライを狙ってほしかったなという気持ちもありますが、2点差であればペナルティでも逆転できますのでまずはヨシ。前半のドロップゴールを狙った流れから一気にトライまでもっていかれた場面のイヤな感じも払拭することができました。レメキさんに得点がついたこともポジティブです。さぁ、ずっと後手後手はしんどいのでそろそろ先手を取りたいところです。

↓レメキさんワールドカップで得点!とにかく常に「俺が何かやる」を考えている男!


しかし、またも先手を取ったのはアルゼンチン。日本がドロップゴールでにじり寄った直後の攻撃、フィールドの中央付近でマイボールスクラムを得ると、どちらから攻めてくるかわからないので「左右均等」に人数を配置している日本に対して、マイボールの利を活かして「コッチから攻めるぞ」と人数を集めた攻撃を仕掛け、あっという間にトライで突き放してきました。もしターンオーバーされればアルゼンチン側も守りが手薄になるだろう攻めでしたが、アドバンテージを得ていたことで安心して攻められる状態でした。どうもアルゼンチンは真ん中付近に人を集めてから、左右どちらかで少人数同士での個の勝負を狙ってきている感触です。ダブルタックル前提の日本は集団対集団であれば相応に対抗できますが、個の勝負を仕掛けられるとやや分が悪い。なかなか試合の主導権を取ることができず、苦しい時間がつづきます。

それでも日本は食い下がります。後半25分、相手陣内深くでペナルティを得た日本はタップキックで試合を再開すると、素早く逆サイド大外まで展開して最後はナイカブラさんがトライ!かなり難しい角度でしたが松田力也さんがコンバージョンも決めて再び2点差に迫ります。他人事ならなんて熱く盛り上がる試合だろうかと思います。どこまでつづくのかこのトライ合戦は!

↓切り札が火を噴いた!ナイカブラさんのトライ!


日本の流れを何度押しとどめれば気が済むのか、日本がようやく2点差に迫った直後、日本陣内でアドバンテージを得たアルゼンチンはカレーラスさんが日本守備ラインの間をステップで切り裂いて、またしても、すぐさま、トライ。この日、何度もやられているカレーラスさんですが、動きがキレキレでちょっと手がつけられない感じです。これで個人として3トライ目のハットトリック。再び9点差、試合時間は残り10分あまり。かなり厳しくなってきました。

日本は大会途中で急遽招集された山中亮平さんらを投入して追い上げを狙いますが、逆にアルゼンチンにペナルティを与えてさらに3点を追加される格好に。点差は12点、残りは5分あまり。1トライ1ゴールとペナルティゴールではまだ10点、届きません。逆転には2トライを決めないといけない日本は最後まで懸命に攻めますが、試合終了間際の攻撃ではラックからの球出しの際にラックごと押されてスクラムハーフに味方の身体が当たり、アクシデンタルオフサイドを取られました。ボールを取り返したアルゼンチンはそのまま時間を消化し、ホーンを待ってボールを蹴り出しました。日本、ついに最後まで主導権を握れず、予選プールで敗れました…。

↓追いかけて、追いかけて、追いかけて、アルゼンチン…!




これで今大会の日本の戦いは終わりました。優勝という夢、ベスト8という目標、これまで見たことのない未踏の景色は見られませんでした。ただ、かつての日本が全敗の常連であったことを思えば、イングランド・アルゼンチンという世界の強豪と渡り合い、ある意味でランク通りの結果となったというのは堂々たる日本の現在地と言えるでしょう。舐められているわけでもなく、開催国としてのプラスアルファがあるわけでもない、それでも日本はベスト8の線上にいる、胸を張っていいと思います。手土産程度の話ですが、プール内で3位となったことで次回大会のシード権も確保しました。「壁」は感じましたが、その「壁」にぶつかっていくという夢はまたつながりました。

率直な感想で言えば、押し合いに負けたなと思います。道を究めたスクラムではどの国とも互角以上にやり合えましたが、モールのような流れのなかでの押し合いは各試合でかなり押し込まれましたし、ブレイクダウンで50センチとか1メートルとかちょっとずつ押されることがつづきました。ほんのちょっとなのですが、それで少しずつ下げられるなかで苦しくなってペナルティを与えるという場面が多かったように思います。攻撃の際にもちょっとずつでも押せればトライに届きそうな場面が最後の数メートルで止められました。アルゼンチン戦でも前半12分、後半3分、試合終了間際に「あと数メートル」が押し切れなかった。ラックを押し返されてのアクシデンタルオフサイドなどは象徴的なプレーだなと思います。そこは一朝一夕ではない地力の底上げしかないだろうと思います。

そしてキックとラインアウトでの陣取り合戦。キックではイングランドやアルゼンチンのほうが判断・精度とも上回っていましたし、ラインアウトは全体を通じて日本は劣勢でした。自陣深くのマイボールラインアウトを「ピンチ」と感じるようなヒヤヒヤの連続。このふたつの組み合わせで「気がつくと大ピンチ」になる場面がたびたびあったのは、今後の伸び代だろうと思います。

そこをクリアしていくのは、次世代のフェーズなのかなと思います。今後のことはわかりませんが、長く日本代表を牽引してきた主力選手たちが30台の中盤から後半に差し掛かり、フルタイムでチカラを発揮することは難しくなってきました。かと言って、交代で入った選手が爆発的な勢いを見せるという場面も乏しく、むしろ試合終盤にかけて苦しくなっていくような試合が多かったように思います。後半勝負を仕掛けているはずが、むしろ苦しくなったのは日本のほうでした。そうした状況を打ち破っていくのは新しいチカラ、若いチカラの台頭に期待したいところ。2015年のあの感動を得た少年たちもそろそろ成人を迎えます。ここから、むしろここから、新たな星がきっと現れるでしょう。綺羅星のごとく。

日本が抱える構造的な苦しさとしては、同じ地域で切磋琢磨できる強豪がいないことで、ワールドカップ級の経験を積む機会が非常に限られるというところがあります。「ほんのちょっと」の部分も、そうした経験による差が大きいのかなと思います。積極的にテストマッチを組むのか(※今回はコロナ禍で不十分)、どこかの強豪グループに混ぜてもらうのか(※難しいかもだが)、選手個人が自分で世界を切り開いていくのか、リーグワンをさらにレベルアップさせていくのか、「地力」につながるような道を探していくことになるのでしょう。この10年の飛躍につながった「ワールドカップ開催」にまつわる一足飛びの強化ではなく、「ほんのちょっと」ずつ地道に進んでいくような道のりを、まさにエベレストにのぼるようにして進んでいくのかなと思います。サッカーの例で言えばワールドカップ開催から20年くらいで「いつでもどことでも戦える」「できないことはあるが驚くことはない」という感覚で見ていられるようになったので、それぐらいの時間を掛けて進んでいくものなのかなと思います。

「ほんのちょっと」ずつ、その積み重ねが未来を変える。

今大会の奮闘もその1フェーズだと思います。

倒れてもすぐさまボールを拾って前進するラグビーのように。

つづけていくこと、楽しむこと、大事にしたいと思います。

目先の1勝や1敗ではなく、20年くらい先を見据えて。

今大会もお疲れ様でした!また2027年に壁に挑みましょう!



注目無く始まった2015年から次の壁を感じた2023年へ、順調に前進中!

苦しみながらも規律の差で日本が競り勝ったラグビーW杯サモア戦は、ラグビーの清々しさの正体を気づかせてくれる試合だった件。

08:00
清々しさの正体が分かった気がしました!

熱戦つづくラグビーワールドカップ。29日は日本時間早朝4時に日本代表とサモア代表の試合が行なわれました。起きたまま見るか、寝てから見るかという難しい二択。どちらにしても簡単ではないこの選択、「たとえこの試合で業務が壊れてもいい!」という少年漫画の主人公のような気持ちで僕は「起きたまま見る」を選択しました。その熱い期待が届いたか、日本代表は見事に勝利。次戦アルゼンチン戦が「勝てばベスト8」の大一番になったのでした!



イングランド戦から約2週間、一節試合間隔が空いたことで十分な休養を取れたであろう日本。ここからはサモア・アルゼンチン・日本でどのチームがベスト8へ進むかの直接対決を迎えます。2つ勝てばもちろん文句ナシですし、たぶん2つ勝つしか道はありません。ボーナスポイントだ引き分けのケースだのと考えていけばいろいろ可能性はありますが「勝って決める」のほうが迷いなく出し切れるというもの。ここから先は全部決勝トーナメントの気持ちで臨みたいところです。

そんな痺れる試合の前でもラガーマンというのは何とも爽やかな男ぶりです。日本代表のキャプテンとしてチームを先導する姫野和樹さんは自分たちについてくれたエスコートキッズをハグするのはもちろん、サモア代表のエスコートキッズとも笑顔の握手を交わしていました。これから生き残りを懸けた厳しい戦いが始まるけれど、戦いは試合の間だけで、始まる前と終わったあとは皆仲間。印象的な光景でした。

↓これはめちゃめちゃイイ写真!身体の大小はあっても「人と人」って感じがする!



入場してきた両チームの選手たち。流れるアンセム。サモア代表からは伝統的な戦いの舞踏であるシヴァタウが披露されました。猛々しい舞を前に、日本代表は肩を組んで正面から堂々とそれを受け止め、跳ね返します。これを見るたびに「日本も何か伝統的な戦いの舞を作っておけばよかった…」「信長とか誰か思いつかなかったんか…」「いつかタイムスリップしたら作るように言っておこう…」と思いますが、ないものは仕方ありません。試合のなかで「戦いの舞踏」をお見せしましょう。

迎えたキックオフ。日本は今大会好調のレメキさんをフルバックに入れてきました。さらに、スクラムハーフのポジションにはバイスキャプテンである流大さんではなく斎藤直人さんを入れてきました。コンディションの問題ということですが(※普通に歩いたり記念撮影しているので元気ではある模様)、流さん不在がどう出るか。チームの「総合力」が問われることになりそうです。

まずは陣地の奪い合いという感じになりますが、イングランド戦では課題だったキックでの陣地回復について、「ただ相手にボールを返すだけではなく、ちゃんと競れそうな距離に蹴る」ということを日本はしっかりとやっていきます。イングランド戦では散々にやられたラインアウトでも、今回は高さで勝っているので安定してボールを保持できています。基本的にサモア陣内で試合を進めてくれるので、見ていても安心感がある序盤です。

強烈な突破力が自慢のサモアを前にした押し合いでも負けてはいません。接点ではダブルタックルでしっかり相手を止め、自慢のスクラムはもちろん互角以上、モールではかなり長い距離を押される場面も見られましたが、ジリジリとゲインされるような感じはありません。夏のテストマッチでは敗れた相手ですが、今日はそのときとは違うぞという手応えです。

そして早速試合が動いたのは前半13分。マイボールスクラムで優勢に立った日本は、相手がスクラムの近くをケアしなければいけない状況のなかで、素早くボールを逆サイドへと展開します。レメキさんは今大会でたびたび見せていたキレキレのランを見せ、インゴールへと大きく前進します。最後はラックからの素早いボール出しで相手の隊列が整う前にラブスカフニさんがトライ!コンバージョンゴールも決まってまずは7-0リードです。

↓最後のラックからの球出しの速さと姫野さんのスクリーンが効きました!


反撃を狙うサモアはドライビングモールでの押し込みや、ノールック背面パスでのトライ奪取などを狙ってきますが、日本もしっかりと跳ね返します。互いの攻撃がトライには結びつかず、ペナルティゴールを1本ずつ取り合う展開で時間が経過していきます。しかし、そのなかで試合を動かしたのはまたしても自慢のスクラムでした。最初のトライとまったく同じように、マイボールスクラムで優勢に立ち、バックス陣が素早く逆サイドに展開、そこからレメキさんのランで大きく前進するという流れ。今度はさらに逆サイドへともう一度展開し、ボールサイドに寄ってしまう傾向のあるサモアのラインの穴を突きました。最後は大外で余っていたリーチマイケルさんに飛ばして、滑り込みながらトライ!芝の滑り具合と、相手が外に押し出そうと突っ込んでくるのを見極め、早めに滑り込むクレバーなトライでした!

↓大きくて強くて賢くてそこそこ足が速い!リーチマイケルという万能選手を手にすることのありがたさよ!


かなり厳しい角度からのコンバージョンもしっかり決めて日本が17-3と大きくリード。さらにこのトライに至る過程で相手のスクラムハーフが関係ないところでタックルをしてしまったことで10分間の退場となりました。「これはもう1トライ、さらには4トライでのボーナスポイントもいけるか?」と浮ついた気持ちになりますが、ここから試合は混沌としていきます。相手の退場中の前半37分に、今度は日本も堀江翔太さんが「相手の頭に当たってしまった」ということで10分間退場となります。さらに今大会から導入されているTMOバンカー(※レッドカードで一発退場かどうかを8分間かけて審議する)に問われました。

スローVTRを見る限り、堀江さんは故意に頭に当たりにいったわけではなく、上半身から腕あたりをつかみにいったプレーに見えましたが、審議の結果が出るまではどうなるかわかりません。さまざまなプレーの要と言える堀江さんの退場で、日本にはやおら暗雲が立ち込めてきます。人数が同数に揃ったこともあって、サモアはグッと元気を取り戻し、前半終了間際にはラインアウトからのモールでインゴールまで押し込まれました。同じ人数でも「フォワードが欠けた日本」と「バックスが欠けたサモア」のミスマッチを突かれました。むー、浮ついた気持ちは完全に消えていきました。

前半最後には堀江さんの代わりに何故かリーチマイケルさんがラインアウトのスロワーをつとめ、「日本が最後に攻撃して終わり」と思ったものを逆に「サモアに最後の攻撃機会を与える」というドタバタした場面も生まれました。「何でお前が投げるんだ!」とジョセフHCからは怒られたと言いますが、僕は逆に感謝したいくらいです。その勇気と責任感、そして堀江さんら普段スロワーをつとめている選手の投げるボールはキレイな回転ですごく捕りやすいんだなというのがよくわかったことに対して。堀江さん!真っ直ぐ投げるだけでも結構難しいんですね!真っ直ぐ投げてるだけだと思ってました!

↓これはジョセフHCも怒るわwww何だこの球質wwww

一番手前に投げてるのに、その短い距離でボールがバインバインしてるwww

次行こうとしたらダブルタックルで止めようwww



迎えた後半。審議の結果、堀江さんはレッドカードにはならなかったものの、サモアの退場者は先に試合に復帰し、日本だけがひとり少ないという時間がしばしつづきます。ようやく堀江さんが復帰してイーブンになったかと思いきや、今度は再びサモアに退場者が。日本の突破に対して肩から当たりにいき、タックルが首に入るという格好になってしまったのです。TMOからの呼び掛けでスローVTRを見ると、これは一発退場でもまったくおかしくないという当たり方。もし退場なら日本は俄然優位に立つことになりますが、はたして。

日本は相手だけがひとり少ないこの時間帯を老獪に活かしました。このタイミングでフレッシュなフォワードを投入し、人数の優位と元気さの優位を盾に、ラインアウトからのモールでトライを決めたのです。「効きそうなタイミングでいいアイテムを使う」感じの上手なプレイング。コンバージョンキックはハズレますが、これで日本は22-8とさらにリードを広げます。さぁ、3トライ目も決まってボーナスポイント獲得も見えてきました!

↓キャプテン姫野さんのトライ!


この点差に加え、先ほどのサモアの退場者は審議の結果レッドカードとなり、サモアはひとり少なくなりました。さらに日本はマイボールスクラムで得たペナルティゴールを決めて、25-8と17点差に広げます。2トライ2ゴールしても追いつかない点差です。もうイケイケドンドンの展開です。その後も後半21分に松島幸太朗さんの突破から相手陣内深くまで一気に攻め込んだ場面、後半23分には松島さんの独走トライ(に見えたが日本にノックオンがあり取り消し)の場面など、4トライ目で試合を決定づけられそうな場面が幾度も訪れます。

ただ、その勢いというか浮つきがチームの集中力を削いでしまったかもしれません。あまりに上手くいったので僕も浮つきましたし、チームにも「勝ったな」という思いは広がったでしょう。「ぬるい」とは言いませんが、必死になるほどの状況ではありませんでした。それは逆に、負ければもうベスト8は事実上ないサモアの必死さを際立たせました。サモアはひとり少ないということを感じさせず、むしろ圧力を強めると、後半25分には追撃のトライを決め、日本がペナルティゴールで再び28-15と突き放したあとの後半38分にはさらにトライを決めて28-22と迫ってきました。

6点差は1トライ1ゴールで逆転の僅差です。日本はもはやボーナスポイントを狙える状況ではなく、残り2分あまりを上手く消化して逃げ切りを図る構えに。ホーンが鳴るのを待ちわびたように、最後はボールを獲得した途端に蹴り出して、試合をクローズすることを選ばされました。「ボーナスポイント獲得で完勝」と浮ついた気分はどこへやら、冷や汗混じりの辛勝となりました。

↓いやー、危なかった!ボーナスポイント獲得を狙う余裕などナシ!


互いに苦しい試合でしたが、試合後は互いを讃え合う両チーム。座り込むサモアの選手に日本の選手たちが声を掛けにいく姿も印象的でした。これだけ退場者が出たあとであれば、競技によってはひと悶着あってもおかしくないところですが、まさにノーサイドという清々しい時間でした。この清々しさこそがラグビーの魅力であり、ラグビーで強くなるための真髄だなと思います。

ラグビーでは誰もが審判を尊重し、その判定に敬意を払います。もちろん「?」と思う瞬間もあるでしょうが、それを表に出さないように皆が努めています。その結果「審判と戦う」ようなことにはならず、審判にもしっかりと公平に見極めようとする姿勢や、丁寧に説明しようとする姿勢が保たれます。ビデオ判定員も常に正しい判定をしようと目を光らせ、「それぐらい流しても」と思うほどの反則でも「チェックチェック」の声を掛け、立ち戻って裁き直します。前半20分にあった「ラインアウトの人数が攻撃側のサモアが6人なのに、日本は7人入ってたぞ」というペナルティなど、ほぼ試合に影響ないような場面でしたがしっかりと裁かれました。このフィールドでは「正しさ」が欺かれたり、損をすることがないように全員が努めているのです。

その結果として頻繁に生まれるペナルティはスコアにも直結しますし、陣地回復にも大きく貢献します。ときには退場者を生んで試合の趨勢を大きく変えることも。ペナルティが試合の勝敗を変えると言ってもいいくらいで、ペナルティをせずに戦うことはちょっと強いとかちょっと速いなんてことより遥かに重要なのです。どれだけ強くて速くても、1ペナルティでキックを与えて大きく陣地を挽回され、2ペナルティでキックを決められたらもう3点。守備の途中でペナルティを与えれば、相手はリスクなしで大胆な攻撃を仕掛けられる大チャンス。清く正しくプレーすることは、何よりも強い武器であり、何よりも重要な盾となる、それがラグビー。だからこそ、勝っても負けても、なるほどこれは勝ったほうが強かったなと清々しく納得できるのでしょう。

そういう意味では日本ラグビーが強くなり、こうやって盛り上がりを見せるということにも納得感があります。自慢じゃありませんが日本の社会というのは、世界にいろいろある社会のなかでも「正しさ」や「規律」が大切にされているほうだと思います(※杓子定規過ぎる部分もあるが)。誰も来ていなくても赤信号なら停止するようなお人よしの集まりなのです、我々は。それを生き馬の目を抜くような国の人が見れば「バカか」と思うのかもしれませんが、そうやって規律を守ることで、安心や安全を守っている社会なのだと思います。そのことはちょっと強いとかちょっと速いとかよりも深いところで、日本ラグビーというものを支えていると思うのです。規律、遵法精神、反則を犯さずに戦う土壌がこの国の社会にはあります。

そのことがこの僅差の勝負を分けたかなと思います。首へのタックルでレッドカードをもらってしまうか、反則になりそうな状況ではタックルにいかずに踏み留まることでペナルティを避けるか、そのほんのわずかな違い。熱く激しい勝負のなかだからこそ、それをも上回る規律があるというのが、日本ラグビーの強さであり、愛される理由でもあるように思う試合でした。その点で、最後に追い詰められた時間にペナルティを連発していたのは、まだまだ規律修業不足だったかなと思います。苦しいときこそ正しくプレーする、そんな強い「規律」で次戦には臨んでもらいたいもの。勝てばベスト8、さらにはその先の夢が見えてきます。清く正しく美しく強く、夢に向かって駆け上がってもらいたいものです!

↓プレイヤーオブザマッチにはキレキレのレメキさんが選ばれました!

キッズとの握手で始まり、キッズとの握手で終わる!


次戦アルゼンチン戦は8日の夜8時、眠くない時間に見られることに感謝!

正確なキックと不運なヘディングによって敗れたラグビーW杯・イングランド戦は、「完敗」とは呼びたくないミスと不運と自滅の試合だった件。

08:00
ラグビーは陣取り合戦だということを改めて学びました!

熱戦つづくラグビーワールドカップ、日本代表は予選プールの第2戦イングランド戦に臨みました。グループ内でも最上位のチカラを持つと見込まれ、過去の対戦では10戦全敗という相手。今度こその勝利を目指して挑んだ日本代表でしたが、12-34で敗れました。準々決勝進出には残るサモア戦・アルゼンチン戦での勝利が必要となります。非常に厳しい、しかし、そういう状況を乗り越えてこそ面白い、引きつづき痺れるような大会を堪能できること、楽しんでいきたいと思います。



この日も試合前には何故か長渕剛さんの「とんぼ」が鳴り響くなか、大一番に臨んだ日本代表。試合前練習を終えて引き上げる際の肩を組んで一団となる「舟」の陣形、ロッカールームでキャプテン姫野和樹さんを中心に心を重ねる円陣、そして日本出身ではない選手やコーチ陣も含めて大合唱し涙さえあふれる君が代。ひとつの塊となったチームは「準備万端」の佇まいでした。ハイパフォーマンスユニオンいわゆる「ティア1」に属する国同士の対戦に臨むにふさわしい、勇ましくて堂々たる姿です。格下の国が腕試しに来たのではなく、勝つためにここにやってきた、そういう顔、そういう意気込みです。

しかし、そんな日本を「本当にティア1か?」と試すように、この試合では不都合と不運とが次々に襲い掛かってきます。試合開始直後の39秒、相手が裏に蹴り込んできたボールを余裕をもって確保しようとした日本代表フルバックのマシレワさんが「インゴール内でボールをポロリとこぼして」ノックオンします。絶対に避けようと思って臨めばいくらでも避けようがあったノックオンでした。これにより日本は早くも「自陣5メートルラインでの相手ボールスクラム」というピンチを迎えます。イングランドの強力フォワード陣であれば、そのまま押し込んでしまうイメージすら沸くピンチです。

このピンチ、日本はスクラムでは互角以上に押し勝ちますが、その後の展開のなかでオフサイドの反則があり、ペナルティゴールにより3点の先制を許します。ボーナスポイント獲得を狙うなら「4トライ」を目指して攻撃してもいい場面ですが、まずは3点を確実に取るという選択をしたイングランド。ミスはあったものの、「スクラムで容易に押し勝てない」チカラを示してしっかりと相手を撤退させた、そんな立ち上がりとなりました。

その後、キックでの陣取り合戦の様相となる試合。イングランドはキックの精度が高く、そこに走り込む選手が大きく、競り合いのなかで「弾いて味方に落とす」ということを徹底してくるため、キャッチを狙う日本よりも先手先手の動きとなります。前半7分という時点でフルバックのマシレワさんが右足を痛めて交代することになった場面も、突き詰めれば「イングランドの高いキック精度により」「ドロップアウト(インゴール内での守備側のグラウンディング)をするハメになり」「マシレワさんがドロップキックをしたときに足を痛めた」というものでした。相手の精度によって、マシレワさんのスピードとラインブレイクという武器と、マシレワさんのハイボール獲得と蹴り返しのキックという防具を奪われ、フレッシュな選手を早々に1人失うことを強いられました。不運ではありますが、「不運が起きかねない状況を強いられた」ことも確か。ふぅー、さすがイングランド、手強い相手です。

そしてこのキック合戦のなかで見えてきたのが、ラインアウトではどうもかなりやられそうだということ。2メートルを超える選手を擁するイングランドに対して、日本は競り合いにいけないことも多く、またマイボールのラインアウトでも「ちょっと工夫をした」プレーを意識させられている模様。長身選手に素直に合わせるだけではなく、裏に飛ばすような構えをたびたび見せて素直な競り合いを避けるようにしています。日本が前半24分に奪われた最初のトライも、自陣インゴール付近でのマイボールラインアウトから高く投げて裏に抜けたボールをこぼし、それを相手に拾われてのものでした。「大きいは正義」という原則を改めて突きつけられるような試合です。

↓裏に抜けるプレーも含めて想定していた布陣だけれど、弾かれて、それをポロリしたところを拾われた!


それでも前半は体力面も集中力も十分ですので互角に渡り合って見せた日本代表。チリ戦ではすべてのキックを決めた「リキヤ100%」松田力也さんが前半15分、前半23分、前半32分と3本のペナルティゴールを「すべてド真ん中」で成功させ、前半終了間際の段階で9-10というスコア。まさに狙い通りのゲームプランで、このまま終盤戦まで持ち込んでいければ、体力・集中力といった部分での勝ち負けは十分に見込めるところでした。それだけに前半終了間際の失点はもったいなかった。残り時間を考えれば、ボールを保持して相手にもう攻撃チャンスを与えないよう時間を使いながら攻撃していってもよかった場面でしたが、難しいプレー選択から相手に再び攻撃の機会を与え、最後は相手にペナルティゴールを許す格好となりました。

そのときの反則も仕方ない反則というよりは、オフサイドラインをしっかり意識して、ラックのたびに都度都度オフサイドラインまでしっかり戻るという意識があれば犯さずに済むようなもったいない反則でした。これについては「俺だな」と自覚のある選手は次戦までにしっかりと意識を改めてほしいところ。「前へ」の意識は大切ですが、身体まで先に出てしまっては本末転倒です。「絶対に防ぐという意識があればいくらでも防ぎようがあった」と言える最初のインゴールノックオンからの3点と最後の余計な3点、その6点がなければ9-7とリードして折り返す展開もあり得ただけに試合運びの部分で惜しい前半戦となりました。

↓キックはよかったですよ!今後の戦いでも必ずチカラになるド真ん中100%のキック!



迎えた後半、ここでまた日本には難しい状況が発生します。前半から脇腹を押さえて倒れるような姿を見せていたプロップの具智元さんが交代で退いたのです。3番はスクラムでもっとも圧力が掛かる要のポジション。日本の強みであるスクラムにピリッと亀裂が入る交代でした。

そして、日本には大きな不運も起きます。日本がペナルティゴールで12-13の1点差に迫り「ここからいくぞ」とモメンタムを上昇させていたところに冷や水を浴びせるように、「相手がパスをキャッチしそこねて弾いたボールが、他選手の頭に当たって前に飛び、それを再び相手に拾われ、日本がノックオンだと思っている間にトライされた」という不運&セルフジャッジのコンボのような悪夢的失点が生まれてしまったのです。

すでにイングランドがひとつ手で弾いていたという部分、次の選手が頭で弾いたものが都合のいい場所に飛んだという部分、日本がセルフジャッジで足を止めてしまったという部分、ピタゴラスイッチのように不都合が連鎖して決まったトライ。いよいよ増してきた日本の勢いがこれでガクッと削がれてしまいました。人数的にはまだ守備が残っていただけに、セルフジャッジの部分が悔やまれます。チリ戦でもまったく同じように「ノックオンだと思い込んで足を止める」という場面がありましたので、そこはチームの課題として解決しないといけないでしょう。

↓ビデオを見ると、ノックオンでは…ないですね…!しっかりボールを追った相手が偉い!


その後、日本にもトライのチャンスが訪れます。折からの暑さもあってイングランドの動きが少し鈍ってきた時間帯でした。ウィング松島さんの6人抜きに始まり、後半から入っていたライリーさんのラインブレイクで相手インゴールまで10メートルほどに迫りますが、パスを回すなかで痛恨のノックオンが起き、日本の攻撃は途切れます。雨の影響もあってか、とにかくノックオンが多かった日本。ハンドリングエラーで流れを失い、そうしたエラーがイングランドの得点につながっていったというこの試合を象徴するようなプレーでした。まさに「ミスで流れを手放す」というヤツです。

その後は、ジリジリと引き離されていく日本。後半26分には日本陣内深くでのマイボールスクラムからの展開でトライを奪われます。マイボールスクラムからボールを出すキックをミスしてキャリーバック(※守備側が自陣インゴールに持ち込む)するハメに追い込まれ、そこからの相手ボールスクラムでペナルティをおかし、アドバンテージ中の思い切ったキックパスがトライにつながるという厳しい形でした。日本はフォワード陣のメンバー交代によって前半のような互角以上のスクラムを組めなくなっており、この試合で明らかに優勢なポイントだったスクラムでも押し負けました。小さな亀裂が広がって大きな亀裂となった、イングランドの圧力が日本をついに上回った、そういう感触のプレーでした。

後半41分にはボーナスポイント獲得を狙うイングランドにこの日4つ目となるトライを許し、最終スコアは34-12となりました。日本は「4トライ」「7点差以内での負け」で得られるボーナスポイントも得られず、見事に負けました。イングランドは派手さはないものの、大きくて、強くて、ミスが少なく、キックの正確さが際立っていました。後半26分のトライなども前半に日本が同じようなプレーを試みたときよりも遥かに正確なキックパスでしたし、陣地を取るためのひとつひとつのキックが「ここにいったら理想的」というところにキッチリ送られました。2度のインゴールドロップアウトを始めとして、イヤーなところにボールを蹴り込まれて、イヤーなプレッシャーを受けつづけた試合でした。お見事だったなと、率直に認めるしかありません。

ただ、相手の強さを認めつつも、もう少し日本がやれそうだったのは収穫でもあり惜しまれるところでもあります。後半途中まではスコア的にも互角の展開に持ち込みましたし、日本の失点はミスが起点となるもの揃いでした。相手は強くて上手かったけれど、日本の自滅がそれを強調した面は否めません。そして、運にも見放されたなと思います。前半20分に松田さんが相手キックにチャージした場面で、こぼれたボールが自分たちのほうにバウンドしていたら。後半2分のキックがレメキさんのほうにバウンドしていたら。後半16分のヘディングの場面、こぼれた方向が日本選手が「思わず拾いたくなる」場所だったなら。楕円球の跳ねる角度で「ラッキー!」と言いたくなる場面がなかったのは、スコアの差につながった部分かなと思います。「やられた」が半分、「やっちまった」が半分の半分、「ツキに見放された」が半分の半分。その意味で「完敗」とは呼びたくない、そういう試合だったと思います。

↓過去10戦全敗の側が、ミスをして、運が向かないのであればこんなもんでしょう!


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そうした運だったりミスだったりがスコアに反映されるのは、結局は「陣取り」次第です。相手陣内で起きたことであれば、ヘディングがたまたま相手につながっても何ということはないのです。その陣地を取り合う手段として、走ってゲインするのか、キックで前進するのか、という陣取り合戦のなかでプレー面では両方ともイングランドが優勢でしたし、日本はもっと丁寧に意図があるキックを蹴ることができただろうと思います。味方が優位に走り込める場所に、しっかり高く蹴る。相手がカウンターできない場所に蹴り込む。タッチに出すときも少しでも遠くで出す。単純ですがキックのあとに自分たちのボールになるか相手のボールになるか、どの位置で仕切り直しになるかで陣取りは全然違ってきます。ぶつかり合いには体格なども効いてきますが、キックをどこにどういうボールで蹴るかは自分たち次第です。そこは「決勝でもう一度当たるかもしれない」ということを念頭に突き詰めていってほしいもの。

最近の各種世界大会での日本代表には「予選リーグでは互角以上の戦いをできた気がする相手が、決勝トーナメントで真価を見せて上回られる」みたいな事例がつづいています。ラグビーでは逆に、日本が決勝トーナメントで真価を見せるような尻上がりパターンでいけばいい。今回は日本に追い風が吹く要素がなかっただけに、再戦があれば「もっといい試合」になるだろうと思います。そのためにもこのあとのサモア戦、アルゼンチン戦で勝つことが重要です。どの道、サモアとアルゼンチンに勝たねば決勝トーナメントはないのですから、状況が悪くなったわけではありません。「日本、サモア、アルゼンチン」のなかで1位になるかどうかの予選プールです。試合後の選手たちの様子を見れば、この敗戦を引きずったりうなだれたりすることはなさそうですので、期待して見守っていきたいもの。日本は少し試合間隔が空きますので、再び元気いっぱいとなって勝負の後半戦に臨んでもらいましょう!

↓そして試合後、怪我のマシレワさんに代わって山中亮平さんが帰って来ることが決定!

ラグビー人生第3章をスタートしたはずの男が、仲間に請われて第2章に舞い戻ってきた!

「心強い戦友(とも)」が戻ってきたら、漫画なら勝つフラグ!期待しかない!



これだけ運に見放された試合があるなら、運が全部コッチを向く試合もある!

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