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2025年05月06日08:00
GALAにチカラ入れ過ぎ説、あると思います!
本日はお出掛けの記録です。今年のゴールデンウィークはご近所観戦巡りでもしようかと画策するなか、見慣れないものを見て異世界感を味わおうかななどと思い、アーティスティックスイミングの日本選手権を観戦してまいりました。まったくの初見ということではないのですが、現地観戦は久しくご無沙汰しておりましたので、新鮮な体験ができるのではないかと期待しての小旅行です。
↓会場は水系の聖地・東京アクアティクスセンターです!

まずは散策を…と思いましたが、さすが質実剛健なアマチュアスポーツです。来場者の多くは選手・関係者とその家族で、いわゆる「お客」は少数派のよう。そんなことですから出し物的なものは基本的にありません。会場入り口にごく少数のキッチンカーが出ていたりはしますが、のぼりも看板も音楽もポスターもなく会場のドアを開けても本当にココで何かやっているんだかいないんだかよくわからないくらいの雰囲気です。
アクアティクスセンターに行ったことある人にしか伝わらないと思いますが「どこが開くんだか全然分からない」自動ドアをくぐってロビーに入ってもなお、日程を間違えたんじゃないかと思うくらいの静けさ。うーんイイ!こういうのがイイ!プロのこなれたイベントにはない「競技会」って感じがあってワクワクします。自分はお客様ではなくうっかり紛れ込んだ異邦人、そんな気分を味わいに来たのですからこうでなくては。
↓何かやっているような気配がまったくしない正面入り口!

↓何をやっているかは分からないけれど、盗撮・透撮行為には厳しく対処します!

↓一応キッチンカーなどは若干出ておりました!

ロビーにはもちろん商売っ気などまったくなく、施設側のグッズを売る自動販売機とドリンクの自動販売機が並んでいるくらい。ブースらしき光に誘われれば、それも施設側の常設の展示です。東京五輪・パラリンピックの会場として使用されたことを記念する展示なので、巡り巡ってそのなかにアーティスティックスイミング関連の展示もあったりはするのですが、今さら見にくる人もいないのかいたって静かなものです。まぁ日頃からここで試合や練習をしている人たちにしてみれば、もはや日常の風景の一部なのでしょう。
↓東京五輪・パラリンピックの思い出を振り返る展示群!

↓アーティスティックスイミングの水着もしっかり展示されていました!

↓競泳用の水着はマネキンに着せて展示ボックスに入れておきましたよ!

↓水泳日本代表チームの寄せ書き的な展示も!

「うむ、特に何もないな!」と思いながら場内へ。するとようやくかすかな賑わいの気配が。今回唯一と言える物販のブースでは大会プログラムを販売しており、プログラムを買うともれなくクリアファイルと缶バッジとポストカードがついてくるというガバガバなお知らせが掲示されています。「もれなくついてくるなら4種セット販売と同義…」「逆に景表法が気になってノベルティなのか調べてしまった…」「いっそお弁当つきで2000円のセットとかどうだろうか…」などと思いつつ冷やかしていきます。
横にもうひとつブースがあったのでスポンサー関連かなと思いましたところ、こちらは来年愛知・名古屋で開催されるアジア競技大会の告知をされているとのこと。「へー、愛知でやるんですねぇ(すっとぼけ)」などと空気みたいな会話をしておりますと、アーティスティックスイミング競技は静岡県浜松市で実施するとのご案内をいただき「こ、広域開催なんですね…」と微笑む一幕も。こちらでは公式SNSをフォローするとガチャを引けるとのお誘いをいただき、ありがたく引かせていただきました。いただいたグッズは2026年に向けて大事に使わせていただきます。
↓ありったけのグッズがついてくる勢いの公式プログラム売店!

↓来年開催のアジア競技大会を告知するガチャ!

↓場内のフォトスポットには水泳連盟の公式マスコット・ぱちゃぽも出現!

こうしてまとめるといろいろありそうに見えますが、これがすべてです!
競技をするのに出し物は無用なのです!
散策を終えて座席に向かえば、自由席券で入場したつもりなのに表示は「招待席」となっており、プールサイドのテクニカルパネル裏あたりの特等席がご用意されています。招待席の後方には出場選手が待機する選手席があり(競技中は大量の荷物だけがスタンドに並ぶ)、反対サイドのスタンドにはチーム・クラブのメンバーが大応援団となって熱い声援を送っています。9割関係者、1割外部、くらいの感覚でしょうか。なるほどチケットで入ってきただけでも十二分に「招待客」の扱いなのかもしれません。見やすい位置で大変結構です。
大会自体はゴールデンウィークの連休をぶち抜いて開催されておりましたが、最終日となるこの日はデュエット競技のフリーや、空中技が多数繰り出されて素人目線にも楽しいアクロバティックルーティンのほか、日本代表選手によるエキシビションも実施される日程でした。ベストアルバム的な構成となっており、代表選手を含めた「全日本」が一堂に会する格好。2028年ロス五輪の際には「あの日、肉眼で見ました!」と言えるように、各演目をしっかりと目に焼きつけながら観戦していきます。
↓東京五輪・パラリンピックの記憶も甦る夢の舞台!

デュエット競技は10秒の陸上動作を含めて約2分45秒ほどの演技時間で要素を実施し、それをいわゆる技術点であるエレメント得点と、いわゆる演技構成点であるアーティスティックインプレッション得点とで採点し、その合計スコアで順位を出す仕組み。昨今は申請した演目に対して差異がある実施となった要素についてはベースマークと呼ばれる最低点まで減点される仕組みとなっており、その有無によっても順位は大きく変動します。
とは言え、素人目線から見ればどの演技も美しく、見事な同調性で実施されており、素晴らしい限りです。技術的なことが分からなかったとしても、表現の部分は大変ストレートで分かりやすく、「何だかすごく平泳ぎみたいなポーズが多いなぁ」と思って見ていたら「演技のテーマはカエルでした」なんてド直球のアナウンスが流れてきたりすることも。よく見れば水着もちゃんと緑のカエル柄だったりして、気持ちはビンビンに伝わってきます。蛇拳のようなポーズを繰り出す「スネーク」ですとか、ロボットのようにカクカクした動きが多い「トランスフォーマー」など、初見でも「伝わる」個性的な演技がつづき大変楽しい時間です。
さらに、五輪では実施されていない男女混合のミックスデュエットのフリー演技も拝見することができ、大いに楽しませていただきました。男女混合ということで、陸上動作から男子選手によるリフトが組み込まれていたり、水中でもふたりで力強い空中技を実施するなど、五輪での採用があればむしろ混合の人気が出そうだなと思うような演技がつづきます。男女だと身長差や体格差があったりするので、水上に突き出た足の高さだったりを合わせることを含めて同調性の部分を高めるのは大変そうですが、パワーとシンクロのバランスをどう取るかが見所になるのかなと思いました。
↓混合優勝ペアの演技テーマが「山賊」で、「海賊じゃないんかい!」と思ったのは内緒です!
↓混合優勝ペアの演技テーマが「山賊」で、「海賊じゃないんかい!」と思ったのは内緒です!
つづくアクロバティックルーティンは8名までのチームによって約3分間の演技時間で行なわれ、ジャンプやリフトなどダイナミックな空中技を演技中に7個組み込む種目。「いかにもAS」な足技なども入れることができますが、それは難易度(いわゆる基礎点)にはカウントされず、あくまでも空中技の出来で競う種目です。チームには男子選手2名を含めることができまして、実はパリ五輪でも男子入りでOKのルールだったのですが、パリでは男子選手のエントリーはありませんでした。次回ロス五輪を見据えては、男女混合のチームの活躍ぶりなどにも注目したいところです。
今大会にもいくつか男女混合チームが出場しており、そうしたチームは心なしか空中技も高く大きくなるような感じ。選手が作る土台の上に立ってバランスを取るような要素でも、あえてゆっくりと演技して土台の盤石さを示すような構成になっているようで、華麗さと力強さが合わさった魅力があるなと感じました。さすがに男子が「跳ぶほう」をやるケースは見受けられませんでしたが、つなぎの部分では中心となって演じる場面もあり、単なる縁の下の力持ちではありません。最終的な表彰台にも、そうした混合チームから2チームが加わっており、優勝チームも男子選手を含む編成でした。今大会はチームのフリールーティンでも男女混合のチームが優勝しておりましたので、いよいよ変革の時期がきたのかもしれないなと思います。
もっとも、ひととおりの演技を見たあとにエキシビションで登場した日本代表は、全員女子選手での編成ながら、優勝チームよりも高さ・安定感ともに上で、さすが代表チームと唸りました。しかもその素晴らしい演技でさえも、首脳陣による講評は「散々」「勝負にならない」と手厳しいものだったのですから、世界の頂点は高いものだなと思いました。ロス五輪での捲土重来が期待される日本のアーティスティックスイミング、どうなっていくのか気にしていければと思います。
↓日本代表は見てお分かりのように「アリゲーター」の演技を披露しました!
アーティスティックスイミング日本代表のエキシビションが5日、日本選手権で行われました。写真はアクロバティックルーティンの演技を披露する日本代表の選手たちです。
— 毎日新聞写真部 (@mainichiphoto) May 5, 2025
写真特集 https://t.co/vk9cuo6oFA pic.twitter.com/ey5zbSmMdC
↓試合は全編YouTubeの公式チャンネルで配信されていますのでご興味ある方はご覧ください!
で、試合部分はこれで終わったのですが、何故か会場は熱を帯びていきます。さっきまでスタンドにいた選手たちも動き出しまして、プールサイドに人がわらわら集まってきました。どうやら今大会は試合終了後にGALA(いわゆるエキシビション)をやるそうで、その準備に向かっていた模様。僕も物見遊山で拝見したのですが、何というか…コッチのほうが本気というか…「打ち上げが本番」みたいな空気感じゃないですか。場内アナウンスも急にテンション上げてきましたし、チーム・クラブによる応援も大拍手大歓声で「フゥーーー!」などの声がアチコチからバンバン上がります。何ならジャッジも立ち上がって応援しているほど。
演目や小道具などもこのためにわざわざ用意してきており、選手たち自身もとても楽しそう。「地元の魅力を広めるためにほぼ陸上でうどん体操をやります!」とか、「先ほどはカエルをテーマに演技しましたが実はカエルのお面も用意してあるので被ったまま入水します!」とか、「イカゲームが大好きなのでただただイカゲームをやります!水には入りません!」といった自由過ぎる演目がつづき、抱腹絶倒の時間となりました。もしもここに1万人の大観衆がいたら、はたして同じテンションでできるのかは謎ですが、こういう楽しそうな姿がもっと広まっていくといいなと思いました。ほら、アーティスティックスイミングって、何かすごく厳しそうなイメージがありますのでね。
↓ふざけるときは真剣にふざける、イイと思います!
そんなことで、熱い競技と楽しい異世界感を味わうことができ、大満足のお出掛けとなりました。ゴールデンウィークどこに行くかを検討するなかで、いろいろ日程が被っており悩ましい部分もありましたが、いいチョイスだったなと思います。ご近所であっても馴染みがない現場へ赴けば、ちゃんとプチ旅行気分は味わえるものですね!
さすがに演目中に1回は入水したほうがいいんじゃないかと思いましたけど!